世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【ブラジル:ヴァーレだけの国!?】南米サッカー大国が恐れる「宴の後」⑤

2014-07-15 00:03:25 | その他の地域

(前回からの続き)

 以前こちらの記事に書いたとおり、ブラジル経済は鉄鉱石や大豆などの一次産品の輸出に大きく依存したスタイルとなっています。一方で欧米諸国などの外国企業の直接投資に頼るばかりの製造業はまだまだ力不足。自国発祥で競争力のある国際的メーカーは見当たりません。このあたりはブラジルの代表的な株価指数であるボベスパを構成する約60の上場企業の時価総額の約4割をペトロブラス(政府系の石油会社)とヴァ―レ(世界一の鉄鉱山会社)の資源2社だけで占めていることにも表れていると思います。

 頼みとするのは市況価格の変動に大きく振られる鉱業や農業。これに対して高い付加価値をもたらす製造業は脆弱なまま・・・。そんな産業構造のままではブラジルは2億人もの人々を豊かにしていくことは難しいし、貿易・経常収支の改善もなかなか進めることはできないでしょう。それでもブラジルは現実的には鉱業立国、つまり「鉄鉱資源立国」の道を選択しているような気が・・・。ということで、私にとってブラジルは「ヴァーレだけの国」といったところです。やや極端ですが、そう外れた定義ではないでしょう。もっとも近い将来、サンパウロ沖の大深度海底油田が多くの富をもたらすようになるかも・・・にしてはやっぱり人口が多すぎるような気がするな、ブラジルの場合・・・。

 本日15日からそのブラジルで新興5か国(BRICS)首脳会議が開かれます。BRICS―――ブラジル、ロシア、インド、中国、南アメリカ―――2001年に米ゴールドマンサックスが名付けた有力新興国群のこと。各国はIMF等の既存のフレームとは異なる新興国支援の開発銀行のあり方とか外貨を融通し合う仕組みなどを議論するそうです。

 で、本会議の主催国・ブラジルとしては後者の設置を急ぎたいのだろうな、と推察しています。同国の足元の情勢を考えれば手持ちの外貨だけでは心細いでしょう。今後の通貨防衛等のために用いる外貨資金は可能なかぎり準備しておきたいところ。そのへんの事情はインドや南アフリカも同じ。そして彼らにとってのメインスポンサーは・・・いうまでもなく外貨準備高が世界一の中国。そんなわけで、BRICSの実質的な盟主(?)である中国が本会議でどのようなイニシアティブを取るのか、注目しています。

 ・・・とはいっても、BRICS各国が融通し合おうという通貨はレアルや人民元などの自分たちの通貨ではなく、「米ドル」であることに彼らの悲哀を感じます。このあたりは通貨の強さの不等式(≒実質金利の高い順)「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」のとおりです。5か国の通貨はいまだに信頼性や流動性などの点で日米欧の通貨に劣り、それゆえに「ハードカレンシー」(国際的な取引に使われる通貨)に位置付けられていないので、たとえばブラジルにとって万一のときに人民元やインドルピーを貸してもらっても無意味、ということです。したがっていくら世界経済における存在感が高まったとはいえ、彼らBRICSはしょせんは釈迦、じゃなかったアメリカの手のひらのうえの孫悟空。アメリカの金融政策に翻弄され続ける運命にあります。

 もちろんブラジル経済も、通貨レアルの価値も、そして同国の主要輸出品である鉄鉱石の国際価格までも・・・。

(続く)


金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【ブラジル:敗退で再認識さ... | トップ | 【ますます熱いアルゼンチン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

その他の地域」カテゴリの最新記事