パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

星野道夫との出会い

2016-09-25 | book
アラスカに住み、自然と動物、そして人を愛し続けた写真家、そして随筆家の星野道夫。この夏、20周忌を迎えた一人の日本人を初めて知った。

出会いは、祥月命日の8月8日の新聞記事であった。ここで紹介されていた2冊を図書館でリクエストし、見た。1994年の写真集「アークティック・オデッセー」と、亡くなる1年前の1995年の「旅をする木」随筆集だ。

千葉県に生まれ、東京の大学を出て、日本からアラスカに移住した。1952年生まれ、昭和27年に生まれて、1996年、平成8年8月8日にクマに襲われて亡くなった。アラスカ好きの彼が22歳の時に写真の修業をし、26歳でアラスカに渡る。44歳で亡くなるまで18年間、多くの写真とエッセイを残した。

「アーティック・オデッセイ」は、1994年に星野が出した写真集。アラスカやカナダ北極での12か月を撮影した写真集だ。グリズリーという灰色クマやムースというヘラジカ、カリブーというトナカイ、クジラ、そして木々。四季の自然の厳しさと温かさが空撮などのダイナミックな視点も用いている。

アラスカに惹かれ、そこで暮らした彼の一端がある。星野はエッセイも残している。その背景も知ることができる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

居酒屋ぼったくり 4

2016-09-22 | book
居酒屋ぼったくり 4 2015年10月刊行 秋川滝美

意地っ張りなサヨリ
リョウが,会社寮の跡地に大手のスーパーができるらしいと美音に伝える。商店街の心配をする美音。ぼったくりに商店街の薬局店のシンゾウが現れ,娘のモモコが孫娘を連れて帰ってきていると美音に伝える。小さい頃可愛がってもらった美音だが,どうも嫁ぎ先で旦那と喧嘩したのが原因らしい。薬学部の同級生同士で,実家は医者の一家という。好きで結婚しても,一緒に暮らす時間が長くなると,それはそれで心の行き違いも出てくる。
・登場料理 サヨリのしそ巻き天ぷら,ホタルイカの酢味噌がけ,サヨリの塩焼き,ミズ(山菜)のおひたし
・登場酒 満寿泉吟醸(富山県)
・登場人物 リョウ,シンゾウ,モモコ,要

柔らかく包み込むもの 
馨が,スーパー呉竹が閉店するという。シンゾウもそれを聞きつけ心配する。そんな折にぼったくりに30前の一見さんが来る。どうも商店街の加藤精肉店の店主ヨシノリの長男で店を手伝っているユキヒロの聞き合わせでなはいかとマサとウメは察する。リカという女の子とユキヒロは付き合っているが,肉屋に嫁ぐ事に異論があるらしい。
要と美音のポテトサラダについての考察が面白い。
・登場料理 レモンの砂糖漬け,ピーマンの丸焼き,豚肉の天ぷら,ポテトサラダ
・登場酒 一白水成純米吟醸 無濾過原酒,一回火入れ(秋田県),九十九里オーシャンビール ピルスナー(千葉県)
・登場人物 シンゾウ,リカの兄,マサ,ウメ,ヨシノリ,要

移ろいゆくものたち 
スーパー呉竹の閉店がするという話題でもちきり。不安を隠せない美音たち。アキラとカンジ,そしてヤマちゃんとケンさんが続いて訪れる梅雨の合間。カリスマ百貨店勤務のトモが,彼氏のイクヤとやってくる。そこでは新しくできるショッピングセンターが話題に。店の展開から商店街とバッティングしないのではとトモ。要も同じことを言っていたと美音は思い出す。注文を受けたのに電気オーブントースターが壊れていることがわかる。
やはり呉竹は新しいショッピングセンターの駐車場となるらしい。アキとリョウがどうも気まずい雰囲気。その原因はアキの後輩がリョウを気に入って,リョウがおもしろくないことにあるらしい。
・登場料理 油揚げのじゃこマヨ焼き,サラダ菜味噌巻き,キウイのババロア
田楽味噌の作り方。味噌大さじ3,砂糖大さじ1,みりん大さじ2,酒大さじ1.これを耐熱容器にしっかり混ぜ,レンジでチン。600Wで1分ぐらい。煮立った感じでもう一度よく混ぜてできあがり。
・登場酒 蓬莱泉 酒蔵の詩(愛知県)一ノ蔵発泡清酒 すず音(宮城県)
・登場人物 アキラ,カンジ,ヤマちゃん,ケンさん,トモ,イクヤ,アキ,リョウ

茶がゆの甘さ 
日曜日,壊れたオーブントースターの特売を知り,買に行く美音は,偶然同じ電気店に行く要と出会う。要の機転で無事買うことができた美音は,要の母の急病で要の家に行くことになる。その時,八重のために美音が作った料理は,茶がゆと炒り卵,即席の漬物だった。要の母,八重は感激する。
・登場料理 炒り卵,大根とキュウリの浅漬け,茶がゆ
・登場酒 禁酒の日もあってもよいのでは。日本酒には水が必要です。1杯飲んでは水をたくさん。
・登場人物 要,要の母の八重

心地よい香り 
商店街のクリーニング店のタミは,歯が悪く,好きな肉が食べれない。タミとウメはぼったくりに現れる。美音はそこでステーキを出す。タミが帰った後,シンゾウが現れ,要と茹で鳥とステーキを分け合う。ウメと3人で冷やし中華を楽しむ。要が母八重の美音へのプレゼントを持ってくる。高級ハンドクリームだった。
・登場料理 スペシャルステーキ,茹で鳥,棒棒鶏の冷やし中華
・登場酒 特別純米酒 まんさくの花(秋田県)
・登場人物 タミ,ウメ,シンゾウ,要

辿(たど)ってきた道
魚辰の3代目,ミチヤの息子コウイチは高校生。魚屋を継ぐ気でいるのだが,ミチヤは大学進学を勧めている。大学が魚屋の役に立つとは思えないコウイチは父の意図がわからない。困ったミチヤは大学へ進んでぼったくりを継いだ美音にコウイチの説得を頼む。
要の体験談も。
・登場料理 天津飯,わかめと豚コマのスープ,合鴨の塩焼き
・登場酒 義侠 純米原酒70パーセント特別栽培米
・登場人物 ミチヤ,コウイチ,要




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

車谷長吉の人生相談 2/2

2016-09-19 | book
車谷長吉の人生相談から。後半の言葉。


人の本質は阿呆です。この世に生あるものは,かならず死にます。それを覚悟することが人生では一番大切なことです。人は他の生き物の命を奪って生きています。罪深いことです。人の本質は鬼です。

人は皆人間関係で悩みます。楽な途を求めれば必ず転んで痛い目を見ます。この世は阿呆にあることが一番です。気が楽になりますよ。この夏も青森県の山の中で,小学校の唱歌を一人で歌ってきました。私は「うれしいひなまつり」という歌が好きです。

私が結婚したのは48歳の秋でした。それまで毎日毎晩淋しく,夜は木目込み人形を抱いて寝ていました。背の高さは50センチほどです。夏目漱石の三四郎に出てくる美禰子という名前をつけていました。

人の幸福の第1は人から愛されること。第2は健康です。第3は必要最低限のお金です。家の近くや川の土手道を散歩します。これは健康に良いのです。

お年寄りは孫に親しくされるほどうれしいことはないのです。

苦痛に耐えることを,自分の人生の柱にする必要があるかと思います。

今日一日をどう生きるかだけを朝考えて,そのほかのことは考えないことです。

人生は迷いの連続です。その迷いの段階で,必ずより困難な道のほうを選んで行けば,そこから新しい道が開けてきます。今日一日,食うていくことができれば,それでよいのです。一瞬先の事は誰にも分かりません。生きがいなどいらないのです。自分より困っている人を助けてあげることが,一番大事なことです。

人の一生は生まれてきた瞬間から,死へ向かっての行進です。自分から買ってでも苦労をすることが何より大事です。それが後になって自分への肥やしになるからです。

比較をすればどうしても優劣がついてしまいます。自分が劣だと認めざるを得なくなった時,それを明るく肯定することが大事です。そこから新しい道が開けてきます。劣には列の良さがあるのです。負ければよいのです。美人でなければ,それはその通りだと認め,にこやかにしているのがいいと思います。

努力することは,良いことを得るただ一つの道です。努力することは,格好の悪いことでも,みっともないことでもありません。それは喜びにつながります。

勝利街道まっしぐらの人の得意顔より,挫折を知って,苦しむ人の気持ちがわかる,少し憂い顔の人のほうが人間として味があります。

夏目漱石の「こころ」を読んである程度自分を立て直すことができました。人間は物事をすぐに解決したいと考えがちですが,粘り強く,あせらず,物事を進めていってください。

私は先天的に鼻で呼吸のできない病気をもっています。他の人たちとちがう身体的特徴をもっているひとにわざわざそれを告げるのは,いじめということです。この身体的特徴は私の精神に働きかけ,いまでは私の個性の一部になっていると考えます。父母が,いや父母を超える力が私に授けてくれた個性ですから,いまでは自分の身ながらいとおしむような気持ちになっています。人の口にふたをすることはできません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

車谷長吉の人生相談 1/2

2016-09-18 | book
車谷長吉の人生相談が,全国紙の土曜日版に,2009年4月から2012年3月までの3年間,定期に掲載されていた。そこで,はじめて車谷を知り,その人生観にびっくりし,魅了された。車谷は1945年,昭和20年生まれ。平成27年5月17日に69歳で死去した直木賞作家だ。毎回楽しみにし,やり取りを懐かしんでいた。その掲載分が文庫になっていると,図書館の所蔵検索で見つけ,読んだ。「車谷長吉の人生相談 人生の救い」。2012年12月刊行。

老若男女から寄せられた37の悩みに,車谷風に答える。相談者に寄り添うのではなく,時には突き放し,時には追いつめる。こんな回答ありかよと毎回思う。

大好きな,心に刺さる珠玉の言葉を2回に分けて抜き書きしました。

世には運・不運があります。それは人間世界が始まった時からのことです。不運な人は,不運なりに生きていけばよいのです。

定年という言い方は,ものの本質を隠し,曖昧にしています。停年退職が近づくと,嫁はんに毎日毎晩叱責され,台所の片づけと廊下と便所の掃除を毎日しなさいといわれると,涙を流していました。この世は苦の世界です。

生が破たんした時に,初めて人生が始まるのです。せっかく人間に生まれて来たのに,人間とは何かを知らずに生が終わってしまうのは実に味気ないことです。そういう人間が世の9割です。

お釈迦様は人生は四苦八苦に貫かれていると説かれました。生・老・病・死,愛別離苦,求不得苦,怨憎会苦,五陰(色・受・想・行・識)盛苦。これを避けるにはお経を唱えることと,座禅をして瞑想すること以外に道はないと諭されました。人生は苦だらけなのです。人生には救いはありません。その救いのない人生を救いを求めて生きるのが,人の一生です。黙って生きることが大切です。

人の不幸は蜜の味です。まず,自分が不幸になって苦い思いを舐める以外に救いの道はありません。人間はみな不完全なのです。この不完全ということを覚悟することが大切です。

人間世界には楽な道はありません。

親族に病人が出てはじめて病者の苦悩がわかるのです。

私は仏教徒なので奈良県の大和盆地のお寺を訪ね歩くのが好きです。

人間としてこの世に生まれてきたのは不幸なことです。

救いのない自分の人生をどう救うか。哲学,文学,宗教(新興宗教の目的はカネ取りです)に触れる以外はありません。人生に「楽」はありません。

人間の本質は孤独です。他人と自分を比較することには価値はありません。

優劣をつけることは,浅ましいこと,浅はかなことです。

この世の大多数の人の人生は,苦悩の連続です。それに耐えて生きる以外に,生きる途はありません。

人間の本質は弱いということです。これを変えることはできません。お釈迦様が書かれた経典やその研究書を,繰り返し読んである程度,救われました。

人間としてこの世に生まれてきたことに救いはないと,「徒然草」を書いた吉田兼好は考えていました。この書と夏目漱石を,自分の人生の指針として生きてきました。

わたしの人生観の基本は,健康であればそれ以上のことは何も望まないということです。

いずれ自分が死ぬことを知っているのは人だけです。これが人間の最大の不幸です。死は存在の消滅です。だから恐ろしいのです。それを回避する道はありません。ある年齢に達すると,自分もいずれ死が来ることをはっきりと覚悟する必要があります。そこからはじめて真の人生は始まるのです。

多くの男女は長生きをしたいのです。一日も早く死にたいというてるのは私一人です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

家康 江戸を建てる

2016-09-11 | book
徳川家康が北条征伐の際に豊臣秀吉から言われた関東異封。伝来の三河を捨て,未開地に移り住む苦悩と決断。

その江戸のまちづくりを5つの視点から描いた「家康,江戸を建てる」を読んだ。平成28年2月刊行。著者は門井慶喜。1971年生まれ。「東京帝大叡古教授」で昨年,直木賞候補。

何もない未開地を人が住み,生活する地にするために家康は,まず,地の安定を図り,そして,経済の基礎を大阪から江戸に移す仕掛けをつくり,人が住むのに不可欠な水の確保を実現し,政治のシンボル,城の建設と,長きにわたる戦乱の世の終焉のシンボルたる天守の造営を図ったという筋書きだ。

第1話 流れを変える。利根川の流れを変え,治水を図る。3代の歴史。
第2話 金貨をの延べる。大判ではなく小判を作る。京都の職人を江戸へ。
第3話 飲み水を引く。三河から江戸へ。
第4話 石垣を積む。伊豆の石切り職人の夢
第5話 天守を起こす。漆喰の技術。家康と秀忠。

5話とも単独で構成され,職人たちの技と思い,生き様が心地よい。町は人が作り,人が住む。当たり前のことだが,温かいまちは人が主人公なのだとつくづく思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

御宿かわせみ(31) 江戸の精霊流し

2016-09-04 | 御宿かわせみ
御宿かわせみ31 江戸の精霊流し

平成15年5月 オール讀物 平成14年5月号から15年1月号

夜鷹そばや五郎八
夜鷹そばやの五郎八60歳が殺された。売上金はそのままだった。子どもは2人。庄吉は蕎麦屋に弟子入りした20歳。妹のおそでは18歳結婚も決まり,その晩は親子で食事をしていた。それから5日後に御家人,飯岡作左衛門方が全焼し,一家4人が焼死した。それも斬殺されていたという。その飯岡が仮親になっている養子和太郎が材木問屋の清水屋宗兵衛に婿入りしていた。宗兵衛は,誰かに付けられていると源三郎に相談していた。和太郎は評判が悪く,養子縁組を解くと宗兵衛は飯岡作左衛門に相談していた。和太郎は夜鷹の元締め,仙之助の倅だった。

野老沢(ところざわ)の肝っ玉おっ母あ
かわせみの女中お石の姉がおてるがかわせみにお石を訪ねてくる。赤ん坊もいて,亭主の徳三は浅草の野老茶屋で働いているという。ところが徳三は野老茶屋にはいなかった。お石の母親は,後妻で先妻の子が3人,自分の子が5人いた。徳三との夫婦喧嘩が絶えないおてるは,突然,赤ん坊を置いて出て行ってしまった。徳三は困り,おてるの実家を訪ねる。しばらくして,嘉助が徳三の浅草の家を調べると夫婦していなくなっていた。心配になったお石は東吾と野老沢を訪ねると,お石の母親が赤ん坊をあやしていた。やっと子育てが終わったのに,また育てるという。

昼顔の咲く家
深川の有名な料理屋望湖楼の主人宇兵衛が殺された。「メキシコ銀貨」事件でお世話になった高山仙蔵に通い奉公しているおきよは,宇兵衛の亡き長男,吉之助の嫁で幸吉という子供がいた。宇兵衛はその子に会いに来ていたという。次男伊之助は,宇兵衛の実の子ではないという。そして向島の隠居所で伊之助の母親,宇兵衛の妻,おもとが自殺し,伊之助は宇兵衛殺しを自白する。

江戸の精霊流し
かわせみの女中,おきみ,おみよが次々と家の都合で辞めていく。仕方なく,気に入らない口入屋の桂庵から,おつま25歳を雇う。そのおつまが先に奉公していた深川の料亭,吉川の主人,伊兵衛59歳が,おつまを後添えに欲しいと長助に頼む。お盆に暇になったかわせみでは,奉公人に次々と休みを与える。おつまは親兄弟の墓参りに故郷へ帰るようにとおるいは勧める。しかし,おつまは帰らず,江戸で男と会っていた。

亥の子(いのこ)まつり
長助と同じ長屋に住むおいのは50歳の1人暮らしの老女だった。双盤鉦というおおきな鉦を鳴らして念仏を唱える品川の願行寺へ出かけ,双盤念仏の最中に死んだ。おいのは心臓を病んでいた。長助は病死を疑う。おいの息子,次男20歳の伊吉は水戸の宮大工。長男の25歳の貞吉は先妻の子で叩き大工だった。貞吉がおいのに勧めた薬が原因だという噂が立つ。貞吉と伊吉の兄弟話。

北前船から来た男
釣り好きな麻太郎,源太郎を連れて東吾は舟釣りに出かける。船頭は長助の知り合いの寅吉の甥の20歳の卯之吉だった。卯之吉は3年前に3年間,北前船の水主をしていた。その卯之吉が若侍をつけているのを麻太郎と源太郎は見かける。卯之吉の母親と姉は侍に斬られて亡くなっていた。麻太郎と源太郎の捕り物話。

猫絵師勝太郎
長寿庵の長助の家で飼われていた猫が子どもを産んだ。その中の1匹をかわせみで飼うことになった。その長助が評判の猫の錦絵の話を東吾たちにする。その翌日,12月13日の夜,茶会の帰りに,るいは,くくり袴の男に後をつけられる。かわせみの猫がいなくなり,るいはその猫を描く,くくり袴の絵師と出会う。その絵師,浅田勝太郎は,文吾兵衛のところに世話になっていた。勝太郎は,東北の藩の下級武士の出で,15歳の時,江戸へ出て,将軍家の御用絵師,狩野雅信の弟子になって15年経ち,弟子をとり,狩野派の絵を伝えても良いと言われ,東北に帰っていたが,また,江戸に出てきていた。将軍の御用絵師の弟子が,なぜ,猫を描くのか。るいはその思いを聞くことになる。

梨の花の咲く頃
正月のかわせみに開業当時,女中をしていたお梅が行徳からかわせみに挨拶に来ていた。そのお梅は東吾に相談を持ちかける。実家の市川で梨畑農家をしているお梅の従妹,おせんの許嫁,30歳の友三は,20歳の時に植木屋になると江戸に出てきていたが,おせんに文を届け,危ないことに巻き込まれているという。友三は植木屋の植辰を辞め,柳橋の座頭,幸之市のもとで下働きをしていた。その幸之市が殺され,友三が下手人としてしょっ引かられる。幸之市は金貸しをしていたが,家の中には5両あまりの金しか残っていなかった。友三や小女のおとみの手元には金は無かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする