森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

季節外れ その3 ツツジ

2006年10月31日 | 自然観察日記
 ツツジも狂い咲きの多い種である。この品種は花弁が2段になっていて独特な特徴を持っている。いわゆる「段咲き」でる。
 花の本体は、「しべ」で雄しべと雌しべがある。これを保護したり装飾するために花弁がある。さらに外側にがくがあり花の基本形ができる。もともと花は葉の変化したものと理解されているが、それぞれのパーツは何から変化したものか推理するのは難しい。バラなど八重咲きのものを見ると雄しべが花弁に変化していることがわかるから、このツツジの2重の花冠は雄しべの変化したものであろうと考えている。物言わぬ草花でもその形や生活は変幻自在である。

ヤナギラン(アカバナ科)の実

2006年10月30日 | 自然観察日記
 どちらかというと亜高山の草原でよく見かけるもので、しばしば大群落を作るヤナギラン。背の高い草姿でピンク色のあでやかな花を咲かせる。その花のあとの果実がこれで、裂けると中から綿毛を持つ種子が出てくる。もちろん風などに運ばれ易いように作られているものである。
 ヤナギランは伐採地などにワッと発生して大群落を作るがやがて遷移が進むと消えていく植物である。いつもこの花の群落を見たいなら、せっせと草刈をしなければならないものである。画一的な自然保護は特に高山・亜高山帯の植物を採取禁止を謳いあげるが、きれいなヤナギラン群落を維持しようとするとこの精神は具合の悪いことになる。

季節外れ その2 スイカ

2006年10月30日 | 自然観察日記
 花も咲いていたが季節外れというか意外なところに丸々としたスイカが実っている。長岡の西、自然体験学習園の山を切り崩した下に側溝があるのだが、そこを覆うように蔓がはびこっていて花あり実ありである。結構冷えた日もあったように思えるがあまり衰えた感じでない。
 意図的に植えた様子もないので、誰かの食べた種子がこぼれて成長したのであろう。条件がそろえば何もしないでもこんなに立派に育つものと感心する。果たして甘いかどうかは定かでない。

松枯れ

2006年10月29日 | 自然観察日記
 今年の悲しい出来事の一つである。我が家で最も大きな樹木である松の木が枯死した。夏ごろから樹勢が変だなと感じていたが、気づいたときにはもう手の施しようがない。10年前くらいにもマツの大木が枯死したことがあったが、2例目である。この樹は私が小学2年の頃東山の遠足のときに芽が出たばかりのものを持ち帰って庭に植えたもので、大げさに言えば私と一緒に生きてきたもの。特別な思い入れがあるものであった。
 それにしても里山のマツの荒廃ぶりは痛々しい。松くい虫のせいと言えば簡単だが、そもそも里山の手入れをしないところに松くい虫を助長させる根本的な原因がある。
 きっとマツノザイセンチュウがマツノマダラカミキリなどで外部から持ち込まれ、マツの木の中で繁殖しそれによって導管がふさがれ水が上がらなくなっての枯死であろう。劇症型の病気である。こういうものに対して薬剤散布ではうまくいかないようで、行政などが試みたこと如くが失敗しているよう見える。抵抗性を持ったマツが出現することを期待するしか手はないのだろうか。
 さて、この枯死した大木をこの後どう始末したらいいのか、新たな悩みが出来てしまった。

季節外れ その1 リンゴ(バラ科)

2006年10月29日 | 自然観察日記
この頃になると季節はずれの花が話題になる。我が家にも野山でもしばしば「へぇ~今頃?」というものに出会う時期である。その中で、これは我が家のリンゴの花の「狂い咲き」。
 長岡はリンゴの栽培には適さない。かなり以前から接木などを施して栽培しているが、栽培品種にもよるのだろうが私の腕ではまともなものにならない。それはそうと、葉がほとんど落ちた一枝に写真の花が付いていた。1年間のむなしい努力を労ってでもいるのだろうか。

スズメウリ(ウリ科) 

2006年10月28日 | 自然観察日記
 庭のツバキの木にスズメウリが絡んでいて可愛い実を結んでいた。先日、花の写真を撮ろうとしたのだがタイミングが合わず奇麗な絵にはならなかったのを気にしていたが、久しぶりに来てみるともう立派な実になっている。冬を意識してか秋咲きの草花は忙しい。
 スズメウリも雑草扱いのもので川原などにもごく普通に見られるが、それ以上にアレチウリという外来種がものの見事に川原を占拠したのには驚いた。長岡を縦断する信濃川の川原は昔ながらの風景を見せていたのに、ふと気づくとアレチウリが小低木を飲み込んでの海原のようになっている。あまり話題にはならないけれど、この遷移は今後どう変化するのか興味深い。
 

ミヤマイボタ(モクセイ科) の実

2006年10月27日 | 自然観察日記
 新緑の頃白い花を房状に咲かせていたものだが、秋は青黒い果実を付けている。越後の里山に普通にあり渋い存在である。関東など太平洋側の各都市の街路樹や垣根によく見られる常緑のネズミモチと近縁で果実の様子などよく似ている。ただし、ミヤマイボタは落葉性でやがで裸の枝だけになる。
 「イボタ」というのは「いぼ取りの木」から転訛したという。この木に寄生するロウムシを利用していぼを取るのだそうである。

クギタケ(オウギタケ科)

2006年10月26日 | 自然観察日記
 比較的若いアカマツの林にはよくアミタケが発生する。そして、そこにはこのクギタケも非常に高い確率で発生している。この両種には因果関係があるとも言われて興味深いものがある。いずれも食用で愛用されている方も多いかもしれない。
 私はどちらかというとブナ帯の人間でアカマツなのど里山で遊ぶことが少なかったから、アミタケやクギタケを採取し食べるという習慣ができなかった。そんな言い訳で、味についての評価ができない。

ノガリヤス(イネ科)

2006年10月26日 | 自然観察日記
 林の光が差し込む少し明るいところに生えていた。「カリヤス」はススキの古語か同義語だという話であったと思う。全国に分布しているもので、またカリヤスという種もあるが、結構変異が多いということである。正直言ってこのあたりの種を見極める眼がまだできていない。
 したがって厳密な同定はしていないが、こういう雰囲気のものはノガリヤスでまず間違いないであろう。

 

カバノキ2種

2006年10月25日 | 自然観察日記
 先日の妙高笹ヶ峰での観察。紅葉に混じってカバノキの白い幹が青空に映えていた。しかし、よく見ると2種のカバノキが混成している。より白いほうがシラカバ(右側)、少し赤みを持っているのがウダイカンバという。高山に生育するダケカンバより赤みは少ない。ウダイカンバはダケカンバ・シラカバに比べ葉がかなり大きいので比較するとすぐわかる。カバノキもいろいろな種がある。
 ちなみにシラカバは陽樹で木を伐採すると一気に芽を出しシラカバ林を作るが、種子はその下では生育しないから、時間とともにシラカバは枯死しミズナラなどの陰樹に取って代わる。笹ヶ峰もシラカバの量はかなり減ってきているようだ。

ツチグリ(ツチグリ科)

2006年10月25日 | 自然観察日記
 はてなんだろう?石ではなさそうだ。キノコの仲間だろうが雰囲気がかなり違う・・・・。
 実はツチグリの幼菌で成熟すると表面が星型に裂けて広がる。別名「土柿」とも言われる。私も幼菌を見たのが初めてで、一瞬戸惑ってしまった。近くに何かヒントはあのでは思いながら探したがみんな同じ格好をしているものばかり。一つ持ち帰って調べた結果の結論である。
 山道の土がむき出しになっているところにポコポコと出ている。ほとんど土に溶け込んでいるから余程でないと気づかない。どうしてこんな眼を持ってしまったのであろうか、我ながら感心している。

オトコエシの実

2006年10月24日 | 自然観察日記
 オトコエシの実である。花に注目することは多いけれど、実を眺めるのはあまりない。オトコエシは花が咲いた後実の付け根の葉が成長し、翼の状態になる。翼を持つ実が沢山かたまって付いているからかなりうっとうしい感じだ。もう少しすると風でも利用しこの翼を使って少しは遠くに運ばれて、そこで実が割れ中から種子がこぼれるのだろう。すべて発芽するわけでもないのであろうが、なかなかの量である。
 

ニガクリタケ(ハラタケ科)

2006年10月24日 | きのこ・菌類
 年中いたるところにでるキノコでよく知られている猛毒菌である。この時期発生するクリタケに似ているところがあるのだろうか、名前もそうだが誤食して死亡する事故があったらしい。かじればかなり強烈な苦味があるからそれだけで食べるような代物でない。見た目も食欲をそそるようなものではない。

リンドウ(リンドウ科)

2006年10月23日 | 自然観察日記
 秋の代表的な美しい野草である。高山性のエゾリンドウなどに比べ少し垢抜けしない感じはあるけれどむしろその素朴さがいい。(市販されているリンドウはエゾリンドウを元に園芸化されたもの)
 紅葉の時期は「枯れ」の美しさであるが、その中にあって、今「生きている」美しさを誇っている。しかし、この花は「冬告げ花」である。越後ではそろそろ冬支度を考えないといけない。私は毎年この花を見ながら庭木の冬囲いをしている。

ホソバウンラン(ゴマノハグサ科)

2006年10月22日 | 自然観察日記
 栽培されているものか野生化したものか定かでないが、民家の庭先を外れて道路脇に咲いていた。普通海岸付近で見かけることがあるのだが、ここは山を2つ越えた長岡市街に入ろうとするところ。
 もともとはヨーロッパ原産の帰化植物で、所によっては大群落を作っているという。太平洋側のことであろうと思うが、越後ではまだそれほどの場所を見ていない。外来種だが日本の風景に合う気がする。可愛い花だ。秋の野の花としてもよいのではないか。