逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

続、消費税に隠された悪魔のカラクリ「貿易立国の嘘」

2008年04月24日 | 経済

『貿易立国ではなかった日本』

前日の4月23日の記事、『消費税に隠された悪魔のカラクリ 』を読まれた読者の中で、『しかし、其れでも日本は資源のない貿易立国で、国の為には輸出補助金も仕方が無い』と考えた人はいないでしょうか。?
小さな時から聞かされ、今でもマスコミで宣伝されれいる『日本は貿易立国』の謳い文句。
これが、『真っ赤の嘘』だったらどうでしょうか。?
実は、常識とは正反対に、日本国の経済の貿易(輸出)依存度は、GDP比で見て約一割に留まっている貿易小国だったのです。
これは、1億2千万人以上の人口を抱え、GNPの6割を占める個人消費が十分に大きいためです。
日本は絶対に『貿易立国』ではありません。
今の日本の自公政権のように、一割(輸出)だけを問題にして優遇し、6割(個人消費)に対して税金をかけて抑制すれば経済が悪くならないはずがありません。
だから、幾等日本政府が一生懸命に、輸出企業を保護して、トヨタが世界一の自動車会社になっても、キャノンが大儲けしても、日本経済は一向に良くならないし、庶民の暮らしも良くならないのです。
マスコミの宣伝とは逆に、何と驚くことに、日本国とアメリカの二カ国は、世界でも珍しい、貿易に依存しない『非貿易立国』だったのです。
因みに、日本のGDPが約500兆円程度でその内貿易(輸出)総額は約50兆円程度。
本当の貿易立国とは、お隣の中国や韓国の様な国のことですね。

『輸出入の対GNI比率が過去最高』(韓国)
貿易依存度高まる3月26日10時10分配信 YONHAP NEWS

【ソウル26日聯合】国民総所得(GNI)に対する輸出入比率が90%を超え、過去最高を記録した。
この数値は、国民経済に対外貿易が占める割合を示す指標となる。
数値の高さは、貿易依存度の深刻化と内需部門の相対的なぜい弱性を示すものと判断される。
韓国銀行が26日に明らかにしたところによると、昨年はGNIに対する輸出入比率が初めて90%を突破し、94.2%を記録した。
国内消費と設備投資が相対的に不振をみせたなか輸出が2けたの増加を維持し、なかでも原油など原材料価格の急騰で輸入額が大幅に増えたことが主原因と分析される。
GNIに対する輸出入比率は、2002年の71.6%から75.8%、86.2%、85.2%と推移し、2006年には88.3%に達するなど、上昇曲線を描いてきた。
輸出のドライブ成長を謳歌(おうか)した1980年代中盤には80%台を維持していたが、1990年代の初めになると50%台に下落した。
通貨危機直後の1998年に84.1%まで上昇したが、その後は70%まで下がっていた。

『中国の貿易依存度は80%、グローバル化のすう勢』

中国では、経済グローバル化進展の重要な指標である貿易総額が、わずか16年間に1千億ドルから1兆ドルへと増加し、国の貿易依存度を測る「輸出入総額の対同期国内総生産(GDP)比」も急速に上昇している。
中国社会科学院の張宇燕研究員はこのほど「中国の貿易依存度はすでに80%に達した。
他の先進国・発展途上国の水準を大きく上回る数字であり、中国は貿易依存度が世界で最も高い国になっている」と指摘した。

「人民網日本語版」2005年9月12日

(注)
貿易依存度とは、貿易総額がGDP(国内総生産)に占める割合だが、
GDPを世界銀行が定めた実質的な貿易総額を求める公式、(現在の為替相場)ではなく各国の購買力で換算すると、中国の貿易依存度は20%前後にすぎないとする説も有る。
(注)
ただし、購買力平価でGDPを修正すれば、現在のアメリカに次ぐ世界第二の経済大国は日本ではなく中国となり、日本のGDPを大きく引き離している。
(注)
(各国のGDPに占める輸出の割合(輸出依存度)2004年)
アメリカ 7.0%
インド 10.5%
日本 12.1%
イギリス 16.0%
フランス 20.7%
イタリア 21.1%
カナダ 30.7%
ドイツ 33.2%
中国 36.0%
韓国 37.3%
オランダ 54.8%
タイ 59.6%
(出所:総務省 http://www.stat.go.jp/data/sekai/09.htm)

(資料)
「貿易立国?」加藤公一ジャーナル(第172号)発行日時: 2004/10/1

 「日本は、貿易立国だ。」
子供の頃このように学校で習ったかたは、いらっしゃいませんか。
私が、その一人でした。
「日本は貿易立国だから英語を勉強しなきゃいけない」とか、「国際人にならなきゃいけない」とか、説教されたものです。
この「貿易立国」という言葉、現在でもしぶとく使われており、最近では、日本は貿易立国だから「自由貿易化の波に乗り遅れるな」とか、「FTA(自由貿易協定への取り組みが重要だ」などと煽るのが流行のようです。
首相官邸の子供向けホームページ(!)でも、FTA関係の記事で堂々と「貿易国・日本」などと謳っています。

しかし、実は、これ、全くのデタラメです。日本は「貿易立国」などではありません。
国の経済の中で貿易がどの程度重要な位置を占めるかを表す指標としては、「貿易依存度」という数字が使われます。これは、その国の輸出入額をGDPで割ったものですが、日本の場合は、輸出で約10%、輸入で約8%です。この数字は、世界に見ても最も低い部類に属するのです。
他の先進諸国を見れば、イギリスとフランスの貿易依存度は、輸出入ともに約20%、ドイツは輸出約30%、輸入約25%です。
アジア諸国でも、韓国は輸出約30%、輸入約35%強、中国は輸出入ともに概ね35%、シンガポールに至っては、輸出144%、輸入134%もあります(以上、2002年の数字です)。

日本より貿易依存度の低い国は、ほとんどありません。もし、日本が貿易立国であるというのならば、世界中の大部分の国が貿易立国になってしまいます。

天然資源や食糧などを輸入に頼っており貿易が日本にとって計れない大きな意味を持っているという意味で「貿易立国」という言葉が使われたのかもしれません。
また、経済規模が大きい分貿易額も大きいので、その意味で「貿易大国」ではあります。
しかし、日本経済の大部分は、日本国内で回っています。
世界有数の巨大な市場とそこでの莫大な需要を満たす強い生産力が、ほとんど日本列島の中に揃っているのです。
これに対して、ヨーロッパ各国の貿易依存度は、輸出入ともに軒並み20~30%台になっています。
つまり、1国だけでは必要な物をまかなうことができず、近隣の国どうしで統合して経済圏を作っているわけです(ちなみに、アジア諸国の貿易依存度は更に高いです)。
ユーロ圏全体として見て、はじめて貿易依存度が輸出入それぞれで15%程度の自立した経済圏となるのです。

日本は、そのようなことをせずとも、1国で充分に自立した経済を持っています。
いわば、日本国全体が、1つの「自由貿易圏」のようなものです(しかも、関税の壁、言語の壁、文化の壁が全くなく、人の移動が完全に自由という、理想的な自由貿易圏なのです)。
天然資源、食糧に不安があるとはいえ、経済的に自立していることは、日本の強みです。「バスに乗り遅れるな」とばかりに、何でもかんでもFTAの締結を急ぐのが本当に合理的な判断でしょうか。
余裕をもって、国内の農業市場・労働市場への影響などを冷静に分析した上で、慎重な態度で貿易交渉に臨むことも必要ではないかと思います。
民主党 衆議院議員 加藤公一
                
『貿易依存度 』

一国の経済が貿易に依存している度合いを示す指標。
国民総生産または国民所得に対する輸出額・輸入額の比率で表す。

一国の国民経済のなかで貿易の占める比率。

輸入額÷国民総生産GNP(または国民所得)を『輸入依存度』という。
その国の輸入需要構造を示し,輸出額÷国民総生産(国民所得)を輸出依存度といい,輸出供給構造を表わす。

短期的には両者は必ずしも一致しないし,意味内容も異なるので両者を総合した意味で,(輸出額+輸入額)÷国民総生産(国民所得)を『貿易依存度』とする。

★「消費税10%」明記へ・経団連提言

日本経団連は08年4月23日、今夏にもまとめる税制改革に関する提言に「消費税率の5%引き上げ」を明記することで検討に入った。
基礎年金の財源を税金でまかなうには消費税の増税は不可避との判断だ。
御手洗冨士夫会長はこれまでも「2015年度までに消費税率を10%にすべきだ」と発言していたが、団体として明文化するのは初めて。

消費税率の引き上げを検討するのは、年金の全額税方式を経団連として推進していくため。
増税シナリオを明確にすることで税方式の実現制を高める狙いがある。
増税とあわせて子育て世代への所得減税も提言。支出が必要な若手世代の消費を促し、内需の拡大につなげる。


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11 コメント

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ご訪問有難うございました (鹿乃子)
2008-04-25 11:53:20
初めまして。
こちらの記事をご了解も得ないまま勝手に引用させていただき、失礼しました。
にも拘らず、ご丁寧なコメントとTBを頂き有難うございました。
こちらこそ宜しくお願い申し上げます。
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まずはキヤノンの不買運動を! (kaetzchen)
2008-04-25 12:06:40
しませんか(笑) まずは,これが原点だと思います.

# キヤノン不買運動のブログでも作りましょうか(笑)

プリンタはエプソン (私は Hewlett Packard, Lexmark),スキャナもエプソン,デジカメはニコン……というふうに,キヤノンに代わるメーカーを提示して,どんどん紹介する,なんてどうかな.

まだ少し熱があるので「モーソー」かも知れないけど.(^^;)
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ちなみに社名ですが (kaetzchen)
2008-04-25 12:10:18
前の社長が観音信仰に狂ってたので,キヤノンとしたのだそうです.今でも社員研修では無理矢理観音信仰を押し付けるのだとか.< でもこれって,チベット仏教つまりラマ教と同じ流れなんだよな.一種のカルト(笑)
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コメント有難う御座います (ブログ主)
2008-04-25 18:59:50
鹿乃子さん。
此れからも宜しくお願いいたします。

kaetzchenさん。
不買運動はキヤノンだけでなく最大の受益者トヨタを抜いたら不公平ですよ。
ところが、日本では景気が悪くなり、懐具合が寂しくなるほど、トップメーカーのトヨタのシェアが大きくなる不思議がある。
この不思議は日本人だけではないらしく世界的傾向です。。
面白いことに、貧乏人ほど、ブランド信仰があるんですよ。
消費者も金に余裕があれば、特徴の有る面白い車とか色々選べる(買える)が、金に余裕の無いビンボウ人ではそうは行かない。
なけなしの金では絶対に間違いの無い、故障の少ない車を買いたい、・・・と考える。
トップブランド(トヨタ)を買うのは貧乏人の特徴ですよ。
だから今の日本は、トヨタの一人勝ちが続いている訳です。
国民の貧困化でトヨタ一社だけ、ますますシェアは高まるばかりです。それもこれも消費税さまさまですね。
アイデア(方向)はいいんですが、不買運動は間違いなく失敗に終わるでしょう
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たしかに(^^;) (kaetzchen)
2008-04-26 15:12:06
トヨタだけはディーラーもショールームも中古車販売店もレンタカーも,どこへ行ってもありますからねぇ(笑)

親父が心臓手術して,電車で病院へ通うのが面倒だというので日産の中古車を買ってきたんですよ(自作パソコンと同じくらいの値段).親父は最初はこんな10万もしない安物を買って来やがってと文句を言ってましたけど,通院のために乗り回すうちに,日産の車はしっかり作ってある,こんな壊れない車を作るから,日産は赤字になるんだと言ってました.

逆に言うとトヨタは適当に作って壊れやすく,すぐに修理してもらえる(修理代で儲かる)車を売っているということです.トヨタの車に故障が少ないは都市伝説ですよ(笑) 私の経験値でもそう.
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Unknown (ななし)
2008-05-31 20:22:19
現在の日本がやってる某改革を合理的に説明するとすれば、名目成長率を低く抑え(つまりはデフレ不況にして)長期金利高騰を防ぐ為なんですね。
そうとしか考えられませんよね。
唯一合理的な説明が付けられるとすればですよ。
と言う事は経済成長や株価の為の改革と言う言い訳はウソって事にもなります。
一説によると株価が2万円を超えればヤバいと財務省は見てる節があります。
一時期、18000円を超えた時期に長期金利が上昇してあたふたしてたような記憶があります。
要するに日本経済は詰んでるって事でしょうか。
名目成長率が上がらないって事は税収の自然増も望めませんしね。
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Unknown (ななし)
2008-05-31 20:28:00
そう言えば、きっこさんのブログでも輸出企業に対する消費税の還付制度をこきおろしていましたな。
道理で経団連は消費税増税にこだわる筈だw
更に言えば、もう国内市場は捨てたともとれる訳ですよね。
もっと言えば、日本は原田武夫氏が言うようにワーキング国家、奴隷国家として搾取され放題になるって事でもあるんですね。
消費者は神さまですと言う言葉も有る通り、日本最大の強みは分厚い中間層が作り出す豊かな消費市場にこそあった訳なんですが・・・
日本に輸出企業もそれをバックにしてたんですがね~。
いつの間に変質しちゃったんでしょうね。
キャノンの御手洗にしても丹羽宇一郎にしても90年代に言ってた事とは全く逆の事を言い出してるし。
良くあれだけ見事に手のひらを返せるもんだと感心しきりなんですがw
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0金利の理由は、 (ブログ主)
2008-06-01 10:37:25
3%以上の日米の金利差を利用して、日本の投資資本がアメリカに流れる仕組みが造られ、結果的に日本がデフレとなってしまったわけです。
自民党一部議員から出ている調整インフレ論を参考にして考えてください。
>名目成長率を低く抑え(つまりはデフレ不況にして)長期金利高騰を防ぐ為
ではなく、原因と結果が逆になっています。
日銀による金利操作の本来の目的は、『日本経済のため』のはずですが、現在はアメリカ経済の経済の為に金利操作が行われています。
0金利なんて、其れこそコーランの教えどうりのイスラム原理主義経済ですよ。
何兆円も使って長期信用銀行等を潰さなかったのは資本主義ではなく、幾等赤字でも倒産しない利潤の概念を無視したソ連型社会主義経済です。
日本の現在の日本経済は、イスラム原理主義とソ連型社会主義の混合物?ですね。
日本経済の再建の為には、是非とも自民党政府に資本主義のルールを守らせなけれがならないでしょう。
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確かに0金利と言うと (kaetzchen)
2008-06-01 14:06:37
イスラーム社会の「信託銀行」はもともとユダヤ教の教えの旧約聖書から来てますね.要するに政教一致でないとできない芸当ですよ.旧約聖書にはものすごく誇張した量の金銀財宝が出て来ますけど,これは恐らく為政者と宗教者によってでっちあげられた水脹れ経済じゃないかなと思ったりします.

ソ連の銀行の場合,利潤の概念を無視したのは,イスラーム諸国を併合したことが大きいと思います.つまり社会主義の概念よりも政治的な連帯感を得ることが優先されたので,次第に国の経済が長期信用銀行的に傾いた,しかもそれを支えているのは税金を集めている「信託銀行」だったというからくりです.

もし,日本が資本主義へ戻ったとしても,経済そのものの再建は難しいのではないかと私は思いますねぇ.そもそも,貿易による外貨,つまり関税が入って来ませんから,その段階でアウトでしょう.(難しかったかな?)
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Unknown (わこ)
2008-06-20 07:26:22
TB有難うございました。
こちらの記事、(書かれた頃)読ませて頂き驚いたのでした。
全くこんなペテンを平気でする政府、財界って・・・・・
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