〔曲目〕
ハイドン
・ピアノ・ソナタ Hob.XVI-49
・ピアノ・ソナタ Hob.XVI-10
・ピアノ・ソナタ Hob.XVI-6
・ピアノ・ソナタ Hob.XVI-52
これは、ここ数日「見つけたかも!」と、秘かに興奮しているCD。
ハイドンのソナタについては、最近好きなので中古屋で手頃な値段で落ちているCDを見つけたらできるだけ拾うようにしているんだけど、その中でも特に期待もしないで買ったこの盤が(ジャケットもいかにも廉価盤という感じだし)まさかの大当たり。
ピアニストはフランス出身でイヴォンヌ・ルフェビュールらに師事し、アンヌ・ケフェレックと仲が良くてデュオをよくやっていたというカトリーヌ・コラール(1947~1993)で、ぼく自身はまったく初めて聴くピアニスト。今回のCDが「Vol.1」と銘打っているところをみると、シリーズ化の企画だったと思うのだが、恐らくその半ばで40代で病没しとのらしい(残念)。
で、この盤の曲目は全4曲のうち、有名どころのHob.XVI-49とHob.XVI-52とに挟まれて初期の曲が2曲という構成。こういう初期の曲を入れるということはやはり全集の企画だったのかなとも思うのだが、しかしその演奏が、冒頭からもう抜群に素晴らしい。
演奏の大まかなタイプとして、フランス人の演奏によく言われる明晰な演奏といわれれば確かにそうで、ドイツっぽい本格的な(と言ったらいいのか)雰囲気とは無縁の感触。そしてすごく良く回る指での打鍵が溌剌とした躍動感があり、またゆったりしたところではすごく端正な抒情と女性らしい繊細さもあって、本当にどこをとっても言うことなし。
実は、ハイドンのソナタの全集物はこれまで2種類くらいは聴いていて、しかし初期のソナタはやはりあまり耳に残らないものも多く、普段演奏が少ないのもうなずけるなあと思っていたのだが、彼女の演奏はそういうソナタまでも十分立派な作品に変えてしまう。実際、このCDで一番印象に残ったのは既知の有名曲ではなく、この初期の2曲のフレッシュさのほうだったと言ってかもしれない。
本当にこれ、80年代の録音のわりに全然古くも感じないし、ここ最近聴いたハイドンの中では、というより全部の中でも最高クラスに良いと思う。う~ん、このカトリーヌ、コラール、なぜもっと有名じゃなかったんだろう。
↓(恐らく、CDの1曲目と同一の音源。本当は初期の曲のほうが良かったんだけど、見つからなかった)
Haydn - Catherine Collard (1991) Keyboard Sonata in E-flat major, Hob.XVI/49