わすれな草

日々心にとめたことをを31音の短歌で表してみたいと思います。一生に一度しかない今日の私を忘れないために・・・

刈小田

2016-10-31 20:50:47 | Weblog

               

        刈小田を慈しむがに照らしつつ吉備の中山(なかやま)に夕日の沈む

 久々に歩いた田園地帯は、もうほとんどが取り入れを終えていました。黄金の波に変わって、刈り取られた切りかぶだけが規則正しく並んでいる風景は、妙に寂しく感じられました。振り返ると太陽はすっかり西に傾いて、オレンジ色の光を放ちながら吉備の中山に沈もうとしていました。その暖かそうな光は、沢山の実りをくれた田をまるで慈しんでいるかのように照らしていました。

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尾花の穂波

2016-10-30 21:57:01 | Weblog

              

         やつと来てもう秋行くや真白なる尾花の穂波揺らす北風

 昨日は東京では木枯らし1号が吹いたとか。こちら岡山も北寄りの風がかなり激しく吹き、尾花を揺らしていました。今は尾花のいちばん美し時期で、黄葉した葉と白くなった尾花とのコントラストが心を和ませてくれます。その尾花が今日のかなり激しい北風に揺れている様は、まさに白い波が打ち寄せているように見えました。それにしても木枯らしとは、もう秋が行ってしまうのでしょうか?少し早過ぎます。

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読売新聞

2016-10-29 20:34:25 | Weblog

       

            シベリアの遺骨の記事が読みたくて読売新聞買いに行きたり

          空映す川辺に揺るる数珠玉の黒実がふひに父を恋はしむ

 シベリアの父の遺骨と私とのDMA鑑定が一致したという興奮がまだ冷めやらぬ今日、姉から「今朝の読売新聞にシベリアの遺骨のことが載っているよ」との電話がありました。私はこの新聞を取っていないので、かなり離れたところまで買いに出かけました。帰り道、ふと目にしたのは黒く熟した実を一杯付けた数珠玉の野草でした。この実を次々と糸に通すと数珠が出来るところからこの名が付いたのだろうと思うと、ふいに父のことが思われて、記憶に全くない父のことをあれこれと想像しながら帰りました。

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すだち

2016-10-28 18:07:17 | Weblog

              

           友くれしすだちの緑匂ひ立つビニル袋に息こもらせて

 お茶のお稽古の日、仲間のひとりが庭先に出来たという「すだち」を持って来てくれました。ビニル袋の中には数個のすだちが入っていて、中には葉のついたものもありました。戴いて帰ってよく見ると、いかにもとれたてという感じで、ビニル袋の中にはすだちの息がこもっていて、鮮やかな緑が匂い立つようでした。このところいろいろな友から秋の実りを次々いただいて、ありがたいことだとつくづく思っています。

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不揃いな柿

2016-10-27 20:40:36 | Weblog

                

           庭先に出来たと友の持ちくれし柿は不揃い故に懐かし

  このところ秋の味覚が次々届きます。今日はヨガ教室の友が「家の庭先にいっぱい生っているのでよかったら食べてください。でも消毒しないでほったらかしのまま出来た柿なので不揃いですが・・・」と言って沢山の柿を持って来てくれました。このごろはお店の立派な柿しか目にしていないせいか、小ぶりで自然児のような柿の実がとても懐かしく、幼い頃木に登って食べた柿はこんな柿だったことを思い出しました。

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大きな秋

2016-10-26 20:40:05 | Weblog

               

         手に二個がやつとの大き茹で栗を戴き大きな秋を食みたり

 手の平に二個載るのがやっとほどの大きな栗、しかもすぐ食べられるように茹でてある栗をいただきました。以前は直販の市場に車で買いに行き、栗ごはんや甘露煮などを作っていました。でも車免許を返納したため市場へ出かけることもなくなり、今年初めての栗を味わいました。塩味がほどよく染み込んでいて、とても美味しかったです。大きな秋を食べちゃったって感じでした。

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赤嶺(せきれい)

2016-10-25 21:25:43 | Weblog

                

         くずだけどと友持ちくれし「赤嶺」とふ葡萄の粒はほのぼの赤し

         一粒に赤黄緑のグラデーションを成して葡萄は宝石のごと

         穫れたての葡萄を噛めばみづみづと弾けて口に果汁に広ごる

 葡萄農家の友が持って来てくれた葡萄です。これは「赤嶺」という種類でほんとうはもう少し赤くなるらしいのですが、上手く赤色にならなかったとのことでした。でも、一粒一粒が緑や黄や赤のグラデーショを成し宝石のように美しくて、これが不良品とはとても思えませんでした。食べてみると収穫したばかりなので、歯に当たった瞬間に口の中で葡萄が弾けました。マスカットより甘さは控えめで、他にもわずかに酸味も混じっていて見た目の通り美しい味でした。私はマスカットよりこちらの方が上品な味で好きです。

 

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シベリアの父の遺骨

2016-10-24 18:15:41 | Weblog

   

         秋晴れに朗報届くシベリアの父の遺骨の見つかりしとふ

         DNA鑑定の字に身の震へを抑へつつ読む祈りつつ読む

         諦めてゐたれば「血縁認める」とふ文字の滲みて繰り返し読む

 ロシアで発掘されているシベリア捕虜の遺骨のDNA鑑定をするために、10年くらい前に、私と従兄弟の唾液等を送りました。その後平成19年7月2日に該当するものは無かったとの知らせを受けていました。ところが26年度に新たに収容された遺骨の中に、血縁関係を認められる遺骨があったとの知らせが今日届きました。もうほとんど諦めかけていただけに、嬉しくて涙で滲む文字を何度も何度も読み返しました。71年ぶりにやっと父は日本に帰って来るのだから、10月24日という今日は忘れられない記念日になりそうです。

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ささげご飯

2016-10-23 21:04:43 | Weblog

   

        薄紅にささげ熟れ来て収穫す実の詰まりたる莢の愛しき

       熟したるささげの中に並びゐる赤きその実は小豆そつくり

       夕餉にとささげご飯を炊きたれば見かけも味も赤飯なりき

 初めて育てたささげなので、食べ方もよく分からず、生りたてのころは茹でて胡麻和えにしたり、煮物にいれたりしていました。友達から熟した実で豆ご飯を炊いたらいいと教えてもらい炊いてみました。洗ったお米の中に莢の中の赤い実を入れて炊くだけで簡単に赤飯が作れました。赤い実も小豆そっくりですが、炊いた豆ご飯も赤飯そっくりの味でした。こんどはあんこやぜんざいにも挑戦してみるつもりです。

 

 

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郁子(むべ)の種

2016-10-21 20:52:32 | Weblog

             

     不老長寿と言われし郁子の実を食めば黒くて小さき実あまた残れり

 調べてみるとムベは「郁子」の字が当てられていて天智天皇の伝説から「霊果」とか「不老長寿」などと言われている古代からの果物のようです。種を覆っているゼリー状のものを食べてみると、確かに素朴な甘みが口の中に広がりました。甘いものが少なかった古代人はこれでもおいしかったのでしょうが、現代人にはものたいりない甘さでした。おまけに小さな黒い種がいっぱいあるので、選り分けて食べるのが大変。でもこれで私は不老長寿のはずです。

 

 

 

 

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