パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

夕べのカレー、明日のパン

2013-12-31 | book
木皿泉(きざら・いずみ)の初小説『夕べのカレー、明日のパン』を読む。2013年4月刊行
夫婦脚本家として有名。「やっぱり猫が好き」「野豚。をプロデュース」などテレビドラマを手がける。夫は1952年昭和25年生まれ、妻は1957年昭和32年生まれ。神戸在住。

ある一家の過去と今を8編から綴る。気象予報士の寺山連太郎と亡き妻夕子、そして一人息子の亡き一樹、その妻徹子。徹子の今の恋人岩井。

「ムムム」
29歳のテツコは義父(ギフ)と暮らす。7年前に夫の一樹はこの世を去った。テツコの恋人岩井の登場
「パワースポット」
一樹の幼馴染、隣に住んでいるタカラは、29歳。キャビンアテンダント。しかし、笑顔が作れなくなり、仕事を辞める。
「山ガール」
ギフはテツコに頼み、山ガールの小川里子と山に上ることになる。山を降りるとき、ギフは足が動かなくなってしまう。
「虎尾」
虎尾は一樹の3つ下の従兄弟。一樹の愛車を引き取ることに。そこには25歳で亡くなった一樹の思い出が詰まっていた。没後7年をたってテツコはある決意をする。
「魔法のカード」
テツコの恋人岩井は、通りすがりに自殺しようとしていた女の子に480万円を貸してしまう。
「夕子」
連太郎と夕子の出会いから一樹の出産。そして、一樹が来年、高校生になろうというときに夕子は病気になってしまう。
「男子会」
連太郎が岩井の家を訪ねる。女性に騙され、水や家具を買わされたという。寝るところに困った岩井は、ギフとテツコの家に転がり込む。
「一樹」
一樹が小さい頃にであった小学生の女の子。母親の夕子は一樹が17歳のときにこの世を去る。その女の子が高校生になり、再び一樹の前に現れる。

家族とは、家庭とは、そして人の死と生とは何か。「人って捨てたものじゃない」「人は変っていくけれど、でもそのことだけが人を救ってくれる」。人はいつかは死んでいく。だから今を懸命に生きる。人をテーマにほのぼのとした心の交流を描く。次々に明かされる関係に、読んでいても飽きさせない構成力。

今年も最後の日を迎えました。2007年12月15日から始めたブログ。レコーディングダイエットも2007年10月6日からで,いずれも7年目に突入しました。2011年12月29日からゴボウ茶に挑戦,今年の4月からはテレビ体操を始めました。
いろんなことがあったこの一年。健康と無事に感謝して,1年を終わります。感謝。
来年はどんな年になるのでしょうか。一日一日を大切にチャレンジで生きたいです。日日是好日でいきます。

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オーディオの楽しみ「ステレオ1月号」の魅力

2013-12-30 | audio
音楽の友社が出しているステレオという月刊誌がある。12月に発売する1月号に注目している。すぐ品切れになるこの雑誌は,一昨年,国内のオーディオメーカーのラックスマンのアンプが付録でついていた。(2012.2.26マイブログ)。


これが結構,いい音をもたらしてくれる。大音量で聞けない早朝の新聞を読むとき,場所が限られる台所で料理をするBGMの時などによい。スピーカーはこれもステレオのおまけ,2012年8月号のデンマークのオーデオメーカースキャンピークスの10センチスピーカーで,これもステレオの別冊の手作りスピーカーキットでつくったエンクロージャーで聞いている。

そして,今年も付録がついてた。


2014年1月号の特別付録デジタルアンプLXA-OT3だ。

大きさはOT1と同じだが,出力が5Wから12Wにアップされ,高音質のパーツを採用したという。
これは買いだと早速注文し,手に入れた。外観からはそんな違いは判らない。心憎いことに基盤がOT1は緑色,今回のOT3は赤だ。これで気に入り,早速聞いてみた。音の力強さ,シャープさがOT1よりもいいのかなと。

そして2つアンプが手に入ったことで,念願のモノーラルアンプとしての利用にチャレンジ。実は68ページに紹介されていた。

CDプレーヤーの端子を,右チャンネル赤いRCA端子をOT1,左チャンネル白いRCA端子をOT3に接続だ。スピーカーケーブルも右をOT1,左をOT3につなぐ。

アンプの力を存分に発揮してくれて,さらにスピーカーを鳴らしてくくれる。音質もクリア。アンプの余裕のなせる業か。こんなにいいものか。

聞くのは今年はまっている,アメリカの女性カントリー歌手の旗手,天才,リアン・ライムスのデビューCD「ブルー」。

1982年生まれ,今30台ののりのりのライムスが,1996年に録音した。驚異の13歳少女,中学1年生の歌いっぷりを聞いたらへこみます。これでグラミー賞というのだからカントリー界のみならずびっくり。1989年生まれの,今イケイケの女性カントリー歌手のテイラー・スイフトも6歳の時,両親から贈られたこのアルバムが音楽デビューのきっかけという。
このライムスのクリアーで力強い唄とシンプルで美しい旋律を聞くとよりいっそう,ありがた感が伝わってきます。いいですよ。
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常盤のおとなの流儀

2013-12-29 | book
常盤新平のエッセイ集『おとなの流儀』を読んだ。これも古く1998年、15年前に出された。68の作品からなる。
お酒やファッション、食、そして読み方や食べ方、映画や本、床屋、年末年始の過ごし方、結婚式の話など、思わずそうそうと相槌を打ったり、他人事のように笑ったりで、深夜目が覚めたときに読むのにバッチリでした。楽しいひと時をありがとうと、本を閉じた。

このエッセイが掲載されていた「ダカーポ」という雑誌は、そういえば昔、買ったことがあった。隔週刊で、ちょっと小ぶりの雑誌だった。1981年昭和56年創刊というから就職した年に出て、2007年、6年前に休刊したという。

それにしてもこの頻度で、エッセイを書くだけのネタ、感性があるのがすごい。うらやましい。1994年10月から1998年8月までの約4年間である。
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老いを語る常盤新平の「光る風」

2013-12-23 | book
『光る風』は、常盤新平が1991年9月から97年11月にかけて、同じ月刊誌に連載した短編13篇からなる。常盤は1931年昭和6年生まれなので、60歳のときから書き始めたことになる。

主人公は、会社を退職し、翻訳家として東京小金井に暮らす大原修三55歳。掲載された7年の歳月とともに年を重ねるスタイルだ。息子修一郎31歳は浮気相手と家を出ており、その嫁里子32歳と二人暮らしをしている。主人公の年齢が、同年齢のため、引き込まれるように読んだ。

毎日が日曜日のような暮らしにも老いを常に意識する修三。時を変えて、修三の元の彼女や旧友、近所の同年齢の人などが次々と現れる。その刺激に、うらやましがったり、安心したりと、その気分は移ろうが、それを支えて老いるのが、嫁の里子だ。

この不思議な同居の関係もスリリングだが、人は一人では生きてはいけない。いつの間にか消えていく周りの人々に、いつか自分もそうなるのだと意を強くする修三が、わが身と重なる。人の移ろいと日々の暮らし。体の衰え、食と刺激。これから生きていこうとする若い身体とそろそろ店じまいをしようとする身体。老いの心理を解き明かしていく。身につまされるおしゃれな小説群。いい話と出会えた。最後の1篇だけが38歳になった里子が主人公。

常盤が得意とする東京の景色、酒と食が期待を裏切らない。新宿、競馬場、銀座、浅草などのいつもの常盤フィールドが、老いと向き合う日々に彩を添える。


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珈琲店タレーランの事件簿

2013-12-22 | book
1986年生まれというと27歳か。第10回「このミステリーがすごい!」大賞を逃した作品「珈琲店タレーランの事件簿-また会えたらな、あなたの淹れた珈琲を-」を書いた岡崎琢磨だ。

2012年8月発行。いかにも珈琲店だけに、ビブリア古書堂の二番煎じかと思いきや、なかなかいい感じの作品だ

店名の由来や23歳のバリスタ切間美星(きりまみほし)と22歳の大学生アオヤマとの出会い 「事件は2度目の来店で」
アオヤマの親戚の女の子のボーイフレンドの浮気疑惑 「ビタースィート・ブラック」
猫のシャルルとの出会い「乳白色にハートを秘める」
アオヤマの元カノのマミと追いつ追われつ「盤上チェイス」
「past,present,f*****?」 美星の過去と青年、胡内波和の関係。
「Animals in the closed room」美星がアオヤマのアパートに
「また、会えたなら、あなたの淹れた珈琲を」美星とアオヤマが別れる?。アオヤマの真実とは。

あきさせない謎めいたストーリー展開。しかし、文章を通して、登場人物や前後関係のわかりにくさは、なかなかつらい。
それが、古書堂と違い、図書館のリクエストが少ない理由か。

欲を言えば、店内に流れるBGMのジャズにも言及いただくと、よりおいしい珈琲になると思うのだが。
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風の姿

2013-12-15 | music/classic
「たまかな暮し」(2012.6)、「明日の友を数えれば」(2012.12)を読んで気に入った翻訳家、エッセイシストの常盤新平の長編小説『風の姿』を読んだ。1999年7月刊行。静岡新聞に1993年昭和68年の4月1日から翌1994年3月31年の1年間掲載された。1931年生まれの常葉が68歳のときの作品。地元紙だけあって、静岡県と、常葉のフィールド銀座、浅草の様子が2元中継で描かれる。

物語は、東京に住む23歳の野村京子が、静岡市の郊外、4月の白い花を咲かせているわさび田に駆け込むシーンから始まる。
その主、小津悠造と路子は、温かく京子を家族の一員として迎える。対人恐怖症・自閉症を抱える京子が、小津一家とのふれあいの中で、その殻を破り、小津家が紹介した親戚の東京の出版社に努める杉山健次と出会い、結婚する1年間をリアルタイムで描いた。

そこに常に家族がベースで描かれ横糸を紡ぐ。常盤を投影したと思われる、翻訳業の京子の祖父達夫76歳。そして、父の大学医師信夫50歳、高給取りのキャリアウーマンの母令子、信夫の恋人40歳の恵子が次々に登場する。

達夫のなるようで思いのままにならない家族への想い。父と母の離婚や恵子の出産など、善人しか出てこない常盤ワールドが描かれる。さわび田のきよらかな風景や静岡の名所とともに地元のお寿司やさん、銀座の喫茶店やおでんや、蕎麦やなど、常盤が得意とする食にまつわるエピソードが随所にちりばめられる。

老いと若さ、生まれ来る新しい命、夫婦、仕事。人は一人で生きられない。それぞれに出会いと別れを繰り返し、表には出さないが、悩みを抱えて生きている。でも、そこに生きがいを見つけ、日々を生きる。そんな姿でいいのだと著者はいう。苦しみもがく姿やバイオレンスなど小説の醍醐味はさまざまだが、本を開くたびに、すがすがしい風が吹く、こういう小説もよい。
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師走の赤

2013-12-08 | life
寒い冬に,花々は暖色を付け,目を楽しませてくれる。

玄関とトイレには,じゃこばサボテン,リビングから見える庭には椿が次々と花をつけた。

いつもながらありがたい。ホットするひと時だ。



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友罪

2013-12-08 | book
早く読み終えて楽になりたい。読み進むごとに迫り来る登場人物の呪縛から逃れるために、平日の深夜に目が覚め、一気に読んだのが『友罪』。2013年5月発刊。作者は薬丸岳(やくまる がく)。1969年生まれ。

27歳の益田純一は、ジャーナリスト志望の夢破れ、同級生には現役の女子アナがいる。そんな彼が少しの腰掛にと就職面接に訪れた埼玉にある機械加工の製作所。そこで同い年の鈴木という男性と知り合う。同じ寮で暮らすうち、益田は鈴木と信頼関係を築き上げるが。

益田は、鈴木に14年前の幼児殺害犯人の姿を重ね合わせるようになり、調査を進めるようになる。そして、確信をつかむ。マスコミは益田を使って今の鈴木を世間にさらそうとする。過去を暴かれ、行き場を失う鈴木。

同じ製作所に勤める元アダルトビデオ女優の藤沢美代子。その過去を必要に追う元カレ。美代子は鈴木に好意を寄せるようになる。
益田を更生させようと家庭を省みず時間を費やした少年院職員の白石弥生。彼女は夫と別れ、息子とは絶縁状態であった。その彼女も鈴木から目が離せない。
一方、製作所の同僚、山内が背負った息子の交通事故の償い。

被害者家族の行き場のない悲しみと罪を償った人の未来と人権。過去を背負った人たちが幾重にも絡み合い、落ちていく。そんな切なさ、憤りを感じながらも興味本位の隣人としての立ち位置の読者。

幼児を襲った猟奇的な殺人。その犯人があなたの近くにいたとしたら・・・。

人の過去など今の自分には関係ない。しかし、野次馬根性、覗き見の誘惑。アルフレッド・ヒッチコックが監督、ジェームス・スチュアート、グレース・ケリー主演のサイコサスペンスの名作「裏窓」の心理だ。
興味本位で知った過去をどうするのか。そこに現れる偏見。結局人は過去を清算することはできないのか。最後に益田が鈴木に伝えるメッセージは。



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慶次郎縁側日記「おひで」

2013-12-01 | book
慶次郎縁側日記の第3作『おひで』。2000年1月刊行。97年から99年に『発表された12編。

晃之助が襲われた。女に振られた男の逆恨み。「ぬれぎぬ」
慶次郎の鼻を明かしたいと、山口屋の寮に盗みに入ろうとしたおたえは、同じ目的の政吉と出会う。しかし、政吉は病に犯されていた。「からっぽ」
19歳のおひでは、鉄次に思いを寄せていた。暑気あたりの次は、自分で自分を傷つけ、慶次郎の世話になる。おひで一「油照り」
おひでをみかねた慶次郎は山口屋の寮に引き取るが。50を過ぎた佐七はそのおひでにおもいを寄せる。酒と卵焼きがとりもつ二人の思い おひで二「佐七の恋」
21歳のおひさは、養子先を離縁された善助と所帯を持つ。自分には貧乏神がついていると思っていた。山口屋の通い女中として山口屋の内儀のものを盗む。」「秋寂びて」
有名絵師の息子、直次郎が晃之助をたずねて来る。昔語りに父と子の葛藤を描く。「豊国の息子」
お梶は、いつもおそでの風除けで運のない人生を送っていたと思っていたが。「風のいたずら」
余生を金貸しで暮らす次郎三衛門は、返してくれない借主の行状に嫌気が指していた。そんな折、晃之助と出会う。「騙し騙され(一)空騒ぎ」
佐七の好きな人が出来た。げんを担ぐために着物を新調するが 騙し騙され二 「恵方詣り」
しょうゆ酢問屋に19歳で入り、40歳で大番頭になった仁兵衛は、遊びもばくちもせず、暮らしていた。隠居して店を追われることになった仁兵衛は、この我慢の人生を振り返り、ある決意をする。「不惑」
料理屋の花ごろものあかみ、お登世は、店に男と入る幼馴染のお幾と出会う。32歳同じ年のお幾は独り身だったが、藍玉問屋の又次郎と密会を重ねていた。騙し騙され三「女心」
慶次郎が偶然入った酒屋。安い割にはいい酒を出すと評判だった。しかし、その裏には酒問屋山口屋をやめた32歳の又吉がいた「もう一歩」

権力争いや派手な殺陣や切り合いもない。日々の庶民の暮らしの中で起こる行状。現代にも通じる嫉妬や運命を呪うやるせなさが人を突き動かす。日記として語られるそんな庶民の姿。

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