令和6年5月10日(金)
私の地元富士市は「ものづくりのまち」です。主力産業は製紙業、自動車関連業、食品業などです。大手企業もありますが多くを占めるのは中小零細企業です。
人口減少社会が進むにつれ、地域を維持するためにも、企業が安定して働く場を提供し、特に若い人たちが定着してくれることを願うばかりです。物価高騰など様々な要因で企業経営が厳しい時代となり、この課題の解消に向け現状分析と対策を講じていく必要があります。
現状分析に関連し、富士商工会議所が調査した令和6年1月から3月の景況調査が発表されました。3か月毎に年4回調査しているもので、「業況」「売上」「採算」についてのDI(景気動向指数)を比較しています。
調査結果では、全体を通じて前期から今期は「横ばい」、来期予想はいずれも「悪化」となっています。「売上は改善傾向」、「トラックドライバーの2024年問題への対応や人手流出を防ぐための賃金アップや労働環境の見直しなどの働き方改革」等に関する意見が多くありました。
ものづくりに関して、主力産業である製造業の現状についていくつかの業種の声を列挙します。
「製紙・紙加工」は、物価高騰による原材料・燃料の値上がりについて、転嫁に理解が進んだ。ただ、数回にわたる価格改定は消費者への影響が心配になる。売上は改善しても賃上げに対する負担が大きく、業績の改善は見込めない。
「金属加工」は、現在の仕事量は増える傾向だが、2026年以降は電気自動車の増加により構成部品点数が半減してしまうので、その影響は大きいと予想。
「自動車部品」は、大手メーカーの好景気が下請け企業まで浸透していけば、かなり景気は良くなるが、現状のままでは大手に消費され搾取されていく感じが歪めない。
「機械器具」は、親会社の外資化により、輸出製品の生産拠点再編があり、生産数が減少している。各業種により勝ち組と負け組が鮮明になっているように感じるので、しっかりアンテナを張り、勝ち組企業との取引を積極的に進めたい。
これらのコメントからは、中小企業ならでは課題も見えてきます。春闘では大手企業のベースアップが大きく報じられましたが、中小企業にはまだまだ反映されていません。
以前の私のブログで、静岡県が全国を対象とした「スタートアップビジネスプランコンテスト」について報告しました。全国から250社を超える応募があった中で、その上位3社は地元富士市内の企業で、その取組は海外からも注目が集まっています。企業規模は中小企業というよりは零細企業レベルの人員で取り組んでいますが、将来性や夢の実現など、その詳細を知れば驚きます。
スタッフには大手企業を退職し、この夢にかけている人たちの存在は、ものづくりのまちとしての新たな将来像も見えてきます。その存在を知れば、このまちで頑張ってみたいと思う人たちも増えてくるのではないかと期待しています。
ものづくりのまちの課題の解消に向け、努力していくとともに、新たな事業化を進める力にも注目していきたいと思います。