DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

標的射撃訓練の奇聞!(Humor in Uniform, “Reader’s digest” JUNE2018)

2018-06-30 17:16:40 | 日記
(1)
父はいつも、彼の艦の砲手たちを自慢していた。 Dad always boasted about the gunners on his ship.
標的射撃訓練で、無人のドローンが、対空巡洋艦を飛び過ぎて行った。 During target practice, an unmanned drone flew past an antiaircraft cruiser.
その巡洋艦が砲撃開始したが、砲弾がドローンに当たらない。 The cruiser opened up, but shells didn’t hit the drone.
続いて、父の艦の順番となった。 Then came Dad’s ship’s turn.
砲手の第1弾が、ドローンを水に撃ち落とした。 The gunners’ first shot sent the drone into the water.
(2)
40年後、父は、当の砲手と会った。 Forty years later, Dad met the gunner responsible.
彼は、非常に印象深い出来事だったと言った。 He told him how impressed he had been.
彼が 父に言った。「そのことで僕はたくさん、ひどい目にあった。というのも、《ドローンの周りを撃つので、当ててはいけない》ということになっていたのだ。」 
He told Dad, “I got in a lot of trouble for that because we were supposed to shoot around the drone, not hit it.”
父はショックを受けた。 Dad got shocked.

《感想》
標的射撃訓練なのに、標的に当てない訓練とは、不思議だ!軍隊の奇聞だ。(a military anecdote)
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新津きよみ(1957-)「ホーム・パーティー」(1998年):上品な心理的復讐、警告だが、効果は十分あったろう! 

2018-06-30 14:11:48 | 日記
(1)
岡崎容子(33歳)は、夜景のきれいな都心の高層マンションに住み、すでに5年がたつ。部屋には、10人座れるダイニング・テーブルがあり、よくホーム・パーティーが開かれる。夫の英和(ヒデカズ)(34歳)は、大手の洋酒会社に勤務する。二人は、よく映画、芝居に出かけ、年に数回の旅行をする。子供はいない。英和は審美眼もあり、時に、油絵を画廊で買う。英和の経済力と、美意識に容子は満足していた。マンションは、英和の父の遺産で買った。

《感想1》
経済的に何の問題もない中層上位の夫婦だ。しかもDINKs(ディンクス)(Double Income, No Kids)、つまり共働きで子どもを作らない夫婦だ。カネがあり、優雅な生活!

(2)
3か月前、容子と英和は、銀座に出かけた。容子は、お気に入りの真珠のネックレスをしていた。その途中、偶然、英和の大学の2年後輩の小宮直樹と、その妻・聡美(サトミ)(26歳)と会う。直樹はチェロを演奏し、油絵も描く。英和が、二人をホーム・パーティーに誘った。
(2)-2
その1か月後、容子は、銀座のデパートの絵画展で、再び、直樹と偶然会う。楽器を演奏し、絵も描く直樹(32歳)は、鑑賞するだけの英和と違う。英和の指は何も産み出さないが、直樹の指は音楽を、芸術を産み出す。容子(33歳)には、直樹の指が魔法の指に見えた。彼女は、猛烈に彼の指がほしくなった。「その指に触れられたら、自分も何か産み出せるような気がした。」
(2)-3
容子は、「子供も作ろうとしない・・・・・・、ひたすら消費するだけの自分たち夫婦の享楽的な生活に、ふっと嫌悪感を抱いた。」「あなたの絵を見せて」と容子は言い、直樹の部屋を訪れた。その日、聡美は、不在だった。
(2)-4
そして容子のほうから直樹を誘った。帰り際、容子のネックレスが切れ、真珠の粒が散らばる。「大丈夫よ」と容子が、拾いこぼしがないよう、丁寧に拾った。

《感想2》
「享楽的な生活に、ふっと嫌悪感を抱いた」と言う理由だけで、簡単に、浮気をするのか?「女心と秋の空」、また「男心と秋の空」だ。恋心は、ふわふわと不確かだ。

(3)
その2か月後、今日、ホーム。パーテイーに、直樹・聡美夫妻も出席した。聡美は、野暮ったく鈍感そうに見えた。聡美が手品を披露した。しかし失敗!「何だか容子はホッとした。見事な手品など披露されてはたまらない。」
(3)-2
気をよくした容子が、聡美が作って来た手製のデコレーションケーキを切り分けた。何口目かの時、容子は、歯ににかちりと堅いものが当たるのに気付いた。それは、なんと真珠の粒だった。
(3)-3
「大丈夫ですか、容子さん。お口に合わなかったとか」と、聡美が不安げに聞いた。
(3)-4
容子は狼狽した。あの時、一粒真珠を拾い忘れたのだ。それを聡美が見つけ、一目で自分の留守中、何が起きたのか、見破った。
(3)-5
「でもなぜ、この真珠の入ったひと切れが私のところに、来たのか?」容子は、疑問がわいた瞬間、理解した、聡美の「見事な手品」だった。一見、野暮ったく鈍感そうに見える聡美の指こそ、魔法の指だ。そして「ケーキに入れてお返ししましたよ。もう二度と主人を誘わないでくださいね」との聡美のメッセージだ。

《感想3》
上品な心理的復讐、警告だが、効果は十分あったろう。聡美(26歳)は賢い。容子が一本取られた。容子と直樹の浮気は、一回で終わるだろう。
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美空ひばり(1937-89)「川の流れのように」(1989年):「おだやか」でいたいとは、《あらがい、戦い、苦労に七転八倒したり》しないで、生きたいという願望だ!

2018-06-29 21:04:46 | 日記
 「川の流れのように」 Like the stream of a river
(1)
知らず知らず 歩いてきた I have been walking down without notice
細く長い この道 along this narrow, long road.
振り返れば 遥か遠く When I look back,
故郷(フルサト)が見える I see my home town in the distance.
でこぼこ道や 曲がりくねった道 The road is some time bumpy, and some time winding.
地図さえない それもまた人生 I even have no map of the road, but it is also a life of yours anyway.
ああ 川の流れのように ゆるやかに Ah, like the stream of a river, gently,
いくつも 時代は過ぎて many eras passed.
ああ 川の流れのように とめどなく Ah, like the stream of a river, endlessly,
空が黄昏(タソガレ)に 染まるだけ the sky only becomes red at sunset.

《感想1》
今、もう若くない。人生を振り返る。気づけば、細く長い道をはるばる歩いてきたのだ。遥か遠くに見える故郷とは、地理的なものであるとともに、幼少年期の体験のことだ。
《感想1ー2》
人生は、試練の連続だ。でこぼこ道、曲がりくねった道。ここまでよく生きて来れた。地図などそもそもない。
《感想1ー3》
だが「地図」を、人生の「予測」と考えるなら、人生に大まかな「地図」はある。つまり人生の「予測」が、ある程度、可能だ。親の財産、社会的地位、本人の能力等が、人生のある程度の「予測」、つまり「地図」を提供する。
《感想1ー4》
いくつもの時代が過ぎていく。「十年一昔(ヒトムカシ)」と言う。社会的・歴史的諸時代もあれば、個人史的な諸時代もある。
《感想1ー5》
人生はやがて黄昏(タソガレ)る。それは死であり、誰にも訪れる。だがそれは、人生を無意味にしない。《人生には終わりがある》という事実があるだけだ。

(2)
生きることは 旅すること To live your life is equal to making a trip.
終わりのない この道 This road is endless.
愛する人 そばに連れて I walk together with my loved one side by side,
夢 探しながら while searching dreams.
雨に降られて ぬかるんだ道でも Even if the road is muddy because of a rain,
いつかは また 晴れる日が来るから sooner or later, a fine day comes again.
ああ 川の流れのように おだやかに Ah, like the stream of a river, calmly,
この身を まかせていたい I want to let myself go as I am.
ああ 川の流れのように 移り行く Ah, like the stream of a river, in the change of seasons,
季節 雪どけを待ちながら I wait for the time when snow melts.

《感想2》
人生に確かに終わりはあるが、人生が続く間、その「終わり」はない。生きている間に「死」はないから、かくて、生きている間、終わり(死)はない。
《感想2ー2》
「愛する人」は、パートナーでもあるし、父母でもあるし、子供でもある。
《感想2ー3》
人生を支えるのは三つのものだ。それを、パウロは「信仰と希望と愛」と言った。「信仰」とは、この世に究極の意味を与える超越的(彼岸的・天上的・神的)価値だ。「希望」は、時間的に未来に約束されるこの世の(此岸的・地上的)パラダイスだ。「愛」は、人間そのものの肯定・人間の尊厳の確認が、他者からなされる、あるいは他者に対してなすことだ。
《感想2ー4》
「いつかはまた晴れる日が来る」というのは、本当だろうか?本当でなくても、そう思わないと生きられない。
もちろん、成り行きまかせで、《そもそも期待はしない》という人生態度をとるほかないときもある。それは、まことに辛い人生だ。
《感想2ー5》
「おだやか」でいたいとは、《あらがい、戦い、苦労に七転八倒したり》しないで、生きたいという願望だ。《身をまかせきったまま、何もしないで、幸せに生きていけたら》と思うが、そんなことはないので、それは願望だ。
《感想2ー6》
人生は変転し、山あり谷ありだ。これが「移り行く季節」だ!雪深い困難な季節は、じっと「雪どけ」を待つしかない。だが「雪どけ」は本当に来るのか?不安だが待つ。


(3)
ああ 川の流れのように おだやかに Ah, like the stream of a river, calmly,
この身を まかせていたい I want to let my self go as I am.
ああ 川の流れのように いつまでも Ah, like the stream of a river, forever,
青いせせらぎを 聞きながら I hear the murmur of a blue stream.

《感想3》
願望が再び繰り返される。「おだやか」な人生への願望。弱肉強食、嫉妬、妬み、嫌がらせ、いじめ、憎悪、侮蔑等々、あらゆる悪徳の中で、修羅のように戦い傷つく人生。「おだやか」に、身をまかせることができる人生があればと願う。川は、自ら何もしなくても、「おだやか」に流れていく。
《感想3ー2》
川は涼しく青い。水は生き物の故郷だ。そのような水の流れる音は、生き物である人間の心をおだやかにし、癒してくれる。人生の戦いに疲れた者が、青い(水の)せせらぎによって、救われる。
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映画『羊と鋼の森』(2018年):「懐かしい」とは、言葉が、心の状況に親和的、近いという意味だ!心に、ぴったりした言葉が、「懐かしい」言葉なのだ!  

2018-06-29 13:17:20 | 日記
(1)
ピアノ調律師の青年を描く。2016年本屋大賞、宮下奈都の小説を映画化。主人公・外村の家は、父が林業に携わるので、森の中にあった。
《感想1》
小説が「文字言語」で描く心理世界、感情世界を、「映像」の向こう側に展開させるのは、なかなか大変だと思った。森の映像、雪の映像が美しい。

(2)
将来を描けず悩んでいた高校生・外村は、体育館でピアノを調律する板鳥と出会い、調律の世界を目指すと決意する。
《感想2》
①将来を決定する出来事に、若い時点で出会うことがある。
②ただし、そういう出来事に出会う者もあれば、徐々に希望が定まってくるケースもある。
③将来性のある業界は何かを検討して、仕事の分野を決めることもある。
④自分の適性も考慮しなければならない。
⑤自分の関心ある仕事に、つければ、最良だ。
⑥しかし適性・関心など言ってられなくて、ともかく稼がなければならないので、何の仕事でもやらねばならないことが多い。
⑦自分の能力・学力・検定資格等も考慮しなければならない。
《感想2-2》
主人公・外村は優秀だ。調律師になれたのであり、その上、有名な楽器店に調律師として就職できたのだから。

(3)
専門学校を出て外村は、新米調律師として働く。調律師の先輩・柳が、外村のよき先達(センダツ)だ。高校生姉妹・和音(カズネ)と由仁(ユニ)との出会いも、外村を変えていく。
《感想3》
新米は、学ぶ姿勢が、大切だ。また先輩・柳は、出来過ぎの先輩だ。意地の悪い先輩、無能な先輩も多い中で、外村が先輩・柳に出会えたのはラッキーだ。『徒然草』で吉田兼好が「先達はあらまほしき事なり」と言った通りだ。

(4)
外村:「板鳥さんはどんな音を目指していますか?」
板鳥:「外村くんは原民喜を知っていますか。その人がこう言っています。」
板鳥:「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながらきびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のように確かな文体。」
《感想4》
原民喜は繊細な人だ。彼は原爆にあい、心が壊れてしまった。
《感想4-2》
上述の原民喜の言葉は、「沙漠の花」という文章(『報知新聞』1949/10/13号)の中にある。彼が自殺する2年前だ。文章は、「私の途は既に決定されてゐるのではあるまいか。荒涼に耐へて、一すぢ懐しいものを滲じますことができれば何も望むところはなささうだ」で終わる。
《感想4-3》
原民喜のここでの主張で、ポイントは、「懐かしい」の語だ。「懐かしい」は、英語の「familiar」(親和的、近い、見慣れている、親しい)に相当する。つまり「懐かしい」とは、言葉(or文体or語)が、心の状況(感覚・感情・欲望・意図・思考)に親和的、近いという意味だ。心に、ぴったりした言葉が、「懐かしい」言葉なのだ。

(5)
最後に、和音(カズネ)はピアニストをめざす決意を語るが、「ピアノで食べていく」のでなく、 「 ピアノを食べて生きていくんだよ 」 って言葉が印象的だった。
《感想5》
ピアノは生きる手段でなく、生きる目的なのだ。ピアノを手段として、目的の食物を得る(「ピアノで食べていく」)のでなく、ピアノが目的(つまりピアノが食物)なので、「ピアノを食べる」のだ。
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大ブーイング覚悟で、相手チームを応援した立派な尊敬すべき父親の話(“Reader’s digest” JUNE 2018)

2018-06-28 18:55:12 | 日記
私が12歳だったとき、父と私で、シカゴ・ホワイト・ソックスとインディアンズの試合を見た。 When I was 12 years old, my dad and I watched a game beetween the Chicago White Sox and the Indians.
私たちは、シカゴに住んでいた。 We lived in Chicago.
球場で私たちは、地元の酒場の熱烈なソックス・ファンと一緒だった。 At the stadium, we were with a group of local tavern, who were the die-hard Sox funs.
9回、ソックスは、1点勝っていた。 In the nineth inning, the Sox was ahead by a run.
その時、私は、「9回にインディアンズが、試合を引き分けにしたらいいね」と言った。 At that time, I said, "I hope that the Indians tie the game in the nineth."
私たちの周りのソックス・ファンは不穏だった。 The Sox funs around us were horrified.
しかし父は、インディアンズが得点を入れろと、応援した。 However, my dad started cheering the Indians to score.
男たちが「やめろ;お前はソックス・ファンだ!」と叫んだ。 The men yelled, "Cut it out; You are a Sox fun!"
ソックスが勝って、終わった。 The sox ended up winning.
みんな、ハッピーだった。そして父と私は家に着くまで、ずっと笑っていた。 Everyone was happy, and my dad and I laughed all the way home.
私は、父が(今はもう亡くなり)いなくて、とても寂しい。 I miss him tremendously.

《感想1》
シカゴに住んでいて、しかも筋金入りのソックス・ファンと一緒に野球観戦に行って、相手チームを応援するなど、普通、恐ろしくて考えられない。
《感想2》
それなのに、この子の父親は偉かった。子供の気持ちを大切にし、大ブーイング覚悟で、相手チームを応援した。立派な尊敬すべき父親だ。
《感想3》
結局、ホワイト・ソックスが勝ったので、無事、円満におさまった。よかった。
《感想4》
この子供にとって、一生の忘れ難い思い出となった。今、彼が、亡くなった父を、懐かしく思い出す気持ちが、よくわかる。
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