パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

鉄道員

2021-12-26 | book
1951年(昭和26年)生まれの作家、浅田次郎は、「鉄道員(ぽっぽや)」で1997年平成9年第117回直木賞を受賞した。

1995年平成7年発表の表題の「鉄道員」はじめ、1995年から1997年までに発表された8つの短編からなる1997年4月刊行の「鉄道員」。もう一度読みたくなる珠玉の短編集だ。

鉄道員(ぽっぽや)
正月明けの北海道の幌舞線。廃線が決まっている線の終着駅が幌舞だ。炭鉱町として栄えた町。閉山。駅長の乙松は、勤続45年。今年3月に定年を迎えようとしていた。零下20度の駅。二月目で亡くなった娘、そして妻も10年前に亡くなり、一人で駅に住んでいる。そんなある日、一人の女の子が駅で遊んでいた。

ラブ・レター
40近い吾郎は、便利屋として新宿歌舞伎町で暮らしている。吾郎がやくざに頼まれ戸籍を貸した、出稼ぎ中国人の妻、白欄が病気で亡くなったと刑事が言いに来る。顔も見たいことがない遺体を、千葉へ引き取りに行くようにというのだ。彼女は24、5歳だという

悪魔
山の手の高級住宅街に住んでいた僕のもとに、東大生の家庭教師、蔭山がやってくる。僕は彼を悪魔と呼んだ。小学5年生の思い出。一家の没落。

角筈にて
46歳の貫井は、本者営業部長だったが、プロジェクト失敗の責を負わされ、海外へ異動させられることになった。その送別会が終わり、一人帰る道すがら、貫井は40年前の夏に分かれた父親と遭遇する。貫井は叔父の家に預けられる。叔父の娘の久美子が妻となった。

伽羅
ファッションメーカーの営業部員だった小谷は、26歳。いい成績を上げていた。彼は、同業者からの紹介で、ブティックを紹介される。その店は、30半ばの女性店主だった。店の名は「伽羅」といった。20年前の日々を回想する。

うらぼんえ
ちえ子は両親がおらず、祖父母に育てられ、今は独りぼっちだ。外科医と結婚したが、子どもはいない。その夫が看護師と浮気し、子どもができた。夫の実家で法事が執り行われる。

ろくでなしのサンタ
柏木三太は、30歳。母親と二人暮らし。ポン引きで警察にお世話になり、クリスマスイブに釈放される。三太は、同じ雑居房にいた北川という人の好い窃盗犯が気にかかる。北川には、母と妻、小学生の娘が二人いた。

オリヲン座からの招待状
大企業に勤める41歳の佑次と35歳のその妻、良枝。高校生の子がいる2人は、京都の西陣で育った幼馴染だった。しかし、今は佑次の浮気と、それが原因の良枝の不倫で、別居中だった。そんな2人に、小さい頃通った映画館オリヲン座から閉館の知らせが舞い込む。
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ひらめく 作れる、俳句ドリル

2021-12-19 | book
1957年生まれ、テレビで有名な夏井いつきさんと、夏井さんが博士と呼ぶ1961年生まれの岸本尚毅さんの共著「ひらめく 作れる、俳句ドリル」。俳句上達の練習帳だ。2021年令和3年6月刊行。2018年平成30年9月刊行の「「型」で学ぶはじめての俳句ドリル」に次ぐ2冊目。

「型」で攻めた1冊目に続いて、その中身、言葉の質と量で、夏井さんの言う俳句初心者の皆さん「チーム裾野」に、二人が助言する。

俳句は五・七・五という17の言葉のかたまり。岸本は、眼前の景色に触発されて浮かんできた言葉。その中から情景と自分の思いにぴったりくる言葉を拾い出し、17音にまとめるという思考のプロセスを、自分の頭の中に構築するのが、句づくりの面白さだという。
そこで今回は、一句の肝になるキーワードを見つけ、そこから連想を広げていく形で発想をふくらませるプロセスを重視する一方で、このキーワードを読みこみながら五七五の型を作っていくプロセスを練習していく。
その際、夏井さんは俳句2グラム説を唱える。
芭蕉さんの 古池や(1グラム)蛙飛こむ(0.5グラム)水のをと((0.5グラム)
虚子さんの 遠山(0.7グラム)に日の当たりたる(0.2グラム)枯野(1グラム)かな(0.1グラム)
季語や固有名詞は、それだけで1グラムになることもあるという。

「やってみよう」の30のドリルで、2人の課題に挑む。まず、季語と季語以外の2つのキーワードで一句。岸本博士の芭蕉と虚子の作句法5つのポイント。二つの5音と、7音で構成される俳句の措辞を考える。
また、虚子さんの推敲の経過を追い、キーワードの焦点を当てるための省略・グラムを減らす・シンプルにすることを学ぶ。自分の句を他人の句のように思いっきり突き放して読めと。
昭和9年の虚子門の吟行風景、さらに浅草の写真で一句。最後のお二人のお悩み相談が目からうろこです。
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「型」で学ぶ 初めての俳句ドリル

2021-12-12 | book
1961年生まれの俳人、岸本尚毅と、少し姉さんの1957年生まれの夏井いつきの共著、「「型」で学ぶ 初めての俳句ドリル」を読んだ。2018年平成30年9月刊行。

その博学さから夏井さんが「博士」と呼ぶ岸本。夏井さんは、100年後も俳句が、気高い富士山であるためには、初心者の豊かで広い裾野の存在が欠かせないという。この本は、そのチーム裾野のための入門書だ。

まず、型から入る。そして、「題詠」の発想から中身を考える。そのための10のレッスンと30のドリルだ。

第1章 入門書の入門
 「一物仕立て」と「取り合わせ」。12音のつぶやきと5音で一句、4つのステップで俳句は作れる。

第2章 なぜ型は大切か
俳句の2つの行き方、俳句観。メッセージの塊のような俳句とただそれだけのことですよと割り切る俳句。
上五の「や」あり、「や」なし。下五から上五.上五から下五。
読後感を決定づける下五。下五の体言止め。下五の「かな」止め、三音の季語。動詞の選択、「けり」止め
中七の「や」。名詞と形容詞

第3章 中身を盛り込むための発想法
題詠。季語が頭の中にぐるぐるし始めて迷路へ入っていく。出された季語で一憂せず、もう一つ題を自分で出してみる。2点の間を埋めれば句が作りやすい。
2点を固定し、いきなり言葉に行かずに、映像化し、映像を写生する。
季語→モノ・人・自然→言葉→言葉→言葉・・・、季語とつかず離れずの2語を決める、型の出番。
「猫」「亡」の一字を使って句を作る。
クイズで取り合わせ 関係のない事柄と事柄が一句の中で出会うとそこに詩情が生まれる。どの季語がふさわしいかマッチングテスト。時候の季語は万能。てにをはの助詞の妙。
最後に岸本博士の3つの肝。多読多億と多作多捨。上手く作れなくても良いから、すぐれた読者になれ。低俗な言い回しに頼るな。
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俳句の鳥・虫図鑑

2021-12-05 | book
虫と鳥は2009年平成21年4月刊行の「俳句の鳥・虫図鑑」だ。季語の虫と鳥を204種取り上げる。見出し季語、季節の区分関連の季語、大きさ、生息地・観察時期、特徴・生態、鳴き声、名前の由来・文化、例句、観察や作句の際の留意点なのどのポイントがカラー写真とともに掲載されている。大きさや種類別の分類、俳人、季語、和名別の索引もある。
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