Emir Klein(cello) Wolfgang Manz(piano)
これは、去年だったか、お茶の水のディスクユニオンのクラシック館に行った際に安く落ちていて、ブラームスのチェロ・ソナタは多分聴いたことがなかったから、という軽い気持ちで拾っていたCD。
それを今こうして初めて聴いてみて、うまい具合にめでたく開眼。
クラシックのジャンルでは、もう昔から聴き続けているピアノ曲ではなかなか未知の曲に出会って感動するということが難しいので、今ではこのように室内楽を探索することも多くなっているんだけど、それがこうしていい曲に巡り合えると、やはり感動も新鮮だし、嬉しい気分になってしまいます。
で、本CDに収録されている2曲のうち、まず最初にハマったのは第一番のほうで、それから何度か繰り返し聴くうちに、今では第二番も耳に入り始めたという段階。
チェロ・ソナタというと、これまでせいぜいベートーヴェンの数曲やプロコのどれかの曲くらいしか聴いたことがなくて、作曲する側の立場からすると、チェロという楽器は主役だからといってあまりガチャガチャ活躍させすぎるのも違うと思うし、逆に悠々と歌わせるのが本筋だとしても、そればかりだと地味になったりするのが大変なのではないかとも素人ながら思うんだけど、この点ブラームスのこの2曲は、どちらかというと後者のほうではないかと思う。
しかし、最近ブラームスが好きになりつつある自分としては、まさにそういう展開ことがブラームス向きだし、特質が曲にも出やすいのではないのだろうかとも。2曲とも、あまり奇を衒わず朴訥とした曲調の曲で、その結果たしかに地味な曲にはなっているんだけど、しかし非常にロマン派の色合いが良く出ていて、まさにこれこそブラームス、という作品のようにも感じる。
というか、こういう曲こそがロマン派のチェロ・ソナタの本道なんどえはないかとも思えるし、これまで聴いたブラームスの曲の中でも、個人的にはかなり上位に刺さってしまった。
・・・で、演奏については、そもそも今回初めて知った曲について自分ごときが言うことは何もないのだが、取りあえずソリストの情報だけ付記しておくと、本CDで演奏しているのは Emir Klein という、1955年ルーマニア生まれのチェリスト。
国際的に活躍していて指揮者としても活動歴があり、録音もけっこう残っているようなのだが(この録音は1996年)、しかしなんと、2004年に40代の若さですでに他界してしまっているとのこと。
ぼくみたいに古い録音ばかり拾いがちな音楽ファンだと、たまにこういうことにも出くわすと思うのだが、しかし初めて知った人が(しかもわりと若いと思った人が)実はもう故人だったと分かるのは、やはりちょっと寂しい気分になってしまいます。
↓(ジャケットは違いますが、本CDと同じ音源だと思われます)
Emil Klein:Brahms/cello sonata No.1-1