情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス~その5

2007-06-29 18:50:12 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 報道されている情報だけでも、十分、光市母子殺人事件弁護団に対する懲戒請求は濫用だということがますますハッキリしてきたが、念のため、弁護団の一員に話を聞いたので、ご報告します。すでに知っていた内容もありますが、そのまま再現します。【その1その2その3その4は、それぞれをクリックして下さい】

 弁護団員【まず、第1に、言いたいのは、弁護団の基本的な主張は、検察側が出した死体検案書が従前の認定事実と違うということ。つまり、①母親については両手で絞め殺したと認定されたが、口を塞いでいた手がずれたという説明が検死結果にあっていること、②子どもについては、高く持ち上げてたたき付けたと認定されたが、たたき付けられたような傷はないことを述べている】
 
 ヤメ蚊解説【これは、犯行態様の無惨さなども原因となって死刑が争われている事件において、弁護団として当然なすべき主張である。客観的データが、無惨な犯行という検察のストーとは違うのではないか、という主張は当然、なすべきことでり、その点が批判されるなら、弁護活動はできないこととなる】

 弁護団員【次に、犯行の動機などの点について、いかにも、差し戻し審になってから、弁護団主導で主張されているというような報道があるが、それは違う。すでに、家裁の調査記録に今回の主張と同じような内容のものがある。それを報道していない】

 ヤメ蚊解説【確かに犯罪心理鑑定人は、「山口家裁が作成した被告の調査記録に触れ『調査結果を精査していれば母胎回帰のストーリーが見えてきたはず。なぜきちんと吟味しなかったのか』と、差し戻しまでの審理に対して疑問を投げかけた」(下記産経)と報道されている】

 弁護団員【第3に、では、1審、2審の弁護人がそのような主張をしなかったのはなぜか、ということが問題視されているが、いかなる弁護方針をとるかはそれぞれ違うことはありうる、特に死刑事件であれば、全面的に認めるという場合もありうるだろう。いずれにせよ、以前の弁護人がなぜ、従前の弁護方針をとったかは不明だが、そこで主張していない主張をいまするのはおかしいという報道は一面的だ】

 ヤメ蚊解説【以前の弁護人が主張していないことを主張するのはおかしいと言われると弁護人は一定の主張するしかないことになる。弁護人ごとに事件に対するアプローチが違うのはむしろ当然だ】

 弁護団員【また、少年の経歴には、情状すべき点が多々ある。それが今回主張された経緯と関連している部分もある(詳細はいまは書きません:ヤメ蚊)】

 ヤメ蚊解説【確かに時事通信は、「加藤教授は『親密な関係にあった実母が自殺したため、孤立して12歳から自立できず、通常の18歳の人格ではなかった』と述べ、心と身体のアンバランスな成長を指摘した」と私が聞いた話の一端を報道している】


 …どうでしょうか?勝手にインタビューし、勝手に掲載しているので、微妙なことは書けませんが、報道されていることとは違う雰囲気が伝われば幸いです。





■■産経引用開始■■

山口県光市の母子殺害事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が1、2審の無期懲役判決を破棄した元会社員の男性被告(26)=事件当時(18)=に対する差し戻し控訴審の第4回公判が28日午前、広島高裁(楢崎康英裁判長)で始まった。前日に引き続き犯罪心理の鑑定人への弁護側の証人尋問が行われ、「被害者を死亡させた行為では、パニック状態で正常な判断ができなくなっていた」と証言した。

 鑑定人は、被害者の本村弥生さん=当時(23)=に抱きついて抵抗にあった際の被告の心理について、「癒やしてほしいという感情を阻止され、自分勝手に腹を立てた。他者からは理解されない感情だ」と分析。一方で、動かなくなった弥生さんの胸を触るなどの行為については「性的欲求が起きてもおかしくはない。(欲求がなかったという)被告の主張は必ずしも適切ではない」との見方を示した。

 また、被告の更生可能性について「自分を正当化する意識が強く、反省は全く足りない」としながらも、「心から謝罪できるための専門家のサポートが必要だ」と述べた。さらに、山口家裁が作成した被告の調査記録に触れ「調査結果を精査していれば母胎回帰のストーリーが見えてきたはず。なぜきちんと吟味しなかったのか」と、差し戻しまでの審理に対して疑問を投げかけた。

■■引用終了■■

 
■■時事通信引用開始■■

山口県光市で会社員本村洋さん(31)の妻弥生さん=当時(23)=と長女夕夏ちゃん=同(11カ月)=が殺害された事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が一、二審の無期懲役判決を破棄した当時18歳の少年で元会社員の被告(26)に対する差し戻し控訴審第3回公判が27日、広島高裁(楢崎康英裁判長)であり、弁護側が申請した加藤幸雄・日本福祉大教授(犯罪心理学)の証人尋問が行われた。
 被告の心理面について、加藤教授は「親密な関係にあった実母が自殺したため、孤立して12歳から自立できず、通常の18歳の人格ではなかった」と述べ、心と身体のアンバランスな成長を指摘した。

■■引用終了■■
 














★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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70 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ハズカシ)
2007-06-29 19:38:52
> 弁護団員【次に、犯行の動機などの点について、いかにも、差し戻し審になってから、弁護団主導で主張されているというような報道があるが、それは違う。すでに、家裁の調査記録に今回の主張と同じような内容のものがある。それを報道していない】

 この点は非常に興味深いな。「同じような」がどれ位「同じような」のかは気になるけど、これが事実なら、今回の弁護に対する認識は変わるかも知れないね。
 「被告人が言い出した主張ならそれは代弁しなきゃいけない」ってのは橋下弁護士も言ってる事だしね。
 この「山口家裁の調査記録」は興味深いね。どこかで読めないかな?
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まだ駆け出しですが (kaetzchen)
2007-06-29 19:53:09
私もこの加害少年は明らかにマザコンだと思います.しかも,母子相姦の…….母親への愛と性愛とが混ざり,しかも知能が遅れていた可能性がある.

と,すれば,永山則夫同様,教育による矯正は十分に可能だ.

逆に言うと,被害者の旦那の裏にいる新日鉄がどれだけ弁護費用を立て替えているのか,という証拠は既に焼却済みだろうことは言うまでもない.つまり,この事件は強盗殺人事件から,企業による冤罪事件へと発展していったとしか考えられない.
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検察・警察が、信用できないのは確かだけど、 (紅(kure))
2007-06-29 20:32:41
袴田事件や松本サリン事件を考えれば、検察・警察、そしてリーク元に報道するメディアなんて、信用できないのは、当然なんだけど、光市事件弁護団の主張だと、被告の利益にならないような気がするんだよね。

裁判官は、法と良心に従うと言う建前だけど、検察にべったりだし、報道によって影響受けてるとしか思えないからさ。
報道を味方に付けるような主張しないとダメだと思うんだよね。
あー、でも、冤罪事件とは違うから、どんな主張でも、”不当に犯人を庇う”ような報道になってしまうのか。

あと、刑事裁判は、遺族や被害者の感情的な回復のためのものではないって事がわかってない人が多いようですね。
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教えて下さい (oyayubi)
2007-06-29 21:38:13
被告人に対する誠実義務とはどのように定義、あるいは解釈されているのでしょうか?
国民の弁護士に対する感情はオウム事件あたりから、極度に悪化しているように思います。根本原因を考えてみたいと思っています。
量刑を下げるために手段をえらばないという構図が見えすぎるので不信感を増幅させているように見えるのですが、いかがでしょうか?
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では別の面から (私人)
2007-06-29 23:04:54
現時点で伝え聞く情報では
最高裁の口頭弁論時に安田弁護士らへ依頼したのは、控訴審での担当弁護人であるとのこと
つまり、控訴審と差戻審の弁護団は、相互に信頼関係を持った者同士であり、その上で現在の主張を行っているようですね

ところで、そうしますと両者の内どちらかが懲戒事由に当たる(被告への虚偽の発言の教唆、又は被告の主張を無視した弁護過誤)行為を行っていることになりそうですが・・・

結局のところ、現行の弁護団は虚偽の主張を行っているという可能性が極めて高くなるか、または弁護人としての活動を疎かにした控訴審の弁護人に、重大な過失というか故意の弁護過誤があるのを隠蔽若しくは放置している(懲戒請求して弁護過誤が罰せられた事実があれば、被告が下級審でも当初から主張していたことの有力な証拠になりうる)
ということですよね?

仮に、どちらが正当な弁護活動であろうとも、弁護人として問題ある行為なのではありませんか?
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Unknown (弁護士を嗤う)
2007-06-29 23:41:47
>橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなたへ取り下げるべきだとアドバイス

余計なお世話。
もともと橋下弁護士なんか存在しなくても、誰もが安田弁護士の言動や行為に疑問を持っていた。橋下弁護士はそれに疑問を投げかける方法の一端を提示しただけで、国民の大半は自分自身で考え行動している。社会正義の実現を目指す弁護士が、一般大衆を無能ですぐ他人の口車に乗るしかない馬鹿だと思ってもらっちゃ困る。

近親憎悪をする暇があったら、まずご自身の立場を鮮明にされるよう弁明されてはいかが?
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Unknown (Unknown)
2007-06-30 03:07:17
懲戒請求は裁判を突然欠席した事を問題にしてるようですが
そういった理由で行う事は濫用なんでしょうか?
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Unknown (Unknown)
2007-06-30 04:23:51
安田弁護士は、私の知っている有名な事件だけでも、和歌山カレー事件、ヒューザーの事件、山口事件、そして安田事件と、少なくとも弁護活動で、日本で指折りの忙しい弁護士だと思うのですが。

弁護活動をしている弁護士を、タレント業をやっている弁護士が「懲戒するに値する」と言うのは、世の不条理に思えてなりません。
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弁護士に対する批判… (ヤメ蚊)
2007-06-30 04:44:26
 弁護士に対する批判が増えているのはなぜでしょうか…。恐らく、敵味方二分論が浸透してきたからではないでしょうか?昔は「敵」にもその行為をとらざるをえないことに対する洞察があったが、今は「敵」は、ばっさり切り捨て御免っていう感じ。

昔は、戦争で負けたことによって敵味方の二分論では割り切れないということが体験的に共有されていたのかもしれません。しかし、自民党の一党支配(その後公明党参加)が長く続き、政権交代による「お上」の変更がないから、お上に対する信頼が厚くなり、国によって守ってもらうという認識が強くなりすぎた。

 結果、国の法を守れないような者は、敵であり、国の庇護を受ける資格はない。そういう人を助ける弁護士は、敵だ…というように思いますが、どうでしょうか?

 なお、前の弁護人と今度の弁護人との方針が違うことによりいずれかが懲戒されるということにはならないでしょう。それぞれの弁護方針について、被告人と十分に協議した結果であるのが通常だからです。被告人もそれぞれの方針について、自分の意見を述べ、理解した上で、賛同したのでしょうから、懲戒事由とはならないでしょう。
 弁護団が最高裁の弁論を欠席したのは、弁護団交替に寄る準備期間を最高裁が与えなかったからであり、弁護団が批判される理由はないでしょう。
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弁護士に対する批判 (Leviathan)
2007-06-30 09:50:49
>今は「敵」は、ばっさり切り捨て御免

仰ることに同感いたします。企業叩きの問題も然りです。現在の弁護士批判に関して言えば、これも日本特有の「連帯感」に端を発していると思います。一応、「悪を懲らしめる」という姿を纏っていて、その多勢に乗らなければ、何だか自分が非常識であるかのような気がする。書き込みを見ても、そういった素朴な感情に基づいたものが多いようです。

しかし、今回の問題もそうですが、物事はそう簡単ではない。その「複雑」な部分を考えることが安易に放棄されている、これは非常に危ない傾向ですね。例えば、懲戒請求を正当化するような弁護士なり法曹実務家の意見を調べてみればいい。自分の考え方がどうなのかを客観的に見ることもなく、ネットで流されている「批判」を受け売りしているのがほとんどで、しかもかなり法的に問題のある行為までしていることに少しは気付くはずです。

また、かつて日本人は、自分があまりよく分からない専門的な分野で、専門家に真正面から批判するということはあまりしませんでした。しかし、ネットの匿名性の弊害の部分かもしれませんが、本当に素朴に攻撃してくるようになった。で、それを利用するマスコミや、一部の「有識者」がいて、火を付けて回っている、そういう構図でしょうか。
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