RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク) BLOG.

RC-NET STAFFによる、日常の些細な出来事から、お知らせまでいろいろなぶろぐ。

青森県警の要望書受け取り拒否に関する経緯等

2016-12-26 16:11:55 | スタッフ日記

RC-NETでは、青森県警が性犯罪予防として出しているリーフレットの内容をきっかけに、
今日、青森県警本部に対し性犯罪予防啓発に関する要望書提出に伺いました。

リーフレットの内容は以下でご確認いただけます。
http://blog.goo.ne.jp/rc-net/e/3fb28c104d615ea336df8042e176e5c5

青森県警だけの話ではなく、全国においてよくあること、ではありますが、
性犯罪予防に関して、警察での予防は「被害にあうかもしれない人を限定的に断定し、
行動の制限をすること」を呼びかけるものがほとんどです。
被害にあわないために○○しろ、というだけで、具体的な情報が一切無いという形では、
被害者への二次加害にも繋がり、現実的な予防行動に繋がらないという思いから、
より有益な予防啓発のために要望書を作成しました。

要望の提出に至る経緯として、事前に電話で3回に渡り担当部局の方とお話しもさせていただいていましたが、
当日、現地でいきなり担当部局の室長から「要望書は受け取らない」と言われました。
「そんな話は聞いていない」「話をきけというから聞くだけだ」と、今までの話がなんだったのか…ア然とするしか無い状況でした。
メディアも3社同行していましたが、全て締め出され、
こうなると第三者のいない密室での話は嫌なので、すべて録音をさせていただきたいと言ってもすべて断られ、
要望書も受け取り拒否、そして、被害予防に関わる警察用意識調査アンケートも用意していきましたが、
それについても無言で押し返されるということになりました。

例えば、県議会を通して、また議員さんなどからお力添えをいただいて、ということも考えましたが、
まずは市民として、市民の意見をちゃんと聞き入れてくれる警察であってほしいという思いから、
今回の要望書提出を警察本部との話し合いの中で出させていただくことになりましたが、
過程として、要望書の受け取り拒否ということが起きた、ということをみなさんとシェアできたらと思いこの記事を書いています。

今回の要望に関しては、もちろん、青森にいる当事者の思いを聞いたり、
各地のサバイバーたちの声を、想いを詰め込んでかかせていただいたものです。

国に意見を、ということも大事ですが、国から、地元警察の意識変革まではとても道のりが遠いと感じています。
これからも、地元から地元に声を届けることはやめるつもりはありません。

今回、対応くださった部局は犯罪被害についての予防をすると同時に、
被害者の相談も聞いているところでした。
あまりの高圧的な態度と無理解に、ここに被害者を連れて行くことについて、改めて「恐ろしい」と思った次第です。

参考までに、今回提出予定であった要望書の内容を、以下に貼ります。

ここには書ききれませんが、本当に沢山の、性被害に関する無理解をぶつけられ、
こうした二次加害的言動を日々、サバイバーたちは受けているのだなということを改めて感じました。
性被害について、適切に対応し、当事者の声が社会に届くまでの道のりに暗澹たる思いでいます。

青森でこんなことがありました、ということで、
情報の一つにしていただければと思います。

希望は失わず、されど怒りを殺さずに、と心新たにしました。


RC-NET代表 岡田実穂

------------------

性暴力被害者の人権を守る視点での社会的予防を実践してください
レイプクライシス・ネットワーク

性暴力被害は全て「加害者が加害をした」ということから始まります。
しかし、社会は性暴力被 害にあったということを被害者の言動に理由付けをしがちであり、
その理由の一つに、日本社会で 「当たり前」とされている性暴力被害に関する予防啓発手法があると私たちは考えています。
予防啓発の多くが性暴力被害に「あう可能性がある人」を限定的に断定し、その行動を制限し、
常に警戒することを促すものです。間違った「予防」は効果を出すことも出来ず、性暴力の偏った イメージを社会に流布し、
被害にあってしまった人が被害についての訴えを起こすことを躊躇さ せ、泣き寝入りを強いる理由にもなります。
この度、⻘森県警による性犯罪予防に対し以上を踏まえ下記の要望をさせていただきます。

1、 被害があるのは「加害者が加害をしたから」。被害者は悪く無いとまず常に伝えて下さい

一般に予防行動として示されるレイプ神話を含む例をもって加害者は被害者に自責の念を押し付ける言動を脅しとして使うことがあります。
被害者に「自分が悪い」と思わせるこ とは、性被害の可視化を阻害し、予防どころか加害者の行動を後押ししてしまいます。

2、 性暴力に関する社会の意識改革を軸とした予防を推進して下さい

性暴力に関するリスクをゼロにすることは不可能ですが、リスクを減らすことは出来ます。
性暴力被害にあった多くの人が被害時にバイスタンダー・傍観者がいた報告をしていること から、社会の認識の変化が求められています。
傍観者だった人々が緊急時の積極的な介入方 法を身につけること、
それぞれのコミュニティ(国、自治体、町内、学校、職場等)で具体的な予防指針を立てることは性暴力被害未然防止に繋がると考えられています。

3、 性暴力に対し警察が厳しく取り締まるという姿勢を予防の中で示して下さい

被害者への呼びかけと同時に、「加害者が加害をする」のを予防してください。
性犯罪が いかに悪質であるか、また警察がそれに厳正に対処するという姿勢を示すことは加害のハードルを上げるだけではなく、被害者へのエンパワーにも繋がります。

4、 予防啓発に関わる事業の際は、必ず被害者支援情報を伝えて下さい

被害者はどこにでもいます。予防という名目だからと被害者支援と別だと考えず、性被害 についての語りには必ず支援情報を入れてください。
被害は単発のものとは限りません。被 害を相談することは、継続した被害を予防することに繋がります。

2016 年 12 月 26 日


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。