逝きし世の面影

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消費税不正還付と大企業上位10社で1兆円超の消費税環付金 (資料)

2008年04月22日 | 経済

『消費税2億円を不正還付』 

宝石商ら5人逮捕 神戸地検
海外取引では消費税が免除される「輸出免税制度」を悪用し、ダイヤモンドを輸出したと装って不正に消費税計約2億1000万円の還付を受けたとして、神戸地検特別刑事部は14日、消費税法違反などの疑いで真珠・宝石販売「エムケイ貿易」社長、黒田光彦容疑者(53)=神戸市北区=ら5人を逮捕。大阪国税局と合同で関係先12カ所を家宅捜索した。いずれも大筋で容疑を認めているという。
ほかに逮捕されたのは、洋品販売業、森二郎(50)=同▽宝石販売業、廷々(てて)彰夫(53)=同市中央区▽同、川村勝美(55)=同市北区▽同、藤丸正仁(53)=同市垂水区−の各容疑者。
 
消費税は、売り上げにかかる税額と仕入れにかかった税額の差額を納税するが、海外取引には課税されない。
このため、輸出業者は仕入れ時にすでに支払った税額を申告することで、還付を受けることができる。
 
調べなどよると、5人は共謀してこの制度を悪用。黒田、森、廷々の3容疑者がダイヤモンドを国内で仕入れ、香港やイタリアに輸出したとする架空の取引をつくりだし、虚偽の還付申告書を税務署に提出。
平成16年1月〜19年6月に総額2億1300万円の消費税の還付を不正に受けた疑い。
 
黒田容疑者は、自ら不正還付を行うとともに各容疑者に手口を指南。
実際に不正還付を受けていた森、廷々両容疑者から還付額の6割程度を「指南料」などとして受け取り、川村、藤丸両容疑者に対しては、架空の国内仕入れに必要な領収証や請求書の偽造を依頼して見返りに報酬を渡していたという。
 
近畿ではこうした大がかりな消費税の不正還付事件の摘発は初めて。
消費税をめぐる事件は全国的に増加傾向にあり、捜査当局は「国家に対する詐欺的行為」(国税幹部)として監視の目を強めている。




『インターネット関連会社「URL.TV」の消費税不正還付』

インターネット関連会社「URL.TV」(東京)が東京国税局の税務調査を受け、2006年12月期に仕入れ額を2000億円と虚偽の計上をし、消費税約100億円の還付を受けようとしたとして不正な還付申告を指摘されていたことが3日、分かった。

東京国税局は重加算税を含め約134億円を追徴課税(更正処分)。
同社は処分を不服として異議を申し立てたが、07年11月に退けられた。100億円は還付されておらず、重加算税分の約34億円を滞納しているという。

関係者によると、URL社はブロードバンド(高速大容量通信)を使ったインターネット上の動画配信システム開発のため、ノウハウを関連会社から2000億円で仕入れ、同社に消費税100億円を支払ったように処理した。

ノウハウを使って開発した機器の売上高は2億-3億円で、その売り上げに掛かる消費税は1000万円強だったとして、差額の百億円近くの還付を申告。
しかし東京国税局はノウハウに2000億円の価値はなかったなどと判断、還付を認めなかった。

東京国税局は05年12月期に還付された消費税千数百万円についても不正還付と認定した。
ホームページによると、URL社は05年5月に設立され、資本金3億3000万円。









『輸出戻し税制度』

国内販売で4兆円もの売上げを誇るトヨタ自動車が、「輸出戻し税」制度を使うことで 大企業上位10社で1兆円超の消費税環付金。トヨタ 一社で2869億円
関東学院大学法科大学院教授 湖東京至さんが推算

財界トップが消費税アップに積極的なのは、還付金(輸出戻し税)が増えることも大きな要因です。
中小業者、国民から税金を吸い上げて、大企業だけに恩恵を与えるような消費税増税には断固反対」と語るのは関東学院大学法科大学院教授の湖東京至さん。
同教授が発表した最新の「06年分 消費税還付金上位10社」によれば、10社の還付総額は1兆59億円。
トヨタ自動車は昨年より204億円、10社合計でも85億円も増加するなど、不公平な消費税の実態が浮き彫りになっています。

「消費者の負担が逆進的」

消費税にはいくつもの不公平があります。
一つは消費者側から見た場合の不公平です。
消費税は生活必需品を含むすべての物品・サービスに単一税率5%で課税します。
そのため、所得の低い人びとに重く、所得の高い人びとに軽くなります。つまり国民の税負担率が逆進的になる不公平です。

「事業者に不公平な税制」

二つ目は消費税の納税義務者・事業者の側から見た不公平です。
消費税は価格への転嫁が法律で保証されていません。
力の強い企業は100%価格に上乗せできますし、場合によっては下請けに消費税分をまけさせることができます。
一方、中小事業者は十分に転嫁することができないばかりか親会社から単価の切り下げを迫られ、実質的に消費税分をかぶってしまいます。
つまり消費税は弱肉強食、事業者間に不公平な税制なのです。
 
とりわけ不公平なのが、輸出企業に対する消費税の還付制度です。
輸出をした場合、外国の消費者から消費税をもらえないから、仕入先や下請けに払った(ということになっている)消費税分を輸出企業に還付するというわけです。
 
消費税を実際に納税している事業者の方はお分かりでしょうが、消費税は単純に売上高に5%をかけた額を納めるわけではありません。
消費税は、年間売上高に5%をかけた額から年間仕入高に5%をかけた額を引いて納めます(これを仕入税額控除方式といいます)。
 
輸出戻し税はこの仕組みを悪用して、売上高に5%ではなくゼロ%をかけます。そのため仕入に入っている消費税分が常に還付されるわけです。
 
ここで還付される額はトヨタなどの輸出企業が税務署に納めた額ではありません。
税務署に納めたのは仕入先や下請けなどの子会社です。
日本の商慣習では親会社に価格決定権があります。
子会社が消費税分をまけさせられることもしばしばです。
それをトヨタなど親会社だけが還付を受けているのです。
一方は常に納税、一方は常に還付。これ以上の不公平があるでしょうか。
 
また、外国への販売でなくても国内販売でも消費税をもらえない「非課税」の取引があります。
例えば医療費や、アパートの家賃です。
病院や診療所は薬の仕入に入ってる消費税分を負担しています。
大家さんはアパートの建築費や修繕費に入っている消費税分を負担しています。
しかし、その消費税を還付してもらうことはできません。
還付があるのは輸出だけ。これも不公平です。
 
ようするに、ヨーロッパで生まれた付加価値税=消費税は、巨大輸出企業を保護し優遇するためにつくられた税制なのです。

「約22%が輸出大企業に還付」
 
最も新しい有価証券報告書をもとに、06年の各社の還付金を計算してみました。
昨年より還付金が増えているのが特徴です(表1参照)。この還付金は、トヨタなどが本来納めなくてはならない国内販売分を差し引いた還付金額です。
消費税の還付金は全体で約3兆円、消費税全体の税収のおよそ22%に上ります。
 
もし、輸出戻し税制度をなくせば、3兆数千億円の税収を上げることができます





「10の税務署が赤字」
 
全国で524ある税務署のうち、法人の消費税還付で赤字の税務署は10税務署あることが分かりました。
そのほとんどが輸出大企業の本店所在地等がある所です。
トヨタ自動車のある愛知・豊田税務署の総務課長・辰田綱彦氏に電話で取材しました。
内容は以下のとおりです。

『週刊朝日(11月9日号)』
トヨタが2600億円(05年分)を超える消費税の還付を受けているとある。
還付の実務はどうされているのか。
 
総務課長 全国の税務署は特定の銀行と契約しているわけではない。納付税金は国税庁が管轄している日銀の代理店に納められ、還付も含めて税務署の管理部門が決済しているだけだ。
だから税務署の口座が赤字になっているわけではない。
記者 日銀の代理店とは何か。
課長 調べないと分からない。
記者 輸出戻し税のことは知っているか。
課長 マスコミなどでも聞いている。輸出免税のことですね。納め過ぎの税金を戻すという。
記者 実はお宅の税務署は全国の税務署のなかでも数少ない赤字の税務署なんです。知ってましたか。
課長 ええ?そうなんですか。
記者 中小業者や下請け業者が必死で納めた消費税をトヨタが輸出戻し税で、全部持っていってしまう。だから赤字。おかしいと思いませんか。
課長 うーん。
記者 価格競争力のある大企業が消費税分の価格を、下請けに買い叩くことだってできるでしょう?
課長 基本取引、力関係が違うことは分かります。
記者 買い叩いておいて輸出戻し税を受ける。だから豊田税務署は毎年赤字なんですよ。分かるでしょ。
課長 事実なら事実として認めます。でも自動車税や社会にかかわる税金、経済効果も見なくちゃいけない。車社会でトヨタが果たしている役割は大きい。

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2 コメント

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TB有り難うございます (早雲)
2008-04-22 15:05:22
弊ブログの消費税関連記事です。
”悪魔の税制”消費税
sun.ap.teacup.com/souun/149.html
経団連が消費税に“固執”するわけ
sun.ap.teacup.com/souun/148.html
一般消費者が消費税を負担しているから、個々の業者の損得勘定が変わらないように見えるだけです
sun.ap.teacup.com/souun/1267.html
返信する
早雲さん。 (ブログ主)
2008-04-23 12:07:56
貴重な記事の紹介有難う御座いました。

読めば読むほど、調べれば調べるほどに、つくづく消費税とは悪魔の税制で、これ以上の悪法は有りませんね。
ただ、判らないのが何故財界が消費税推進に躍起になっているかと、言うことです。
確かに個々の大企業は儲かるでしょうが、日本経済を確実に悪化させる。
財界の中の反対の声が聞こえない不思議。
私は戻し税制度ではないかと推測しているのですが其れでもヤッパリ可笑しい。
日本経済を悪いままにしておく方がアメリカとっては好都合、利益が出るのでしょう。
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