tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

利益減少、銀行はどうする

2017年09月02日 12時11分48秒 | 経営
利益減少、銀行はどうする


 財務省は9月1日、「法人企業と計年報」の平成16年度分の概要を発表しました。
 報道によれば、内部留保は406兆円と過去最大(日本のGDPは500兆円です)、金融保険を除く全産業の経常利益も75兆円と過去最大になった(上図参照)と報じています。

 解説によれば、収益も上がり、財務状況も改善しながらも、企業には先行き不安が付きまとい、なかなか積極的な経営に踏み出せない姿が見えるといったものが多いようです。

 このブログでは、日本経済は、外部からの異常な影響がな限り、安定成長の基盤が出来て来たと見ていますが、予断を許さない海外情勢、混乱を極める国内政治といった状況を考えますと、企業が臆病になるのも、ある程度頷けるところでしょう。

 折角企業労使の頑張りで、着実な成果を上げながら、積極的な一歩を踏み出せないというのは、企業も、また消費者も同じでしょう(消費不振)。
 今必要なのは、財政政策、金融政策といった「経済政策」ではなくて、国民に、(企業にも消費者にも)将来についての安心感を持ってもらえるような政府の行動を、地道に積み上げていくことしかないのではないでしょうか。

 現状を見ますと、政府は、対外政策ではアメリカ追随で、北朝鮮には対話より圧力、国内問題では国民の不信を頬被りで済まそうといった思惑が見え見えで、国民に将来への安心感を持ってもらうような行動とは程遠いものになっているように感じられます。

 そんなわけで、法人企業統計の数字を見て、私が気になったのは、金融保険を除く全産業の数字はともかく、経済の血流を計ると言われる金融保険業の問題です。

 ご存知の方の多いと思いますが、財務省の法人企業統計では、以前は金融保険業はの調査対象外でした。理由はいろいろあって、金融保険業には売上高がないとか、一般企業の支払金利が金融保険業では収入になるといった統計上の問題があってのことです。
 しかし、利益や設備投資などは、同じベースで計算できるわけで、統計上そうしたものが抜け落ちると困るので、今は、金融保険業を除くを中心に、合計出来る所は金融保険業を含む統計を発表しています。

 という事で、上の図を見て頂けると解りますが、この2年、金融保険業の利益は、金融保険業をを除くの動きと対照的に、減益、減益です・
 明らかにこれは、異次元金融緩和、特にマイナス金利導入の影響でしょう。市中におカネがだぶつき過ぎ、金利がまともに機能しない状況が続いていることの結果でしょう(減益の太宗は銀行、生保による)。

 金利がまともに機能しなければ、金融機関は正常な利益である「インカムゲイン」を稼げません。ならば、ジャブジャブのお金を使って、「キャピタルゲイン」を稼ぐしか無いとなれば、それはバブルへの道です。すでにマンションバブルは指摘され、RIET市場も活発のようです。しかしこれは危険な経済水域への一歩でしょう。

 法人企業統計も、金融正常化の必要を、統計数字によって指摘しているのではないでしょうか。


 

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