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【失敗多い水道民営化】大切にしたい日本の「水」④

2013-08-23 00:01:34 | 日本

前回からの続き)

 狙われる日本の「」―――地下水目当ての外国人による森林買収よりも、もっと現実的な脅威として用心しなければならないのが、わが国の水道事業への外国資本の参入だと思っています。

 日本では水道事業はほとんどが公営ですが、欧州や途上国の一部では水道の民営化が進んでいます。これら諸国のなかでは英仏両国の民営化率が際立って高く、イギリスは約90%、フランスは約80%となっています。そんなこともあり、世界各地の水道民営化を先導しているのはイギリスとフランスの会社。とくに仏スエズ、同ヴェオリア、英テムズ・ウォーターの大手3社は企業規模やサービス人口が大きいことなどから「ウォーター・バロン(水男爵)」と呼ばれているそうです。

 日本もそうですが、現在、世界各地の行政はどこも厳しい財政運営を余儀なくされています。そのため何かとお金のかかる水道事業を民営化して公費削減を進めようと考えるところも少なくありません。さらに、中国などのように、水道は整備したいけれど肝心の設備建設や運営ノウハウがない国や自治体もたくさんあるはずです。そんなことで、民間水道会社の活動の場は今後ますます広がりそう。実際、水道事業の民営化市場規模は2010年の約7.5兆円から2025年には30兆円を超えるレベルにまで成長すると予測されているそうです。

 一方で水道民営化の失敗事例も目立ちます。最大のものは水道料金の過剰な値上げ。水道運営会社は、事業運営権をしっかり確保した後、独占利益を享受するために料金を引き上げるわけです(競争相手がいないから値上げしやすい)。そうしたケースは南米ボリビア(料金値上げに怒った民衆が蜂起し、「水戦争」が勃発!)とかフィリピン(マニラ市の水道料金は民営化によって当初の数倍にまで高騰!)などの途上国でいくつも見つけることができます。ネットでこれらの詳細を見ていると、日本での外資の数少ない参入事例である松山市の水道事業(仏ヴェオリア受託)の今後が心配になったりします。

 さらに、ある意味、料金高騰以上に懸念されるのが、水道民営化が水質の悪化をもたらすおそれがあること。その原因は、民間事業者が、利潤極大化をはかるべく、水道設備の改修や維持管理にかかわるコストを抑えようとするため。そうなれば自ずと事業品質は落ち、水質は悪化します。実際、こうした事例もまた、上記のボリビアやフィリピンを含む途上国の水道民営化事業で数多く見受けられます。

 水道事業の民営化は、料金を跳ね上げるうえ、水質まで低下させるわけだから、公営水道が事業品質や収支などの面で一定の水準で運営されているのなら、水道の利用者にとっては民営化のメリットはないことになります。もしここで民営化を敢行したら、潤うのは水道事業を受託した外国資本だけ・・・へたをすると、わが国もそんなことになりかねません。だから日本は水道事業の民営化には慎重であるべきだ―――そう考えています。

続く


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