On a bench ブログ

ようこそ、当ブログへ。ジローと申します。
 毎日毎日、たくさんのCDやLPを聴いて過ごしております。

聴いたCD Brahms:Cello Sonata, 1, 2(Emir Klein)

2023年03月30日 | クラシック

 

 Emir Klein(cello)  Wolfgang Manz(piano)

 これは、去年だったか、お茶の水のディスクユニオンのクラシック館に行った際に安く落ちていて、ブラームスのチェロ・ソナタは多分聴いたことがなかったから、という軽い気持ちで拾っていたCD。

 それを今こうして初めて聴いてみて、うまい具合にめでたく開眼。

 クラシックのジャンルでは、もう昔から聴き続けているピアノ曲ではなかなか未知の曲に出会って感動するということが難しいので、今ではこのように室内楽を探索することも多くなっているんだけど、それがこうしていい曲に巡り合えると、やはり感動も新鮮だし、嬉しい気分になってしまいます。

 で、本CDに収録されている2曲のうち、まず最初にハマったのは第一番のほうで、それから何度か繰り返し聴くうちに、今では第二番も耳に入り始めたという段階。

 チェロ・ソナタというと、これまでせいぜいベートーヴェンの数曲やプロコのどれかの曲くらいしか聴いたことがなくて、作曲する側の立場からすると、チェロという楽器は主役だからといってあまりガチャガチャ活躍させすぎるのも違うと思うし、逆に悠々と歌わせるのが本筋だとしても、そればかりだと地味になったりするのが大変なのではないかとも素人ながら思うんだけど、この点ブラームスのこの2曲は、どちらかというと後者のほうではないかと思う。

 しかし、最近ブラームスが好きになりつつある自分としては、まさにそういう展開ことがブラームス向きだし、特質が曲にも出やすいのではないのだろうかとも。2曲とも、あまり奇を衒わず朴訥とした曲調の曲で、その結果たしかに地味な曲にはなっているんだけど、しかし非常にロマン派の色合いが良く出ていて、まさにこれこそブラームス、という作品のようにも感じる。

 というか、こういう曲こそがロマン派のチェロ・ソナタの本道なんどえはないかとも思えるし、これまで聴いたブラームスの曲の中でも、個人的にはかなり上位に刺さってしまった。

 ・・・で、演奏については、そもそも今回初めて知った曲について自分ごときが言うことは何もないのだが、取りあえずソリストの情報だけ付記しておくと、本CDで演奏しているのは Emir Klein という、1955年ルーマニア生まれのチェリスト。

 国際的に活躍していて指揮者としても活動歴があり、録音もけっこう残っているようなのだが(この録音は1996年)、しかしなんと、2004年に40代の若さですでに他界してしまっているとのこと。

 ぼくみたいに古い録音ばかり拾いがちな音楽ファンだと、たまにこういうことにも出くわすと思うのだが、しかし初めて知った人が(しかもわりと若いと思った人が)実はもう故人だったと分かるのは、やはりちょっと寂しい気分になってしまいます。

 ↓(ジャケットは違いますが、本CDと同じ音源だと思われます)

Emil Klein:Brahms/cello sonata No.1-1

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聴いたCD Spunk : Kantarell

2023年03月24日 | ジャズ(フリー系)

 

 Hild Sofie Tafjord, Kristin Andersen, Lene Grenager, Maja Solveig Kjelstrup Ratkje

↑(上のアマゾンのジャケット画像、恐らく上下が逆さまです)

 久しぶりに「Rune Grammofon」レーベルを聴く。

 このレーベル、ノルウェーのエクスペリメンタルな音楽を数多くリリースしているレーベルで(読みはリューネ・グラモフォンが多分正しいと思うのだが、しばしばルーン・グラモフォンとも)、中古屋でまずフリー・ジャズのコーナーを覗く習性がある自分としてはすごくよく目にするレーベルなのだが、実は普段、あまり手が伸びない。

 その理由は、まず内容がフリー系の音楽の中でもかなりキツめでとっつきにくいものが多いことと、それからジャケットの表面に書かれている情報がすごく少なく、事前情報もなくジャケットだけの印象で買う買わないを判断することが多い自分にとっては、それが正直かなり困ってしまうこと。その上、どれも似たようなジャケットが多いので、すでに持っているものかどうかの区別もつきにくい。

 実はもう何年も前から、一度家にどのCDがあるのか整理しようとも思っているんだけど、現時点ではそんなこと夢のまた夢だし(といって、大して持っているわけでもないんだけど-笑)。

 で、このCD。

 この黄色いゼリー状の顔みたいなジャケットが(キム・ヨーソイのイラストらしい)、このレーベルではかなり特徴的なのに惹かれてゲットしたと思うのだが、ジャケットの中を見ても、あるのはメンバーの名前だけで、楽器等の記載は無し。

 音は、電子音が中心で生音もある程度使用されているのかなあというくらいの第一印象で、そこに人の声もちょこちょこ聴こえるようなのだが、それがどれも女性の声みたいなのでパソコンで調べ始めると、なんと4人のメンバー全てが女性だと判明。

 そして、出てきた演奏風景の写真を見ると、4人のうち3人は本物の楽器を演奏しているみたいで、それもチェロやホルン、トランペットとかなりクラシック系寄り。なので、あえて既存のジャンルに当てはめるならむしろ現代音楽系といってもいいのかもしれない。ただし、みんなクラシックから思い浮かぶ音では全然ないんだけど、 

 しかし、そんなかなり先鋭的な音が、かなり繊細で洗練味を感じるし、いいかげんなところもないので、けっこう集中して聴けてしまう。たぶん、即興要素は強いと思うんだけど、長くやっているせいで全体にも一体感もあるような感じ。

 また、レーベルHPにあった紹介記事に、「(大意)フリー集団インプロには、自己陶酔や支離滅裂さ、フリー ジャズでの決まりきったジェスチャー、ダイナミクスの欠落、ユーモアのなさなど、多くの落とし穴があるが、Spunk はそれらの危険に警戒していて・・・しかし、音楽をアナーキーの瀬戸際に持ち込むことを恐れていない」みたいな文章があったのだが、こういう姿勢はかなり好きかも。

 音自体はけっこう激しい部分もあったりするのだが、それを作る上では、むしろ熱心かつ生真面目な姿勢もうかがえるように思えました。

SPUNK 20 First Set

 

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聴いたCD Steve Lantner : Given - Live in Muster

2023年03月19日 | ジャズ(フリー系)

 

 STEVE LANTER(p) ALLAN CHASE(as,bs,ss) JOE MORRIS(b) LUTHER GRAY(ds)

 これは、以前から持っていたアルバム。

 聴くのは何度めかだけど、段々と耳に馴染んできたような感じ。

 そもそも、このカルテットは STEVE LANTER、JOE MORRIS、LUTHER GRAY によるレギュラーのピアノ・トリオにサックスの ALLAN CHASE が加わった形で、トリオでは自分も他に2枚ほど聴いた経験あり。ジョー・モリスがベースでコンスタントに参加しているのが珍しい(さっきYouTubeを覗いてみたら、このトリオは’22年の演奏の動画も出てきたので、すごく息が長いグループだと思います)。

 で、聴いた感想としては、全体にけっこう飄々としているというか、リズムははっきりしている中でピアノはひたすらアブストラクトに中音域を、始終激しもせず沈鬱になったりもせず抑揚少な目に行き来。言うなれば、恬淡という感じかな。

 そして、ルーサー・キングのドラムスはこちらもあまり抑揚なくひたすらシンバルなどの細かい音をシャラシャラ。ジョー・モリスはひとり低音担当という感じで、こちらも抑揚なく同じようなテンポでベースをモゴモゴ。

 今回は、そこにサックスが加わるのだが、基本ソプラノ中心のアラン・チェイスが、こちらもあまり力感なく絡んでいく。

 しかしこの、どのくらい緊密にインタープレイしているのかしていないのかよく分からないような演奏が、しかししっかりお互いに分かりあってバランスを取っているような感じでもあり、聴いていて疲れないし(演奏者もあまり疲れないんじゃないだろうか)、何だかとてもいいような感じです。

Given, Part 1

Steve Lantner Quartet @ The Stone 1-26-13 2/2

 Steve Lantner Quartet

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聴いたCD Jazz Unit : Jazz Unit

2023年03月13日 | ジャズ(グループ、複数名義、オムニバス 等)

 

 STEVEN SNYDER (p) OLA BJERDING (b) ANDREW EBERHARD (ds) Guests: Randy Brecker (tp,flh) Jesper Thilo (ts)

 これは、けっこう前に買ったアルバムで、なぜかけっこう聴いてしまうアルバム。

 基本的に「前もっての情報一切なし + ジャケ頼り」で安めのCDを拾うのが習性の自分としては、ジャケットの印象でかなりトガった演奏を期待して買ったCDだったのだが、それが結果的には半分当たりで半分外れ。

 この盤、基本的にあまり知名度のない面子のピアノトリオで、後半は大物ゲストがゲストに加わるというパターンなのだが、前半3曲はわりと期待通りの硬質な感じのピアノトリオが展開。特に1,3曲目はアグレッシヴな曲調でもあって、こちらとしてもかなりノッて聴いていたのだが、4曲目のゲスト(ランディ・ブレッカー)が入り始めると、急に普通の大人しめの演奏に。

 それでも、悪い演奏というわけでもないので結局最後まで聴いてしまっていたのだが、トータルとしては若干消化不良な感じで聴き終わっていたのだった。

 それで、しばらくして忘れた頃に聴き返すということを何度か繰り返していたのだが、今回は真面目に解説を読んで、自分がかなり色々とこの盤について誤解していたことが判明。

 まずひとつに、この「Jazz Unit」は普通にピアニストがリーダーのピアノトリオというものでは全くなかった。

 というか、この「Jazz Unit」はスウェーデンの、しかもその南部の「ブレーキンゲ」という地方が企画したアンサンブルで、どういうことかというと、スウェーデンには各地方に割り当てられる芸術や音楽に対する交付金みたいな制度があって、この県ではそのお金を使って基金を作り、ジャズの普及を目的としてこの「Jazz Unit」を作り、そこに今回ならランディ・ブレッカーやジャスパー・シロなどの著名プレーヤーを呼んで、様々なアンサンブルをやって地元の音楽家を援助、育成したりしている、ということらしい。

 なので、ここで聴かれる「Jazz Unit」は恐らくこの時期での面子に過ぎないということらしく、その中心人物は、唯一地元出身であるベーシスト。ほかのピアノとドラムスの2人はアメリカ人で、3人はアメリカの大学で知り合っていたということらしい。

 ということで、実はこのグループはこの後にもCDを何枚か出しているみたいだが、その面子は全然変わっているみたい。

 う~ん、実は、このCDの前半3曲の演奏で、自分はこのピアニストがかなりの有名ピアニストで、当然このトリオもレギュラー・トリオだろうし、そのリーダーだと思い込みつつあったので、その点でも間違ってしまっていた。

 まあ、でも・・・、結局こうして自分は何度もこのCDを聴き返しているわけだし、後半の落ち着いた演奏も悪くはないので、全然文句はないんですけどね。

 でも、このトリオによる、このどう猛そうな犬のジャケットからの印象通りの、アグレッシヴでトガったジャズを、丸々1枚聴きたかったなあ、という思いがどうしてもよぎっていまう、CDでもありますね、やっぱり。

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聴いたCD Pole : R

2023年03月09日 | 電子音楽

 

 Pole の「R」を聴く。

 一時に比べて聴く機会が少なくなってきた電子音楽系だが、それでも1年に何回かは戻ってくるし、その時にはやはり真っ先に Pole を思い出してしまう。

 この先も、このズブズブ・プチプチを聴く度に、気持ちよくなっていくんだと思います(笑)。

 で、この盤、これまでの色別の1,2,3と違って、収録されているのは「Raum」と言う曲1曲のみ。それが、色々形を変えて10曲くらい入っているのだが、とにかく説明がないのでよく分かりません。

 しかし、そんなことははっきり言ってどうでも良くて、最初から最後まで続くこのプチプチの音の中に埋没していればいいのです。

 途中、brunt friedman と kit clayton による「variation」も入っていて、それがまた違った味があって最高。

 Pole の盤の中でも、かなり中毒性の高い作品ではないでしょうか(個人的にイチ推しのトラックは、下の「Raum 2 Variation (Burnt Friedman)」の後半。もうタマらないんですけど。

Raum 1 (Original)

Raum 2 Variation (Burnt Friedman)

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聴いたCD Carlé Costa : Guitarra Elemental

2023年03月04日 | 現代音楽

 

 これは、以前からちょこちょこ聴いていたCD。

 最初はそんなに気に入っていたわけでもなかったけど、こうして聴き返すたびに「好き度」が増してきている感じです。

 で、さっそく色々と基本情報を書いていきたいところなんだけど、しかしなぜかここ数日、CDのジャケットが見当たらない。実はさっきも小一時間探してみたけど、やっぱり見つかりません(泣)。なので、ここからは全部ネット情報になってしまうんですが・・・。

 で、この Carlé Costa 氏。ウルグアイ生まれでアルゼンチン育ちというギタリストであるらしく、国際的にも活躍しており、現在ではドイツのベルリンに暮らしているとのこと。

 CDも全部で10枚近く確認できる中で、本作はアコースティック・ギター一本による完全ソロ作の演奏。それも、エコーとかディレイとかの電気的な処理もなく、本当にアコギの生音だけの作品になっています。

 ただ、この演奏をジャンル分けしようとすると、これがなかなか難しくて、全体的な雰囲気はかなりクラシックの雰囲気を感じるし、YouTube に上がっている演奏風景を見てもクラシック系の舞台が多いように思えるから、南米によくいる現代作曲家のひとりと言われればかなり近いのかもしれないけど、その一方で非常に南米の民俗的な要素も強く、それが独特の憂いを含んでいて非常に美しい。

 それに、ここで演奏されている曲がどの程度予め作曲されているのか分からないけど、即興性も若干は感じるので、そう考えると店でジャズの棚に並んでも違和感がないようにも思える(実際に、自分もディスクユニオンのジャズのコーナーで見つけたような記憶がある)。

 南米のクラシック寄りの現代ギター音楽って、普段あまり聴かないから作曲家の名前パッとなかなか出てこないけど、例えば昔聴いたアサド兄弟なんかに取り上げられていた作品にしても、やはりヨーロッパの作品とは違って、ヨーロッパ内のクラシック界の枠に縛られない自由でしなやかな感性とサウダージ的な憂愁みたいなものが感じられるところが個人的に魅力的に映っていて、本作もまさにそういうところが最大の美点なのではないかと思っている。

 そこに、本作には適度に現代的な要素もあるので、ポップス方面の音楽のように甘ったるくないのもポイントというか。

 最初は、正直かなり地味な作品に思えたけど、じっくり聴けば聴くほどその世界に浸ることができるタイプの作品ではないかと感じています

Corazón, Horizonte Y Río

Saga: En El Corazón

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