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鴨長明『発心集』(1214頃)「第五」:「三」親指が2本とも蛇に変じ、見る目も鮮やかに、舌をぺろぺろ出していた!

2020-02-21 10:17:00 | 日記
※鴨長明(1155頃-1216)。 ※現代語訳は角川ソフィア文庫を参照。

「発心集 第五」「三 母、女を妬み、手の指蛇になる事」
(1)
壮年の男が、長年、年上の妻と連れ添っていた。彼女には先夫との女の連れ子があった。その娘が成長したある日、妻が言った。「私は年を取った。私と別れ、私の娘と連れ添ってください。」男も娘も「よくない」と言ったが妻の決意は固かった。年配の妻は家の奥の一室に一人住み、男は継子の娘と連れ添って生活した。《感想1》この話の真実は、おそらく妻が言い出したのでなく、若い夫が望んでいると妻が悟ったのだ。年配の妻は仕方なく、いわば娘を差し出したのだ。
(2)
男も娘も、年配の独り自室で暮らす妻(母)を疎略に扱わなかった。年月がたったある時、母が大変物思いにふけっているので、男が外出している時、娘が心配して母に事情を尋ねた。《感想2》実の母娘だから、二人は本当の話ができるだろう。
(3)
母が言った。「この家のことは、私の考えから勧め申し出たことだ。だから誰も恨んでいない。」そして続けた。「だが恨めしい気持ちが心の内に動く。」母が左右の手を娘に見せた。親指が2本とも蛇に変じ、見る目も鮮やかに、舌をぺろぺろ出していた。《感想3》1人の男をめぐる2人の女の確執は、親子でも、理性でコントロールできない。六条の御息所(ミヤスドコロ)の生霊が勝手に体から抜け出し憎む女をとり殺す例もある。
(4)
娘はすぐに髪をおろし尼になった。帰ってきた男も驚愕し、すぐ法師となった。母親も尼となり、仏道修行をして日々を過ごした。やがて指はもとに戻った。鴨長明の意見:「女にありがちな、人をそねみ、妬む心」が「罪深い報い」を受けたのだ。《感想4》これは男性が描く女性観だ。実際の女性は、男と同じように、つまり誰も同じで、現実的・プラグマチックかつ生活力を持ち、計算高く生きる。またそうでないと生きていけない。《感想4ー2》若い男(夫)の欲望の無言の圧力に屈した母親の無念だ。《感想4ー3》3人の関係の修復は、仏の力にすがるほかなかった。
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