情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

受刑者・釈放時アンケート集計結果(H18年度)発表~徳島刑務所を裏付ける「医療に関する不満極めて大」

2007-12-30 17:40:47 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 法務省矯正局がこのほど発表した「受刑者に対する釈放時アンケート集計結果(平成18年度)」(※1)によって、受刑者の医療環境が深刻な状態にあることが改めて分かった。徳島刑務所での肛門虐待事件に象徴される刑務所医療の貧困さが明らかになったといえる。法務省は、この結果を正面から受け止め、刑務所医療の民間委託に踏み込んでほしい。

 矯正局によると、このアンケートは、【行刑改革会議の提言を受け,行刑行政の透明化,処遇環境の充実化等を推進するための一方策として,平成17年4月から,出所受刑者を対象として釈放時アンケートを実施している】もので、【受刑者の釈放時の感想等を集計し,刑事施設の適正な運営を図るための資料として活用するとともに,その結果を公表し,刑事施設の運営の実情に対する国民の理解を深めるための資料として活用することとしている】という。

 ここでちょっと待ったぁって気になるのは、国民の理解を深めると言う割には、法務省のウェブサイトの「What's New 」のページにも書かれてなければ、「プレスリリース」にも書かれていないことだ。おまけに、検索をかけても、出てくるのは平成17年分のもののみ…。

 これはよっぽど知られたくないことがあるのかなぁ…と思ってみていたら、なんと、徳島刑務所で問題とされている刑務所内医療の問題が深刻な状態であることが分かる結果が出ていた。

 「16.医療関係について聞きます。施設内の医療(診察)について、どのように思いますか。一つ選んでください。」という問いに対し、「希望どおりの医療(診療)が受けられた」と回答したのは、わずか23.5%に止まった。つまり、8割近くは、希望どおりの医療(診療)が受けられなかったというわけだ。

 その内訳は、①「早く診療してほしい」=診療が遅れた=16.4%、②「医師から十分に説明してほしい」=説明不足のまま診療されている=16.4%、③「希望どおりの治療をしてほしい」=希望した治療をしてもらえない=17.7%、④「希望どおりに薬を出してほしい」=希望した薬を出してもらえない=17.7%となっており、そのほかの不満が8.3%を占めている。

 これは、とてつもない数字です。4人に3人が医療過誤状態。こんな人権侵害が放置されていてよいのでしょうか…。

 2007年も押し詰まりましたが、頭が痛いって言ってもすぐに薬をくれず、腹が痛いと言っても診察してもらえず、説明もないままいきなり肛門に指を突っ込まれたりするような環境で、社会復帰できるように「更生」されつつある人が、全国に6万5000人くらいもいることに思いを馳せてみたい。

 そうすれば、なぜ、「20歳代前半で1犯目の犯罪を犯した者の41.0%が,その後再犯に及んでおり,他の年齢層に比べて,1犯目の犯罪を犯した者が2犯目以降を犯す比率が高い」か(※2)、その理由が分かるのではないでしょうか…。

 現在、「法制審議会被収容人員適正化方策に関する部会」で、「被収容人員の適正化を図るとともに,犯罪者の再犯防止・社会復帰を促進するという観点から,刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について」検討されている(※3)。


 ちなみに、このアンケートの詳細は次のとおり。
調査期間:平成18年4月1日から平成19年3月31日
対象者:上記期間中に,刑事施設を満期釈放又は仮釈放となった受刑者30,645名
有効回答数(回答率):26,724名(87.2%)
(対象者のうち,アンケートの実施を拒否した者及び傷病等のためアンケートの実施が困難な者は除いた。)


※1:http://www.moj.go.jp/KYOUSEI/kyouse27.html

※2:平成19年版犯罪白書について-再犯者の実態と対策-

※3:http://www.moj.go.jp/SHINGI2/071109-1-1.txt

【関連記事】

徳島刑務所「変態医師」恐怖の“●●虐待”自殺した受刑者も~西岡研介@週刊現代 http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/83e3013e27ad716a2c8891b6ba9cc79d

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徳島刑務所直腸陵虐事件に関する視察委員会意見書及び弁護士会会長声明全文掲載~NPJ







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