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【月別出国者数は前年割れだが・・・】夏の海外旅行者数の「伸び」で分かる?アベノミクスの恩恵②

2013-08-03 00:04:16 | 日本

(前回からの続き)

 8月に入り、夏休み本番の季節となりました。これからお盆明けくらいまでの時期、多くの人々が休暇を取り、旅行に出かけられることでしょう。

 ここで注目されるのが、本稿のタイトルであるこの夏のわが国の海外旅行者数の伸びです。なぜならこの数値は、アベノミクス」のもとで、賃金や資産価格の増加といった恩恵を市民がどれくらい受けているかを測る指標のひとつとなるとみているからです。

 前回書いたとおり、昨夏に比べて今年の夏の為替レートはアベノミクスの金融政策「異次元緩和」の影響で20%ほども円安ドル高となっています。したがって単純に考えれば、日本人の多くが円建て費用がかさみそうな海外旅行をこの夏は敬遠すると思われます。

 しかし、日銀が「景気回復宣言」(7/11)を行ったように、アベノミクスのおかげでどうやら景気は上昇基調にあるようだし、本稿冒頭でご紹介のように、夏の賞与支給額が前年よりも1.64%「も」増えたといったこともあり、私が予想するよりもはるかに多くの人々が円安というハンディをはねのけて海外旅行を楽しめるほど「フトコロ」具合がよくなっているのかもしれません。

 それに、数年前の鳥インフル騒動のような為替以外に海外旅行を妨げそうなリスクは今年はなさそうだし、旅行会社の経営努力もあって海外パック旅行料金も円の対ドル減価率ほどは上がっていないようです。さらにフライトチケット料金もLCC(格安航空会社)のいっそうの普及で安価となっており、燃油サーチャージの割り増しも気になるほどではないかもしれません。したがって、円安で明らかに不利だなと感じられるのは、外国での買い物代(パック旅行料金に含まれていない各種費用やおみやげ代、ブランド品の価格など)が円建てで増えることくらいでしょうか。

 こうしてみると、海外旅行を阻むハードルはそれほど高くはなさそう。そのため、昨年以上に今年の夏は海外に旅立つ人々が増えそうです―――アベノミクスで円安のデメリットを差し引いても真に国民が潤っているのならば、ですが・・・。ちなみに昨年2012年の海外旅行者数は史上最高を記録しました。それを後押ししたのが「円高」であったと当時のニュースは伝えていますが・・・。

 ところで上のグラフは、この2011年以降のわが国の出国者数の月別推移をみたものです。これをみると、アベノミクスが実質的に開始され、為替が円安に向き始めた昨年11月以降、日本人の出国者数は今年1月を除いて前年同月割れが続いています。円安が外国への旅行者数を下押ししている様子が窺われます。まあアベノミクス序盤なので、黒田日銀総裁がしばしば口にする「Jカーブ効果」で円安のデメリットが先行して発現し、それが出国者数を減少させた面があるのかもしれません

 それでもそろそろ、つまりこの夏休みがJカーブ効果のプラス面を国民が享受し始める時期になる可能性がありそうです(逆にいえば、消費増税決定を間近に控え、そろそろ円安のマイナス面を大きく上回るほどのプラス面が勤労者の賃金上昇などのかたちで出てこなければならない時期?)。そうなればこのグラフも反転上昇を描き、年間でトータルしたら今年の出国者数(および海外旅行者数)は昨年を上回って史上最高を記録!これもアベノミクスのおかげ!となるかもしれません(???)。

 はたして、円安をものともせず、多くの日本人が大挙して海外に旅立つ夏となるのか、大いに注目したいと思っています。

(続く)


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