額賀財務相「財源の議論を」 高齢者負担増の凍結案で(朝日新聞)
額賀財務相は21日の記者会見で、自民党総裁選に立候補した福田康夫元官房長官が高齢者医療費負担増の凍結検討を公約に掲げていることについて「2千数百億円の負担増を軽減することになるので、どの財源で補うかの議論がなされなければならない」と指摘した。
70~74歳の医療費窓口負担は来年4月から1割から2割に引き上げられる。仮にこの負担増を停止すれば、その分は税金を新たに投入する必要があるが、福田氏はその財源を明示していない。
来年4月から高齢者の医療費負担が倍増します。保険財政側から見れば9割から8割への削減ですが、患者から見れば1割から2割はすなわち倍増、大きな話です。この辺の改正には自民党内でもそれなりの反対はありまして、総裁候補の福田氏も凍結を公約に掲げているとか。ところが、この凍結によって生じる「負担」の財源を問う声があるようです。
色々疑問はあります。たとえば、この2千億という負担が大きいのか小さいのか、個人から見れば膨大な金額ですが、80兆の一般会計から見れば400分の1でしかありません。果てしなく大きな金額でありながら、国家予算の400分の1という数値、グラフにしてみれば差など見えない数値でもあります。2千億の使い道を誤ることは大問題ですが、しかし一般会計の400分の1の財源を明示しなかったからと言ってそれが非難に値するかどうかは疑わしくもあります。
高齢者の窓口負担の倍増を防ぐために必要とされる2000億円ですが、これと同程度の支出として思いつくのは「思いやり予算」です。アメリカ軍に支払うみかじめ料のことですが、これが2006年度は2326億円となっています。私の知る限り、この「思いやり予算」の財源を明示した政治家はいません。
そもそも、日本で財源を問われるのは福祉分野に限られるような気がします。「思いやり予算」の財源が問われたことはありませんし、昨年11月の減価償却制度の見直しで生じた6000億円の企業向け減税の財源が問われたこともありませんでした。証券優遇税制の財源だって問われてきませんでしたし、自衛隊の海外派兵や給油活動などの米軍支援の財源だって問われていません。財源が問われるのは、福祉の時だけなのです。
日本の高齢者と米軍のどちらが「思いやり」を必要としているのかは私には疑問の余地がないことに感じられるのですが、一方では金に糸目をつけず、一方ではあれこれと理由をつけて財布のひもを締める、これはどうしたものでしょう。そもそも、新たな福祉政策を追加するためならともかく、現行の制度を維持するコストを「負担増」と呼ぶのはどういう発想かと、その辺も問いたいものです。
米軍や大企業、資産家へのバラマキは後先考えずに強行する一方で、福祉に関しては妙なコスト意識を持ち出すのがこの国の通例です。米軍や企業にばらまく金は借金してでも捻出しますが、福祉のための金は出そうとしない、あろう事か福祉のコストを口実に無関係の消費税増税を持ち出す始末、本来ならば逆進性の高い消費税と社会保障は最も相性が悪いはずですが、何故かこれがセットで持ち出されます。挙げ句の果てには消費税を「福祉目的税」などと呼ぼうとする人も出てくるわけですが、それを言うならばまず先に「法人税減税目的税」とか、「米軍支援目的税」などと改称すべきでしょう。
福祉に金がかかるのは当たり前です。金はかかりますが、それは国民のためなのだから惜しんではならないのが福祉予算です。福祉予算を増額して国の財政が苦しくなったとしても、それで国民の生活が良くなればそれこそ必要な犠牲と呼ぶべきものですし、福祉予算を削って国の税制が「健全化」したとしても、それで国民の健康が失われたとしたら、それは間違いなく失敗なのです。
また、累進課税において、高所得者優遇のため、高所得者の税率を引き下げました。公平を期すため、私たち庶民に「恒久減税」として導入した定率減税を導入しました。しかし、定率減税だけ今年全廃しました。今度は、公平を期すため、高所得者の所得税率を元に戻せばいいのです。
いつも私が疑問に思い、不審に思っていたことばかりです。
どうして福祉関係だけ「財源がない」というのでしょう。財源はあります。使い方をきちんとしてもらえば出来ることだと思います。
それと、8/12の記事で触れておられた『輸出戻し税』。 主に経団連の一部大企業に大儲けさせるためのこの制度をそのままに、福田,麻生,舛添そして当然のごとく御手洗(全て敬称略)、消費税増税連呼。
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国民を舐めています。選挙でとくと仕返しを致しましょう。
財源なんて、そこにもここにも無駄使い予算として転がっていますよね。官僚の無駄遣い予算(特別会計)は一般会計の何倍もの闇会計。どんな使い方をされているのでしょう。
それにインド洋の給油と国民の命につながる福祉予算と、どちらに重きを置く政府なのかを、とくと拝見致しましょう。その結果は、やはり選挙でですよね。
20年くらい前までは、消費税なんて無くても福祉の財源はあったわけですからね。消費税5%で10兆を超える歳入があるわけですが、その増えた分を法人税や高所得者向けの減税に回してしまっているわけで、法人税や累進課税を「上げる」のではなく「戻す」事、財源を考えるならまずはここでしょう。
>junさん
法人税減税や米軍支援のためなら惜しまないのに、福祉のこととなると「財源がない」、政府が何を重視しているのかがはっきりする事例だと思います。金はあるわけですから、その使い道を見直してもらわないといけませんね。
>サイトーさん
歳入には色々とある中で、何故か消費税増税だけを唯一の選択肢であるかのごとく装う輩ばかりですから、いやはや困ったものです。
ちなみにblogランキングですが、クリックありがとうございます。IP一つに付き1日1回までのカウントらしいのですが、どうもアクセス数に見合わないクリック数を得ているブログもあったりするなど、この辺はちょっと謎です。何はともあれ、これからもよろしくお願いしますね。
>レインボーさん
インド洋の給油活動と国民の福祉と、どっちが必要なのか、その辺の判断が根本的に我々国民と政府与党との間で食い違っているのでしょうか。謎の非公開予算である特別会計まで考えれば、決して福祉予算として2000億円を捻出するのは難しいことではないはずです。そもそも財源の有無が問題ではなく、欠かせないものである福祉の財源が問われることが問題、このことに有権者が気付いてくれれば状況を変えることもできそうなのですが。
夜警国家とか、福祉とかに徹底的に無関心だった昔の香港のようなところはいざ知らず、政治って所得の再配分がその機能の大きな柱だと思いますが、最近の日本はそれがきわめてお粗末になってしまっています。
消費税のような逆進性の強い税を福祉に回すとしたら、それは10mの穴を掘ってそれを埋めるような行為にも見えますね。基本はゆとりのあるところから困窮しているところへ、なのですが、すっかり忘れられているようです。