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北海油田の恩恵を生かせなかったイギリスの教訓③

2013-03-27 00:03:53 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 最近はユーロ危機にともない、ドルや円に加えてそんなポンドまでもがユーロからの「避難マネー」に位置づけられて、ポンドや英国債がそれなりに買われ、ポンドのレートが高目で維持されるとともに英国債の利回りは低位安定を示しています。

 しかし上記のような経緯や見通しがあるために、私は個人的にはポンド、英国債、そしてイギリス経済のいずれの将来についても悲観的です。

 このままイギリス経常赤字が増え続け(「財政ファイナンス」の継続でBOEのバランスシートが膨張し)、北海油田の石油産出量がますます減り、一方で何らの劇的な経済再生策が図られなければ、近い将来のある時点でイギリスは突如崩れてしまうのではないか・・・。たとえばPIIGS諸国の一部がデフォルトに追い込まれるのを機に、イギリス経済唯一の柱である金融業が深刻なダメージを被り、大量のマネーがイギリスから流出して英国株式・ポンド・英国債が大暴落・・・こうしたシナリオが現実となるかもしれないと思っています。

 このままではジリ貧―――そんなイギリスが取るべき道はもはやひとつしかないのかもしれません。つまり、かつてのように自国産の石油の輸出を増やすことによって、経常収支を改善していくことです。

 ところが頼みの北海油田は上記のように枯渇しつつあります。すでに北海のイギリスエリアでは有望な油井があらたに見つかる可能性は低いそうです。だからこそイギリスは本国から遠く離れたフォークランド諸島近海の石油資源に、「第二の北海油田」を夢見るようになったのでしょう。ここに大油田が見つかれば、北海の石油資源で潤った80年代から2000年代中盤くらいまでと同じパターンに乗ってイギリス経済は再浮上するかもしれません。

 しかしこのエリアのイギリス主導の油田開発が順調に行くのかどうかはきわめて不透明でしょうね。アルゼンチンが黙っていそうもないからです。さまざまな面でイギリス以上に苦しい経済的状況から抜け出すため、アルゼンチンとしても本国のすぐ沖合いにある海底の石油・ガス資源の権益を何としても確保したいところでしょう。中南米の一部諸国などの同情や支持を得ながら、アルゼンチンは今後、同諸島の領有権および周辺海域の資源開発権を強硬に主張するようになるでしょう。イギリスとしてはせっかく住民投票によって同諸島領有の正当性を内外に示すことができたというのに、政治・外交面を含め、今後は難しい対応を迫られそうですが・・・。

続く


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