日々心にとめたことをを31音の短歌で表してみたいと思います。一生に一度しかない今日の私を忘れないために・・・
朝ドラの女優の装い母の味絣の着物に絣のもんぺ
朝の連続ドラマ「おひさま」を見ながら、毎日亡き母を懐かしく思い出しています。女優たちが次々と装いを変える中で、どれもこれも私の眼の裏に残っている母の装いと同じだからです。特に木綿絣の図柄はどれもはっきりと記憶しています。さらに下にはいているズボンのようなものは「もんぺ」と呼んでいて、腰にのところは袴のようになっています。今こうして観ると、木綿絣はなかなかすてき図柄だと思います。/font>
一匹となりたる金魚の唯ちゃんに目と目を合わせ「おはよう」をする
6匹の小さな金魚を育てて来て14年になりましたが、とうとう一匹となってしまいました。ふと名前をつけてやろうと考え「唯ちゃん」にしました。勿論生き残った唯一の金魚という意味です。水槽に近づくと寄ってくるので、このごろは目と目を合わせ「唯ちゃん おはよう」と声をかけてから餌をやっています。金魚でも飼い主の顔が分かるようです。どうか一日でも長生きしてくれますようにと思うこのごろです。
「ありがとういただきます」と声かけて朝庭に穫る初なりトマト
庭先のミニ菜園に次々と実が生り始めました。胡瓜はもう4本ぐらい収穫しました。今日は初めてミニトマトを収穫しました。こんな小さなな庭先で、それも素人の私なのに、よくぞ実ってくれましたという思いでいっぱいでした。真っ赤な小さなトマトを穫るのはなんだかもったいない気になりましたが、「よくぞ実ってくれてありがとう!!真っ赤な命をいただきます」と声をかけながら収穫しました。
青き葉にひよこが隠れゐるごとく梅雨に濡れつつ落花生咲く
今年初めて庭に落花生を一本植えたのですが、ようやく花が咲きました。えんどうの花を小さくしたような丸い形の可愛い黄色の花でした。黄色といっても少しオレンジ色が混じっていて、その色はまるでひよこそっくりでした。丸い緑の葉にかくれるように咲いていたので、「ひよこがね おにわでぴょこぴょこかくれんぼ どんなにじょうずにかくれても きいろいしっぽがみえてるよ」と思わず歌ってしまいました。
午前二時蚊に目覚むれば東(ひんがし)の窓に下弦の大き月見ゆ
上弦の月はよく見かけますが、一昨日の深夜下弦の月が照っているところは初めて見ました。上弦の月は昼間に出て夕方正中し、深夜に沈むのにくらべ、下弦の月は深夜に出て明け方正中し、昼間に沈むので、目にすることはありませんでした。ところが深夜蚊に起こされてしまい、思いもかけず、珍しいお月様と出会うことが出来たのです。蚊には腹を立てていましたが、おかげで気をよくし、日本間に蚊帳を釣って朝までぐっすり眠りました。
遠き日に甘く食みたる草苺いま道の辺に噛めば酸っぱし
吉備路を歩いていて、なつかしいものを見つけ思わず足をとめました。クサイチゴです。こどものころ友達と籠を持って山に採りに行っていました。あのころは甘くて美味しかったのです。なにしろ終戦直後のもののない時代だったので、子供たちはみんなお腹をすかせていたからでしょう。あまりに懐かしく食べてみたのですが、なんと酸っぱいのです。どうしてこれが甘く美味しかったのかと不思議に思うほどでした。
赤赤と松明草の燃え立ちて梅雨のさなかに猛暑日となる
昨日に続いて今日も暑い日となりました。まだ梅雨のさ中と言うのに、いったいどうなっているのでしょう。暑いと思ったらなんと35度。日本一暑い熊谷では40度となったようです。真っ赤に燃え立つように咲いている松明草を見ていると、よけに暑くなってきそうです。まだ六月というのに・・・・この夏が思いやられます。
国会は争ひ絶えず水槽にたなごと金魚と泥鰌が遊ぶ
我が家の水槽と国会とを比べて詠んでしまいました。それほどに日本の今の国会は悲しい現実です。この水槽は元は金魚だけの水槽でしたが、一匹、二匹と死に、とうとう昨年二匹だけになってしまいました。それで心配しながら泥鰌をいれたのですが、仲良く暮らしてくれました。そしてこのたび、とうとう金魚が一匹となったので、たなごを入れました。みんな仲良くしています。人間より魚の方がずっとえらいですね。
一センチに満たぬ小さき野辺の花その紫を屈まりて見る
ほんとにほんとに小さな野草の花が咲いていました。この花に気づいた人は少ないと思います。私も見過ごすところでしたが、四つ葉のクローバを探そうとして、屈んだ時に気が付いたのです。びっくりしました。7~8ミリくらいの小さな小さな紫の花。私にとっては初めての出会いで名前も分かりません。こんなにも小さな花が精一杯咲いているなんて・・・ほんとに感動でした。
疎まれども梅雨はあまたの命生む苔甦り丸虫遊ぶ
なかなか梅雨が上がりそうにありません。じめじめとして嫌がられる梅雨ですが、私は結構すきです。なんとなく心が落ち着くような気がするのです。そして何よりも梅雨は稲作をする農家にとってはなくてはならないものです。命を育てる雨です。梅雨の晴れ間に歩いていて、こんなに元気に甦った苔と、その上を嬉しそうに歩いている団子虫を見つけました。とても生き生きしていて、ああ、こんな小さな小さな命も雨によって元気をもらったのだなと思いました。