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奈良市民の好きな食べ物は?/奈良新聞「明風清音」第88回

2023年05月12日 | 明風清音(奈良新聞)
総務省統計局が毎年公表している『2021年 家計調査年報(家計収支編)』を繰って、奈良市民がよく買っている「食べ物」を調べ上げた。結構手間がかかったが、興味深い結果が得られた。これを講演で披露すると、とても反応が良い。調べておいて良かった!
※2枚の写真は、三宅町のミートショップ山口のHPから拝借。ここのお肉は美味しいです!

1つ、理由が分からなかったのが、酢(数量で全国2位)だ。わが家では酢を洗剤代わりに使っているが、まさか奈良市内の各家庭が、そんなことをしているとは思えない。料理研究家のSさんにうかがうと「健康に注意されている方が、多いんでしょうね」「塩分を減らせます。煮物やうどんのおダシに少し加えると、お醤油が控えられ味が引き締まります」とのことだった。これはぜひ試してみたい。

こないだNHKの朝ドラ「らんまん」(主人公の生家は土佐の造り酒屋)を見ていて、「そういえば、土佐の人はお酒をよく飲むと聞いたな」と思い出し、家計調査年報で高知市の「清酒(購入金額・数量)」を見たが、全く多くない。全国平均をはるかに下回っているし、奈良市よりも少ない。「酒類」全体でも奈良市より少なく、全国平均並みだった。

しかし「待てよ」と思い直し、「外食」の「飲酒代(金額)」を見ると、日本一!奈良市の倍近くだった。つまり高知市民は外で飲んでいるのだ。こんな「食行動」が家計調査で正確に分かるので、面白い。「ケンミンショー」も、見習ってほしいものだ。では全文(2023.4.20付)を紹介する。

奈良市民の「好物」
「ギョーザ購入額、宮崎市が日本一」というニュースを覚えておられる方も多いことだろう。宮崎市では2020年に「市ぎょうざ協議会」が発足、消費拡大を図ってきたという。この数字は、総務省統計局が毎年公表している家計調査に基づいている。

私も図書館で『2021年 家計調査年報(家計収支編)』を目にすることができた。そこには47の県庁所在地と、5つの政令指定都市の年間の「品目別支出金額・購入数量」が掲載されている。奈良県内では奈良市民限定の調査結果となるが、県北部住民の大まかな傾向はつかめることだろう。以下、「2人以上世帯」で支出(金額または数量)の多かったものを紹介する。

▼日本一!牛肉購入量
なんと牛肉は購入数量(グラム)で全国1位、金額(円)で2位だった。なお金額1位は京都市だった、強し!関西勢。私は以前から駅前のスーパー(近商ストア学園前店)で、ショーケースに並ぶたくさんの高級牛肉を目にして「こんなに多くの牛肉を買う人がいるのだろうか」と、怪訝(けげん)に思っていた。



近鉄百貨店奈良店地下の福寿館(精肉販売)でも、いつも行列ができている。やはり、奈良市民は牛肉好きだったのだ。今回調査では白菜も全国2位(金額・数量とも)なので、しゃぶしゃぶにして食べているのかも知れない。

牛肉以外を含む「生鮮肉」も、金額3位、数量5位なので、奈良市民は肉好きなのだ。だから調理に使う油脂が3位(数量)、食用油が4位(同)と高いのだろう。

▼食パン購入量は全国2位
食パンのランクも高い、全国で2位(数量)だ。ちなみに1位は堺市、3位は神戸市。食パンは、ハイカラな食べ物のようだ。なおパン全体でも奈良市は6位(数量)、小麦粉も9位(金額)と高い。

コーヒーは3位(金額)、卵も3位(同)、マーガリンは8位(数量)。こここから奈良市民の朝食事情がうかがえる。「朝食は茶粥」の時代は、遠い昔の話になったのだ。

▼ウナギ、カニ、タイ
魚介類に目を転じる。ウナギの蒲焼き(調理食品)は4位(金額)だった。なお1位は京都市、2位は浜松市、3位は東京都区部。京都がウナギの都・浜松を抜いたというのは、すごい。

奈良市はエビも4位(金額)、カニは5位(数量)。カニ1位はダントツで鳥取市、さすがは松葉ガニの本場だ。タイは金額7位、数量8位と健闘している。奈良市民は、高級魚介がお好きなようだ。

▼果物好きな奈良市民
生鮮果物は7位(数量)で、品目別ではやはり柿が高く金額3位、数量2位。イチゴは6位(金額・数量とも)、ブドウとオレンジは数量8位だ。あと理由は分からないが、酢が2位(数量)だった。酢の物をよく作るのだろうか。

▼焼酎(金額・数量)は2位
酒類を見てみると、焼酎が2位と高い。1位(金額・数量とも)の本場・宮崎市に肉薄する高さだし、鹿児島市、大分市、熊本市の九州各市よりも高い。焼酎は、高齢者が好むといわれる。この調査対象世帯の世帯主の全国平均年齢は60・1歳。奈良市は63・8歳で最高齢だし、最も若い金沢市(56・8歳)とは7歳もの差がある。これが、影響しているのかも知れない。

これに対して奈良市が発祥という清酒が、金額28位・数量35位と低迷しているのは意外だった。せっかく奈良市で「日本酒で乾杯条例」を作ったのに。

以上をまとめると、奈良市民は牛肉などの生鮮肉、食パン、コーヒー、ウナギの蒲焼き、柿、酢をよく買い、アルコールは焼酎。果たしてあなたのイメージと、合っていただろうか。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


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4 コメント

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牛肉、酢、焼酎 (井上)
2023-05-13 07:36:04
とても興味深いデータを有り難うございます。

確かに関西は(関東と比べると圧倒的に)牛肉文化ですが、京都人や奈良人は鷹揚で大阪人ほど低価格に固執せず、高価な牛肉を購入することに抵抗がないのでしょうか(お公家さんの文化?)。

酢については、最初、柿の葉寿司の関係かと思ったのですが、奈良でも家庭で柿の葉寿司を作るという話は聞いたことがないし、バラ寿司を作る機会が多いのでしょうか。

一番意外だったのは焼酎です。焼酎王国の九州でも福岡、佐賀には有名な日本酒がありますが、南九州では圧倒的に焼酎が飲まれ、「サケ」と言えば焼酎が出てくる。乾杯も焼酎だし、晩酌も最初から焼酎。居酒屋の宴会メニューには焼酎飲み放題が含まれるのが普通で、そのような宴会でお酒の弱い人がビールを注文すると別料金となるので顰蹙を買うと聞いたことがあります。チューハイがよく飲まれているのでしょうか。不思議ですね。でもなんか、奈良には日本酒の方が似合うような感じがします。
もっと日本酒を飲みましょう! (tetsuda)
2023-05-14 08:54:42
井上さん、コメントありがとうございました。

> 低価格に固執せず、高価な牛肉を購入することに抵抗がないのでしょうか

私の知人には「豚肉は食べられないが、牛肉なら食べる」という人がいます。以前、有楽町のインドカレー(豚肉使用)をFBで紹介しますと、「カレーは牛肉でしょう!」というツッコミがたくさん入りました。「肉=牛肉」という刷り込みがあるようです。
https://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/94d9fefd3e118b59a6a419bfcb5f7edc

> 酢については、最初、柿の葉寿司の関係かと思ったのですが…

柿の葉ずしを手作りするご家庭は、奈良市内にはほぼゼロと思います、道具が要りますから。試しに納豆に酢を少しかけますと、酸味はなく、濃いうまみが出ました。このように工夫して、健康を考えて酢を日常的に摂取しているのだと思います。

焼酎は私も意外でした。「市内のスーパーには、やたらたくさんの種類の焼酎が並んでいるな」とは、薄々感じていましたが。奈良市は清酒の発祥地、もっと日本酒を飲みましょう!
ランキング (ヨッピー(長越洋子))
2024-05-12 11:02:08
昨年の記事ですがとても参考になりますね。
全国のランキング比較は見ていても面白いです。
牛肉・・案外奈良県人は消費量が多いかと思う。小さい時はほぼ毎日すき焼きだった。今から思えば何と贅沢をしていたのか!ですが。 
酢もたくさん使うのかな? 確かに納豆にはお酢を少し加えてまぜまぜするとしっとりした納豆になるし。
柿の葉寿司は各家庭で作っていたけれどこれも土地柄で珍しい事なのかも知れませんね。食は奥深いですね。(2024.05.12)
秘密のケンミンSHOWも (tetsuda)
2024-05-12 14:09:35
長越さん、いつもコメントありがとうございます。

> 牛肉・・案外奈良県人は消費量が多いかと思う。小さい時はほぼ毎日
> すき焼きだった。今から思えば何と贅沢をしていたのか!ですが。

ほぼ毎日すき焼き!それは豪華ですね。ウチではよく魚が出ました。昔の塩サバは、今よりずっと身が厚くて、おいしかったです。

> 酢もたくさん使うのかな? 

健康志向の人が多いので、酢の物やドレッシング(食用油もよく買うようで)、またはそのまま飲んだりするのでしょうね。

秘密のケンミンSHOWも、このような正確なデータに基づいた放送をしてくれれば良いのですが…。

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