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情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス~その4

2007-06-29 05:26:12 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 橋下弁護士の発言を真に受けて懲戒請求したことには問題があるというエントリーを3回書きました(ここここここ←クリック)。たくさんの方にアクセスしていただきましたが、これまでのところ、懲戒請求に相当な事由がありそうだと思わせるようなコメントは見あたりません。弁護団が被告人の言っていないことを言わせているのではないか?というコメントがありましたが、それがはっきりして、しかも、それが被告人の意に反する完全な虚偽であるのであれば、場合によっては懲戒の対象となりうることがあるかも知れない。しかし、今回、本人が法廷で話したように、弁護団の主張と被告人の主張には違いがないのです。したがって、懲戒に該当する事由がないことははっきりしてきたようです。

 ところで、被告人の権利ばかり主張するのは偏っているという議論があります。しかし、日本における被疑者・被告人の権利が世界的に恥ずかしいほど守られていないことはご存じでしょうか?

 最近、国連の拷問禁止委員会が日本の現状にレッドカードを突きつけました(ここ←参照)。代用監獄、長時間の取調、取調の密室化などの状況にある委員は、「人権を守るという価値観が日本にはないのか」とまで述べたそうです。

 なぜ、弁護士が被告人のおかれた状況について問題視するのか?それは、日本の遅れた状況に日々接し、改善をするべきだと日々思い知らされているからです。

 もちろん、弁護士会は、犯罪被害者の人権についても、取り組んでいます。

 しかし、刑事手続きの中においては、被疑者・被告人のおかれた悲惨な状況を改善することが焦眉の課題であることは間違いないでしょう。

 事実に目をむけていただきたいと願っています。

 ちなみに、【平成19年4月24日、最高裁第3小法廷は、懲戒【請求をする者は,懲戒請求を受ける対象者の利益が不当に侵害されることがないように,対象者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査,検討をすべき義務を負うものというべきである。そうすると,同項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である】としている(ここ←クリック)のは、すでに述べたとおりです。

そして、本件の論点は2つ、①弁護人が被告人の言い分をそのまま述べることについて懲戒事由になりうるのか、②もし、弁護人が被告人の言い分を述べていないとすれば、懲戒事由になりうるとしても、本件では弁護人が被告人の言い分を述べていないことをうかがわせる合理的理由があるのか、

であり、

①については、弁護人が被告人の言い分を公判で主張することが懲戒理由に該当するか否かが問題となるが、なるはずがない。もし、被告人の言い分について、一定の内容について、その言い分を主張できないというのならば、それは被告人の主張する権利を奪うことになる。いかなる言い分であっても主張すること自体は保障しなければ、自らを弁護することが保障されているとは言えない。そして、そうであれば、その被告人の言い分を弁護人が公判で主張することが制限されてよいはずがない。もし、「いやいや、例外がある。こういう内容の主張は被告人はしてはならない」とか、「被告人が主張するのはいいが、弁護人がそういう内容の主張をしてはならない」という法的に合理的な意見があるならば、再反論しますがいまのところはないようですし、

②については、弁護人が被告人の言い分以外のことを公判で主張した場合には、懲戒事由に該当する場合もあり得るのは事実です。例えば、本人は無罪だと主張しているのに、有罪だと主張したら、懲戒になる可能性が大きいでしょう。
 では、本件は、弁護人が被告人の言い分以外のことを主張している可能性が懲戒申立するほどに大きいといえるのでしょうか。本件の差戻審では、被告人も同様の供述をしています。したがって、被告人の言い分に沿って主張していると考えるのが合理的でしょう。この点についても合理的な反論はありません。

 なお、国選弁護人がいるから…などということを書かれている方もいますが、それと懲戒申立事由があることとはあまり関係ないのではないでしょうか?

 ※写真は、6月22日付東京新聞特報面。















★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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14 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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だからさ (ハズカシ)
2007-06-29 07:37:10
>弁護団が被告人の言っていないことを言わせているのではないか?というコメントがありましたが、それがはっきりして、しかも、それが被告人の意に反する完全な虚偽であるのであれば、場合によっては懲戒の対象となりうることがあるかも知れない。しかし、今回、本人が法廷で話したように、弁護団の主張と被告人の主張には違いがないのです。したがって、懲戒に該当する事由がないことははっきりしてきたようです。

 前にも書いたけど、(死刑回避という)利害が一致することで「被告人の意に反」しない場合でも問題になるケースがあるんじゃないか、って聞いてるんだけど。
 つまり、「死刑回避のために作戦として弁護士が作り出した主張」で、それに被告人が乗った場合、「被告人の意に反」してはいないけど、その主張が大嘘である事は弁護士自身が誰よりも良く分かってるわけじゃない。嘘だと知ってる主張を裁判で行う事に対する責任ってのが出てくるんじゃないか?

 つまり、魔術的儀式とかの主張の言い出しっぺが弁護士だった場合、二つの責任ってのが発生するんじゃないかと思うのよ。
・一つは、貴方が言ってるような「被告人の意に反する」というような、『被告人に対する責任』。これは被告人がその主張に乗った場合発生はしないだろう。(被告人の利益を追求してるから)
・そしてもう一つは、言い出しっぺが弁護士だった場合、その主張は明らかに嘘だと「分かりきった上で」主張した事になるわけで、その「嘘だと分かりきった主張を法廷で行う」事による、『法廷に対する責任』ってのが生まれるんじゃないかと思うんよ。
 この二つ目の責任に対する貴方の見解を是非とも聞かせて貰いたいと思ってるんだけどなぁ。証人だってその責任は負って証言してるんだし、弁護士だけがその責任は負わないで済むなんて事がありえるのかな?
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蓋然性がないでしょう… (ヤメ蚊)
2007-06-29 08:13:51
【前にも書いたけど、(死刑回避という)利害が一致することで「被告人の意に反」しない場合でも問題になるケースがあるんじゃないか、って聞いてるんだけど】
 
本件がそうだということを認めるに足りる事情がありますか?感情論から離れて虚心坦懐に事実を見れば、本人が弁護団と同じ主張をしている以上、本人の主張だとみるのが原則であり、特別の事情がない限りは、あなたのような見方はしないでしょう。

そして、これまで主張しなかったと言うことは特別の事情足り得ないということです。言いたいことが言えるようになったから、言う。逆に言えば、言いたくても言えないことはよくあるのです。

 私自身も2審で受けて、「一審からできたら、無罪になっていたかも」と思える事案、つまり、被告人の意見を充分に聞いていない弁護があった事案について体験しています。

 弁護士が勝手に創作したという蓋然性が少ないのに、「そうかもしれない。可能性は捨てきれない」と想像して、懲戒申立をすることは懲戒申立の濫用になるのでは?
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他人を言いなりにする?! (田仁)
2007-06-29 14:23:51
家族でさえ、例えばイキナリ「イヤミのシェーのポーズをして!」とか言っても、「忙しい」と断られたり「何で!恥ずっ!」と反発されたりしそうなものなんですけど。
況してや高度な利害関係が対立している場合に、相手を意に反してまで唯々諾々と自分に従わせるなんて、もしも出来たらさぞかし快感なんでしょうが、先ず普通は無理でしょう。
法廷の場面で、内心「泣け!」と思う場面で涙を流させ、「言え!」と思っている事を言わせ、「土下座しろ!」と思った時に土下座させるとか、超能力者でもないと不可能です。
不思議なのは何故、拉致被害者家族会とか光市の事件遺族とか、憎い相手が「犯行を認めた」からと言って、何故一足飛びに被害者側の思い通りになると早合点するのか?
「自分自身の社会性」を相手に「(心理用語で言う)投影」するから?「自分自身のプライド」の回復が、現実に先行するから?被害者は「神」であるから世界は平伏さなければならない?
拉致被害者家族会は結局、右翼に利用されている事が明らかとニューヨーク・タイムズが報道して世界的に『法案成立等にも「貢献」した』と知れ渡り、最近は自粛傾向を示してられるようです。
昨今の狡からい世情では、ネーム・バリューが有ると看做されるや、ソレこそイナゴのように、電通系列からの情報が速い人々が、色々な「支援」に着きますからね…。
心理操作には色々な方法とかありますが、兎に角恐いですよ…!!!(しかし一般的に、相手の意を肯定し、バック・アップする形で入るのが基本です。意識操作されるのは犯人だけとは限りません)
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Unknown (みら)
2007-06-29 15:10:02
はじめまして。このシリーズを毎回興味深く拝見しています。

「被告の主張が弁護人の入れ知恵である」という(広く喧伝されている)主張に蓋然性がないというのに、個人的にはまったく異論はありません(そもそも、懲戒請求運動自体が、一裁判の枠を超えて死刑廃止運動を叩くための政治的入れ知恵にしか見えないのですが、何故かそれを言う人は少ないので不思議です)。

ただ、そのことは措いて、多くの方が興味をもっておられる「『仮に』弁護人の主張が、被告人の論をねじまげた完全な入れ知恵であったとして、懲戒請求を行うのは妥当なのか」ということ、また「一般にどのような証拠が揃った場合に、弁護人が被告人の言い分を主張していないと判断できるのか」ということに関しても、ご意見を伺いたく思います。
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Unknown (甘えの気持ち)
2007-06-29 15:52:29
どうもサイト管理人の方は懲戒請求した人について何か勘違いしてるようですね

真相はこうですよ。2ch掲示板の懲戒請求で盛り上がってるところにちゃんと書いてありました

===============

・懲戒請求は安田弁護士を応援するための儀式。



・懲戒目的ではなく、優しくしてもらいたいという甘えの気持ちで懲戒請求した。



・(被告人の弁護を受ける権利をなくそうとしたのでなく)無意味な主張を止めさせるために首に懲戒請求しただけ



・2ちゃんねらーがかわいい弁護士と出会った…そのまま懲戒請求しちゃった…罪でしょうか



・意味もなく2ちゃんに煽られ、弁護士に甘えたいという感情から弁護士を煽り、キーボードにまわした手でうっかり懲戒請求

 その後弁護士がビビってしまった事に気付き、励ますために懲戒請求を試みるも失敗

 横で仲間の弁護士が泣いていたので、それをかわいそうに思い、泣き止ませるために何か書き込もうとしてうっかり懲戒請求

===============



わかっていただけましたよね?

弁護団の主張を「被告の心からの証言」と信じるなら、これも信用して頂けますよね

当然ながら
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一般的な庶民感情 (そよかぜ)
2007-06-29 15:56:32
被告人にが犯人だった場合、真実を語らせ真摯に反省させるのが弁護士の仕事 と常々思っていましたが どうやら私の勝手な幻想のようでしたね

アンケートととったわけではありませんが 今回のこの裁判の大半の見方は 弁護士が被告人に嘘をつくように入れ知恵をした と思っています。法律の知識を持っていない一般人のごく普通の見方です。そう思う人が多いからこそ懲戒請求が殺到しているのであって被告を弁護しているから懲戒請求をしているのではありません そこらへんの一般庶民の感情が理解できていますか?
そんな根拠がどこにあるのか?と反論しそうですが反論すること事態が一般の意識とずれているという事です。
入れ知恵をしたという証拠はどこにもありません でも多くの人がそう感じています。 それはマスコミの責任ですか? なによりも荒唐無稽なストーリーが問題なのではないですか? しかもこのストーリーは弁護士が変わったとたんに浮上してきたファンタジーですよね そう思うなというほうが無理がありませんか?
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Unknown (´・ω・)
2007-06-29 17:15:57
あなたの発言には全く説得力がありません。
被告人への弁護活動に制限を加えるべきではありませんし、被告人の権利を守るべきでもあります。
ただ、あなたは6月20日の記事「フランクリン・D・ローズヴェルト大統領らの原爆投下を裁く民衆法廷7月16日判決!」に付いてはどのように説明するのですか?
このママゴト法廷では、被告人と被告人が依頼した弁護人は出席するのでしょうか?

少なくとも被告人の権利を守るべきだとする意見を持つものとすれば、こう言った一方的に相手を非難する目的でママゴトであっても裁判のような形をとることに反対するべきではありませんか?
それともあなたが正しいと思えば反社会的な方法でも容認するべきだと主張するつもりですか?

賛同金の募集をしているからには、関係無いではすみませんよ。

あとね、損害賠償請求が認められない理由を教えてあげましょうか?
現職の弁護士ですら意見が分かれることに対して素人が的確に判断できるはずも無く、不法行為とされるのは素人を煽動した橋下弁護士だけです。
橋下弁護士の責任の元、素人は安心して懲戒請求できるってわけです。
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Unknown ((^ ^))
2007-06-29 18:44:27
弁護人がこの被告人の精神状態を疑わないのならやっぱり問題だと思う。
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>蓋然性がないでしょう… (ハズカシ)
2007-06-29 18:56:48
 お、返答が来てる。ありがとうね。
>本件がそうだということを認めるに足りる事情がありますか?
 貴方の言う通り、確たる証拠はないし、現段階での懲戒申請は厳しいと思う。そのことは既に2007-06-25 00:15:29のコメントで言ってるよ。
 しかしね、
【1審2審で全く出てこなかった主張が突然出てきた事】と
【口頭弁論を欠席して裁判を遅らせた事】
この二つの事が、どちらも「死刑判決を回避する為の行動」とも取れるわけで。一つならそういう事もある、って流せるけど、同じベクトルを持った事柄が二つ同時に出てくると、そこに疑惑の念が出てくるのも無理は無い話だと思うよ。少なくとも可能性の一つとして(「被告人の意に反して」というケースよりは)充分にありえる話なんだから。
 だから、この一見に関しては徹底的に調べて欲しいと思う。最初に【魔術的儀式】とか言い出したのは果たして誰なのか、をね。

 それはそうと、漏れの疑問に対する回答はまだ貰えてないな。出来れば返答して貰えれば嬉しい。
 もし仮に、【魔術的儀式とかの主張の言い出しっぺが弁護士で、(死刑回避という)利害が一致することで「被告人の意に反」しなかった】という場合は(嘘をついたという点で)問題にはなるんだろうか?それとも問題にはならないんだろうか?もし問題にならないなら、別に↑を調べる必要性も無いしね。
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Unknown (Unknown)
2007-06-29 20:13:49
>被告人にが犯人だった場合、真実を語らせ真摯に反省させるのが弁護士の仕事

検察の冒頭陳述が真実とは限らないんですけどね。 
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