On a bench ブログ

ようこそ、当ブログへ。ジローと申します。
 毎日毎日、たくさんのCDやLPを聴いて過ごしております。

聴いたCD ベートーヴェン:エロイカ変奏曲ほか(ブレンデル)

2019年08月31日 | クラシック
エロイカ変奏曲~ベートーヴェン
ブレンデル(アルフレッド),ベートーヴェン
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント

〔曲目〕
 ・15の変奏曲とフーガ変ホ長調op.35 (エロイカ変奏曲)
 ・バガテル「エリーゼのために」イ短調 WoO.59
 ・6つのバガテル op.126
 ・6つのエコセーズ WoO.83

 このところ2,3週間は、あれでもないこれでもないとフリー系のジャズを聴き散らす日々だったのだが(全然ブログにアップできていませんが)、それが何日か前から、なぜか頭の中に「エロイカ変奏曲」のバス旋律がしきりに浮かんできて、気づくと自然に口ずさんだりするまでになってしまった。理由は分からないけど、もしかすると、また自分の中でベートーヴェン聴きの日々が来つつあるのかもしれません(笑)。

 で、頭の中だけじゃナンなんで、実際の演奏を聴いてみようと思って引っ張り出したのがこのブレンデル盤。実はこれ、けっこう懐かしい盤で、昔近くの図書館にあったのを借りたのが最初なんだけど、でもすごく解説もボロボロ、盤面もキズだらけだった(から、よく覚えているんだけど)。よく働いている(借りられている)というべきか限界寸前と言うべきか、内心ちゃんと音飛びせずに聴けるのかどうか、借りて帰りながらちょっとヒヤヒヤしたものでした。

 そして、その後何回か聴いてきたと思うけど、今回はけっこう間があいたというか、多分何年かぶりのはず。そうなると、やはり印象も変わってくるもので、当時はまだ「エロイカ変奏曲」自体あまり馴染みがなかったはずで、演奏もカチッとしたカタい印象があったんだけど、でも今こうして聴き直してみると、ここでのブレンデルは旋律の歌い方にけっこうタメもあるし、ペダルもわりと使うし、表情も豊か。こんなエモーショナルな演奏だったかなあと、ちょっとビックリしてしまいました。

(ところで、未だに自分の中でしっかり納得できていないのが、なぜ冒頭のあの「英雄」交響曲でも使われたバス旋律が「主題」ではないのか、ということ。そもそも、このバス旋律のほうがよっぽど目立っているし最後のフーガの主題もこっちだし、「主題」のほうはあまりはっきり演奏されることが多くもないし。その後のいろんな変奏にしても、聴き手としては実際にはバス旋律のほうをアテにして聴いているんじゃないかとも思うので、自分としてはどうしてもこっちのほうの肩を持ちたくなってしまう。まあ、その辺の事情よく知らないので、ただの浅い印象でしかないんだけど)。

 ベートーヴェンの変奏曲はほかにも、ここ数年ちょこちょこ聴くようになったけど、やっぱりこの「エロイカ変奏曲」が一番好きかなあ。

 で、このCDの面白いところは、冒頭の「エロイカ変奏曲」の後に、突然単独の「エリーゼのために」が来て、「6つのバガテル op.126」から最後「6つのエコセーズ WoO.83」と続く、かなり独特な曲順。

 「6つのバガテル op.126」といえば、よく耳にする「ベートーヴェン最後のピアノ曲」ということで特別視されることも多いと思うんだけど、それをどちらも可愛い「エリーゼのために」と「エコセーズ」の間に組み込むって、もしかしてブレンデルのなかでは「単にたまたま最後になった小品」くらいの感じなのだろうか。

 で、その終曲を聴きながらそんなことを考えていると、最後にあの「エコセーズ」が始まるので、思わず微笑ましい気分になってしまう。この曲、「ピアノ名曲集」みたいなCDには出てくるのだろうとは思うけど、普段ピアニストが勝負をかける本格的なCDでは、逆にまずお目にかからない気がする(で、聴き始めるとあっという間に終わるのでちょっとずっこける)。

 ともあれ、このCD。改めてこうして聴いてみると、一見寄せ集めのようでいて、でも統一感があるといえばあるような、ブレンデルの中ではちょっと独特な盤といえるのではないか、という印象。ソナタ集とかよりも、ちょっとリラックスして聴けるという面もあるかも。

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レスピーギ : リュートのための古風な舞曲とアリア(イ・ムジチ合奏団)

2019年08月26日 | (旧HP記事)クラシック(オムニバス、コンサートもの等)
レスピーギ : リュートのための古風な舞曲とアリア イ・ムジチ合奏団
オットリーノ・レスピーギ,サミュエル・バーバー,ニーノ・ロータ,エドガー・エルガー
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント

〔曲目〕
 ・リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲( レスピーギ)
 ・弦楽のためのアダージョ(バーバー)
 ・弦楽のための協奏曲(ニーノ・ロータ)
 ・弦楽セレナードホ短調op.20(エルガー)

 イ・ムジチによる、20世紀の保守的な(聴きやすいというべきか)作品を集めたオムニバスです。

 イ・ムジチといえば、自分の中ではいつまでたっても「バロックの人たち」という印象で(あまり普段聴かないせいかもしれませんが)、これを見つけた時も「あれっ、あのイ・ムジチがこんな現代ものをやるの?」みたいな、ちょっと興味本位な聴き方だったのですが、しかしこれ、ずばり粒ぞろいの名盤です。

 曲中、めずらしいといえばニノ・ロータの作品でしょうが、これまで聴いたロータのクラシック作品の中では一番面白いと思いますし、他は定番的なこの盤の中で、ある意味、個性を作り出しているような気がします。

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「ベルマン・ヴィルトゥオーゾ・リサイタル」(CBS/SONY 25AC 300)

2019年08月26日 | (旧HP記事)クラシック(オムニバス、コンサートもの等)

〔曲目〕
 ・前奏曲嬰ハ短調op.3-2(ラフマニノフ)
 ・前奏曲ト長調op.32-5(ラフマニノフ)
 ・前奏曲ト短調op.23-5(ラフマニノフ)
 ・練習曲嬰ハ短調op.25-7(ショパン)
 ・3つのオレンジの恋~行進曲(プロコフィエフ)
 ・トルコ行進曲(ベートーヴェン~A・ルービンシテイン~ラフマニノフ)
 ・トッカータ(ハチャトリアン)
 ・練習曲変ロ短調op.8-11(スクリャービン)
 ・練習曲嬰ニ短調op.8-12(スクリャービン)
 ・糸を紡ぐグレートヒェン(シューベルト~リスト)
 ・魔王(シューベルト~リスト)
 ・メヌエット ト長調op.49-2(ベートーヴェン)
 ・火祭りの踊り(ファリャ)


 これは、LP時代に好きだったベルマンの盤のひとつ。

 タイトルは「ヴィルトゥオーゾ・リサイタル」なんてついているけど、ベルマンには当時何でも「ヴィルトゥオーゾ」という言葉がついて回ったので、本当はアンコール集もしくは愛想曲集くらいの理解でいいと思います。

 ところで、個人的にこのLPでの一番のお気に入りは、ハチャトリアンの「トッカータ」。当時(つまり青少年の頃)、この曲が好きで好きで自分でも弾いてみたことがあるし、今現在に至ってもこの曲のフレーズはけっこう頻繁に思い出してしまいます。また、後にはハチャトリアンがもっとこのような魅力的なピアノ曲を作曲しているのではないかと、無駄に探し回ったりしたこともありました。

 (それと関係ないけど、ハチャトリアンでもうひとつ忘れられないのが、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」で使われた「ガイーヌ」の中のアダージョ。こちらもすごくい尽しいのだが、しかしかなりマイナーな曲でもあって、たとえ「ガイーヌ」のCDを探しても、それが全曲盤でなければ(たいていの1枚ものの抜粋盤で収録されていない)聴けなかったりしました)。

 ほかにも、ファリャの「火祭りの踊り」もすごくカッコいい演奏だし、ラフマニノフやスクリャービンの有名曲も、もちろん言うことありません。これ、恐らくは未CD化作品で、今ではまだ中古盤が安く落ちていることもあるけど、この先レコード文化が廃れていくと、もしかして聴くことが難しくなったりするのではないかと、ちょっと心配になったりもしています。(2009/11/18) 

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メトロポリタン・コンサート

2019年08月26日 | (旧HP記事)クラシック(オムニバス、コンサートもの等)
At the Met
Domenico Scarlatti,Franz Liszt,Fryderyk Franciszek Chopin,Sergey Rachmaninov,Vladimir Horowitz
RCA

〔曲目〕
 ・スカルラッティ: 6つのソナタ  (L.186 L.118 L.189 L.494 L.33 L.224)
 ・ショパン: バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
 ・リスト: バラード 第2番 ロ短調
 ・ショパン: ワルツ 変イ長調 Op.69-1「告別」
 ・ラフマニノフ: 前奏曲 ト短調 Op.23-5

 はじめて聴いたのは高校生くらいだったでしょうか。ある意味、ホロヴィッツの数ある録音の中でも、究極の美音を誇る盤だと思います。

 実際、初めて聴いた当時、冒頭のスカルラッティが流れてきた途端、あまりの音の美しさにひっくり返ると同時に、「同じホロヴィッツでも録音ひとつで(昔のものと)こうも違ってしまうのか」「これじゃあ、ボロいピアノしかない普通の人はどうすればいいのか」などと、ちょっと途方にくれてしまった盤でもありました。

 まあ、今ではボロいピアノでも差し支えないですが、しかしそう思えるようになるには、あれからかなり時間がかかったような気がします。

 それにしても、やはりこの盤の音の美しさは別格で、スカルラッティの6つのソナタはもちろん、ショパンの「バラード4番」や「告別のワルツ」の美しさも、尋常ではありません。過去にこれを、何度か人に紹介したことが何回かありますが、気に入ってもらえなかったことがありませんし、ぼく自身もいまだにこれをうっかり聴いてしまうと、しばらくは抜け出せなくなって困ってしまいます。

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聴いたCD Piotr Baron : Reference

2019年08月20日 | ジャズ(管:Sax,trumpet 等)
Reference
Eddie Henderson, John Hicks, Darek Oleszkiewicz, Victor Lewis Piotr Baron
Piotr Baron

 Piotr Baron(ts,ss) Eddie Henderson(tp) Darek Oleszkiewicz(b) Victor Lewis(ds) John Hicks(p)

 これは、最近の拾い物だったCD。

 見つけたのはどこぞのDUの特価品の棚で、まあ多分売れ残りですっごく安かったんだけど、でも何となくそそる雰囲気がある反面、サックス奏者がNYの街を背景に立っているジャケットってちょっと軟派っぽそうで、「う~ん、どうしよう」と、しばし考え込んでしまった。

 で、迷った末に思い切って買って見たんだけど、ふたを開けてみるとこれが最初からどんどん音が耳に入ってくる。リーダーの Piotr Baron はポーランドのベテラン・テナーマンだそうで(後で気づくと、すでにリーダー作を1枚持っていた)、今回の企画は要するにその Piotr Baron がNYに来て、そちらのメンツ(ベースの Darek Oleszkiewic だけは同郷)と録音するということだったらしい。

 で、編成としては、Eddie Hendersonのトランペットとの2管でのクィンテットだし、特に最初は元気な曲から始まるので、第一印象はけっこう華やかに感じる。しかも、演奏自体もかなり王道。しかし、徐々にPiotr Baron のサックスがかなり硬派でカッコいいということに気づいて、思わず聴き込んでしまった。

 実際、やっていることはすごく伝統的ではあると思うけど、でも全然古臭くないし、それに男気みたいなものがあって、演奏に熱があるという感じ。そしてその表れか、1曲1曲の演奏も長い(全体が約50分で5曲だから、1曲平均で約10分)。それに、この録音はNY遠征ということでもしかしたら普段と勝手が違うのかもしれないが、硬派にしては曲も含めて全体に陽性な雰囲気があるのもちょっと面白いというか。

 う~ん、まだ全然分からないけど、でもこうなったら、この Piotr Baron の手持ちの1枚をぜひ聴き直してみたい。しかし、あの地面にドラム缶みたいなのが立っていただけのジャケットのCD(1,2回聴いて気に入りかけていたのに、その後他のCDに追いやられて忘れてしまっていた)、どこかに埋もれてしまって、今やまったくの福江不明。いろいろ探し出すと、今手元にあるCDが、代わりに埋もれてしまいそう(泣)。

 もしかしたら、Youtubeで探したほうが早いかも知れません。

Reference

 

 *フル・アルバムじゃないけど、やっぱりこちらのほうもありました。1995年とかなり録音古くて、サックス・トリオだったんだな。

Piotr Baron - Take One (Polonia Records, 1995)

 

 

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聴いたCD Billy Hart Trio : Route F

2019年08月17日 | ジャズ(その他楽器:Other Inst)
Route F
Enja
Enja

 Johannes Enders (ts,ss)  Martin Zenker (b)  Billy Hart (ds)

 これは、ここ最近けっこう聴いた盤。

 最初、ジャケ写の雰囲気と Billy Hart の名前で拾ってみたんだけど(ていうか、そもそも安かったし)、ジャケ写に写っている道が「Route F」かと思っていたら、よく見ると瓦屋根や漢字の看板みたいのが写っているし、もしかして日本の写真なのかも。でも、内容は全然日本的な雰囲気とかと関係ないんだけど。

 でも、これは聴いてみてすごく良かった。編成としては、Johannes Enders というサックスプレーヤーのテナー&ソプラノを配してのサックス・トリオ。そして、この Enders とベースの Martin Zenker がドイツ人ということで、基本的に大御所の Billy Hart が、ドイツの(年齢正確に知らないけど、彼から見て)若手のドイツ人2人を率いているという感じ。

 で、何と言うか、このトリオの3人の関係がちょっと独特。まず存在感としてフロントの Enders が一番前面にいるのは普通として、ベース&ドラムスが後ろに控えるというのではなく、この盤ではリーダーの Billy Hart がかなり前面に出てきて Enders の真横よりちょっとだけ後ろくらいにいる感じで、そしてその2人の奥にもうひとつ点を加えて三角形を描くように Martin Zenker が控えているみたいな感じに見える。

 そして、その3人のプレーがそれぞれカッコいいというか、 Enders はこの盤のほぼ全部の曲を作曲していて、音としてはややマイルドでメロディアスなんだけど、でも音楽性は芯があってむしろ硬派な感じですごく良いし、Billy Hart は存在感は大きいんだけど、いい意味で「おじさん」というか、音量は大きくて圧もあるけど、サバサバしてクドくない、みたいな。そして、個人的には実はこの2人に隠れて、常に後ろに控えている Martin Zenker がすごく好き。目立つ目立たないの話でいえば、あまり目立ってないんだけど、でも地味に試合を支えているディフェンシヴ・ハーフ的な感じといえばいいのか、ベースの音を中心に聴いてみても、すごくシンプルでカッコいいし。

 そして、そんな3人のプレーを捉えた録音が、すごく緊密で生っぽいのが良い。録音にお客の拍手が入っているのでライヴ録音だと思うのだが、そうなるとやはりマイクの数も少ないのかな。個人的に、スタジオ録音でみんな別室で何度も録り直して後でミキシングで音をいじり回すのより、こういう臨場感ある音のほうが、最近は断然好きだ。

 気づけばこの3人、この盤以外にも録音あるみたいだし、このトリオでなくとも、いろいろと共演もしている様子。ということはつまり、彼らの関係がうまくいっているということだよなあ。

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聴いたCD Howard Riley & Keith Tippett : The Bern Concert

2019年08月11日 | ジャズ(フリー系)
The Bern Concert
Howard Riley & Keith Tippett
Dusk Fire

 ハワード・ライリーとキース・ティペットによるデュオで、知らない盤を見つけたので買ってみた。

 ジャンルとしては、いわゆる「英国フリー・インプロ」みたいなことになるのだろうか。この2人は、恐らく1980年頃(より少し前?)ら20年近くにわたって2台のピアノだけによるデュオというのを時々やっていて、そのライヴがいくつかCD化されているのだが、以前その『In Focus』という盤を聴いてメチャクチャかっこよくて、以来この2人のファンになってしまった。

 2人は、どちらも一応ジャズの人と括られていると思うけど、特にキース・ティペットのほうは一時キング・クリムゾンに参加していたとかで、音楽性としてすごくロック(プログレ)的なものを感じる(当時の写真のファッションとみても、そんな感じだし)。といって、そのプログレ方面に自分は全く疎いので詳しいことは何も言えないのだが、とにかく彼らの音は普段自分が聴いている分野とはものすごく異質、かつ強烈だったので、その分衝撃も強かったと思う。

 (ただ、ぼくという人間は、一度気に入ったものはつい集中的に聴きすぎてお腹いっぱいになってしまい、その結果飽きてしまうので、この周辺の音楽も実を言えば最近はちょっとご無沙汰になってしまっていた)。

 で、この盤。録音時期は1993年と、2人のデュオとしてはかなり後のほうの録音。久しぶりに彼らの音を浴びてみて、基本的には『In Focus』と変わりはなくカッコいいのだが、しかしもう最初の頃から10年くらいは時間がたっているわけで、何度か聴いてみると、やはり変化はあるように感じた。

 『In Focus』では、言ってみれば全編に渡って緊張感みなぎるストレートな激しさがあって、どう猛な肉食獣のようなイメージがあったのだが、今回はそれが少し静かと言うか幽玄な部分もあって、ある意味一筋縄ではいかない感じ。

 でもそれで彼らの魅力は衰えたりはしていないし(相変わらず、キース・ティペットの高速アルペジオカッコイイし、いつもの内部奏法も健在だし)、聴き方としては、以前のようなアドレナリン分泌多めの聴き方から、やや色々と展開を考えながら聴く方向になってきたのかもしれない。

 やはり、インパクトや聴き易さから言うと『In Focus』のほうを採るけど、でもどっちを繰り返し聴いて飽きがこないかというと、結局こういう方になるのではないかしらん。 

The Bern Concert, Pt. 1

 そして、ちょっと話題がそれるけど、彼らのカッコいいピアノ・デュオを聴いた後は、決まって「もっとほかの人たちもこんなデュオをどんどんやればいいのに」と、いつも思ってしまう(だけど、なかなか面白いものが見つからない)。

 でも、例えばヤスクウケとビレゾウのデュオはかなりカッコよくて、一時頻繁に聴いたことがあった。ライリーとティペットに比べると、最初からコンセプト固めすぎで即興性薄いとも見えるけど、やっぱりこっちもかなり魅力を感じる。ホントに、こういうデュオ、もっとやってくれたいいんだけど。

Jaskułke & Wyleżoł DuoDram - Movement I

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聴いたCD Taylor Deupree : Occur

2019年08月05日 | 電子音楽
Occur
Taylor Deupree
12K

 久しぶりに Taylor Deupree を聴く。

 このCDは実物を持っているわけじゃなくて、昔「ジャニス」か「スモール・ミュージック」でレンタルしたもののコピーなんだけど、それが偶然、この高温多湿真っ只中の8月に出てきたおかげで、思わず暑さを一瞬忘れることができました。

 Taylor Deupreeって、写真で見るとだいたいいつも寒そうなところでうつむき加減で写っているようなイメージなんだけど、音楽自体もこのCDを含めて、基本的に非常に怜悧で幽かな(かそけき)世界であると思う。けれど、その音作りはすごくナイーヴかつ繊細で、細かいところにも神経が行き届いていて、一見無機質な音の中にも、血が通っているという感じがする。

 あと、この盤は気づくと点描的に配置されている音の背後にいつもドローン的な音が流れているわけではなくて、いわば背景が「無音」である点、意外と珍しいのかも。

 彼はけっこう来日もしていたと思うし、CDのタイトルなどにも日本語っぽい言葉が使われていたりするのと関係あるのかどうかは知らないけど、どうもこの人は、西洋的な、空間を音で埋め尽くすような音楽だけではなく、この盤のように日本的な「無音」の背景の中でそこに現れたかすかな音を聴いていくような、そんな感覚をすでに分かられちゃっている人なんじゃないか、なんていう気もしました。 

Occur 1

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