鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・サンフランでお会いしたゴバ教授

2014-10-07 | 「ぷらっとウオーク」 2012年~2015年

サンフランでお会いしたゴバ教授        

                                                         情報プラットフォーム、No.324、9月号、2014、

   四十年以上も前の話である。ある日、親しくしていたスタンフォード大学のシャービー教授ご夫妻が私達を夕食に誘ってくれた。「ディナーにはゴバ教授夫妻も 誘っている。彼の研究成果は君も良く知っているだろう」との話である。心当たりは全くなかった。でも、お会いして、名刺を頂き、研究論文の別刷り を貰って始めて分かったことは、ゴバ教授とは、有名な Goldberg教授であり、カナで表記すればゴールドバーグ教授だったのである。ゴールドのド(デュ、デゥ)とバーグのグ(グュ、グゥ)の音が聞き取れ なくてゴバ教授となったのである。でも一度聞いてしまうと、以後はデュとグュの音が明瞭に聞こえるようになるのは不思議である。口を閉じるときの 音として聞き取れるのである。日本語のガギグゲゴで、日本語の濁音の意識で、英語を理解しようとしたことが間違いなのである。

   シャービー教授ご夫妻が来日した時、銀座の散策のお供をしたことがある。ホスト役の中村教授ご夫妻の代わりに、中村教授夫人とご一緒の街歩きである。奥様 は英語に堪能ではなかった。彼女は「日本にもマクドナルドは沢山ありますよ。(In japan we have many McDonald.)」と会話を続けようと努力するが全く通じない。「鈴木先生。どうして通じないのでしょう」と困っていた。私の「マック・デナル」のよ うな発音で分かって貰えたのである。終わりの「ド」は明瞭には聞こえない。外国語を覚えるとき日本人はカタカナで発音を記憶しようとする。これが 間違いの元なのである。

  日本人にとってサンフランシスコはとても長い単語に思える。だから「サンフランに行って来た」と表現する。「サン」「フラン」「シスコ」と3拍なのであ る。ロスサンジェルスも長いと感じる日本人は「ロスに居たことがある」と伝えることが多い。アメリカ南部の「ロスアラモス」もロスである。「何処 のロスですか?」と意地悪に聞き返したくなる。「ロス」「アン」「ジェルス」とやはり3拍なのである。

  現代の日本人は「アイウエオ」や「イロハ」が音声の基本と思っている。でも江戸時代や平安時代は違って居たようである。方言にはその痕跡が残っている。昔 は「わゐうゑを(ワヰウヱヲ)」のようにア行とワ行が区別されていた。出来るだけ原音に近く発音し、出来るだけ原音に近づけたカナ表現を心がけた と思われる。ロシヤをオロシヤ、イギリスをエゲレス、アメリカをメリケンなどがその例である。今の日本語には「R」と「L」の区別はないが、Rの 前にWが付くような音を区別しようとしたのである。ドイツ語にはウムラウトと呼ばれる母音がある。文字の上に2つの点を付けて(ä 、ö、ü)と表現する。例えば、ö(オーウムラウト)は、口を「オ」の形に開けたまま、「エ」と発音する音である。有名な川柳がある。「ギョエテとは俺の ことかとゲーテ言い」である。今ではゲーテが普通であるが、昔はギョエテと仮名書きしていた。ロナルド・レーガンが大統領になる時、最初の内はマ スコミではリーガンと報道されていた。

  仮名文字を持たない中国では、同じような,より大きな混乱が起こる。中国で大学の研究室に案内された時に、机の上の分厚い人名辞典を見つけた。有名な外国 人の漢字による表記法が記載されていた。「これに載っていない人がニュースになった時は?」の質問に対する答えは、「最初はまちまち、やがて統一 見解がだされる」であり、納得したことである。なお、音と意味を合わせる工夫を知るのも楽しいことである。明治時代には日本でも様々な工夫がなさ れた。「倶楽部(クラブ)」がその最高傑作である。中国(台湾)では「迷汝(ミニ・スカート)を発見した。

 

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp 〒718-0054 高知県香美市土佐山田町植718

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