あまちゃんの カタコト中文日記

中国・杭州がえりのライター助手、日々のいろいろ。

水を得た馬? 成河主演舞台『ある馬の物語』(@兵庫芸文 中ホール)

2023-07-24 | 観劇
今年3月、NHKのラジオドラマ「昼も夜も彷徨え」で舞台俳優・成河(ソンハ)の声に魅了されて以来、いつの日か... いや、すぐにでも彼の舞台を見たいと思った。ネットでみると、ちょうど京都で終わったばかりの主演作(木ノ下歌舞伎、共演:石橋静河)をはじめ、「ラビットホール」「桜の園」など今年だけでも複数の出演作があることがわかった。
さすがは旬の役者だな。但し、どれも殆ど東京。やはり気楽に行ける近場(関西)がいいな。しかし舞台の地方公演は上演回数が少ないため、チケット争奪戦が必至だ。気合いを入れて先行予約(4月初旬)の朝10時にネットで予約。ふしぎなことにすでに1階席前方はほぼ売り切れ。はぁ~ 関係者が多いんやろか...。

なんと、成河は馬の役。ひひーん!といなないてました。

ラジオドラマの感動から、すでに4か月。「あの盛り上がりはなんだったの?」当方すっかり冷めていて、暑いなか出かけるの面倒やな~とまで思ったほど。

お花は別所さん宛のが1個だけ。6月から世田谷パブリックで2週間以上やったあとだからね~ 

女性が多いな~ 若い人はみかけません、、。

ボクの席は2階の最前列。
開演後、工事現場みたいな舞台に馬に扮した人たちがぞろぞろと。中央にいる小柄な馬が吊り上げられ、何やらいじめられている。これがどうやら主人公の”まだら馬”、ホルストメール(成河)。血統はいいが、まだら模様に生まれたために邪険に扱われ、あげくは去勢もされる。最初のシーンでは老いさらばえたホルストメールが若い馬たちにいじめられていた。このあたりは少々退屈...。
そして若い頃のできごとを回想、語り始めるー ここから物語が動き出し、俄然おもしろくなる。

成河は期待通りの明瞭なセリフ、歌声、何より巧みな馬の動きはさすがだ。
舞台の詳細は こちらのレビューへ ←舞台写真入りで雰囲気がよくわかる。

原作はロシアの文豪トルストイ。かなり前にロシアで上演された舞台を今回、演出家の白井晃さんがリメイク。
実は3年前の上演予定がコロナで延期となった。この作品、当時東京五輪開催で浮かれる人々にどこか警笛を鳴らすような意味合いもあったようだ。

印象に残ったセリフがある。物語のなかで不幸に見舞われ、人生を達観したホルストメールが言う、
「あの人はさっき、”私の馬”と言った」
「私の馬、俺の馬、私の女・・・人間はなぜ、相手を自分の所有物にしたがるのだろう?」
「私の水、私の空とは言わないだろう?」。

人間の強欲さを批判したトルストイ。その祖国ロシアがまさに今、”私の領土”を広げようと侵略戦争に勤しんでいるという皮肉な現実。(このレビューも大変興味深い)

上演後はアフタートークがあり、

演出の白井晃さん+メインキャスト4名。(仕切りは女性プロデューサー)

音月さんと小西さんが成河のことを「ソンちゃん」と呼んでいた。彼らは同世代のようだ。「この機会にソンハから⇒ソンバ(馬)に改名したら?」などとからかわられて、場内爆笑。
実はこの成河さん、結構理屈っぽくって喋り出すと止まらないタイプ。ラストのコメントを求められた際、「じゃあ手短に...」と言いつつ「”家に帰るまでが遠足”じゃないけど、演劇はこれからが始まりなんです......」と案の定、長くなり。白井さんに「ほら、また長い」とたしなめられる始末。
上演後も含めて、実におもしろい舞台であった。

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望海風斗、読売演劇大賞贈賞式で生熱唱 ほか

2023-02-28 | 観劇
毎年ひそかに楽しみにしている「NHKのど自慢チャンピオン大会」。めっきり演歌が減り、椎名林檎やバウンディを歌う人もいて時代の流れを改めて痛感。でも今回「のど自慢」より楽しかったのが、3年ぶりに開催された「NHK福祉大相撲」の歌合戦コーナー。これ、昔よく見てたんだよな~。
先場所、惜しくも優勝を逃した阿武咲関の歌のうまさには驚いた。リズムに乗りきれない翔猿関にはワロた~。
そして髙安関の歌はすばらしかった。島津亜矢とデュエットした札幌冬季五輪の歌はなつかしかったし、妻(演歌歌手の杜このみ)から教わったという『バス・ストップ』はボクも好きな曲。チャカのバージョンを一時よく聴いたもんだ。(髙安関のは音源見当たらず、、)
***
さて、先日「ドリーム・ガールズ」大阪公演を観た後、主演の望海風斗さんのインスタを見ていたら。
24日の休演日にわざわざ東京へ移動し、読売演劇大賞の贈賞式に出席されているではないですかっ!

たまのお休みもあったもんじゃないね~ 体力勝負のミュージカル女優にしてみたら、これくらいヘッチャラ?
それもただの贈賞式ではない。お歌を披露しているのだ。

(YouTubeでみっけ ↓ )
望海風斗、受賞パフォーマンスで圧巻の美声披露 ミュージカル劇中歌を生熱唱 『第30回 読売演劇大賞』贈賞式

望海風斗さんは優秀女優賞を受賞。(この歌のために出席されたとも言える?)

して、最優秀女優賞を最年少で受賞したのはこの方 ↓

上白石萌音、受賞パフォーマンスで圧巻の美声披露 ミュージカル劇中歌を熱唱 『第30回 読売演劇大賞』贈賞式

上白石姉妹、しばらく快進撃が続きそう。
われわれ朝ドラウォッチャーからしたら、姉の萌音さんは「カムカムエヴリバディ」に出演しのが大きい。あんないい作品はめったとないからね。
その「カムカム」で共演した段田安則さん(最優秀男優賞)のコメントもさいごにアップしておきます。
    ↓
上白石萌音、最優秀女優賞受賞で『カムカム』“義理の父”段田安則が祝福「喜びが倍増しました」 『第30回 読売演劇大賞』贈賞式

ちゃんちゃん。
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望海風斗主演「ドリームガールズ」@梅芸

2023-02-24 | 観劇


梅芸はいつぶりじゃろか?
平日の昼下がり、オバタリアン集結!

例によって…直前に(余りもん)チケット購入。
望海風斗さんの新聞連載エッセイを読み、
見てみたい衝動を抑えきれず、行ってきやした~

いかんせん3階席なので(背後には誰もいない)覗き込む感じ。
下に比べたら音響は良くないだろうな~ 
でもいいんだ。”あのテーマ曲”さえナマで聴ければ。

この日のエフィ役(Wキャスト)は福原みほ。
キャストのなかでは、彼女がいちばんブラックミュージックに近い人だろう。
そう、この物語は黒人たちの話なのに、みんな見た目が白い?から 少々違和感も。。。

福原さんの歌は申し分ないけど、もう一人のエフィ役・村川絵梨の歌も聴いてみたかったな。かつては朝ドラ「風のハルカ」のヒロインで、おととしの大河ドラマ「青天を衝け」にも出ていた彼女。まさか歌える人だとは知らなかったよ。
(ちなみに、このエフィ役はソロでがっつり歌うシーンが多く、陰の主役とも言える)

とにかくディーナ役の望海風斗さんがステキ。もう、手の指の先まで美しいったら。
歌はもちろんカンペキ。なのに彼女のソロ曲がないのはなんで~? と多くの人がレビューに書いてて残念がってました。
(映画版ではディーナ役=ビヨンセがソロで歌う曲があるらしい。もしやブロードウェイ版に忠実にしたとか?)

男性陣はまったくのノーマーク。
男性のミュージカル☆スターって人材豊富なんだろか? 女優さんに比べると層が薄い気がしますな(知らんだけかも)。

ポスター撮影はレスリー・キーさんだった(^-^)


こんなドリームズ3人組グッズも。オモチロイね。

この日以降、映画『ドリームガールズ』のサントラをSpotifyで聴いて余韻を楽しんでいる。映画版もまた見てみたいな。

ただ…この日の舞台は、昨秋に観た宝塚歌劇「蒼穹の昴」には及ばなかった。思い入れが違うのもあるが。あの作品は脚本がとてもよかった。
*梅芸での上演は3月5日まで。当日券もあるみたいです*

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宝塚歌劇「蒼穹の昴」に感涙(T . T)

2022-11-10 | 観劇
先週、宝塚雪組の「蒼穹の昴」を観てきた。

「まさかタカラヅカ♪で『蒼穹の昴』をやるとは!」。
どこかでその情報を目にしつつ、すっかり記憶の彼方へ…
ある日、朝日の夕刊に劇評が載った。おなじみ河合真美江さんのコラムはいつも宝塚歌劇への愛がいっぱい詰まっている。
「雪組『蒼穹の昴』 豪華に歴史大作 ”チャレンジ”」
という見出しに、「そうかぁ、チャレンジなら、それほどでもないのかな?」と。それが翌日になって...やはり見てみたい衝動を抑えられず、ネットで空席情報を確認してみた。千秋楽も近くなり、連日ほぼ満席。平日昼間で空いているのはB席2階席後方、4つのみ。「(B席の)3500円なら、たとえ急に行けなくなってもあきらめがつく」と自分を納得させ、えいやっ!と電話で予約した。
(宝塚のチケットサービス電話のお姉たまはいつも上品で親切なんだ〜)
あ、なんかどうでもいいことを書いてしもたね。
いざ、宝塚へ。

あ、これ実は帰りのショット。(家からわりと近いんだ~)

この赤じゅうたんだけでテンションあがるね。


情けないかな、第1幕の80分でさえトイレがもたなかったという、、(なので座席は端っこに限る!)

「加美乃素」の白地の幕が上がり、

「蒼穹の昴」の幕に。うわあ、興奮してきたっ。

10年以上前に読んだ浅田次郎の小説がとても面白く、それを忠実に再現した日中合作ドラマも見応えがあった。

ドラマのメインキャスト。

そして今回の宝塚雪組版「蒼穹の昴」。こちらも原作の世界観そのままでとってもよかった!
もう最初のシーンから泣けてきちゃったよ。ちゃーんと、浅田次郎さんからの”舞台化するにあたってのリクエスト”どおり、京劇を披露するシーンも。「よくここまで頑張ったな~」とその努力が垣間見られた。

最後方の席にもかかわらずオペラグラスというものを持ち合わせてボクちゃん。なので舞台上に大勢上がっているシーンでは「いま誰がセリフ発してるの?」とわからなくなっちゃうことが何度かあった。
でもそんな細部は気にせず、時にハンカチで目を抑えつつ、十二分に楽しめた。「これ、3500円じゃ安すぎない?」。

よくまあ、文庫本で4冊もある大作を2時間半の舞台にまとめたもんだな~と感心しきり。
やはり原作を読んでいないとわかりにくいかも。(それは以前、蜷川さんが映画「覇王別姫~さらばわが愛」を舞台化された時に痛感した)

ボクは今の宝塚歌劇のことは(スターさんも含めて)全然知らないんだけど。
今回は西太后など比較的高齢な役が多く、専科に所属する方が多く活躍されたようだ。
なかでも目を見張ったのが、

伊藤博文公。このメイク&小柄でちょっとずんぐり体型、どうみてもオッサン。
この役の出番が終盤だったものだから、フィナーレの時も伊藤博文のまま登場。そのまま踊っていたので笑ってしまった。
こんなツイッターみっけ↓

そう、伊藤博文がシャンシャン持って、サイドステップ踏んでるの。もうサイコー!
感動の涙あり、笑いも少々あった舞台を終えると・・・

帰宅時はすでに夕刻。

そうそう、宝塚にきて忘れちゃならないのが、

花のみちの銘菓「づか乙女」。

ママちゃんへのお土産と言いつつ、帰ると寝込んでいたので、ますは自分でたぺたという…

この店のおばちゃんに「歌劇みてきたよ~よかった」と話すと、
「きょうは朝美絢(じゅん)ちゃんのおばあさまが来ておられました。おかあさまと...」
と準主役の春児(チュンル)を演じた朝美さんの話をされてました。
このお店、黙々とお餅を作っておられる職人さん(男性)と、いつもお店に立つこのおばちゃんもかなりご高齢になってきてるのでちょっと心配。跡継ぎがいなければ、この味も触感も楽しめなくなるのか・・・。(なんなら、ボクがいまから修業しようか?)

*おまけ*
この日のウィチャットより。

訳)今日は宝塚歌劇版「蒼穹の昴」を観に行った。とても良くって時おり感動して泣けた。劇場内はもう満席で、すごい賑わい。ボクの席は2階の最後方(なぜなら先週予約したから)、席は悪くとも幸い舞台はよく見えた。舞台を見ながら思い出されたのは昔見たテレビドラマ(写真8)。写真6:トップスターのポスターなど(グッズ)。

スターはみんなカッコいいね。(ボクもいつかはこんなシュッとしたオノコに・・・)
PS.「オノコに」で思い出した。原作ではチュンルが主人公だった本作。チュンルは男性の大事な部分を野っぱらかどこかでちょん切って”宦官(かんがん)”になるんだけど。今回それもちゃんとセリフに入ってたよ。原作では「お宝(たから)」と表現されていたっけ(^_^;)



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超絶セリフ劇! 佐々木蔵之介の『君子朋無』@京都

2021-09-01 | 観劇
今日から9月。異常な猛暑とはようやくおさらばか。とはいえ、まだ残暑厳しいので「Tシャツでも買い足そうか?」とイオンモールに行くと、売り場はすでに秋の装い。
100均の店頭には早くもハロウィン・グッズが並び、来年のカレンダーや手帳も。
そういや先週スーパーでお気に入りのミツカン「ごまだれ サラダうどん」(←うどんではなくタレです)を買い足そうと思ったら、すでに店頭から消えていた。冬の鍋用商品に取って代わられていたのだ。
早い、早すぎる。まだ鍋は熱いやんか!

なんでも先取りなのだ。わたしゃすべてにおいて遅れをとってる? のやも。
(早くもお正月のお節の予約,始まってまっせ〜)
***
さて本題。先週ワクチンの副反応が落ち着いた頃、ボクは県境をまたいで無謀にも京都へ向かったー その10日ほど前に新聞記事で知った、佐々木蔵之介主宰”Team申”の公演『君子朋無(くんしにともなし)』を観に行ったのだ。

佐々木蔵之介が中国・清代の第5代皇帝・雍正帝(ようせいてい)を演じる。

役者はたった5人。中村蒼くんも有名たね。

会場は京都府立医大の真向かいにある京都府立文化芸術会館。京都駅からバスで11駅、弊ジムショからは片道1時間半余り。

この会館、ちょっと懐かしい〜とボスちゃん。学生時代に来た記憶があるらしい。昨年で開館50周年を迎えた。

この舞台、もとはといえば佐々木蔵之介はんがNHKのドキュメンタリー番組の中国ロケで雍正帝と出会ったのがきっかけらしい。
雍正帝はほとんど玉座には座らず、地方の役人たちと2万通の手紙をやりとりし続けた。その内容たるやパワハラもパワハラ、罵詈雑言の嵐。しかしすべては国の将来を案じてやったこと。
この暴君の人生をたどるうちに「舞台にしたらオモロイかも」と蔵之介はんは思いつく。

そして無謀にもプロの劇作家ではなく、その中国ロケに同行したドキュメンタリー制作会社の阿部修英氏に台本作成を頼んだ。
阿部さんは生まれて初めての“劇本“を演出家のアドバイスを受けながら書き上げたという。(そんなこともあるんやな〜)

結果、2時間びっしりの中身の濃い、とってもオモロイお芝居だった。
ケチなボスがパンフレット買ってくれまちた(^.^) これがまた読み応えたっぷり。


しかし・・・この3日後、Team申とスタッフ一同が待ちに待った“千秋楽“は開かなかった。
蔵之介はんがコロナに感染したのだ。

京都市上京区出身の蔵之介はん。きっと地元の皆さんも千秋楽を楽しみにされていただろうに。もちろんコアなファンも・・・千秋楽だけはチケット早々と完売だったもの。
でもこればっかりはしょうがない。
とてもいいお芝居なので、ぜひいつの日か再演を願う。

JR京都駅より京都タワーをパチリ。

駅の階段をあがると、遠くの山の緑がきれいだった。またいつかゆっくり来たいな。
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