通勤途次、地下鉄で、教組の前書記長殿と一緒になった。E学部の社会学教授である。E学部の教授会では、教員の健康を損ねる教授会議事運営を禁止する旨、先般、決議を行ったそうである(笑)。E学部はウチより教授会が長く、紛糾するので有名だ。聞けば、それでもって前書記長殿の所属学科の教員が、最近2人も死んだそうだ。ウチの学部・領域でも、ここ2年間に、定年間近の教授が2人亡くなりましたぜと申し上げておく(そのお2人とも、実に律儀に教授会には出席しておいでだった!)。我が学部でも同様の決議を行うべきか。教授教授会に殺さるべし。いやいや、2度に1度は、ICUみたいに英語で教授会を行えば、早く終わるんじゃないかな。盟兄教務主任殿に、ご検討を乞う。ただしフランス語やドイツ語をも導入するのは、まあやめておいたほうがよいわいな(もっと長くなったら困るべい)。
お昼休み時間に同僚の相談に与り、珍しいお菓子をいただく。博士課程の研究指導は
Nさんの発表を聞く。テクストの翻字が正しいか疑義が生じた。また、句読点の処理もおかしなところがある。やはり写本に遡って確認しないといけませんね。肝心な分析部分も、結論がつまらんぞ。物合イベントとしてどのような形だったのかをもっと想像しないと、論は立ち難いと思うが、我ながら厳しいかな? まあ、発表まで半年あるから、十分に詰めて欲しい。
修士の演習は、梅ちゃんに修論の概要を話してもらう。この人は着想や問題設定、思考の方向性がユニークで、研究者の資質としてはスケールが大きいと、私は密かに?評価しているのだが、やはり漢字は正確に書けないと、人に笑われるぞよ。しかし、エディターの経験があるKさんが、好意的な反応を示してくださったのは面白かった。梅ちゃんの場合、当面の仮想敵国もはっきりしているから、今後の展開には大いに期待している。
研究室に戻ったら、輪読をやっていた。覗くと煮詰まっている。これこれという意味じゃないかなと、要らぬことを言い出すと、素晴らしい!とあっさり認められた。あなたたちの読解力が無いだけじゃないかと、心の中で悪態をつくも、顔はニコニコしておく。
故伊地知鐡男先生であったならば、幼稚園からやり直せ!とおっしゃったことだろうて(どこから「やり直せ」とおっしゃるかで、程度が示されたのである)。私は甘いのかしらねえ。
学生の研究会は学期最終回。「寄光恋」の兼題にて六番の歌合を行った。「光」の語か、何か光るものが詠み込まれた恋歌ならばよいことにして、男女で左右に分かれ、判は衆議とする。結果、三勝一持二負で女方の勝利となった。愚詠はおおむね好評を博す。各自の料歌をも披露した後、「かわうち」へ。男方の負態は、「かわうち」の支払いということに。ついつい23:00過ぎまで飲んでしまった。
愚詠。寄光恋。
朝の光さし入る部屋に二人ゐてあなたの指でセロリを食べる(出詠歌 勝)
砂浜の光の中をどこまでも駆けてゆく手と手かたく繋いで(料歌)
前歌、末句を「セロリを齧る」にしようかと悩んだが、それだとちょっとイヤラし過ぎるといおうか、生々しい連想を呼ぶかなあと考えて、穏当なところに着地させた。ただしこの下句、実は、昔々所属していた文芸サークルの雑誌に発表された、さる女性の詩のパクリなのである。盗作と言ふべきか。当該歌合は、講師読み上げで作品を披露したので、耳で聞いてうまくイメージが紡いでいけるよう意識したつもり。料歌のほうはいささか平懐だが、四句にパフォーマンスの要を置いた次第。さて、「振舞へる姿」(©渡部泰明)になっているかどうか…。