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2020年1月の平均消費性向は出たけれど

2020年03月06日 20時50分08秒 | 経済
2020年1月の平均消費性向は出たけれど
 今日、総務省統計局から2020年1月分の家計調査が発表になりました。
 このブログでは毎月追跡している2人以上勤労者所帯の平均消費性向も当然出ています。

 早速数字を見てみましたが、残念ながら、前年同月に比べて大幅低下でした。
昨年10月の消費税増税の際は、政府は大変気を使って、軽減税率やキャッシュレス割引などやり、消費が落ち込まないように努力したのですが、やはり消費の反動減は厳しく、年末商戦もあまり盛り上がらない雰囲気でした。

 その雰囲気は何か1月に入っても持ち越されてしまったように感じていましたが、矢張り、今年1月の2人以上勤労者所帯の平均消費性向は78.9%と前年の84.8%を4.9ポイントも下回ってしましました。
 
 平均消費性向の数字は、家計調査の中でも、収入が確定する勤労者所帯しか取れないのですが、いわば、これが家計一般の代表的指標で、この数字が下がっていれば、国全体としての消費支出も低調と見て間違いないだろうというのが一般的な見方です。

 先の昨年12月分について取り上げた折、2020年1月からは。家計調査の調査表の改定の影響がなくなるので、統計のリンクのための修正の必要もなくなり、数字が解り易くなると指摘したところですが、解りやすくなった結果は大幅低下でした。

 もし、全所帯の平均消費性向も勤労者所帯と同様な低下と仮定すれば、民間消費支出はGDPの55%を占めていますから、経済成長率を2.7%ほど引き下げることになってしまいます。shouhi
 これは名目値ですが、消費者物価は消費増税で上がっていますから、実質消費の伸びの落ち込みはもっと大きく、政府の経済成長率の見通し「プラス1.4%」の達成には、今後余程消費が伸びないと追いつきません。

 ところが、2月からは新型コロナウィルスです。消費はさらに落ち込むでしょう。
 政府にしてみれば、新型コロナのせいで、世界中景気が落ち込んでいるので、日本の落ち込みも当然という事になるのかもしれませんが、実は1月段階から消費不振は続いているという事になります。

 現実の家計にとっての状況としては、将来不安による家計の緊縮、貯蓄志向の上に、消費のチャンスを失わせる新型コロナ禍という所ではないでしょうか。
 安倍さんの桜を見る会は疾うに中止になりましたが、民間の桜を見る会も軒並み中止でしょう。

 日本経済は弱り目に祟り目です。新型コロナウィルスの猛威も、恐らくいつかは終わるでしょうが、その時には、鬱積した消費意欲が改めて噴出してくれるでしょうか。それとも「おかげで将来への備えが少し増えた、さてもうひと頑張り!」という事で相変らずの消費不振の継続となるのか、国民が、日本経済の先行きにどれほどの期待を持てるかで決まってくるのでしょう。
 その辺りを見極めるまで、やはり平均消費性向の追跡はやめられないようです。