逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

続、米国の食肉産業とBSE(メモ)

2008年05月08日 | 経済

『イオン 米国産牛肉を4年4カ月ぶりに販売再開 』
2008.4.25
このニュースのトピックス:流通業界
 大手スーパー「ジャスコ」などを展開するイオンは25日、政府が禁輸措置を取った平成15年以来中止していた米国産牛肉の販売を4年4カ月ぶりに再開すると発表した。
米国から輸入された牛肉にBSE(牛海綿状脳症)の特定危険部位が混入していた問題を受け、一部スーパーは米国産の販売を中止した。
逆風下の再開に、同社は「安全な牛肉を提供する姿勢を貫く。
ドル安で価格優位性が出たことも大きな要素」としている。
今回の問題発生前から準備を進め、すでに商品は輸入していたという。
量が限られるため、当面は月1回程度の販売。30日に東京都内のジャスコ1店舗で、5月10日に全国のジャスコやマックスバリュなどグループ約470店舗で売り出す。
販売するのは「ロースステーキ用100グラム」(398円)などで、豪州産より100円程度安い。
売り上げは約5000万円(約20トン)を見込むが、1カ月で扱う牛肉の約2%という。
商品を調達したのは米ネブラスカ州の業者で、イオンは再開にあたって独自基準を設定。
日本向け輸出認証プログラムが守られているか自社のバイヤーが現地工場で確認するほか、第三者機関の認証も取得。輸入時とセンターでの加工時にも全量検品を行う。
スーパー各社では、ユニーが米国産すべての販売を取りやめたほか、イオングループのダイエーやマルエツは問題牛肉を輸入した工場から調達した商品の販売を見合わせている。




これ以上不思議なニュースが有るだろうか。?

狂牛病の危険部位の背骨が丸々見つかって、米国産牛肉の信用が地に落ちているこの時期に、03年時にも再開しなかったスーパー大手のイオングループ突如方針を大転換した。
競合する大手スーパー業界は軒並み販売自粛に走る中で、それとは全くの逆方向の方針だ。
なお、岡田卓也(イオングループ名誉会長)は岡田 克也元民主党代表、現民主党副代表の父親。





『24日から牛肉販売中止 ダイエーが問題工場調達分』
2008.4.23

大手スーパーのダイエーは23日、米国産牛肉から特定危険部位が見つかったことを受け、問題の牛肉を出荷したナショナルビーフ社カリフォルニア工場から輸入した牛肉の販売を、24日から中止すると発表した。
問題がないと判断できるまで中止する。
これまで販売した牛肉については「当社の自主基準で安全性を確認している」としている。
ナショナル社以外から調達している米国産牛肉は販売を続けるが、ダイエーが扱う米国産牛肉のほとんどは問題工場からの輸入。
ただ、販売する牛肉のうち米国産の占める割合は1割強のため「店頭での品ぞろえに問題はない」という。
ダイエーは、昨年8月に米国産牛肉の販売を全国で再開。
今月10日からはほぼ毎日扱っている。
牛の出生年月や移動履歴が確認できる牛肉に限って扱うなど、政府の輸入基準よりも厳しい基準を設けている。





『流通各社にも影響 BSEの危険部位混入』
2008.4.23

米国産牛肉からBSE(牛海綿状脳症)の危険部位の脊柱混入が発覚したことを受け、流通各社にも影響も広がっている。
大手スーパーのダイエーは23日、問題のナショナルビーフ社(カリフォルニア州)から輸入している牛肉の販売を24日から中止する。
「安全管理を徹底しているが、消費者の不安を考慮して店頭から撤去する」(広報部)と説明する。
西友は別の加工工場から米国産牛肉を輸入しており、販売中止の予定はないという。
ただ、問題を受けて米国産牛肉について仕入れ履歴の緊急点検を行うことを決めた。
セブン&アイ・ホールディングスは傘下のイトーヨーカ堂約180店で米国産牛肉を販売しているが、問題の工場からは輸入実績がないため、販売を継続する方針。ただ「生肉のイメージが悪化しないか心配」(広報センター)と懸念する。
一方、傘下の吉野家で牛丼販売の継続を決めた吉野家ホールディングスにも影響が懸念される。
同社は牛丼の24時間販売を3月20日から再開し、約4年ぶりに“完全復活”したばかり。再び米国産牛肉への消費者不信感が高まれば、回復軌道に乗り始めた業績に黄信号がともりかねない。






『米、過去最大の牛肉回収 「へたり牛を処理」6万5千トン』
2008.2.18
米農務省は17日、歩行困難の症状を示し食用が禁止されている「へたり牛」を処理していた疑いで調査していたカリフォルニア州の食肉処理会社「ウエストランド食肉・ホールマーク食肉加工」に対し、適切な食品検査を怠っていたとして、2006年2月以降に処理、出荷した牛肉約6万5000トンを回収するよう命じた、と発表した。
米国で過去最大の牛肉回収という。
へたり牛は牛海綿状脳症(BSE)感染が疑われるが、BSE牛が市場に流通した証拠は確認されていない上、問題の牛肉の消費量も分かっていない。
しかし、農務省は現時点では人体への危険は少ないとしている。
日本の農林水産省によると、この処理会社からの対日輸出はない。
農務省の声明によると、この会社は牛が歩行困難の兆候を見せた際に義務づけられた「完全かつ適切な検査」を怠り、食品衛生上定められた規定に違反。出荷牛肉は「食品として不適当」と判断された。
小学校のランチ用にも出荷していたという。
動物愛護団体が今年に入り、この会社の内部の様子をビデオで隠し撮りし、歩行困難牛を施設内に入れるため、作業員が電気ショックを与えるなどしていると告発。
農務省がこれを受け調査を開始、同社を営業停止とし、作業上の問題点を調べていた。
農務省は昨年七月、へたり牛を全面的に食用禁止とすることを決定。
日本は、米国でBSE感染牛が確認された03年に米国産牛の輸入を禁止した。
現在は、感染の可能性が極めて低い生後20カ月以下の牛肉に限り輸入を認めているが、米側は全面解禁を求めている








2006年2月 6日 (月)
米国産牛肉輸入問題
『輸入再開は拙速、 政府の責任は極めて重大』
日本と同様のトレーサビリティー(生産履歴)を義務付けるべき

民主党衆議院議員 岡田克也 公式ブログ

先月20日、米国産牛肉から特定危険部位(SRM)の背骨が発見され、政府は米国からの牛肉輸入を全面的に停止しました。危険部位は、人への感染のおそれがあるBSE(牛海綿状脳症)の病原体が蓄積しやすいため、日本向け輸出牛肉から除去することが日米間の合意で義務付けられています。

政府は昨年12月、生後20カ月以下の若い牛に限定し、かつ米側がSRMを取り除くことを条件に輸入を再開しました。今回の違反は、米国のSRM除去の体制が不十分であることを裏付ける結果となりました。

他方、20カ月齢以下の判定方法についても決して十分とは言えません。

米国の食肉処理施設では、農務省の格付官が、肉の色、骨の成熟度、永久歯の生え方を目で見て肉質を格付けしています。米政府は、これを「生理学的成熟度による月齢判定」と位置づけ、サンプリング調査の結果を基に、「この手法を用いれば、20カ月以下の牛肉を見分けることが可能である」と結論づけています。日本向け牛肉の年齢判断もこの方法を採用しています。

しかし、「肉の美味さを判断する手法」を、「安全を確保する手法」に転用しているのです。日本国内であれば到底考えられないことです。肉や骨などを目視しただけでは科学的な月齢判定は困難です。牛が成長するスピードは、種類、個体差、発育コントロールなどによって変化します。人間に置き換えても、人によって体の成長に差がつくのは自然であり、法医学による人骨鑑定でも年齢は大まかな推測しかできません。つまり、精度の高い月齢判定を行うには、生産記録(牛の生年月日と生産地のデータ)による確認が不可欠だということです。

日米両政府は、BSEが人に感染して発症する変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の恐ろしさを認識し、慎重を期して安全性を評価すべきです。変異型ヤコブ病は、予防法も治療法もなく、発症すれば確実に死に至ります。英国では、1995年からの10年間で153人が亡くなっています。発病すると、精神に異常をきたしたり、体が思うように動かなくなったりします。やがて、寝たきりになり、筋肉のまひで食事がとれなくなり、発症から約1年で死亡します。発症年齢の平均が29歳と、若者にリスクの大きい病気であることも特徴です。英国で大きな社会問題になったことは皆さんご存じのことと思いますが、同じ過ちを繰り返すことがあっては断じてなりません。

今回の危険部位混入問題は、食の安全を「米国任せ」にしたことが大きな要因であり、それを決めた日本政府の責任は極めて重大です。日本は「米国の責任」と主張していますが、日本政府にも、輸出プログラムを厳守させるという責任があり、国民・消費者に対して食の安全を確保するという責任もあります。結論先にありきで輸入解禁を急いだことは拙速であったと言わざるを得ません。

現在、外国産牛肉の大半は、原産国が表示されていない加工品や外食・給食の材料です。日本における牛肉消費量の6割が輸入牛肉であることを踏まえると、全ての食品・食材について原産国表示を義務付けることが急務です。我が党は昨年10月、米国産牛肉の輸入再開に先がけ、輸入牛肉に日本と同様のトレーサビリティー(生産履歴)を義務付ける原産地表示の義務化法案(トレーサビリティー法案)を提出しました。この法案を早期成立させ、再発防止と食の安全の確保に取り組んでいくことが必要です。

皆さんはどう思われますか?



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5 コメント

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Unknown ( 農婦)
2008-05-09 09:46:38
ブログ主様の、米国産牛肉の記事を拝読してて、何らかの形で、私達の体に入ってしまう。役人たちの認識はどうなっているのでしょうか。給食にまで使われたら、惟はとんでもないことですし、加工食品では牛肉が使用されていることがわからなくなりますし、どんな認識を持って、店頭に並べるのでしょうか。どうして米国の牛肉でなければならないのか、私には理解できません。米国の富裕層は日本産の牛肉を食べていると聞きます。
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Unknown ( 農婦)
2008-05-09 10:05:04
済みません.イオングループですが、民主党の岡田議員ですか?オモシロいですね。名前を変えてもいいほど、ヘンですね。ここ田舎でも各市町村に点在してます。広大な田畑をつぶし、次々移転を繰り返し、地元の商店をすべてつぶし、なにが彼らに残るのでしょうか。私ら底辺層の所得では高すぎる価格です。これから益々購買力は落ちていくことは必然ですので、そのとき彼らはどんな手を使うのでしょうね。独占ですかね。たぶん。
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コメント有難う御座います (ブログ主)
2008-05-09 16:08:36
>役人たちの認識はどうなっているのでしょうか

薬害肝炎(フィブリノゲン製剤)でも非加熱製剤の危険性は当時の厚生省の役人も十分に知っていた。
しかし、非加熱製剤で問題が起こるのは、何十年も後の話で、その時は定年退職していて自分達には関係なくなっている。
何十年もあれば、それまでには誰かが良い解決方法を思いついたり、誰かが何とかしてくれると思っていたのでしょう。
これまでの、薬害エイズやアスベスト問題とまったく同じ構図ですね。


民主党の岡田議員とイオングループの話は不思議ですね。
イオングループは、その他の大手スーパーが政府の圧力でアメリカ産牛肉を扱っている間も、扱わず安全安心のブランドイメージで業績を大幅に拡大して一人勝ちしていた。
此処へ来ての方針転換。
民主党の与党入り(大連立)が真近に迫っているのでしょうか。?
当ブログ記事にも有る、民主党衆議院議員 岡田克也 公式ブログの内容と全く相反する行動で面子が丸つぶれである。
何やら、社会党の与党入り時の、原発反対が公約だった社会党議員の大臣就任で賛成に大転換した例に酷似している。
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田舎では (kaetzchen)
2008-05-09 16:58:28
イオングループは MaxValue とか ロックタウンという名前でショッピングセンターを展開してますね.前者の MaxValue は小規模なスーパー,ロックタウンは大規模な駐車場を持ち,テナントを多数持つ中規模のショッピングセンターですね.

あれらはイオングループの中の「ロック開発」という不動産部門が土地を買い上げて作っているのですけど,やはり民主党内からも「ロック開発は暴走している」という話が出ているようです.どうも,ロック開発にかなり「遣り手」言い換えれば「悪質な」プロが雇用されたのではないかという気がします.当然,そのプロはブログ主さんの予想通り,「酷似」のためのスパイではないかと…….
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事務官官僚と技術官僚 (kaetzchen)
2008-05-09 17:15:53
農婦さん,こんにちは.

>役人たちの認識はどうなっているのでしょうか

同じ厚生省官僚と言っても,実は法学部・経済学部から入省した文科系の事務官官僚と,主に農学部や医学部や薬学部から入省した理科系の技術官僚とに分かれます.そして,厚生省の場合,3分の2以上が技術官僚によって占められています.

ところが,この技術官僚が入省後に大学院に入り直すとか研究所で研究を続けるとか国費留学して博士号を取ってくるという努力をしない限り,彼らの知識と能力は大卒・修士卒の段階で踏みとどまってしまいます.

薬害などの問題は,そんな技術官僚たちの自己研鑽のなさにも起因しているのです.当然,事務官の連中は威張るばかりで技術官僚の提出する案件など分からないから,技術官僚が事務官の顔色を良くすると通り,現実を突きつけると通らないという非合理な側面が出てくるのです.当然,技術官僚たちは真面目にやっていてもダメだと諦めて,自殺したりとっとと天下りしてしまいます.(もともと日本の官僚制は事務次官より若い人材を登用しないので,優秀な人材ほど天下りする傾向が強い)

要するに,事務官官僚が威張りすぎるのと,数では多数派の技術官僚が実力を発揮できないのが根本的な原因です.
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