怠慢主婦 ドイツで同居 

日本食を食べなくなり義両親のしもべと化し、すでに何年になるだろう。遠い目しながら今日も行き抜いてやるぞっ

クッキーは永遠に

2008年12月14日 | 食べ物
クリスマスが近づくと、どこの家庭でも大量のクッキーを焼く。
ドイツ語でクッキーに相当するものはKeks(ケークス)とかGebäck(ゲベック)と呼ぶ。
どういうわけか、クリスマス前に作るものはPlätzchen(プレッツヘェン)と名前が変化する。
(ああ、格変化だけでも充分苦しんでいるのに、食い物の名前まで季節で変化しないでくれぇ!)


去年ここに来たばかりの私は、いきなり義母が狂ったように大量のクッキーを焼いているのを見て、恐怖に駆られたものだ。

今年は事情を理解しているので、積極的にお手伝い

材料は、油脂(バターか、マーガリン)小麦粉・砂糖が基本で、そのほかにアーモンド粉など好みのナッツを加えたりする。


平らに伸ばした生地を型で抜くのもあるし、絞りだすのもある~



右は、メレンゲの中にココナッツ粉を混ぜ、オブラートの板の上に置いたもの。



溶かしたチョコレートや、ジャムをはさんで仕上げるものもあり。



今回掲載の写真はうちで撮影したものだけだが、その前日2日間は義母の妹の家にクッキー作りの手伝いに行った。
はあぁ~?
あなたの妹はクッキーも満足に作れないのかね、と尋ねたいところだが、これには訳があるらしい。
ま、そんなに難しい理由じゃあない。
妹の息子の嫁と、娘は近所に家を構えて住んでいる。
それぞれ仕事を持ち、しかも3人の子持ち(おお!主要先進国の出生率を上げる良い見本!)だ。
孫を含め息子娘と嫁・婿たちすべての腹を満たすためのクッキーを彼女が用意しなければならないのだそう。
それにしても、なぜ、姉の義母が毎年毎年・・・
もしかして、義母はクッキー作りが妹より上手い?

先週は2日間彼女の家に通い、私はせっせと天板にクッキーを並べたり、飾りを塗ったりしてオーブン使いっぱなしの暖かすぎる台所で働いたものだ。
嫁と娘は見学するのみで、一向に手伝う気配は無かった。
「仕事の後で、疲れているからね~」
と、義母。
う・・・
へたすると、私も一生、この二人の替わりにクリスマスクッキーを焼きに来なくてはならなくなるぞ。
別居だ、別居・・・

二日間の出張クッキー製造の次の日は、うちのクッキーだ。
さまざまな基本クッキーを作った最後に、クリスマスクッキーの華、レープクーヘンを焼いた。
このクッキー、ニュルンベルクのお土産品として有名で「地球の歩き方」などにも載っているが、家庭で焼くものらしい。

材料は、バターや小麦粉のほかに、ナッツやフルーツの砂糖煮、さまざまの香辛料を混ぜる。
初めて食する日本人には少々馴染めないものだが、慣れるとおいしい。



下左はレーズン、右は仕上がった生地を上に載せるオブラート。
このオブラート、日本でときどきテレビなどで見ることができた、ヨーロッパの教会の聖餐式で使用されているものと同じに思い、義父母に尋ねたところやはり、聖餐式でも使うものらしい。
クッキー材料を「これはキリストの体云々・・・」と儀式でやるのもいいものだ。
日本の普通の教会では、確か、パンを使ったと思う。



これは販売されているレープクーヘン用粉末香辛料だ。
シナモン・オレンジの皮・コリアンダー・レモンの皮・八角・フェンネル・ナツメグ・クローブ・カルダモンなど、ヨーロッパのような寒冷な気候では収穫不能な植物ばかりだ。
昔は、年に一度のぜいたく品だったのだろう、高価な輸入品の香辛料を使う甘いお菓子をクリスマスに食べるのは!
大航海時代まで思いを馳せてしまうのは私だけだろうか?


出来上がった生地をオブラートに塗り、オーブンで焼く。
左に、焼きあがったレープクーヘンの山が


冷えたあと、溶かしたチョコレートを塗り、アーモンド粉を飾る。


自家製レープクーヘンのできあがり~
年に一度しか焼かない、クリスマスのためのクッキー。
材料の凝りかた、手間のかけ方を経験すると、前述の私の命名、
クリスマスクッキーの華
も、誇張ではないと思う~

ところで、義母の毎年末のこの盛大なクッキー作り、家族の男性陣からはきわめて不評である。
「毎年、食べきれないで余るのだから、そんなに作るな」
と、義父。
「母は、作りたくない、と毎年言いながら、結局大量に作ります。無駄です」
と、夫。
ま、いいじゃあないか~
ドイツの主婦の、年末のイベントなんだろうな。
さしずめ日本だったら「これをやらないと年を越せない」って感覚なのかもしれない。
余ったところで何万円分も損するわけじゃあないし、やりたいことをやっってもらったほうが家庭の平和が保てるぞぉぉ~
私も協力しているしぃ



上の写真は、夫が面白がって撮影した私の様子。
連続三日間のクッキー作りに明け暮れて憔悴しきっているのが顔を隠していても、全身の様子から伝わってくる。
あらあら、左ポケット周辺がチョコレートで汚れちゃって・・・
この家の洗濯は2週に一回だから、虫が付かないように気をつけなくっちゃ・・・








16 コメント

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すごすぎ~! (ろーずまりーs)
2008-12-15 07:26:02
こちらも寒くなりました。
凄い量のクッキーですね。
お菓子屋さんが開けるくらい
形も均一で、美味しそう!

余るのなら飛んで行って食べたいな~!
ず~とクリスマスの行事になってるのでしょうね、
もちつかないとお正月迎えられないのと同じ感覚かな?
義母さんの昔からの頑張る行事のひとつなんでしょうか。
りすさん余裕でお手伝い
さいさき良い2冬目になりそう
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我が家も・・・・ (Strawberry)
2008-12-15 08:31:18
土曜日から我が家もクリスマスに向けて、お菓子作り・・・

せっせと作っていた旦那・・・
それもりすさんのお義母さんと同じく、文句を?言いながら・・・(笑)でもかなり楽しんでる様子★

一応『何か手伝おうか?私が出来ることはない?』と聞いた私・
『君は目が悪いかわ何もしなくて言い・・・』と旦那の返事・
 私の代わりに娘3人が手伝っていた・それも喜んで・・・良い躾をしているでしょ? うふふ・・

我が家はロシアンティ-ケ-キ、とクリスマス用のM&Mを入れたアメリカンチョコチップクッキ-(ア-モンドオイル入り)。。
それとNYスタイルチ-ズケ-キ。

 私は手伝いもせず、食べるだけ~~~

確かに、これをしないと所謂年が越せない感じなのかもしれませんね。。。

旦那様、ご苦労様です。。

そして、、、りすさん、良く頑張った~~~!!
良い嫁してますね~~~★
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おいしそう。 (はなはな)
2008-12-15 10:35:50
お疲れ様でした!!
確かにお顔が見えないけど、ちょっとばかりお疲れの雰囲気伝わってきます。

でもほんと、いいお嫁さんです^^
お義母さんも嬉しかったのでは?
義母さんの妹さんちでは若い皆さん、お手伝い無しでしょ~?
でも義母さんはりすさん一緒にせっせと作るんやもん、嬉しいと思いますよぉ~

でも何だか楽しそうですね~
日本の餅もウチの実家ではもう作らなくなりました。
年末になると、あちこちで売られる、つきたて?の餅を買ってます。勿論我が家でも

クッキーはどうなんでしょうか?
そうやって、お手伝いされない若い世代が増えていくと、せっかくの伝統のクッキー作りもすたれていくのかなぁ?
そうならないように、りすさんがしっかり継いで下さいまし

・・・余るなら、我が家にも是非いただきたいわ~
どこでもドアで飛んで行きたい!!!



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クッキーまでも (どれみ)
2008-12-15 11:17:41
季節で名前が変形するなんて…
りすしゃんの気持ち、すんごい分かるぅ。
まぁ、そこにドイツ人は侘び寂び感じるのかしら?
ってか、毎年余るなら、量減らせば良いのに…
ってか、妹の家で自分ちの分も作れば良いのに…
でも、その忙しい感じが好きなんだろうね。
24時間戦うみたいな。


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レープクーヘンだぁ♪ (run)
2008-12-16 06:55:17
私もけっこうスキです、レープクーヘン♪

でも、一番すきなのはなんて言うんでしょう、三日月型の紛糖をたっぷりまぶした真っ白のやつ!キップヘルみたいな感じだったかな?

それにしても、お義母さまが料理好きだと本場のレシピがわかって良いですねー!羨ましいです

あ、でもりすさんはいまいち乗り気じゃないんですよね
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はじめまして。 (茉莉)
2008-12-16 15:37:57
とても素敵なブログですね。
楽しく読ませて頂きました。
大きな声では言えませんが(笑)、
かつて私もドイツ人(Krefeldの勤務医
でした)との結婚を考えていたのですが、
結局日本人と結婚。
あのとき違う決断をしていたら、
また違った人生だったんだろうなぁと
しみじみ思う今日この頃です。
ドイツのクリスマスは綺麗なんで、
羨ましいです。






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Unknown (薬作り職人)
2008-12-17 00:08:25
クッキー屋さんが開けるくらいの量ですね。
わいわいがやがやいいながらクッキー作るのは、
やっぱり楽しいんでしょうね~。

ドイツの家庭の味のクッキー、
日本では食べてみたいですね。どこかに売ってないかな。

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ろーずまりーsさま、 (どいつりす)
2008-12-17 01:43:23
ろーずまりーsさん、本当にクッキー食べにドイツに来そうです~
うふふ~
レープクーヘン以外は、日本でも普通に作ることができる材料で、シンプルですよ。
ただ、作る量が半端でないところが特徴!

ろーずまりーsさん、挑戦してみては?
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Strawberryさま、 (どいつりす)
2008-12-17 01:49:12
へえ~
アメリカというと、菓子より七面鳥のイメージが大きいです。
ちゃあんと、お菓子も用意するのですね。
家庭によってお菓子の種類、違うのでしょうか?

Strawberryさん宅では、クリスマスが家庭の団結を強めるようですね。
ふむ、アメリカ流・・・

世界各地の年越しシーンを見るようです。

良い嫁、演じていますぅ~
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はなはなさま、 (どいつりす)
2008-12-17 01:56:39
クッキーと餅作りでは手間隙のかけ方のレベルが違いすぎるように感じます。
もちろん、餅の勝ち!!
実父の実家(新潟県)ははるか昔に餅つきをやめてしまいました。
米どころの餅、子供の頃しか味わえませんでしたが、その旨さ、いまだ忘れていません。

餅は面倒だけど、クッキーはそんなに根性や技術が必要なものとは思えないのだけど~
それでも、面倒に思うドイツ人たちが増えているのでしょうかね~

クッキー程度だったら、その伝統、守ってやりましょう、本当にできそう!
餅より、楽勝!

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