そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月30日(土)最後の瑞雲を味わう

2018年06月30日 | 公開

  松江の向月庵から6月末で会社を清算するとのご挨拶状をただき、慌てて最後の瑞雲を取り寄せさせてただいた。今朝、謹んで銘菓を味わう。

  「けふ店を 閉づる松江の 老舗菓子 宍道のうみの 瑞雲の色」雲州甲乙人


6月30日(土)学長選挙結果などなど

2018年06月30日 | 公開

  勤務先大学の学長選挙、木曜に決定選挙の投票があって、現学長・理事会が推した大本命が落選、ダークホースが当選した。元学生部長どのと元教務部長どの、言い換えれば武官と文官の争い?だったが、まあ、現学長と同じ学部の教授が、また学長かよ~という感じもあったし、附属校からの出身者というのも、一定の反発を買ったかもしれない。故指導教授のたまはく、「揉めれば揉めるほど、世の中よくなる」と。だいたい、うちのキャンパスには全然やって来ず、決定選挙が決まった後、慌てて変なメールを送るというポカをしたのが、致命的だったんじゃないかな? 

  勤務先大学で、私がボスと仰いでいるのはT教授。T教授以外に尊敬している教員は、学内に一人もいない。前の学長選挙の折は、一瞬出馬を考えなくもなかったそうだが、もしもボスが学長になっておれば、おいらも図書館長くらいにはなれていたかもしれない。今の館長は、一緒に副館長を務めた人なれど、本に対する愛情を持たぬ御仁であり、最新の図書館紀要の巻頭言に、とんでもないことを書いていた。しかし、ダークホースの当選で、彼も更迭されることであろう。

  さて、勤務先学部のセクハラ問題、所属教員としてアクションを起こすべしという動きに賛同する。しかし、やられたらやり返せという気概は、昨今、どこへ行ってしまったのか?とも思う。おいらだったら、おれの男になれ!とでも言われたら、黙れ!このエロ爺い!とののしって、その場で殴ったろうがな。我々が学生の頃は、教授は学生を平気で殴っていたし、学生は角棒で教授を殴っていた。世の中、変わりましたなあ。とはいうものの、日本は、ほんとうに、大丈夫なのだろうか? 中世は自力救済の世の中だったが、世界はまだまだ、自力救済が普通じゃないのかしらん。


6月26日(火)同僚のセクハラ事案

2018年06月26日 | 公開

  社会人向け講座の夏学期は来月からなので、家に居る。いつもは実妹に、老母の訪問看護対応を頼んでいるのだが、私が居られる時は私が対応することにしている。だから今日は、来るに及ばずと連絡していたのに、突然やって来て吃驚した。明後日が誕生日なので、プレゼントを届けに来てくれたのだと。まあ、この世に二人だけの、血の繋がった兄妹である。ありがたいことである。

  看護師さんがやって来て、老母の体調は良好らしい。しかし、貧血は治らない。お腹がぽっこり出ているので、体重を計っていただくと、49㎏だった。音を立てて太ってくような気がするが、お菓子の食い過ぎだと思う。まあ、50㎏を超えないように、調整すればいいと言われた。

  勤務先同僚の「セクハラ事案」で、かしがましい。本人がメディアのインタビューに応えて、実名報道されてるのだから、前代未聞だろう。今朝は終に、大新聞朝刊に大きく報じられていた。コースの対応、大学の対応への批判も厳しい。この件については広報室に対応一本化ということだが、思うことはいろいろある。

  故指導教授から、大学教員になる心得をたたき込まれた。その第一は、「おたなのものに手をつけてはけない」である。師弟関係に、恋愛感情は御法度ということだ。第二は、「教務就任依頼を断ってはならない」、つまり教学運営上のスタッフに就く要請があれば、自分の研究は擲ってでも、応じなければならなということ。これは、私が出身学部の教員になったという事情も、あったかもしれない。この二つは、頑なに守ってきたつもりだが、第二のほうは、さいわい老耄に達したので、もはやお呼びはかかるまい(児玉源太郎を演じられなくもないとう気概はある)。

  勤務先大学も、ガバナンス、ガバナンスが叫ばれて、居心地のよい場所ではなくなった。人文学など、世の中に必須のものではなようだ。一刻も早く辞めたいが、老母の介護が始まり、ここで収入が途絶するのも困るという事情が生じた。かたかたで、目立たぬように、定年までの余生を全うするしか、手立てはなさそうだ。


6月24日(日)高校国語教科書編集委員会発足会合

2018年06月24日 | 公開

  平成30年3月30日告示の高等学校学習指導要領に依拠する教科書編集委員会の発足会合に出席するため、浜松町へ。なにしろ、国語総合、現代文・古文という現行の国語の科目構成が、まったくチェンジされるのだから、大変なのである。

  必修は「現代の国語」と「言語文化」、選択は「論理国語」「文学国語」に「古典探求」(他に「国語表現」)となる。「現代の国語」「論理国語」はノンフィクション、「言語文化」「文学国語」はフィクションと、文科省の説明なのだそうで、なんのこっちゃ?と思う。ちょっと考えれば、中長期的には「文学」性の排除であろう。大学入試改革の方向とも、平仄が合っている。

  編集委員の顔ぶれも少し変わって、学芸大のS名誉教授が代表となられた。我ら私学出身の私大教授は、まあ、あしらいというか、刺身のツマみたいなものだから、おとなしくして、懇親会でウイスキー水割りを4杯ほど飲んで、帰宅いたしましたとさ。(笑


6月23日(土)大学院説明会

2018年06月23日 | 公開

  午後に大学院の説明会があり、所属コースは語学と文学、文学は前近代と近現代という3領域に分かれているのだが、主任は語学なので、文学系は1人ずつ出て欲しいと言われた。誰も手を挙げないようだから、前近代の要員として出動することにする。

  まず渋谷へ行って、老母の好きなレバー・ブルストを購入。渋谷からメトロを乗り継いで勤務先へ移動したが、渋谷の街は大規模普請中で、さっぱり分からない。

  説明会、近現代はT教授が鎌倉からお越しだった。前近代関係は7~8名というところだったが、遠方は関西や伊勢からお見えの方もいらっしゃった。早めに終わったので、直帰する。

  7月7日の研究発表は、だいたい仕上がったのだが、どうしても解けない疑問点がある。仏教は難しい。宗教と比較文学は、私の不得意とするところである。過日教授会の席上、O教授に教えていただいた天台浄土教に関する最新の研究書が、まだ図書館に入っていないので、仕方なくアマゾンで注文した。

  


6月22日(金)新興古書店から慶應へ

2018年06月22日 | 公開

  荊妻殿もご用が無いとのことで、一緒に新興古書展へ行く。A書店さんに、公費購入で1点、私費購入で1点、写本をお買い上げになっているのだが、それは既に勤務先女子大学へ直送されたということだった。

  会場には、国文研の前館長殿や同研のOさん、法華大学のIさん、また同僚のI教授もお見えだった。

  久曽神昇旧蔵本が売れ残っていた。中に久曽神博士自筆のメモも挟まっていた。ゆかしさに、衝動買いする。

  B堂では、私向きの短冊というので、冷泉家歴代のものをずらっと出して来られたから、全部いただくことにする。う~ん、商売がうまいですなあ。

  E書店のご主人にご挨拶して、神保町から三田へ。慶應で、S教授ご所蔵古活字版の展観を拝見する。Sさんが列品解説をなさっていて、Oさんもおでだった。

  品川でオイスターを食う。ワシントン州産の白ワインを1本空け、早々に帰宅した。

  


6月17日(日)ちちの日の愚詠

2018年06月17日 | 公開

  閨の中では荊妻と抱き合って寝る。生活時間にズレがあり、荊妻は夜型、私は極端な朝型人間。だから、なかなか子どもが出来なかったが。(笑) まあ、架蔵資料で言えば、この住吉物語断簡のお姫様みたいなのが荊妻なのである。

  父の日なので、娘に遊びに来るか?と尋ねたが、新宿で仕事とのこと。やれやれ、三十路女は忙しいなあと、閨の中で荊妻に迫れば、殴られてしまいました。(汗)

    ちちのみの ちちのひなりと ちちすへば ちちがちがふと つまになぐらる(右往左翁)

  「ちちのみの」は「父」にかかる枕詞である、老婆心まで。江戸の狂歌師くらいの水準に、おいらは達してるんじゃなかなあ・・・。

  婿殿から、父の日のお酒を送りましたと連絡が来て、ほどなく宅配便が。「西之門」という銘酒だった。善光寺辺の酒らしい。あらら、そうすると、西方極楽浄土へのゲートという意味か? 「舅殿、はやくくたばれ」の意じゃないだろうな・・・と、いささか勘ぐったが、婿殿は文学部の出でもなし、あまり考えずに送ったなと判断した。

  松江の「向月庵」が店を閉じられるという。職人さんの高齢化などが原因らしいが、名残にお菓子を送っていただけないか、お手紙を差し上げた。

 

 


6月16日(土)西巣鴨で学会

2018年06月16日 | 公開

  西巣鴨の仏教系某大学で、おうた文学会の例会。そうなると昼食は、当然、「菊谷」である。都電でアプローチし、開店と同時に入る。蕎麦前と、もりを2枚平らげた。

  学会の前に、委員会があるので、早めに会場校へ。朝市というのをやっていて、もう仕舞い間際だったが、野菜が半額とのこと。蕗とミズの束を、それぞれ120円で購入。賞味期限間際のわかめも、なんとなんと100円だった。

  委員会はM委員長の手回しもよろしく、長い間の懸案事項がひとつ、解決した。万々歳だ。研究発表を3本聴く。東大、慶應、日大というラインナップ。前座君は源氏研究のT先生の指導らしい。質問したら、T先生に礼を言われた。T君はいかにも慶應!という感じの、Sさんはかにも日大有吉門下!という感じの発表だった。7月7日は関西で、私の発表がある。

  終了後、事務局のKNさん、NNさんに、秋の大会会場校のSさんも加わって(3人とも私が研究指導担当教授で、博士学位請求論文の主任審査委員だった)、また「菊谷」に入ろうと電話したがあいにく満員とのこと、その先の「充味」というお店に入ったら、大正解だった。かわいらしい花番ちゃん?と、楽しいひと時を過ごした。 


6月14日(木)学長選挙の投票をする

2018年06月14日 | 公開

  本日は学長選挙の投票日である。2時限の始まる前、10:00に所属キャンパスの投票所赴くと、一番乗りだった。投票箱の中が空であることを確認し、施錠に立ち会う。候補者は3名で、○を付けるようになっていた。

  研究室に戻ると、隣の研究室に名誉教授のウルトラマン先生がお見えだった。ご講演なのだそうだ。お願いしていた論文は・・・とお尋ねすると、書き上げたとおっしゃる。目を通して欲しいと頼まれた。

  2時限、3時限は、研究発表のリハーサルを兼ねて、喋りまくった。合間に昼飯を食う時間が無かったので、「Cafe GOTO」で代替を摂る。J研出身のNさんがいらっしゃった。エスプレッソを飲んでいると、目の前の相席の女性から、先生とはどこかでお目にかかったことがありますよね?と声を掛けられた。先週、業務でご一緒した某学部の諸君の方だった。あなかま、あなかま。

  5時限の修士演習も、結局ひとりで喋りまくり、6時限の研究会は、目が覚めたら終わっていた。

  院生諸君と「かわうち」へ行く。一升瓶1本で止めとして、帰路につく。メトロ駅で文化推進部長殿とばったり。学長選挙は決選投票になったらしい。ご体調はいかがですか?とお尋ねする。この方、次期学部長にぴったりだと思っておったのだが、体調を崩され、背の高い歴史学の先生が擁立された。今回は無風のようである。しかし、私に学部長をやれという話は、全然来ないですなあ。(笑 畏友2人は立候補して、次々討ち死に?したがなあ。そうこうしているうちに、すっかりさだ過ぎてしまったわい。かたかたに、をれかし私。(笑

  帰宅して情報を確かめると、学長選挙決選投票は、右翼大物の坊ちゃんと、現政権後継者のお2人。元教務部長と元学生部長の闘いとなっていた。文官か武官か、ということかな?


6月11日(月)北京日本学研究センターのレセプション

2018年06月11日 | 公開

  梅雨らしい一日だった。

  朝いち演習は、和歌懐紙と短冊の書き方を実習する。こんな授業をしている大学は、他にあるまい。2時限のふるほんレクチャーは、中央図書館で行う。源氏物語の写本を出してただき、受講生に触ってもらった。

  本を両三冊借りて、いったん研究室に戻り、昼食は「高七」へ。ついつい、麦と米のジュースも、注文してしまいましたとさ。大学教授になって何がよかったって、あなた、授業が終われば昼から飲めることですがな。(^^ゞ

  三木鼠先生の装束特論、本日はエイトマン先生をゲストスピーカーに招聘されたので、ご挨拶に行く。エイトマン先生、このたびご著書を上梓されたので、上機嫌であらせられた。

  終了後、エイトマン先生、三木鼠先生にもお出ましいただいての、装束研の新歓コンパというので、「かわうち」に顔を出す。兜さんに、福沢諭吉を1枚お渡しし、18:00に失礼した。

  永田町のホテルで、北京日本学研究センターのレセプションである。受付に赴けば、知った方々の名札が・・・。バカ田関係では、助手をご一緒したIさん、所沢学部長をなさった考古学者のTさんほか。帝大名誉教授のT先生や、池袋聖公会大学のSさんなどなど。いま私の研究室に1名、院生を受け入れているのだが。張龍妹先生のお弟子さんで、きわめて優秀な人物だ。チューターのA君も出席し、賑やかなひと時を過ごした。跡見女子大学の学長閣下もご出席だったから、この4月に着任した荊妻の後輩K君のことをよろしくと、ご挨拶をしておいた。


6月10日(日)稚鮎の丸干しを作る

2018年06月10日 | 公開

  築地の「文化人」で供された稚鮎の丸干しが、めっぽうかいに美味かったので、どこかで売っていないものかと調べてみたが、どこにもない。そこで、無いものは作ってみようと、稚鮎を500gほど取り寄せて、作ってみた。

  解凍して塩水に漬け、水気を切ってから、180℃のオーブンに50分かければ、はい、出来上がり。

  この、ほろ苦さと、塩加減が、たまりません。日本酒のあてとしては、最高の部類だ。


6月2日(土)3日(日)なかつよ文学会

2018年06月03日 | 公開

  本郷の東大で、なかつよ文学会の春季大会だった。いま、事務局が荊妻の勤務先に置かれてて、荊妻どの事務局員を拝命してるので、一緒に参加する。

  土曜の西行のシンポジウムは、なかなか面白かった。とはいえ、和歌ど真ん中という話ではないところが、西行らしかった。日曜の研究発表では、青学名誉教授先生の、正徹の連歌句新発見が別格官幣大社。資料実物もご持参、見せていただけて、興奮した。

  大学院生の発表では、研究指導を担当したK君のものが、核心の考証がかっちりしていて、よかったと思う。今秋結婚するお相手にも紹介したいただいた。これを潮に、博論に向かって前進されたし。