興福寺五重塔から、五十二段(石段)を降りて南に延びる旧街道がある。この道からは五重塔がよく見えるのだが、電線や電柱が邪魔して、ひどい景観だった。下の写真を見ていただきたい。
写真のような景色を見て思い出したのは、「智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ」という『智恵子抄』のフレーズだった。ここには空がない、奈良の空が見たい…。この景観は、当ブログでも紹介したことがある。
※残したくない奈良の景観(1)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/2991b2165a9b57cae76d9821b3c25223
それがなんと、いつの間にか冒頭の写真ようなスッキリした景色に生まれ変わっていたのだ。2つの写真を見比べていただきたい。電線や電柱がなくなるだけで、こんなに印象が変わるのだ。
ご近所さんによると「なくなったのは3月頃だったと思う」との話なので、19年度予算で工事を終えたことになる。
この話を同僚にしたところ「2/1のブログにこの話が載ったので、あわてて市役所が工事したのでは?」と言われたが、残念ながら当ブログはそんな影響力のあるメディアではない。単なる偶然だろう。
奈良日日新聞(5/4付)によると、奈良市《高畑町の猿沢池近くの石階段・五十二段下から鶴福院町までの約440mで、電線の地中化工事がこのほど完了》した。この《電線類地中化計画は昭和61年、歩行中の安全や景観の向上、災害時に電柱が倒れるなどの都市災害の防止などを目的に、国の補助事業として始まった。現在、第5期(平成16~20年)の無電柱化推進計画が実施されている》。
《奈良市によると、今年度は、西の京・唐招提寺南側の市道約930m区間で電線の地中化工事が進み、さらに、「ならまち」の無電柱化を集中的に行うよう検討中という。特に、歴史的な町並みの保存に向けた取り組みだとしている》(同)。
それは良い取り組みだ。次の写真(07年10月撮影)は重伝建に指定されている今井町(橿原市)の町並みだ。電線が地中化され、おまけに道路はカラー舗装されている。空も道路もとてもスッキリしていて、きれいな女性が歩いてくると、それだけで絵になる。
観光客誘致には、美しい景観が欠かせないが、まだまだ県下の観光地周辺には醜悪な景色が随所に見られる。長期的な計画で、これらにぜひ大ナタを振るっていただきたいものだ。県の「残したくない景観」写真の募集は、そのキッカケになるだろう。
写真のような景色を見て思い出したのは、「智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ」という『智恵子抄』のフレーズだった。ここには空がない、奈良の空が見たい…。この景観は、当ブログでも紹介したことがある。
※残したくない奈良の景観(1)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/2991b2165a9b57cae76d9821b3c25223
それがなんと、いつの間にか冒頭の写真ようなスッキリした景色に生まれ変わっていたのだ。2つの写真を見比べていただきたい。電線や電柱がなくなるだけで、こんなに印象が変わるのだ。
ご近所さんによると「なくなったのは3月頃だったと思う」との話なので、19年度予算で工事を終えたことになる。
この話を同僚にしたところ「2/1のブログにこの話が載ったので、あわてて市役所が工事したのでは?」と言われたが、残念ながら当ブログはそんな影響力のあるメディアではない。単なる偶然だろう。
奈良日日新聞(5/4付)によると、奈良市《高畑町の猿沢池近くの石階段・五十二段下から鶴福院町までの約440mで、電線の地中化工事がこのほど完了》した。この《電線類地中化計画は昭和61年、歩行中の安全や景観の向上、災害時に電柱が倒れるなどの都市災害の防止などを目的に、国の補助事業として始まった。現在、第5期(平成16~20年)の無電柱化推進計画が実施されている》。
《奈良市によると、今年度は、西の京・唐招提寺南側の市道約930m区間で電線の地中化工事が進み、さらに、「ならまち」の無電柱化を集中的に行うよう検討中という。特に、歴史的な町並みの保存に向けた取り組みだとしている》(同)。
それは良い取り組みだ。次の写真(07年10月撮影)は重伝建に指定されている今井町(橿原市)の町並みだ。電線が地中化され、おまけに道路はカラー舗装されている。空も道路もとてもスッキリしていて、きれいな女性が歩いてくると、それだけで絵になる。
観光客誘致には、美しい景観が欠かせないが、まだまだ県下の観光地周辺には醜悪な景色が随所に見られる。長期的な計画で、これらにぜひ大ナタを振るっていただきたいものだ。県の「残したくない景観」写真の募集は、そのキッカケになるだろう。
無電柱化の写真、驚きました。
丁度、あの場所は、県庁募集のワースト景観候補で提出しようと思っていたところでした。
これからは看板、建物意匠を時間をかけて修正すれば奈良で最も素晴らしい景観のひとつになるでしょう。
台地の上の五重塔を見上げることができる眺望は稀有で、このアングルは将来にわたって奈良の独特の景観価値としてバリューアップを図っていくべきです。
丁度、今日の日経朝刊で「地価の1割は景観」という記事とアレックス・カーさんの「町を愛して、町から学ぶ」という関連記事が掲載されていました。
奈良については「地価の半分は景観」になるぐらい景観価値を大事にする意味合いがあると思いました。
ともかく奈良市の無電柱化の動きは、景観面でも防災面でも今後の継続的な取組みを期待したいですね。
「地価の半分は景観」・・・これもいいですね。
私も今井町の電線地中化されてる道と、そうでない道の写真を並べてみたりすることがあります。
この写真は使わせていただくことは可能でしょうか。
自分はこの電柱地中化を否定する訳では全く有りません。しかし、裏側ではこんなに大変だったんです。
この工事は平成17年まで遡ります。平成17年一年間ずっと、この鶴福院町は通行止めされていました。ここを止められると、日曜祝日は車輌での通行は県庁前入って興福寺の間を通り、三条通りを下らないと猿沢池方向へは入る事が出来ません。平日は三条通りを東へ上がる事が出来ますが、人通りも多く、また大型は通る事が出来ません。つまり県庁方向しか入る道路が無くなった訳です。
ここで遠来の御客様から大ブーイングが出た訳です。「行く道が無い!わからない!」
また工事も全くやっていない「試験堀り」や調査の時や、昼食を取っている時まで、通行止めにしていて、この通行止めでどれだけこの近くの人々が不便をしているかと云う事で、私はこの時、市役所へ大クレームを付けてやりました。そうすると、道路課の方が説明に来られました。で、解決策として遠来の方々の為に、猿沢池方向へ誘導する看板の設置を行う、と云う事で話を付けました。これで御客様からの問い合わせ電話は無くなりました。と、同時に迷走車輌も減少した筈です。
これを踏まえて、電柱地中化と云う工事は斯様な犠牲も伴います、周辺住民は一年間も不自由した訳です。それで、この様な景観が生まれた訳ですが、これが出来上がるまでの不自由はここで住んでいないと判りません。で、他地区での地中化工事が完成した時、この周辺の住民は大変な犠牲を払った、と思ってあげて下さい。鶴福院は地中化されましたが、不便を感じた今御門や南市、元林院は、全く何も変わっていないのですから。
この時、工事看板に、菩提町と鶴福院の商店名しか記入が無かったのですが、当館の名前が後でマジックインキで書き足されていました。ウルサイ奴と思われたのでしょうか。
金田さん、地元の苦労を教えていただいてありがとうございます。1年間の通行止めって、信じられない暴挙です。奈良市民って、大人しすぎるのかな。
蔵武Sさん、こんばんは。地元はこんな事になっていたんです。しかし、不自由はしましたが、結果的には斯様な風景になりました。奈良のポテンシャルがあがったのです。
しかし、この事で私は通行止めにした奈良市よりも、もっと立腹した事が有りました。誘導看板の事です。無論誘導看板を設置した奈良市に対してでは有りません。旅館組合の会議で、旅館経営者の一人が「看板を立てて貰って助かった。ああいうのをもっとしてくれたらエエねんなぁ。苦労してたから良かった」的な事を堂々と、非公式乍ら発言しよりました。別に自分がどうこうした事を言い触らす気は毛頭有りませんでしたが、自然と看板が立った様な言い方にブチギレ致しました。難儀しているのなら、何故事業主体に対して申し入れをして改善点を見いださないのか?愚痴をたれるのは一人前だが、先方と一度でも交渉する、と云う手段に何故出ない!?と、激怒してしまいましたが、概ね奈良市民・奈良県民の体質として、裏で文句を言ったり、無関心層を決め込むのは一人前以上だけれども、自分自身で何とかする、と云う手段にはなかなか出ない典型的な例で有ると云う気が致しました。
奈良ってこんな所なのでしょうかねぇ?
これは外部からの強い風…に頼っちゃダメか、新しい価値観を正当に強引に植え付けて動き回らなきゃ。
外部からの強い風、はurl欄(名前の所)が参考になるかな?
> 奈良については「地価の半分は景観」になるぐらい
> 景観価値を大事にする意味合いがあると思いました。
確かに、おっしゃるとおりです。今まで景観は、ないがしろにされ過ぎでした。「景観が奈良の土地値打ちだ」と胸を張って言いたいものです。
> これは説得力のあるブログ、写真ですね。コメントも。
> 「地価の半分は景観」・・・これもいいですね。
> この写真は使わせていただくことは可能でしょうか。
FUTANさん、ブログに来ていただき、有難うございます。 猿沢池畔の写真は、どうぞ自由にお使い下さい(今井町の写真は人物が入っているので、ちょっと…)。
> 自分はこの電柱地中化を否定する訳では全く有りません。
> しかし、裏側ではこんなに大変だったんです。
これは存じませんでした。地元の方のご協力で、こんなに素晴らしい景観が生まれたのですねる。
> 1年間の通行止めって、信じられない暴挙です。奈良市民って、大人しすぎるのかな。
確か、1年間ベッタリではなかったように思います。交通規制はあったと思いますが。あの辺は、時々、車で通りますので。
> 自然と看板が立った様な言い方にブチギレ致しました。
わりと、そういう他人まかせの人って多いですね。奈良で金田さんのような方は少ないです。
> 外部からの強い風…に頼っちゃダメか、
> 新しい価値観を正当に強引に植え付けて動き回らなきゃ。
そうですね。「長いものには巻かれろ」ということわざは、そろそろ死語にしなといけません。
いつの頃だったか、三条通りの蜘蛛の巣がきれいになりました。以前はJRから三条通りを東に向かった時、正面に山が見えることすら気がつかないくらい頭上は電線で覆われていました。
現在は東の正面に御蓋山を見ることが出来ますので、春日の参道の延長線上にあることが解ります。
やすらぎの道との交差点上の線が無くなればもっとすっきりします。
汚れも綺麗も意識することが大事だと思います。その為には私達みんなが、絵描きさんや写真家の眼を持って景観を意識すれば奈良の地価を2倍にすることが出来るんですよね。
> 三条通りの蜘蛛の巣がきれいになりました。
> 汚れも綺麗も意識することが大事だと思います。
> その為には私達みんなが、絵描きさんや写真家の眼を持って景観を
> 意識すれば奈良の地価を2倍にすることが出来るんですよね。
「奈良の人は景観保全に無頓着だ」と京都の人が書いていました。私たちが、もっと景観を意識することが第一ですね。そのためにも「残したくない景観」写真に、どんどん応募しましょう。