Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

待ちかねたその出来

2024-03-28 | 
金曜日の準備である。先ずはブラームス四番の日本公演でのそれをざっと流した。土曜日のバーデンバーデンで貰って来た48時間無料券を使って、当日公演のプログラムをハイレゾで流した。

NHKでのそれはハイレゾではなかったので、判断が付きにくいところもあったが、先ずはサントリーホールでの音響からして評価が可能となった。先ずはモーツァルトから流していく。当時どのような音響の専門家が監修したのかは知らないが、ベルリンのフィルハーモニーに似せてあんな似ても似つかないホールを作ったのかは知らないが、あんなもやもや感は理想としたヴィーンの黄金の会場でもボストンのホールでもない。反射板を直したらしいが、マイクが捉える音もはっきりしないので音楽も作り難いだろうか。特にモーツァルトでの響きをザルツブルクのもっとチャーミングなモーツァルテイムなどと比較すると厳しい。シューボックスでもないので跳ね返りがはっきりしない。ワインヤード型でこんな会場を経験したことからホンダなどは反動でああした残響の短いホールを作るようになったのだろう。抑々オペラ劇場ではないのだから残響はそれほど大きな問題ではない。

二曲目のベルクで更にこの会場の特徴が確認される。なによりも抜けが悪いので、こうした曲になるとその美しさの欠片も飛んでしまう。ただの音楽愛好家のオーナーの気持ちで発注されただけかもしれないが、当時のシュミレーション技術などを考えても意図が全く分からない。それはブラームスでは濁りとなっていて、恐らく容積率が十分でなく自然減衰の余地がないのだろう。残響が長いこと自体が悪いのではなく、減衰しない音が残っているので静粛な音の美しさが皆無な音響となっている。

ブラームスの交響曲はベルリンでの公演の録画と合わせて時間が許す限り、シベリウスの協奏曲と共に聴いておこうと思う。

ティテュス・エンゲルが夜分にインスタグラムを流したので、何かと思うと長く待ちかねていたフランクフルトでの「マスカラーデ」のブルーレイ発売のお知らせだった。この公演は数日前のバリーコスキー演出「サロメ」に続いて初めてエンゲル指揮の新制作音楽劇場を鑑賞した今最も売れっ子のクラッツァー演出で制作であった。初日とその後のカメラが入っている日に出かけているが、良いものが出来たと思う。

既に評が出ているようにフランクフルトのアンサムブルとしては出色の出来だとなっていて、当時の個人的な感想の通りである。それ以外にも指揮の様子などを凝視して音楽劇場分野で今後どの程度の成功が期待されるかを値踏みしたのである。友人であることも考えると、客観的な判断を下すのには大変苦労したのだが、今回改めて記録されたものとして冷静に観聴き出来るので、その時に指摘できなかったことも可能になるかと思う。

しかし、その後に幾つもの制作を観てきたので、改めて気が付くことは少ないと思う。個人的な印象としては作品自体もこの制作自体もエンゲルの個人的なキャラクターや音楽的な素養も出ていると思うので決して悪くはないと思う。先ずは発注してからあれやこれやと書いてみたい。ハムブルクの監督になる演出家クラッツァーとの相性も昨年のベルリンのテムペルホーフでの公演でも悪くなかったので、いずれハムブルクでの指揮も増えるのではなかろうか。



参照:
春の息吹を注ぎ込む 2024-03-26 | 音
オペラ上演のノウハウ 2021-12-05 | 文化一般

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