Quartets 1 & 2 | |
Editio Princeps | |
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「謎」の作曲家、ヒナステラを久しぶりに聴いてみる。
「謎」というのは、自分にとってだけの意味で、もうけっこうな昔からこの作曲家をちょこちょこ聴いているのに、果たしてそれをどう聴いていけばいいのかいまだによく分からなくて困っている、という意味。
ヒナステラといえば、言うまでもなく第一に思い浮かぶのは「アルゼンチンの作曲家」というイメージで、こちらとしてはその”アルゼンチンっぽさ”をまずは嗅ぎ取りたいと毎度思うのだが、しかし例えばピアノ曲を聴くと、メロディアスで可憐な曲や民謡をもとにした曲があったりするが、しかしそれらがどうも薄味でドメスティックな「濃さ」に欠けるように思えるし、オーケストラのバレエ曲などでは、まとまってはいるが、わりと普通の映画音楽みたいに感じたりする。
どうもこの人は、すごくインテリっぽいというか、ヨーロッパの作曲家たちの影響をいろんな形でスマートに受けている分、結局器用貧乏になっているのではないかという疑いが抜けない。きっと、もっと本気でいろいろ聴いていけば徐々に蒙がひらけてくるのかもしれないが、しかし何しろこちらは最初で躓いてしまっているので、探求も結局浅いところを少しウロウロするだけ、という形になる。
そんな中、この弦楽四重奏曲だけは以前からものすごくカッコいいと感じている曲で、今回見つけた「Miami String Quartet」というカルテットのCDが、安かった上にジャケット写真もちょっと個性的なので拾ってみる気になった。
で、聴いてみると、曲自体数年ぶりに聴いたせいか、一層魅力的に感じる。ただやっぱり、かつて愛聴し今でも偏愛するバルトークの弦楽四重奏曲たちにとてもよく似ている、とも感じる。それに、どの楽章もすごくまとまっている分、逆に後から来るものがないのではないかとも感じる。
でも、一方でこの2曲はものすごい演奏効果を持った名曲で、聴くたびにコーフンもしてしまうのももちろん以前から変わらない。・・・と、結局この曲を聴くと毎回こうして悩んでしまって、なかなか出口が見つからない。
それと、今回初聴きだった Miami String Quartet については、ディスコグラフィーを見てみると他にもいろいろとマイナーな現代曲を演奏しているようで、その点ちょっと興味深い。ただ、さっきYoutubeを探して気が付いたんだけど、このCDでは男女2人ずつのカルテットだったのに、最近(?)の動画では、メンバーが変わって男3と女1になっているみたい。
というわけで、そっちよりは、静止画で申し訳ないんだけどこのCD自体の音源が見つかったので、とりあえず「第一番」の最初の楽章を貼ってみました。しかし、再生回数20回なんて、毎度マイナーな音源に行き着いてしまうなあ。
Quartet No. 1, Op. 20: I. Allegro violento ed agitato