On a bench ブログ

ようこそ、当ブログへ。ジローと申します。
 毎日毎日、たくさんのCDやLPを聴いて過ごしております。

聴いたCD BEETHOVEN : PIANO SONATA 9/10/7/28(ANDOR FOLDES)

2020年06月28日 | クラシック

 

〔曲目〕
 ・ピアノソナタ第9番 ホ長調 作品14-1
 ・ピアノソナタ第10番 ト長調 作品14-2
 ・ピアノソナタ第4番変ホ長調 作品7
 ・ピアノソナタ第28番 イ長調 作品101

 また一人、未知の往年のピアニストを知る。

 このCD、もともとは中古屋でベートーヴェンの棚を漁っていた時に、初期のソナタが何曲も入っているのに気づいて(全集以外の企画では、かなり珍しい)拾っただけだったんだけど、聴きながらピアニストを調べてみると、これが ANDOR FOLDES(アンドール・フォルデス、もしくはフォルデシュ・アンドール)という、ハンガリー出身のかなりの巨匠と判明。

 1913年ブダペスト生まれで、ドホナーニやバルトークの教えを受け、第二次大戦でアメリカに亡命。日本にも来日したことがあったそうです。

 また、レパートリーはやはりバルトークなどが目立つものの守備範囲はすごく広く、特にベートーヴェンはかなりよく弾いていた様子。ただ、どちらかというと派手なタイプでなくて実直な演奏家だったので、あまり知名度は高くなかったらしい(それと、現在から見てもうひとつ不利に思えるのが、それなりに少なくはない録音の多くが1950~60年代の初め頃で、特に意識なく聴いてみるには音質的にちょっと厳しい面があるという点)。

 で、この盤。

 録音は前半の第9,10番が1966年。後半の第4,28番が1963年と、フォルデス50歳あたりの録音。音質としては、なぜか1963年のほうが若干クリアな気がするけど、演奏面では前半の2曲がやや充実している感じ。

 そもそも「ピアノ・ソナタ第9番」って、以前から耳にも残っていたし好きな曲だという意識はあったんだけど、なにせなかなかCDに収録されることすらないし、それに曲自体も短いので、ボーッと聴いているといつのまにか終わってしまうことも。でも、例えば第2楽章の主題とかけっこう何気なく思い出すことも多くて、ベートーヴェンのソナタの中で、かなりマイナーな扱いなのが不満にも思っていた曲。

 その曲を、このCDが誰によってどういう意図で編集されたのかは全く不明とは言え、こうして冒頭で取り上げてくれているというだけで、もうこのアンドール・フォルデスにちょっと親近感を持ってしまった。

 そして演奏自体も、特に前半の2曲は音の粒立ちもいいし、表現も最近のピアニストからはどうしても漂ってきてしまう「過剰な自意識」とはまだ無縁の、(決して淡白というのとも違う、時代がまだ棘をまとっていなかったというべきか)オーソドックスな空気感。

 この「過剰な自意識」って、実はベートーヴェンその人の中でもやっぱり初期から後期へと進むうちにより一層感じてしまうことも多くて、そういう意味ではまだこの第9,10番のソナタくらいの年代では、曲そのものもちょうどこの演奏くらいの雰囲気にマッチしているのかも、なんてこともちょっと思ってしまった。

 * YouTubeに、多分同じ音源だと思われるソナタ第9番の第1,2楽章があったので(やっぱり音質比べると劣るけど)、貼っておきました。

Piano Sonata No.9 in E Major, Op. 14 No.1: I. Allegro

Piano Sonata No.9 in E Major, Op. 14 No.1: II. Allegretto

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聴いたCD Spjärnsvallet : Again and Again

2020年06月23日 | ジャズ(フリー系)

 

 Kjell Westling(Bass, Clarinet, Sopranino Saxophone, Alto Saxophone, Flute, Percussion) 
 Nikke Ström(Bass, Electric Bass) 
 Bengt Berger(Drums, Mridangam, Calabash) 
 Christer Bothén(Guimbri, Bass Clarinet, Tenor Saxophone, Piano, Contrabass Clarinet, Ngoni) 

 これは、見つけてからいざ聴き始めるまで、ちょっと誤解していたアルバム。

 だって、このジャケットを見たら誰でも普通、「昔はこんなだったんだよ」と自分の若い頃の写真を持ったおじさんたちが、数十年ぶりに集まってもう一度ジャズをやったCD、ってな風に受け取ると思うじゃないですか。

 ところが実際は、写真に写っている昔の仲間(4人)のうちの一人が亡くなり、その追悼の意味もあって昔の録音を改めて発売したものだと判明。要するにこの盤は、’75年に発売されたスウェーデンの Spjärnsvallet というフリー系のジャズグループの、唯一のアルバムである、と分かったのでした。

 (と、最初は思ったのだが、実際は単なる再発ではなくて、今回収録された音源の主要部分はその’75年のアルバムでカットされたりLP用に短くされた部分であるらしい上、そこに’73年録音の1曲と、最後の「AGAIN」という曲は今回残った3人による2014年の演奏(しかも、その中でまた’75年の録音を部分的に使用したりしている)が加わっているという、ちょっとややこしい展開)。

 というわけで、こちらとしては聴く前からいきなり、2010年代の「かなり高齢なおじさん達」のジャズを聴くという態勢から、1970年代の北欧の現役バリバリ世代のフリー・ジャズを聴く態勢に移行するという、かなりの方向転換を強いられたというわけですが(笑)、しかしそうやって初めて聴いてみたその Spjärnsvallet の音が、自分にとってはちょっと新鮮で、また当時の熱気みたいなものも感じられて、かなり良かった。

 そもそもこのグループ、リーダー格の Bengt Berger や Christer Bothén が、70年代にスウェーデンに移住していたドン・チェリーと関係があって、ビター・フューネラル・ビアー・バンドみたいなグループに参加したり自分たちでもインドやアフリカを廻って民族音楽を習得していたそうなのだが、その流れというべきか、この盤の音楽も民族楽器をいろいろと使ったエスノ・ジャズというような感じ。そこに70年代のアメリカのフリー、スピリチュアルっぽい雰囲気も加わって、最初は本当に一瞬、普通にアメリカのフリージャズを聴いている気にもなってしまった。

 まあ、このように書いてしまうと、これはドン・チェリーを介して北欧に一時伝播した一種の亜流みたいにも見えるのかもしれないけど、しかしたぶんこういう流れはスウェーデンに限らずきっとほかの国々にもいろいろあって当時の世界的な若者の息吹みたいなものと捉えられるのではないかと思うし(全然詳しくないので単なる予想だけど)、それにこの演奏自体が、さっきも書いたけどすごく「熱気」みたいなものがあるし、それを含めた全体の空気感みたいなものに惹きつけられる面があって、思わず何度も聴いてしまった。

 それと、思えばもう何年もドン・チェリーに限らず黒めのフリー・ジャズやスピリチュアル・ジャズみたいなものから遠ざかってしまっていたので、その点でも新鮮に感じられたのかもしれない。

↓ (YouTubeで’75年のLPと思われる音源見つけたけど、上にもちょっと書いた通り、今回のCDは単純な再発ではないため、CDのほうに「Desireless」という曲は見つかりません。ただ、この曲の冒頭は、CD最後の「AGAIN」の中で、ちょっと使用されているみたいです。それと、こういう雰囲気のLPって、やっぱりいいですねえ。ジャケット見て欲しくなってしまいました。でも、こんなレアっぽいLPに手を出し始めるとお金がいくらあっても足らないので、やっぱりあまり近づかないほうが安全かも知れません)。

Spjärnsvallet - 

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聴いたCD Stötter's Nevertheless:But, Where Is The Exit?

2020年06月18日 | ジャズ(管:Sax,trumpet 等)

 

 Claus Stötter (tp)  Dizzy Krisch (vib)  Mathias Erlewein (sax)  Yves Torchinsky (b)  François Laizeau (ds) 

 これは、見つけた時に、知っている人は誰一人としていなかったけど、トランペット、サックス、ヴィヴラフォンというフロントの組み合わせにちょっと興味を惹かれて買った盤。

 で、何気に聴いてみると、これがなかなかカッコいい。リーダーはトランペットの Claus Stötter という人らしいけど、それとサックスとの2管にヴァイヴがすごく効果的に絡んで(音量的にも大きめにミキシングされていると思うけど)、普段あまり聴かないせいかピアノよりもずっと新鮮。

 ただ、どうもこれ、自分が普段聴くジャズと何か違うなあと思ってモヤモヤしていたんだけど、リーダーの Claus Stötter のことをさっきからネットで調べていて、彼が「Orchestre National De Jazz」というフランスのビッグバンド出身と分かって、そういうことなのかとちょっと納得。

 実際、気づくとこの演奏、すごく作曲された部分が多くて2管は明らかにバッチリとハモっている部分とか多いし、リズム部分もすごく分かりやすい上、全体のメリハリもすごくハッキリしている。タイトル曲の「But, Where Is The Exit?」も、元は Orchestre National De Jazz のCDに収録されている曲みたい。

 なので、これはある意味小規模なビッグバンド的な演奏といえるのかも(さっき、スモール・ビッグバンドという言葉を思いついてしまった(笑))、なんてことを思ってしまった。

 ・・・といって、別にそれでクサしているわけではなくて、演奏自体はビッグバンドっぽい陽性な要素がある一方、意外と抽象的な楽想の部分も多いし、それプラスけっこう男くさくてカッコいい音楽を追及する要素も同居していて(「Miles Away」なんて曲があるけど、やっぱりあの「Miles」のことを意味しているのだろうか)、なかなか最後まで耳が離せない演奏。

 実は、ビッグバンドというものについては、個人的にどうしても「わかりやすい大向こう受けする演奏」みたいな先入観があって、それでずっと食わず嫌いだったんだけど、どうもそんな演奏ばかりではないようでもあるし、それに「聴いていて楽しい」タイプの音楽についても、最近は昔ほど抵抗がなくなってきたので、そろそろCD屋の「ビッグバンド」のコーナーにも足を踏み込む瞬間が近づいてきているのではないかと、秘かに思っている。

 今回知った Orchestre National De Jazz にしても、まだどんなグループなのか知らないけど、そのあたりのコンテンポラリー感がありそうなところから、ちょっと冒険してみたい気持ちです。

But, Where Is The Exit?

Hermeto

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聴いたCD Sam Newsome : This Masquerade

2020年06月14日 | ジャズ(管:Sax,trumpet 等)

 

 Sam Newsome(ss)  Bruce Barth(p)  Ugonna Okegwo(b)  Gene Jackson(ds)

 〔曲目〕・Satin Doll ・ Stella By Starlight ・The Girl From Ipanema ・Footprints ・ This Masquerade ・Toryanse ・Blue Monk ・What's New ・Pent-Up House

 これは、見つけた時に全編ソプラノ・サックスというのがちょっと珍しいと思って、拾ってみた盤。

 レーベルが Steeplechase だし Bruce Barth なんてメジャーな人も入っているから保守的なんだろうなあとも思ったけど、でもジャケットの雰囲気から見て何となく地味めで飾らない感じの演奏なんじゃないかという印象も見えて、そんな期待を込めてという感じだった。

 で、実際に聴いてみると、これが予想以上にいい感じ。この Sam Newsome って、90年代にソプラノ・サックスに転向したとかで、しかし実際はその他に民族系の音に寄った「Glabal Unity」というグループを作ってみたり、最近ではサックスにゴムホースみたいなものをくっつけて新たな音色を追及したりと、何だか変わった人でもあるみたいなんだけど、でもこのCDに関する限りは、至極まっとうな演奏だし、音としてもあまりビブラートなども使わない、素朴で柔らかい音が心地よい。

 それに、流れてくるメロディーもすごく耳に入るものばかりだなあと思ったら、エリントンの『サテン・ドール』に始まって、『星影のステラ』、『イパネマの娘』、『フットプリント』、さらにはカーペンターズ・・・と、ぼくでも知っている有名曲ばかり。

 (でもって、途中1曲だけ『Toryanse』(traditional)という伝統曲が挟まっているのが何だろうと思っていたら、あまりにも馴染みのある『通りゃんせ』が流れてきてビックリ!)

 しかしそんな有名曲の数々が、先ほどのシンプルなソプラノサックスの響きでもって、全然華美になったり浮かれたりもせずに、むしろしんみりとした感じで耳に入ってくるし、どちらかというとサイドメン勢が音に活気を与える役目を果たしていて、その結果全体としてもすごくいいバランスが取れているという感じ。

 イヤ味なく何度でも聴けるし、ちょっとした拾い物という感じです。

Satin Doll

Footprints

This Masquerade

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聴いたCD ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番、第31番、第32番(アレクセイ・リュビモフ)

2020年06月10日 | クラシック

 ここ最近、ディスクユニオン各店や都内の図書館も続々と再開して、ストレスが溜まっていた分いろいろと新しいCDを仕入れるのに余念がないんだけど、しかしなぜか聴く方は手持ちのものの聴き直しが多いという、自分でもよく分からない状況となっております(笑)。

 で、これも以前、どこかの図書館で借りた時にCD-Rに焼いていた1枚。だけど、これが当時は全然気に入らなかった。

 というのが、まずもってこのベートーヴェンの最後の3つのソナタという録音が、もうクラシック界で「定番」と言っていいほどたくさんある(ありすぎる)企画で、個人的にもすでに色々聴いてしまっているし、また楽器が「フォルテピアノ」というのも、当時はあまり得意じゃなかった。

 さらに、このアレクセイ・リュビモフなるロシアのピアニストが、昔ECMでシルヴェストルほかの現代ものの作品を弾いたCDが全然気に入らなくて、それならなぜ図書館から借りた時にわざわざCDーRに焼いたのかって自分に突っ込みたくなるくらいだったんだけど、しかしそのおかげで数年後にこうしてまた聴いてみて今度は開眼したわけだから、やっぱりこういう手間もバカにならないなあ、と思っている次第です(笑)。

 で、その今回の聴き直しで、最初に耳に入ってきたのは、何といってもやはりリュビモフのチョイスした1828年製のアロイス・グラフという人の手による「フォルテピアノ」の音色(当時から今までの年月の間に、自分の受入れ態勢が整ったのだと思いたい)。当然ながら、古楽器を使った録音ってそれぞれで音色が全然違うんだけど、今回の楽器は音量の幅も豊かだし、その中で細かいニュアンスもかなり多彩な表情を出せるという感じ。

 その中で、その楽器の表現の豊かさを引き出しつつの、リュビモフの演奏が予想外に情熱的。この人、外見はけっこう枯れたような感じな老人で、それが古楽器を弾くとなると演奏も淡白なのかなとつい予想してしまうのだが、それがいざ聴いてみるとその逆でかなり熱量があり、そしてすごく特徴的なのがテンポの揺れ、というかアゴーギグ。

 とにかく、この演奏全体的にアゴーギグ強めなんだけど、この人、特に見せ場というか、盛り上がりのところでちょっとテンポを落として(たとえは変だけど歌舞伎の見得みたいに)強調するクセがあるのですよ。まあ、ある意味誰でも多少はやるワザで、やりすぎると野暮ったくなる危険性があるんだけど。

 でも、この人、それに限らず全体的にすごく表情豊かで、それを不用意にやるとクサい演奏になってしまいかねないところを、全くイヤみを感じさせずに情熱的な演奏に聴き手を乗せてしまうようなところがあって、そういうところがまず彼のスゴさなのかなあと思うと同時に、

(もしもこれと同じような演奏を現代のピアノでやったら、かなりくどさが出てきてしまうのかもなんてことも感じてしまった。古楽器にはそこを回避する効果もあるのかも)

 全体の雰囲気としてはすごく真摯な感じもあって、例えば第32番の最後の楽章みたいな崇高な雰囲気のところとかもすごく良くて涙出てきそうになったし、

(この「真摯な姿勢」に打たれる、という面も、ゴージャスでクリスタルな音色の現代楽器よりは素朴な古楽器のほうが誘いやすいのかも、とも少し思ってしまった。そういう風に考えると、古楽器にむしろ「あざとさ」みたいなものを見ることも可能なのかもしれない)

 そういう真摯さ、情熱の大きさみたいなものを兼ね備えた、要するにこれは抜群に素晴らしい演奏なんじゃないかと思ってしまった。

 このアレクセイ・リュビモフ、今回気づけば例えばアマゾンとかではモーツァルトのソナタの演奏が一番評価が高いようだし、そこからショパンやシューベルト、ラフマニノフやドビュッシーなんかも弾いて、さらにはアイヴスとかケージとか現代ものまで、ものすごくレパートリーの広い人だったみたい。

 最初でつまずいたECM盤はほんの氷山の一角だったんだなあと、反省した次第です。

(YouTubeにこのCDの音源もあったけど、それより同じベートーヴェンのライブ映像(月光ソナタ)が見つかったので、今日はこちらのほうをご紹介します。こちらも、かなり情熱的で、第3楽章なんかすごく面白い)

Alexei Lubimov. Beethoven Sonata No.14, op.27/2, cis-moll, Moonlight.

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聴いたCD Krzysztof Urbanski : Urbanski

2020年06月05日 | ジャズ(管:Sax,trumpet 等)

 

 Krzysztof Urbanski (ts,ss) Pawel Tomaszewski (p) Michal Baranski (b) Tomasz Torres (ds)

 これは、目下”当惑と反省”のまっ最中、みたいなアルバム。

 何年か前にネットでちょこちょこ見かけていて、DUでもよく落ちていたCDで、それで安くなった時にゲットしていたんだけど、しかしそれが、いざ聴いてみると全然つまらない。

 「なんだ、ハズレだったか」とガッカリして、でもその後も念のために2,3度は時間を置いて聴き直して、それでもダメだったのでもうとっくにお蔵入りにしたつもりだったんだけど、それがなぜか先週くらいにひょっこり出てきてしまった。

 で、しょうがないから今度こそお蔵入りにしようと思って最後に義務的に聴いてみたら(自分ルールで、どんなCDもお蔵入りにする前にもう一度聴くようにしている)、それが何と「すごく良い!」。突如開眼してしまったのはナゼなんだろう。

 いやあしかし、こんなことがある度に自分の耳も疑いたくなるし、そしてこれまで気に入らなくて打ちやってしまった多くのCDの山が脳裏をよぎるんですよね。その中の、一体どのくらいのCDが、せっかく聴いたのに真価を分からないままで終わってしまうんだろうって。

 ・・・で、このCD。

 発売は2010年で、リーダーのKrzysztof Urbanski (もうひとり、同姓同名のクラシックの指揮者がいる)はポーランド出身。どうやらこの後ずっと後続が出ていなかったみたいだけど、最近「Children Of The Light」というアルバムを出した様子。良かった。

 編成はピアノ入りのカルテットで、ワンホーンの彼がゴリゴリと吹きまくるという第一印象で実際にその通りでもあるけど、でも楽器はテナーとソプラノもやっていて音色は気づくと意外と柔らかだし、音楽も破綻がなくて細部まで神経が行き届いているという感じも。

 しかしとにかく、スタイルとしてはストレートアヘッドなジャズで、そこから「何も足さない、何も引かない」みたいな美学を持っている人なのか、という感じ。そんな演奏の中に、何か新鮮な魅力を感じられれば評価されるし、そうでないとつまらないと思われるような演奏なんでしょうか。 

KRZYSZTOF URBANSKI [ URBANSKI ] [2010] [FULL ALBUM ]

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