※叢小榕(ソウショウヨウ)編著『老荘思想の心理学』新潮新書、2013年:第2章「どうすれば価値を見極められるか」
(8)無用の用――地と図の分化(『荘子』雑篇・外物)
荘子が言う。「無用がわかって初めて有用について語ることができる。」例えば「天地は広くて大きいが、人にとって有用なのは、足を容れるほどの広さだ。だからといって、足を容れる以外の(無用な)土地が黄泉(ヨミ)まで掘り下げられ(使えなくなる)とすれば、人間にとって、(有用とされる)足を容れるほどの土地は、もはや無用だ。(つまり役に立たず有用と言えない。)」(『荘子』雑篇・外物)
★「有用」と思われるものは、実は「無用」と思われるもののはたらきがあって初めて「有用」なのだ。これが8「無用の用――地と図の分化」の主題だ。
《感想1》天地(全体)が地と図(無用と有用)に分化する。天地(全体)があって、したがって地(無用)があって、はじめて図(有用)が可能となる。
《感想2》「地」と「図」は反転しうる。全体のうち注視される部分が「図」であり、残余の注視されない部分が「地」である。
Cf. なお、すでに見たように、「有」の利は「無」の用に依存する。例えば、器(「有」)の中が「無」(ウツロ)だから、器として用をなす。これが7「無の用――無と有の相関作用」の主題だ。
(8)無用の用――地と図の分化(『荘子』雑篇・外物)
荘子が言う。「無用がわかって初めて有用について語ることができる。」例えば「天地は広くて大きいが、人にとって有用なのは、足を容れるほどの広さだ。だからといって、足を容れる以外の(無用な)土地が黄泉(ヨミ)まで掘り下げられ(使えなくなる)とすれば、人間にとって、(有用とされる)足を容れるほどの土地は、もはや無用だ。(つまり役に立たず有用と言えない。)」(『荘子』雑篇・外物)
★「有用」と思われるものは、実は「無用」と思われるもののはたらきがあって初めて「有用」なのだ。これが8「無用の用――地と図の分化」の主題だ。
《感想1》天地(全体)が地と図(無用と有用)に分化する。天地(全体)があって、したがって地(無用)があって、はじめて図(有用)が可能となる。
《感想2》「地」と「図」は反転しうる。全体のうち注視される部分が「図」であり、残余の注視されない部分が「地」である。
Cf. なお、すでに見たように、「有」の利は「無」の用に依存する。例えば、器(「有」)の中が「無」(ウツロ)だから、器として用をなす。これが7「無の用――無と有の相関作用」の主題だ。