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叢小榕『老荘思想の心理学』第2章8「無用の用――地と図の分化」(『荘子』雑篇・外物):「有用」と思われるものは、実は「無用」と思われるもののはたらきがあって初めて「有用」だ!

2023-12-27 14:51:39 | 日記
※叢小榕(ソウショウヨウ)編著『老荘思想の心理学』新潮新書、2013年:第2章「どうすれば価値を見極められるか」
(8)無用の用――地と図の分化(『荘子』雑篇・外物)
荘子が言う。「無用がわかって初めて有用について語ることができる。」例えば「天地は広くて大きいが、人にとって有用なのは、足を容れるほどの広さだ。だからといって、足を容れる以外の(無用な)土地が黄泉(ヨミ)まで掘り下げられ(使えなくなる)とすれば、人間にとって、(有用とされる)足を容れるほどの土地は、もはや無用だ。(つまり役に立たず有用と言えない。)」(『荘子』雑篇・外物)

★「有用」と思われるものは、実は「無用」と思われるもののはたらきがあって初めて「有用」なのだ。これが8「無用の用――地と図の分化」の主題だ。
《感想1》天地(全体)が地と図(無用と有用)に分化する。天地(全体)があって、したがって地(無用)があって、はじめて図(有用)が可能となる。
《感想2》「地」と「図」は反転しうる。全体のうち注視される部分が「図」であり、残余の注視されない部分が「地」である。

Cf. なお、すでに見たように、「有」の利は「無」の用に依存する。例えば、器(「有」)の中が「無」(ウツロ)だから、器として用をなす。これが7「無の用――無と有の相関作用」の主題だ。
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叢小榕『老荘思想の心理学』第2章7「無の用――無と有の相関作用」(『老子』第11章):器(「有」)の中が「無」(ウツロ)だから、器として用をなす!「うつろ」(「無」)だけでは貯水できない!

2023-12-26 12:48:00 | 日記
※叢小榕(ソウショウヨウ)編著『老荘思想の心理学』新潮新書、2013年:第2章「どうすれば価値を見極められるか」
(7)無の用――無と有の相関作用(『老子』第11章)
粘土をこねて器にするが、器の中が無(ウツロ)になっているからこそ、はじめて器として用をなす。戸や窓をもうけて家屋をつくるが、戸や窓や家屋の中が無(ウツロ)になっているからこそ、はじめて家屋として用をなす。ゆえに、有が利をもたらすのは、無が用をなすからである。(『老子』第11章)
★物は形があるからこそ有用だと考えられがちだが(「有の利」)、実は形のない「無」が機能として用をなす場合(「無の用」)が多い。
★だが「うつろ」があるだけでは器も家もなりたたない。例えば器の場合、「うつろ」だけでは水を入れ・貯水することができない。こぼれてしまう。器(「有」)の中が「無」(ウツロ)だから、器として用をなす。「うつろ」(「無」)だけでは貯水できない。
★かくて(有の)「利」と(無の)「用」は、「有」と「無」の相関作用によって生まれる。
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叢小榕『老荘思想の心理学』第1章6「誤って流した涙――感情の不条理」(『列子』周穆王):「感情」は「客観的」な事実に反応するのでなく、「主観的」なイメージに反応する限りで「不条理」だ!

2023-12-25 13:10:55 | 日記
※叢小榕(ソウショウヨウ)編著『老荘思想の心理学』新潮新書、2013年:第1章「理解と誤解の裏に何があるか」
(6)誤って流した涙――感情の不条理(『列子』周穆王ボクオウ)
燕(エン)の人で、燕に生まれ、その後、楚に長く住んだ人がいた。年老いたので祖国の燕に帰ることにした。同行の人が、燕の人を騙して、晋の城(マチ)を指して「これが燕の国の都ですよ」と言うと、燕の人は思わず厳かな表情を浮かべた。また「郷里の社(ヤシロ)」では感無量でため息をつき、「先祖が住んでいた家」では涙をはらはらとこぼして泣いた。さらに小高い塚を指して同行の人が、「あなたの先祖のお墓ですよ」と言うと、燕の人はついにこらえきれずに慟哭した。すると同行の人は大笑いし、「ここはまだ晋の国ですよ」と言った。燕の人はたいそう恥じ入ってしまった。やがて燕について、燕の人はほんとうに燕の国の「都」や「社」を見、ほんとうに先祖の「家」や「墓」を見たが、こんどは最初のように気持ちが高揚することはなかった。(『列子』周穆王ボクオウ)
★晋の国の偽の「故郷」と、燕の人が生まれた本当の「故郷」は、「客観的」には同じものでない。しかし燕の人は、いずれの「故郷」も「主観的」に本物だとその時々に思った。Cf. 「客観的」に本当の故郷は燕の人にとってもちろん「主観的」にも「故郷」だ。
★同じ(「主観的」な)「故郷」に対して燕の人の反応が違うのはなぜか?これは「同一の刺激がくりかえされると、それに対する生体の反応が減衰する」という現象、すなわち「馴化」(ジュンカ)(慣れ)にもとづく。
★誤認に基づいた(「主観的」な)「故郷」で情動が高揚すると、長年の願いがかなって本当の(「客観的」かつ「主観的」な)「故郷」に帰りついても、燕の人は「故郷」への「馴化」ゆえに、感情は高揚しない。

《感想》「感情」は「客観的」な事実に反応するのでなく、「主観的」なイメージに反応する限りで「不条理」だ。Cf.  もちろん「客観的」な事実と一致する「主観的」なイメージも当然ある。
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叢小榕『老荘思想の心理学』第1章5「管鮑の交わり――意図の解釈2」:管仲(カンチュウ)と鮑叔(ホウシュク)は「天下を匡(タダ)す」という共通の志で結ばれていた!

2023-12-23 13:12:27 | 日記
※叢小榕(ソウショウヨウ)編著『老荘思想の心理学』新潮新書、2013年:第1章「理解と誤解の裏に何があるか」
(5)管鮑(カンポウ)の交わり――意図の解釈2(『列子』力命、『荘子』雑篇・徐無鬼)
中国春秋時代、斉の桓公(カンコウ)に仕えた宰相の管仲(カンチュウ)(管夷吾)と大夫の鮑叔牙(ホウシュクガ)(鮑叔)とは幼いころから仲がよかった。かつてともに商売をして管仲が分け前を余分に取ったときも、鮑叔牙は管仲が貧乏なのを知っていて管仲を「欲張り」と思わなかった。管仲が鮑叔牙のために事を計画して失敗し、逆に鮑叔牙を窮境に陥れたときも、鮑叔牙は「時の利と不利がある」として非難しなかった。また、管仲が戦に敗れて逃げてきても、鮑叔牙は管仲を「臆病者」と思わなかった。管仲に老いた母がいることを知っていたからだ。のちに、桓公に管仲を推薦したのは鮑叔牙であった。桓公は、敵国の家臣だった管仲を殺そうとしたが、鮑叔牙が「管仲は有能な人で、国を治めることができます」と言い管仲を推薦したので、桓公は管仲を宰相とした。管仲は「我を生む者は父母なり、我を知る者は鮑叔なり」と言って、鮑叔牙の厚意にいつも感謝し、終生変わらなかった。二人の親密な友情は「管鮑(カンポウ)の交わり」と言われる。(『列子』力命)

★だが「管鮑(カンポウ)の交わり」は単なる「友情」では説明できない。宰相の管仲が重い病にかかった時、桓公が「仲父(管仲)にもしものことがあったら、わたしは誰に国政を誰に任せたらよいのだろう?」「鮑叔牙がよいと思うのだが」と言った。すると管仲が言う。「それはいけません。鮑叔牙は廉潔な善人です。自分に及ばないような人とは親しくせず、一度他人の過失を耳にすると、一生それを忘れません。彼に(宰相として)国を治めさせると、主君にも、民にも逆らい、そのうちに主君から罪を問われることになるでしょう」と答え、代わりに隰朋(シュホウ)を推挙した。(『列子』力命、『荘子』雑篇・徐無鬼)

★「管鮑の交わり」における友情は単なる「私情」だけではない。二人は「天下を匡(タダ)す」という共通の志で結ばれていた。だから①管仲はかつて鮑叔から推挙されたからといって、自身の後継の宰相に鮑叔を推挙しなかった。また②鮑叔も、自分が管仲を宰相に推挙したからといって、管仲が自分を推挙しなかったことで、管仲を「恩知らず」と非難することもなかった。

Cf. 桓公は、「一にも則ち仲父、二にも則ち仲父」(何かあればまず管仲に相談する)と言った。
Cf. 『貧交行』で杜甫(712-770)は「君見ずや管鮑貧時の交わりを、此の道、今人棄てて土の如し」(貧しかった頃の管仲と鮑叔の、固く結ばれた友情をご覧なさい。今の時代の人々は、あのような友情を土くれのように捨ててしまった)と詠んで、二人の親交を称えた。
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オリジナル・ミュージカル『The Agent』有楽町よみうりホール:元FBI捜査官レンは姉のライラが誘拐されたことから国連の諜報機関UNISのメンバーとして奮闘し復活を遂げていく!

2023-12-22 13:12:36 | 日記
☆主人公レン・マークス(屋良朝幸):相棒を殉職させてしまった自責の念から、自堕落な賭ファイターとして生計を立てる元FBI捜査官。だが姉のライラが誘拐されたことから国連の諜報機関UNISのメンバー(the Agent)として奮闘し復活を遂げていく。
☆ライラ・サマーズ:レンの姉でジャーナリスト。レンのかつての相棒であるジェフの妻。 ローズ姉妹のコスメ会社が危険な薬剤(コスメ商品)の開発をしているのではないかと取材しているが、誘拐される。

☆ミリー・ローズ:ローズ姉妹の妹。子供の頃、コスメを作る科学実験をして、姉のマリーの顔に大火傷を負わせる。姉の火傷跡を治すコスメ薬品の開発に力を入れる。物語の事件の発端となる人物。
☆マリー・ローズ(可知寛子):ローズ姉妹の姉。姉妹でコスメ会社を経営し、また姉妹は超人気インフルエンサーだ。姉マリーは顔の火傷のために激しくいじめられ、社会への復讐を意図する。妹のミリーに、火傷跡を治すコスメ薬品の開発を強いている。だが実はそのコスメ薬品を社会への復讐のための大量殺戮化学兵器として使おうとしている。

☆ホセ・ロドリゲス(北園 涼):金を愛し自分を愛する悪党。表向きは実業家。儲けた金の一部を環境保護団体に寄付し篤志家ぶっているが、裏では人身売買、麻薬の製造密売、武器売買なんでもアリで巨万の富を築く危険な男。さらなる金のにおいに魅かれローズ・マリーと手を組む。マリーが、妹のミリーに開発させている火傷跡を治すコスメ薬品を手に入れ、それを大量殺戮化学兵器として使用し、大金をもうけようとしている。
☆暗殺者リッキー(高橋駿一):ホセ・ロドリゲスと通ずる殺し屋。身体能力が非常に高く、国連の諜報機関UNISのメンバーたちにとって強敵である。軽い身のこなしで隠密行動をする。

☆ロジャー・デュプリー(木内健人): UNISのボス。UNISを設立。元FBI捜査官で、レンやジェフに強い憧れを抱いていた。普段は鋭い観察眼と状況判断能力に長ける知性派だが、2人のことになると急にオタク口調になる。
☆カート・スミス(原 嘉孝):UNISの捜査官。規律を重んじる真面目な性格。
☆ザック・トーマス(植木 豪):ファイトクラブの対戦相手としてレンの前に現れるが、レンをUNISに加入させるためだった。姉ライラ(マリー・ローズの依頼でホセ・ロドリゲスが誘拐した)の救出のため、レンはUNISに加入する。ホセ・ロドリゲス(ミリー・ローズが開発したコスメ薬品を大量殺戮化学兵器として使用し、大金をもうけようとしている)の逮捕をUNISは、目的としている。
☆T.J.(寺西拓人):レンと同じく地下賭博場で賭ファイター(ファイトクラブの選手)をしていたT.J.は、レンにとても懐(ナツ)いている。ホセ・ロドリゲスやポジティブでカラッとした明るい性格。お調子者でお節介。

A  ローズ姉妹の妹ミリー・ローズは、姉マリーの復讐心を知り、「姉マリーの火傷跡を治すが大量殺戮化学兵器として使用できないコスメ薬品」を開発していた。誘拐されたレンの姉ライラ・サマーズは、ローズ姉妹の妹ミリー・ローズの協力によって、レンたちUNISに救出される。
B ホセ・ロドリゲスは、本拠をNNISに急襲される。暗殺者リッキーが身体能力が非常に高く、国連の諜報機関UNISのメンバーたちにとって強敵であったが、終に倒される。かくてホセ・ロドリゲスはNNISによって逮捕される。
C 姉マリーの顔の大火傷は、妹ミリー・ローズが開発に成功した火傷跡を治すコスメ薬品によって、やがて治療されるだろう。それによって姉マリーの「社会への復讐心」も消え去っていくだろう。

★The Agent
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