「自分を探さない旅」
8月5日の新聞書評から。2012年6月に出版された旅行作家の吉田友和の作品「自分を探さない旅」。
吉田は1976年生まれで、出版社を、えいや!で退職し、独立。今回は、2011年の2月末に出国し、タイ、インド、ブータンを訪れる。そして、3.11の大事件に遭遇し、帰国。その間の出来事を綴る。旅行記は初めて読んだ。
旅行は、その出来事を追えば、一つの作品になる。成功例はもちろん、トラブルも危険も、その地を訪れる人には参考になり、スムーズで楽しい一時をもたらすアドバイスになる。また、そのときだけ、行った気にもなれる。言語という情報伝達ツールが使えない海外旅行に、人はしり込みし、団体旅行にシフトしがちな気持ちも理解ができる。ただ、この作品は、単なる旅行記ではない。
氏が観光の3要素という「観る」「食べる」「買う」の記述はもちろん、搭乗手続きや移動手段、宿泊手続き、治安や経済など、東南アジアの国々を訪れた多感な感受性に基づく記述もある。しかし、旅行案内、テキストとして、そのことだけを楽しく、苦い思い出として綴るだけの本ではない。
今回、吉田は、旅行とはなにか。なぜ、旅に出るのかという根源的な問いの答えを模索する。一般に自分探しの旅というが、彼はそのことに反問する。
彼は知る第1歩は知ることだという。旅の恩恵は異文化と向き合うことで成長すること。テレビで見て疑似体験はできるが、それでよいのか。現地で体験することで得られるものがある。そして、旅することで、人の役に立つことはない。あくまでも自己満足だが、それでいけないのだろうか。そこまで旅に求めるのかとも。
旅を始めて、10年という吉田が語る。その10年を現場を知ることに費やした。人生をかけているものがあり、それが名実ともに生きる糧となる生き方をうらやましく思った。
また、人から見れば行き当たりばったりの生き方にも思える生活だが、変化を恐れてはいけないという。一度きりの人生だとも。
8月5日の新聞書評から。2012年6月に出版された旅行作家の吉田友和の作品「自分を探さない旅」。
吉田は1976年生まれで、出版社を、えいや!で退職し、独立。今回は、2011年の2月末に出国し、タイ、インド、ブータンを訪れる。そして、3.11の大事件に遭遇し、帰国。その間の出来事を綴る。旅行記は初めて読んだ。
旅行は、その出来事を追えば、一つの作品になる。成功例はもちろん、トラブルも危険も、その地を訪れる人には参考になり、スムーズで楽しい一時をもたらすアドバイスになる。また、そのときだけ、行った気にもなれる。言語という情報伝達ツールが使えない海外旅行に、人はしり込みし、団体旅行にシフトしがちな気持ちも理解ができる。ただ、この作品は、単なる旅行記ではない。
氏が観光の3要素という「観る」「食べる」「買う」の記述はもちろん、搭乗手続きや移動手段、宿泊手続き、治安や経済など、東南アジアの国々を訪れた多感な感受性に基づく記述もある。しかし、旅行案内、テキストとして、そのことだけを楽しく、苦い思い出として綴るだけの本ではない。
今回、吉田は、旅行とはなにか。なぜ、旅に出るのかという根源的な問いの答えを模索する。一般に自分探しの旅というが、彼はそのことに反問する。
彼は知る第1歩は知ることだという。旅の恩恵は異文化と向き合うことで成長すること。テレビで見て疑似体験はできるが、それでよいのか。現地で体験することで得られるものがある。そして、旅することで、人の役に立つことはない。あくまでも自己満足だが、それでいけないのだろうか。そこまで旅に求めるのかとも。
旅を始めて、10年という吉田が語る。その10年を現場を知ることに費やした。人生をかけているものがあり、それが名実ともに生きる糧となる生き方をうらやましく思った。
また、人から見れば行き当たりばったりの生き方にも思える生活だが、変化を恐れてはいけないという。一度きりの人生だとも。