九月二十七日、秋学期授業開始日。
「たててのむ つめのご銘は 祖母昔 (ばばむかし)ははつかはざる たわら茶盌に」
「病院の 案内ばかり はられをり さくらトラムの 車内広告」
「むべしこそ 庚申塚の ある路線 生病老死 南無阿弥陀仏」
九月二十九日(日)、母、死にたまひぬ。
「蟋蟀の よわるがごとく いきのねも ちからぬけゆく 死に支度かな」
「モニターの 数字の意味も ときがたく ただそのときを まつにぞありける」
「ありありと 死相みとめて まくらべに ただたらちねを みとるけふかな」
「しなむとする ははのみかほの いとしくて ひとさしゆびの はらをあてがふ」
「鷗外のごと いづもびと和顔妙喜として死せんと はた欲するや」
18:16心臓停止→18:43死亡確認
「心臓の うごきをしめす なみのかた なみうたずなりて ははしにたまふ」
「ははしにき よはひ相応 わづらひて 最期はすっと しにてゆきたり」
「ひとしぬる まぎはのかほを まぢかくも みとどけてけり こころしづけく」
「ははしにき こころのどこか わだかまる ことはおちゐて のどけかりけり」
「てぎはよく しびとのからだ きよむてふ あわててたのむ いればいれてよ」
「たらちねのいればをあらふ 呼吸器にあれたるくちのはたはいたまし」
「みとせたらず ははしたたむる いそぎして やしなひえたる ことぞうれしき」
「戒名も 位牌も墓も 帷子も かねてまうけの まけのまにまに」
「わがつまの 恩師におなじ 命日と なるもくすしき えににぞありける」
「火曜日の あさ一番の かまならば 予約可能と いへばうべなふ」
「ベリーレア レア ウェルダンと やきかたに 等級ありやと 冗談いへず」
「消費税 あがらぬさきに みまかりて 葬儀費用は みつぎ一割」
九月三十日
「ははのため おものつくらぬ つとめても まづはききよむ いへのまはりを」
「けふもまた のらねこラノは よりきたり ははしにたるを とぶらふがごと」
「きぞのうちに ははしにたれば けふのあさ 一時限めの 授業いそぎぬ」
「たててのむ つめのご銘は 祖母昔 (ばばむかし)ははつかはざる たわら茶盌に」
「病院の 案内ばかり はられをり さくらトラムの 車内広告」
「むべしこそ 庚申塚の ある路線 生病老死 南無阿弥陀仏」
九月二十九日(日)、母、死にたまひぬ。
「蟋蟀の よわるがごとく いきのねも ちからぬけゆく 死に支度かな」
「モニターの 数字の意味も ときがたく ただそのときを まつにぞありける」
「ありありと 死相みとめて まくらべに ただたらちねを みとるけふかな」
「しなむとする ははのみかほの いとしくて ひとさしゆびの はらをあてがふ」
「鷗外のごと いづもびと和顔妙喜として死せんと はた欲するや」
18:16心臓停止→18:43死亡確認
「心臓の うごきをしめす なみのかた なみうたずなりて ははしにたまふ」
「ははしにき よはひ相応 わづらひて 最期はすっと しにてゆきたり」
「ひとしぬる まぎはのかほを まぢかくも みとどけてけり こころしづけく」
「ははしにき こころのどこか わだかまる ことはおちゐて のどけかりけり」
「てぎはよく しびとのからだ きよむてふ あわててたのむ いればいれてよ」
「たらちねのいればをあらふ 呼吸器にあれたるくちのはたはいたまし」
「みとせたらず ははしたたむる いそぎして やしなひえたる ことぞうれしき」
「戒名も 位牌も墓も 帷子も かねてまうけの まけのまにまに」
「わがつまの 恩師におなじ 命日と なるもくすしき えににぞありける」
「火曜日の あさ一番の かまならば 予約可能と いへばうべなふ」
「ベリーレア レア ウェルダンと やきかたに 等級ありやと 冗談いへず」
「消費税 あがらぬさきに みまかりて 葬儀費用は みつぎ一割」
九月三十日
「ははのため おものつくらぬ つとめても まづはききよむ いへのまはりを」
「けふもまた のらねこラノは よりきたり ははしにたるを とぶらふがごと」
「きぞのうちに ははしにたれば けふのあさ 一時限めの 授業いそぎぬ」