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聴いたCD ショスタコーヴィチ:交響曲第7番『レニングラード』 アシュケナージ指揮サンクト・ペテルブルグ・フィル

2024年03月14日 | クラシック

 

 このところ、あまり意識している訳ではないけど、徐々に聴く頻度が増えてちょっとしたマイ・ブームみたいにもなってきたショスタコーヴィチ。

 今日は、中でも有名なほうの「交響曲第7番」を、(こちらも最近、マイ・ブームみたいになっている)ムラヴィンスキーではなく、なぜかアシュケナージ盤で聴く。

 ・・・と、すんなり書き出してしまったけど、実はこのショスタコの7番と指揮者アシュケナージの両者にはどちらも以前からちょっとしたわだかまりがあって、ずっと避けていたような過去があったというかなかったというか(まあ要するに、全然大したことじゃないんだけど)。

 というのは、まずショスタコの7番については、我々昭和世代の人間には、あのシュワちゃんの「チチンブイブイ」のテレビCMの呪縛(笑)というものがあって、第一楽章のあの繰り返しを聴くとどうしてもあのCMを思い出してしまって、純粋に音楽に集中できなくなってしまうというトラウマみたいなものからなかなか逃れられず、それでこの曲からは、いつもついつい遠ざかってしまっていた(ぼくだけかも知れませんが)。

 そしてアシュケナージ。こちらも、ぼくは昔から途中から指揮者に転向するようなピアニストというのがあまり好きでなく、このアシュケナージにしても(別に彼だけじゃないけど)最初に指揮者になったと聞いた時に「またお前もか!」と思って、以来食わず嫌いの存在に。そして、アシュケナージにはもう一つぼくの苦手な傾向があって、それはピアニスト時代から「○○全曲」という録音がとにかく多いこと。

 こちらも、昔好きだったホロヴィッツとかリヒテルなんかの古い世代のピアニストがそんな録音をあまり残していなかったこともあって、「全曲企画って、そもそも本当にすべての曲が好きで弾いているの?」なんて、ついケチをつけたくなってしまっていた。

 と、そんなわけだったので、これが10年くらい前だったらこんなCD、見つけても目もくれなかったかもしれないのだが、しかし今回はそれがどうした訳か(年を取って丸くなってしまったのか)、「えっレニングラード? しかもアシュケナージ?」みたいに一瞬思ったものの、逆に興味が沸いてきてしまった。

 で、果たして実際に聴いてみると、これがかなり良い。

 というか、まず驚いたのは、最初に曲が始まる前に、当時(1941年)ドイツ軍に包囲されていたこのレニングラード(今ではサンクト・ペテルブルグ)でまさにこの曲を作曲途中だったショスタコーヴィチ本人によるラジオ・インタビュー(というか、市民に対する呼びかけ)が収録されていたこと。

 解説を読むと、どうやらこの演奏は1995年の終戦50年を記念してサンクト・ペテルブルグで行われたコンサートに関連して(そのライブだとは書いていないが)録音されたものであるらしい。

 そして、演奏しているオケも、最初名前が変わっていてピンときていなかったが、なんと「サンクト・ペテルブルグ・フィル」って要するに、あのムラヴィンスキーの旧「レニングラード・フィル」のことだと判明。

 う~む、でもそこにあまり因縁のなさそうなアシュケナージなのか、と一瞬思ってしまったのだが、気がついたらアシュケナージは、そもそも昔、そのソ連から亡命していた一人なので、旧ソ連の出身者ではある。

 でも、ということは、当時のスターリンからの流れを汲むソ連の体制から逃れた人物と、そのソ連を代表していたオケの組み合わせということにもなるのではないか。それが、どういう流れでこうなったのかは解説には書いていないので全く分からないのだが、しかしこの録音は1995年のことではあり、すでにソ連も崩壊してしまった後だったとなっては、そんな過去の因縁はもう水に流した、ということだったのでしょうか(全くの素人の浅い推測にすぎませんが)。

 ともあれ、ここで聴くアシュケナージ指揮の旧レニングラード・フィルは、ピアニスト・アシュケナージを髣髴とさせるかなりすっきりした演奏で全体もすごくまとまった印象で、戦争の血と鉄の入り混じったような生々しさみたいなものはだいぶ洗い流されたような感じ。

 ただし、気づけばオケもかなりパワフルだし、そもそもムラヴィンスキーが亡くなって当時はまだ10年も経っていなかったはずなので、同じオケの演奏がそんなに急に変わるのかとも気になって、さっき YouTube を探したら運よくムラヴィンスキーの同曲の演奏が見つかったので聴いてみたんだけど、こちらは非常に重量感があって圧も強い感じで、雰囲気的にはやっぱりだいぶ違うのかなあ(でも、第一楽章を2回、3回と聴き比べたらかなり似ているような気もしてきた(笑)。録音の違いといった面も、けっこう大きいのかも)。

 ともあれ、まだ自分はオケについてもムラヴィンスキー関連も聴き始めたばかりなので、いずれにしても何も知らないド素人のたわごとにすぎないのだが、でもこういう時代の移り変わりに伴ってのオケの変化っていうのも、聴き比べていって違いなどが分かってくれば、かなり面白そう。

 これまで知らなかった、全く未知の領域が広がってきた、なんて感じでもあります。

Shostakovich: Symphony No. 7, Op. 60 - "Leningrad" - 1. Allegretto

Shostakovich Symphony no 7 (Mravinsky)

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