パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

劇場

2018-05-27 | book
芥川賞作家、漫才師の又吉先生の第2弾、新潮2017年4月号の「劇場」を読んだ。芥川賞の火花が2015年3月発表なので約2年を経て発表された。言葉の連発というか、その感性の揺れ動きになかなかついていけない。

劇団を主宰し、脚本家の永田は、服飾の専門学校に通う沙希と暮らし始める。2人を軸に、なかなか売れない永田の心の葛藤が痛々しく、沙希の明るさがまばゆい。

青山での出会い、渋谷を舞台に、大阪弁の永田の苦しいほどの心の吐露が次々に解き放たれる。
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今が旬のスナックエンドウと新玉ねぎの炒め物

2018-05-20 | food
畑は夏野菜の準備が着々と進む。その中で花が咲き、蝶が舞う一角がある。
スナックエンドウだ。5月に入ってその実が次々と結び、食卓に並ぶ。
そして、新玉ねぎだ。味噌汁に入れるとその新しい風味と甘さが格別だ。

その旬の料理。二つを同時に炒める。塩と胡椒だけのシンプルな味付け。うまい。
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すぐれもの 24 退職の三角だるま

2018-05-13 | すぐれもの
三角だるまをご存じだろうか。新潟県阿賀野市の郷土民芸品だ。日経平成30年1月30日火曜日の文化欄に掲載されていた。かかあ天下な民芸品として手仕事作者の今井マス子さんの投稿だ。

「今井人形や」は約200年前から続く。3代目が土人形づくりを始め、4代目がこの三角だるまの原型を生み出したという。この記事の写真のかわいらしさ、素朴さに惹かれ、ネットで購入した。

その魅力は、赤いお母さんの人形が一番大きいこと。かかあ天下を表すらしい。そして、皆が右下を見ている愛らしい目。

購入したのは親子だるま。青色の父親と白い子供の3人セットだ。送料込みで4,780円。高さはお母さんの赤いだるまで30センチ。この親子3体は、退職のお祝いに贈られることが多いらしい。この春、定年退職をした。
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言の葉の庭

2018-05-06 | book
アニメを本として紹介するのは、いかがかと思う。しかし、この「言の葉の庭」は、まるで映像が本のように鮮やかに心に広がっていく。男女の出会いと成長を文章として読み、空想し、映像化したかのようだ。

1973年生まれの新海誠。2016年のアニメ「君の名は。」で一世を風靡したアニメーション作家。その2013年作品が「言の葉の庭」だ。文芸評論家、1963年生まれの榎本正樹が、新聞で「新海誠を読む」で連載していた。このアニメーションは、27歳の女性教師とその教師が勤める高校1年生15歳の生徒の物語だ。

都会の新宿御苑と思われる日本庭園の東屋での出会いを中心に学校や家庭のシーンも、6月の梅雨から、翌年2月の冬のシーンまで、季節ごとに、雲や空、電車や町の印象的な風景を鮮やかに交えて描く。雨とピアノの音が印象的だ。

生徒たちのいじめに遭い、学校へ行こうとするも行けずに、味覚障害になる雪野先生。靴職人になる夢を追い、その専門学校へ行こうとバイトにあけくれるタカオ。不器用だけど、苦しみながらも一生懸命に生きている2人。壁にぶつかりながらも、歩んでいく。その二人の心の交流がすばらしい。万葉集の相聞歌など、細部のきめ細やかなディテールもいい。

エンディングロールの終わりに、2月の今の二人が描かれる。四国で教師をしている雪野。そして、彼女の靴を完成させたタカオだ。

アニメを文芸評論家が評する。雨や風景はリアリティにあふれ、実写にない魅力的な季節感をアピールするが、人間の顔が2面体で、ロボットみたいに見える。それがアニメの限界であり、実写にない迫力を産むのだろう。
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さよなら、田中さん

2018-05-05 | book
児童文学というと、大人が児童に読んでもらうための文学なのだが、小学生が書く文学とは、児童文学になるのだろうか。鈴木るりかの「さよなら、田中さん」を読んだ。2017年10月刊行。2003年10月生まれその中学2年の誕生日に本が刊行されるという気持ちはどんなものか。

収められている5つの小説のうち、「いつもどこかで」が小学6年、「Dランドは遠い」が4年の時の作品。

小学6年生の女の子、花実は、土木建築現場で働く母親とアパートで二人暮らし。父親はどうしているのかも聞かない。学校では皆、お受験で忙しい。母親を気遣いながら、元気に学校生活を楽しむ女の子だ。

いつかどこかで
見知らぬ男の人に、花実と同じ母子家庭の同級生に合わせてくれと頼まれ、奔走する花実。
花も実もある
大家さんおおばさんが、お母さんに見合いの話を持ってくる。2人で見合いに臨む。
Dランドは遠い
花実と仲良しの2人の女の子は、お受験で忙しい。小学生最後の思い出にドリームランドへ行くことを思い立ち、花実を誘うが。
銀杏拾い
花実とお母さんの楽しみは銀杏拾い。スポットも心得ている。そんな二人が神社で拾っていると、同級生の女の子が両親とその神社にやってくる。
さよなら、田中さん
花実の同じクラスの信也は、兄と姉も成績がよいが、自分は勉強が苦手。泣き虫で女子からもからかわれている。花実と信也は机が隣同士になる。

小学生もいろいろ大変だ。クラスの付き合いや家族との暮らし。お金も暮らしや付き合いにストレートに影響する。クラスという限られた空間と、家庭と学校という限られた世界の中、いろいろ考え、悩み、遠慮や配慮に神経をすり減らし、傷つきながらも、家庭や学校で明るくふるまう。そんな小学生の群像。

文章もしっかりとしていて、ディテールも描けている。ストーリーも起承転結がある。好きな作家は志賀直哉と吉村昭というからしぶい。

豪放でらい落なお母さんが魅力的。生きる力がある親子が魅力的だ。
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ルビンの壺が割れた

2018-05-04 | book
覆面作家としてデビューした宿野かほるの「ルビンの壺が割れた」を読んだ。新聞書評から。2017年8月刊行で、9月、ひと月も待たない間に3刷だ。大学の演劇サークルの先輩と後輩だった、水谷一馬と田代未帆子の往復書簡の形で語られる。

結婚式の当日に失踪した未帆子。それから30年を経て、53歳の一馬はインターネットで未帆子のサイトを見つける。そして、失踪のことを問い詰め始める。

大学時代の演劇部での出会いと恋人になった二人。許嫁がいた一馬は、演劇を通して未帆子に惹かれはじめる。

お互いの中学高校の出来ごとが語られ始めると、作風はサスペンスホラーに。一馬は、両親が一馬が小さい頃、交通事故で無くなり、親戚の家に預けられる。未帆子の家も不遇で大学の学費にも困っていた。

なぜ、未帆子は失踪したのか。30年の時の秘密。2年半にわたる二人のメールのやり取りを通じて、一馬、未帆子の過去が次第に明らかになり、そして…。

最後のボールド文字が、ショッキングだ。
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こぼれ落ちて季節は

2018-05-03 | book
加藤千恵の短編集「こぼれ落ちて季節は」を読んだ。2014年9月刊行。2013年から2014年にかけて月刊誌に掲載された6編。
加藤は、1983年生まれ。高校生歌人としてデビューした。歌人らしく、若者の繊細な感情をみごとに描き出す。

この本は、各短編は1編ごとに対で主人公とし、次々に登場人物を登場させる手法だ。
東京に出てきて大学のサークルに入る女子大生。先輩との恋愛模様。その男子学生の同級生の女の子。「友だちのふり」
その大学サークルにいる大学4年の男子学生とバイト先の二十歳前の女の子。男子学生の高校の同級生の女の子。「たぶん初恋」
バイト先の女の子の妹は引きこもり。タロット占いをしている。その姉妹の物語。「逆さのハーミット」。
妹の同級生と塾の受付の女の子。「向こう側で彼女は笑う」。
受付の子の友人の人妻と行きつけのスナックのマスター。「この人かもしれない」
最初の友だちのふりに登場した女の子たちの就職後の恋愛模様。「波の中で」

若い男女の恋愛模様。何かなつかしい響き。

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