能力はコスモスからのプレゼント

2007年04月24日 | 生きる意味

 昨日は、仏教関係のカウンセリングの団体で、コスモス・セラピーの一日ワークショップをしてきました。

 『生きる自信の心理学』(PHP新書)では、自分とのつながり、他者とのつながり、そして宇宙とのつながり、という順序でレクチャーとワークを行なうかたちにしていましたが、最近、そのほうが効果があがるのではないかと思うようになったので、宇宙とのつながりの話を先にすることにしています。

 自分とのつながりに気づくワークで、自分の能力、できることを5つ以上あげるというのがありますが、私たちは競争社会の中にいるので、他者と比較して優れたものでなければ「能力」ではないという錯覚に陥りがちです。

 ですから、「他人と比べてそんなに能力といえるものはないし……」と、自分の能力を書き出せない人がしばしばいます。

 その結果、「私には何の能力もない」と無力感を感じて自信を失っている人も少なくありません。

 そして、「目が見えるのは視力という能力ですよね。耳が聞こえるというのは聴力という能力ですよね。……こうしてあげていくと、私たちには数え切れないくらい能力がありますね」と指摘しても、「それはそうだけど、そんなのは当たり前で、能力というほどのものではないんじゃないでしょうか」と納得できないという顔をされたりします。

 しかし、例えば私の目が見えるということには、宇宙が始まり、銀河が創発し、太陽系が創発し、地球が創発し、40億年くらい前に生命が創発し、10億年前くらいにようやく多細胞生物になり、5億年くらい前になってようやく脊椎動物・魚類が創発して神経管が出来、目が出来る、という大変なつながり・積み重ねがあるのです。

 宇宙に「見える」ということが起こるまでには137億マイナス5億年、つまり130億年あまりの時間がかかっており、見え始めてから5億年あまり見えるという能力が進化して、「私の目が見える」に到っているのです。

 そう考えると、見えるというのは「当たり前」といって済ませるほどの簡単なことではないのです。

 しかも、もし見えなかったら、愛する人の顔も、美しい花も、爽やかな緑の木々も、何も見ることができないのです。

 「見える」ということは、それだけも大変なことであり、すばらしいことだ、ともいえます。

 病気や怪我で歩けなくなってから、歩ける・歩行能力があることがどんなにすばらしいことかに気づくという方があります。

 目が不自由になってから、視力があるのがどんなに有り難いことかに気づいたりします。

 しかしそれならば、なぜ歩けるうちに、見えるうちに、そのすばらしさを感じておかないのでしょう。

 そして、「見えることは当たり前だ」と思うのと、「見えることはすごいこと、すてきなことだ」と思うのと、どちらが「人生の質(quality of life)が高いでしょう。

 いうまでもありませんね。

 そう考えると、私たちにはすばらしい、生きるための様々な能力が、宇宙からプレゼントされていることに気づいてきます。

 すばらしい能力をたくさんもらっておいて、「私には何の能力もありません」というのは事実に反しているし、さらにプレゼントしてくれた相手・コスモスに失礼そのものです。

 事実の正確な認識としても、礼儀としても、私たちは「コスモスから長い時間をかけたすばらしい能力をプレゼントされている」と思うべきなのではないでしょうか。

 そして、そう思うと、もう「無力感」に陥ってはいられません。

 まわりの人間と比較した相対評価としてではなく、自分自身のいのちへの絶対的な評価として、私たちは生きていればみんなすばらしい能力でいっぱい、「有能」なのです。

 ……というわけで、一見平凡で当たり前に思える自分の能力のすばらしさに気づいていただくには、コスモスの話を先にしたほうがいいようです。

 昨日のワークショップでも、その順番で進め、最後にお互いの長所を認め褒めあうワークをして、みんなでとても幸せな気分になることができました。

 最後、みなさんからの拍手が鳴り止まず、ほんとうにうれしい、大成功のワークショップでした。

 ……でも、全力投球でやったので、がっくりと疲れました。


 そして今日は、H大学の3回目の講義でした。

 またしても、400人くらい? 今日始めて来た学生もいました。

 今日は、本気でない人は帰って欲しい……の話は30分だけにして、本格的講義を60分ほど行ないました。

 みんな、真剣に静かに聞いてくれました。

 終わって、熱心な質問に来る学生が何人もいて、3時に終わった後5時前まで答えました。

 疲れますが、うれしいことです。


 で、明日はまた日蓮宗関係の団体での講演に出かけます。



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