朝顔の花のかたへに空蝉のありて夜明けのドラマを思ふ
目覚めて窓を開けると、目の前のグリーンカーテンに朝顔が咲き、そばの葉っぱの裏に蝉の抜け殻が見えました。人はみな眠っている夜明けの時刻に、朝顔はあのねじれたつぼみをゆっくりゆっくりともどきながら、花を開き、そばの葉っぱの裏では、何年も土の中に眠っていた蝉の幼虫が這い上がって、葉の裏で脱皮し、成虫となったのですね。動物と植物のこの小さな生のドラマを一本の朝顔の蔓の上に想像した朝でした。
朝顔の花のかたへに空蝉のありて夜明けのドラマを思ふ
目覚めて窓を開けると、目の前のグリーンカーテンに朝顔が咲き、そばの葉っぱの裏に蝉の抜け殻が見えました。人はみな眠っている夜明けの時刻に、朝顔はあのねじれたつぼみをゆっくりゆっくりともどきながら、花を開き、そばの葉っぱの裏では、何年も土の中に眠っていた蝉の幼虫が這い上がって、葉の裏で脱皮し、成虫となったのですね。動物と植物のこの小さな生のドラマを一本の朝顔の蔓の上に想像した朝でした。
湯の宿より見下ろす藪の若竹の風にさ揺らぐ一陣の涼
宿からは緑のじゅうたんを敷き詰めたような田園風景が広がっていて、手前には竹薮がありました。竹は今若葉の一番美しい時で、沢山の萌黄色の竹がしなやかに揺れていました。部屋に入った午後の三時過ぎは、一番暑い盛りで、二人ともぐったりしていまたが、眼下に揺れる沢山の竹に、一陣の風ならぬ一陣の涼をもらったような気がしました。
湯迫(ゆば)温泉の夕餉の卓に極を見る人をもてなす日本の心
久々に心友が大阪より来たので、近くの湯迫温泉に行きました。すばらしくて、灯台下暗しとはこのことだとつくづく思いました。温泉は大規模でゆったりとつかることが出来た上に、食事がまた素敵でした。広いテーブルにゆったりと並べられた食事。その一つ一つの器の美しさには目をみはりました。天麩羅や汁物は、食べる直前に火を入れてくれる念の入れようで、すみずみまで行き届いた日本人のもてなしの心に感心しました。
泉水に吉兆のごと薄紅の睡蓮小さく返り咲く朝
この睡蓮は毎年6月ごろに咲きます。それなのにふとみると小さく一つだけ泉水に咲いているではありませんか。びっくりしました。これこそ睡蓮の返り咲きです。なんだか今日はよいことがありそうな嬉しい朝でした。それで、よいことがあったかどうかですが、それがあったのです。紫陽花祭りに投稿した紫陽花の短歌が、特選との知らせが届いたのです。びっくりしました。(ちょっと自慢になってしまいました。)
自然界は芸術家なり太陽が沈みつつ描く空のキャンバス
暑い!暑い!もう太陽はいらないと思うこのごろですが、やはり太陽は偉大ですね。植物を育てたり、洗濯物を乾かしたりするだけでなく、絵も描くのですね。これは昨日我が家から見た夕方の西空ですが、なんとまあ美しいこと・・・すぐカメラを取りに入ったのですが、出てきた時にはもう変わっていました。大きな空のキャンバスに次々と描いていく太陽の芸術はそれはそれはみごとで、しばし見とれたひと時でした。
ポニーテールにタンクトップに草履でもどうにもならぬ今日の暑さは
もうこの暑さはどうにかならないのでしょうか。人に会っても挨拶は「暑いですねえ」の他にはありません。この暑さをしのぐために、私は肩までの髪は思い切り高いポニーテールに、服装はぎりぎりのタンクトップに、履物は草履です。草履といってもこれは私が古い布で編んだ布草履です。なかなか履き心地がいいのですよ。それでも、クーラーなしでは過ごせません。こんなに暑くなると寒かった冬が恋しくなります。
梅雨の明け青無地の空にぎらぎらと照る陽沈むを息ひそめ待つ
いよいよ梅雨明けです。待っていたもものいざ明けてみるとこの暑さにすっかり萎えています。空はまるでポスターカラーで塗られたような青一色が果てしなく続き、太陽が待ってましたとばかりに、我がもの顔にぎらぎらと大空を翔けていきます。グリーンカーテンもすだれも平気で突き抜けて、光の粒を撒き散らしてきます。日中はただ息をひそめて太陽の沈むのを待つしかありませんでした。これから先が思いやられます。
上司よりまびきの桃の子いただきてシロップ煮する初めての味
大きな梅の実のようですが、梅ではなく桃なのです。一本の木に沢山の桃を生らせると、小さくなるので適当にまびきを行うそうです。退職後、ゆったりと農業をしておられる以前の上司さんが、そのまびきした桃をもってきてくださいました。どうして食べるのかと思ったら、酒を入れたシロップのなかで、柔らかくなるまで煮詰めるのだということでやってみました。なかなか美味しく小さくてもやはり桃の味がしました。
わが庭のグリーンカーテンかぼちゃには負けじと朝顔一号の咲く
我が家のグリーンカーテンは今年も順調に成長しています。今年一番元気がいいのはかぼちゃ、次いでふうせんかずら、あさがお、ゴーヤの順です。へちまも植えていたのですが、いつの間にか絶えてしまいました。このところ毎日沢山のかぼちゃの雄花が咲き、ふうせんかずらはあちこちに小さなふうせんの実を揺らせています。今朝は朝顔に初めて紅色の花が咲きました。やはり朝顔を見ると夏だと実感します。
雨の上がり靄たちこめる茅葺の里を彩るあぢさゐの花
茅葺の里を歩いてぐるりと一回りしました。運よく雨は上がっていましたが、あちこちに白いもやが立ちこめ、茅葺の屋根を黒くシルエットのように浮かせていて、とても綺麗でした。まるで200年前の日本にタイムスリップしたような風景にしばしみとれました。目の前には薄紅色の紫陽花がいろどりを添えていて、それがまたよくマッチしていました。紫陽花は新しいものにも、古いものにも似合う不思議な花です。