Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

新極右翼親仁に学ぶこと

2009-01-26 | マスメディア批評
昨日は朝から出かけて日が暮れるまでプファルツの森を歩いて帰ってきた。帰りに右翼発言で顰蹙をかう酔っ払いの親仁に出くわした。あとで考えると、あの親仁には同じように列車で出会った事があるような気がする。なぜか馴染みがあるのだ、次ぎ会うと完全に友人扱いになってしまうようで少し恐ろしい。なんと言っても、おそらく日曜日毎にただのような切符で安い飲み屋に遠方まで出かけて気炎を上げている親仁だから、我が将来の姿を見るようで恐ろしい。今日はなんと公の場所でSS関係者の話題にまで及んだから、タブー無しの右翼野郎である。

離婚裁判で妻の「被害者への同情の安物感情を呼び起こす名演技」の被害者でもある自らの置かれた環境からの激しい連邦共和国や州政府攻撃だけならば、僻みたらたらのルサンチマン心情とも取られ、ただ情けない下らない人物像にしか映らないのだが、その中に唸らされるとまでは至らないが、真実を突いた発言が混じるので始末が悪い。

ドイツは外国人の子沢山のために福祉財源を使って、失業や老人への配慮が足りないとか基本的にはNPDなどの主張と変わらないのだが、そうした理不尽の原因を、「高等教育が大衆化すればするほど馬鹿になる」とか、どこの誰かさんが主張するような意見をぶちかまされると、なぜこの人がこんなに正論を吐くのだと驚かされるのである。

印刷工になる前に生活や趣味のためにワイン作りをしたということで、「農薬塗布のワインに高い金を払うやつがいるのが悪い」とか、「おかしなワインは口当たりが悪くても、あとで頭に来るとか」、「フランスの赤ワインは有機農業でなければ農薬だらけでどうしようもない」とか、「昔は古いワインが良いとされたが、最近は新鮮なワインでなければ飲めない」とか、「レストランで四ユーログラス一杯に払うなら一リッター瓶で買えるわい」とか、これまたどこかで聞いたような事を仰る。

「リースリングの酸は胃に来るから駄目という達が、フランスの農薬入り赤ワインでインポテンツになった」との衝撃珍発言 ― 「甘いリースリングで糖尿病」はこれは私の節 ― もあり、住んでいるワイン街道北端のキルヒハイムのワイン女王シルヴィア・ベンツィンガーの実家のレストランの価格表を見て「樽出しであんな値段は、幾ら有名人のご実家とは言っても払うのがいかんから、価格表を見て通り過ぎる」とか、人に腹の中では笑われるような話も入れながら、トルコ人の重要な商売であるデュナー攻撃に出るところは、なんとなく小泉元首相のポピュリズムに似ていて、本当の右翼よりは質が落ちるが大衆扇動効果はなるほど高い。

「イスラム教徒は我らクリスチャンを憎んでいるからな。あのヨーグルトソースはスペルマが入れてあるんだ。ランダウでもノイシュタットでもバットデュルクハイムでもそれが確認されとる」と来ても、誰もそんな阿呆な事をいいなさんなとは思わずに、内心「それもありえるわい」と思わせるところが、ドイツにおけるモスリム問題の核心を突いているのである。だからこそ、小泉ポピュリズムが大成功して、こうした元も子もない発言が明日からトルコ人の店の売り上げにやはり悪影響を及ぼすのである。

要するにこの親仁の発言内容はよくある安物の青少年がネットで使うような右翼発言の一種なのだが、もう少し考えてみればそれらが殆ど一次証明とか学問とか宣う修正主義者の屁理屈と裏腹であり、ポピュリズム政治家の発言の基礎を支えている考え方やその理屈の展開の仕方である事が分かるのである。そしてそれらを利用しているのが大衆ジャーナリズムと定義しても良かろう。

モスリムにどんな白の一次証拠を用意しろと言うのだ?被害者の人格の尊厳を宣ながら、人格をどのようにショー化しようというのだ?世論を誘導して扇動するために不確かな感覚に訴えかけるのだ。それを、中立という旗印に放置しておくマスメディアとは一体なんだ?

オバマ大統領は、ブッシュ政権の犯罪と国民の判断を訴追して責めるとは言っていないが、しかしそれを決して正当化していないという事が注目されている。上の親仁の口車に載せられそうになった我々仲間の化学博士のおろおろする戸惑いの顔をどこかで見たと思ったら、最近見たトム・クルーズの映画の中であった。



参照:
幼児化の文化教育政策 [ マスメディア批評 ] / 2009-01-20
「I have a dream」の効用 [ 歴史・時事 ] / 2009-01-22
素朴さ炸裂のトムちゃん [ マスメディア批評 ] / 2009-01-25
「一院制」などを煽る一部メディアと小泉・竹中ら (toxandoria の日記)
「“安さだけで買うな”“無駄遣いも必要”と言われても」 (関係性)
オバマは誇大妄想家 (虹コンのサウダージ日記)
ヨハン・ルックの2007年産ジルヴァーナ (新・緑家のリースリング日記)

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