On a bench ブログ

ようこそ、当ブログへ。ジローと申します。
 毎日毎日、たくさんのCDやLPを聴いて過ごしております。

聴いたCD ハンプトン・ホーズ:ザ・トリオVol.3

2023年11月03日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 Hampton Hawes (p) Red Mitchell (b) Chuck Thompson (d)

 ついにこの有名盤を聴く。

 いやあ、しかし一体何年にわたって、このワニのジャケットを見るたびに避けてしまっていたことか。

 でも、以前の自分は、この録音年代とピアノ・トリオという編成と分かった時点でシンドかったし(要するに、古くて保守的なピアノ・トリオに見える作品が苦手だった)、多分実際に聴いてみてもダメだったと思う。

 それが、もう数年前からこの手の盤もわりと聴けるようになってきて、ほぼ準備は整っていたと思うんだけど、それがついに今回、順番が回ってきたというか。

 で、実はこの盤がきっかけとなって、先週あたりから残りの「ザ・トリオ」も3枚とも取り急ぎ聴いてみたし、トリオ以外のものにもちょっと手を出したりしたんだけど、でも今のところはこれが一番のお気に入り(それにしても、なんでこのシリーズって、ジャケットのデザインが全然違うんだろう?)。

 で、取りあえずの感想としては(ってほどでもないんだけど)、もう「これぞ!」っていうくらいのウェストコーストでスウィング感もあって、そして翳りのない明るさがあるのがすごく良いと感じる。それに、高音のアルペジオが得意なようでよく出てくるけど、それも含めてテクニックもあるみたい。

 これはたしかに、人気があるのが分かるなあ。

 あと、蛇足ながら、これまで自分は期間だけはけっこう長くジャズを聴いておきながら、フリー寄りの演奏が好きだったせいもあって、こういうまっとうなジャズを聴くことが少なく、このくらい有名な人でもまだ聴いたことがないということがけっこう多い。

 なので、今回みたいなことがあると、何だか宿題をひとつ済ませたかな、という気持ちになることがあったりします。

Hampton̲ ̲H̲a̲w̲e̲s̲ ̲– Ev̲e̲r̲y̲b̲o̲d̲y̲ L̲i̲k̲e̲s̲ ̲Ha̲m̲p̲t̲o̲n̲ H̲a̲w̲e̲s̲ V3 ̲(̲1̲9̲5̲6̲)̲

 

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聴いたCD ANDRE PREVIN:KING SIZE!

2023年05月12日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 ANDRE PREVIN (p)  RED MITCHELL (b)  FRANKIE CAPP (ds)

 アンドレ・プレヴィンの「キング・サイズ」を、ついに聴く。

 いわゆる「未聴盤」という言葉を、単にまだ聴いたことがないという以上に、「存在を知っていて前々から聴きたいと思っているのに、まだ聴けていない」という意味にまで狭めると、この盤は我が歴史の中でもトップクラスの「未聴盤」だったかも。

 というのは、このアンドレ・プレヴィンの「LIKE PREVIN!」という盤が、もう何度か当ブログで書いているけど、昔苦手だったジャズを聴き始める中で、最も早く出会った思い出の1枚だったから。

 それで、当時プレヴィンの盤をあれこれ調べていくうちに、この目立つライオンのジャケットはイヤでも目に入ってきたのだが、プレヴィンの他の盤はちょこちょこ聴いているのに、なぜかこの盤だけはいつまでも縁がなかった。

 まあ、ぼくはどちらかというと、一度聴いてしまったプレーヤーよりは、知らないプレーヤーを見つけて聴くのが好きなので、この盤を意識的に探していたわけでもなかったんだけど・・・。

 で、この盤。

 一聴、やっぱり予想通りにすごくいい。このプレヴィンの嫌味のない軽さとセンスの良さ。これまで何回か聴いてみた限りでは、今のところはまだ「初恋」盤ともいうべき「LIKE PREVIN!」のほうがどうしても好みに思えてしまうのだが、しかしその点を差し引くと、こちらもかなり肉迫しているんじゃないだろうか。

 気づくと、これも「LIKE PREVIN!」と同じピアノ・トリオで、何と面子も全く同じ。というか、解説を読むと、こちらの「キング・サイズ」が好評だったので、その続編的に「LIKE PREVIN!」を作ったのだとか。そういうことだったのか。

 しかし、このプレヴィン、今回もCDを聴きながらいろいろ検索していると、どうしても否定的意見もけっこう目に入ってしまう。それは、彼のピアノに味がないみたいな、要するに「黒さ」がない、一見黒っぽい演奏をしてもそれは本物ではない、みたいな意見が多いような気がするのだが、しかしそれは彼にはどうしようもないことに違いないし、そもそもウェストコーストという意識で当時もやっていたのだろうし、その上でこのトリオもベースもドラムスも白人で揃えたということなのじゃないか、なんて思ってしまった。

 ただ、彼はその後、ジャズよりはクラシックに軸足を置くようになってしまったのだが、もしかするとこのような側面が影響したりしていたんじゃないか、なんてことも同時に思ってしまったんだけど。

 そしてもうひとつ、プレヴィンはメチャクチャ多才な人で、クラシックの指揮などもやるし映画音楽みたいなものもやるしで、ディスコグラフィーもすごく多く残っているのだが、ぼくがいまだにしっくり来ていないのは、この人は指揮者として他のピアニストが演奏するピアノ協奏曲の伴奏も、数多くこなしているという点。

 そこは、指揮者として割り切っていたのかとも思うけど、でもぼくなら絶対わだかまりなく出来ないと思うし、それなら自分が弾き振りしたらよかったんじゃないかとか、何だかすごく淡白な性格にも感じてしまう。

 そこらへんが、クラシックの録音でも、今一つ影が薄い印象につながっていたようにも思えてしまいます。

I'll Remember April

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聴いたCD ライオネル・ハンプトン : ユー・ベター・ノウ・イット!!!

2022年08月01日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

  Lionel Hampton (vib,p,vo)   Clark Terry (tp)   Ben Webster (ts)   Hank Jones (p)   Milt Hinton (b)    Osie Johnson (ds)

 ライオネル・ハンプトンというジャズ奏者を初めて知る。

 ・・・なんて言うと、昔からのジャズ・ファンの人には「何だ、シロウトめ」と鼻で笑われるかもしれないが、しかしもともとクラシックで育ち、クラシックとジャズが混ざったような現代音楽からECM、そしてフリージャズなどを入り口にしてジャズを聴き始めた自分にとっては(アート・ブレイキーやマイルス・デイヴィスあたりを聴き始めたのもここ数年)、ずいぶん長い時間をかけてけっこう上流のほうまでさかのぼって来たなあ、なんて感じます。

 で、このライオネル・ハンプトン、ジャズの世界に初めてヴィヴラフォンを持ち込んだ人であったらしく、しかもそれが、もとはドラム奏者だったのがある公演の休憩時間にサッチモに勧められてヴィヴラフォンを弾いてみたというのがきっかけだったらしく、それが1930年代の話。また、その後人気を得てからも、黒人として初めてまだ人種差別がひどかった時代にベニー・グッドマン・カルテットに採用されるなど、ジャズ界の歴史にいろいろと名を刻んだ人物のひとりだったようです。

 と、そんな経歴をきくと、こちらは勝手に往年のプレーヤーとして片付けてしまいがちになるんだけど、この人はすごく活動歴が長く、20世紀のジャズの変転の歴史の中を生き抜いて90年代ごろまで活躍し、そして亡くなったのは2000年代というのが、パッと全体を把握するのが難しくも思えるところ。人間って、「この人はこういう人!」と、とかく分かりやすい型にはめて考えたくなるものですよね。

 で、この盤、60年代の録音にしては(特に最初の曲が)音が悪くて、しかも序盤からサッチモみたいに楽器だけでなくダミ声で歌い始めたりしたので、昔のジャズの、もっぱら客を楽しませるエンターテイメントとして割り切ったような音楽があまり得意でなかった自分としては一瞬引きかけたんだけど、しかしその後わずか数秒でこの人の持っている独特の魅力に気づき始めて、「うぉっ!」と小さく唸ってしまった。

 いやあ、しかしこの雰囲気、何だか聴き返すほどにますます良くなってくるような。そして、昔からの正しいジャズ・ファンの人たちって、きっとこういう音楽から出発して自然に時代を下っていったんだろうなあと(そのほうが絶対に理解もしやすいだろうし)、ちょっとうらやましく思えてきたりしました。 

Lionel Hampton - You Better Know It!!! - Trick Or Treat

Vibraphone Blues

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聴いたCD マッコイ・タイナー:サハラ

2022年04月14日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 McCoy Tyner (p, per, fl, Koto)  Sonny Fortune (as, ss, fl)  Alphonze Mouzon (ds, tp, per)  Calvin Hill (b, per)

 一応、ファンになったつもりでいるマッコイ・タイナー。

 この盤は、昔聴いていたものの聴き直しだけど、当時はまだ開眼前だったので、半分は初聴きみたいなものかも。

 で、この人はかなり活動時期が長く、聴いていると内容も盤によってはけっこうポップだったりラテンっぽかったりといろいろだと思うんだけど、個人的にはやっぱりこのくらいの時期の熱気が渦巻いているようなものにすごく惹かれてしまう(みんなそうかもしれないけど)。

 途中、スピリチュアルっぽい曲とか琴とか演奏してたりするけど、基本怒涛の演奏で興奮させられっぱなし。それと、この盤は全体の録音というか、音の感触がすごく良くて、もう音を聴いているだけで快感がああるというか。特にドラムスの Alphonze Mouzon の音とか、この人ってちょっと活動ジャンルがジャズとずれる部分もあるのか、これまでほとんど聴いたことがなかったけど、これはズダダダダ、ドコンドコンとすごい迫力でむちゃくちゃカッコいい。

 んでもってソニー・フォーチュンもカッコいいし、ベースの人は全然知らないけど音はよく聴こえるし、もう全員カッコいいんですけど。

 あと、この頃のフリー系の人たちのスピリチュアル趣味というか、この盤の琴みたいなエキゾチズムもそうだけど、あまりドロドロと深みにハマっていない限りはけっこう素朴で好きというか、シリアスな演奏の中でのほんわか要素みたいな感じで、ぼくは聴いております。

 そして、何と言っても最後のタイトル曲『サハラ』は、フルートとか色んな打楽器とかも使っての、何と「23分」という濃い世界を十二分に堪能! いやあ、熱いです!

McCoy Tyner - Sahara

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聴いたCD ハンク・ジョーンズ:ハンキー・パンキー

2022年01月25日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 Hank Jones(p) Ron Carter(b) Grady Tate(ds)

 実はここ2,3週間くらいか、なぜか急にジャズ・ピアノを聴きたいような気分になって、それで例えばランディ・ウェストンやジャッキー・バイアードとか、けっこう渋めの人をちょこちょこ聴いていたんだけど、そんな中で、一昨日くらいからこのハンク・ジョーンズの盤にたどり着いて、なかなか抜け出せなくなってしまいました。

 このハンク・ジョーンズ。すごい大ベテランだったので、ぼくなんかでもサイドマンとしての参加盤はいろいろ聴いていると思うんだけど、でもやはりフロントの人がいるとなかなか注意力が向いて行かないので、どうしてもこれまでの印象としては薄めだった。

 それよりも、個人的に記憶に残っているのはやはりグレート・ジャズ・トリオで、特に野球のピッチャーのジャケットの盤は、ジャズを聴き始めでロクに開眼もしていない頃に聴いたにも関わらずすごくハマって、それで他の盤も何枚か聴いたものだった。

 ただ、そこから今までが、長大な空白期だったということになるんだけど・・・。

 で、この盤。いやもう、このピアノの品のある軽みというか、もう最高なんですけど。特に単音の転がるようなタッチとか、それと恬淡としているようでいて長調の曲とかは華やぎも感じるし、逆にムーディーな曲も過剰に甘くならないし、ベースとドラムスのソロ部分もあくまでも曲調に沿ったもので、半ば曲の中に溶け込んでいるように自然だし。

 中でも、個人的には4曲目「Wild Flower」から5曲目「Minor Contention」の流れが最高。あと、ジャケットが何となく石庭を思わせるような和風さがあるのは、日本製作だからなのかどうか。解説には、この時期不遇をかこっていたハンク・ジョーンズにイーストウィンドという会社がこの盤の企画を持って行ったのだそうで、リーダーとしては10年ぶりの吹き込みだったとのこと。

 今気づいたら、グレート・ジャズ・トリオもイーストウィンド・レーベルだし、これらの録音は一連の流れだったのでしょうかね。

hank jones / ron carter/ grady tate "Hanky Panky" (1975) full album

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聴いたCD ハービー・ハンコック : マイ・ポイント・オブ・ビュー

2021年12月08日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 Herbie Hancock (p) Donald Byrd (tp) Grachan Moncur III (tb) Hank Mobley (ts) Grant Green (g) Chuck Israels (b) Tony Williams (ds)

 ついにハービー・ハンコックを聴く!

 と、いきなり書いても何のことやら分からないと思いますが、ぼく個人にとってはこの人は、かつて苦手だった「ジャズ」というジャンルの、いわば代表選手みたいな感じだった人。

 今は昔、ぼくの青少年期に「MTV」という超有名テレビ番組が流行っておりまして、深夜に起きているといつのまにか始まったりしていたので、その頃別にポップスが好きではなかったぼくもちょこちょこ見ていたんだけど、そこに流れてきて印象に残っていた曲のひとつが、この人の「Rock it」だった。

 で、その後時間が経過して20代になった頃、当時まだクラシック一辺倒だったけどしかし徐々に聴く音楽に行き詰ってきて、何かほかのジャンルを開拓したいと思っていた自分がいろいろと他の音楽に手を伸ばしていく中で、ジャズも聴いてみようと思い、そこで思い出したのがこの人の名前だった。というか、この人の名前しか知らなかったというべきか。

 それで、取りあえず「Maiden Voyage」とかを聴いてみたと思うんだけど、しかし当時まだジャズを受け入れる態勢が全く整っていなかった自分には、全く何が良いのか分からず、結局その後もジャズ暗黒時代が長く続くという結果に。

 そして、30代あたりからECMなどを入り口にして徐々にジャズを聴きだして、何とかジャズの本流(ざっくり言えばモダンジャズということになると思う)に踏み込もうといろいろ聴いていく中で、何度もこの人の盤は聴いてみたんだけど、しかしそこで手に取ったのがフュージョン系のものだったりしてそれがやっぱり面白くなく、というか真っ当なジャズをやっている人じゃなかったのかとも思ったし、この人が参加していたマイルスの盤も食わず嫌いだったせいでサイドマンでの演奏に親しむこともなくで、一体この人がなぜ評価が高いんだろうと、いつも首をひねっているという状態に。

 (個人的に、ぼくは他の人でもボサノヴァとかフュージョンとかに流れる人があまり好きではなく、ジャズならジャズで愚直にそれだけを演奏する人が好きなタイプなので、そういう点でも彼は、まあ才気煥発ではあるんだろうけど、印象としてはあまりよくない人であり続けた)。

 しかし、・・・それがついに、数年前頃から徐々に参加盤なども聴くようになって、そうすると長年のアレルギーっぽい感覚も薄れてきて、しばらく前からようやく「射程圏」にたどり着いたかな、というところまでは来ていたのですよ。

 で、今年の夏頃、例のごとくどこかのディスクユニオンで安く落ちていたこの盤を見つけて、拾っておくかという気になっていたわけ。そして、先週初めて聴いてみたら、ついに(!)ちゃんと耳に入ってくれました。いやあ、ホントに長かったなあ。

 で、この盤。ハービーの盤の中ではややマイナーなほうではあるらしいんだけど、でもむしろ個人的にはこういうジャズを望んでいたので、むしろこの盤で良かったとも。冒頭の『Blind man, blind man』も、前作の『Watermelom man』の二番煎じみたいな書き方をされたりしているけど、ぼくの場合は『Watermelom man』は最初、後のヘッドハンターズのほうでのアレンジを先に聴いてしまってケチがついていたので、むしろこっちのほうが素直に乗れるというか。

 またその後の曲も、この盤は彼がリーダーといってもフロントに管が3人もいる上に曲によってはグラント・グリーンのギターまで参加しているので、自分が前面に出るよりは作曲&アレンジ、バンドリーダーとしての存在のほうが大きいように見えるし(この年齢でここで演奏している全ての曲を作り、しかもリーダーとして3管のけっこうな人数のグループを仕切っているのって、そりゃあ確かにシンプルにスゴいです)、それに今は昔と違ってサイドメンの人たちも知った顔が増えてきたので(最近、マイブームのハンク・モブリーも参加している)、そっちの人たちの演奏を聴くのも楽しいし。

 この先、一体自分がハービーの音楽のどこまで追っていくのか、まだそこまでは見えていないけど、取りあえずは初期からマイルス・グループ期くらいまでは、もうついていけるように思えるので、まずはそんなところからお付き合いを願いたい、などと思っているところです。

Blind Man, Blind Man

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聴いたCD Ekkehard Wolk Tiro : Berlin Album

2021年09月27日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 Ekkehard Wolk (p)  Johannes Fink (b)  Andrea Marcelli (ds, cl)

 これは、先週くらいからちょこちょこ聴いていたアルバム。

 Ekkehard Wolk というドイツのピアニストによるトリオ作品で、最初は通勤時のポータブル・プレイヤーで聴き始めたのが、何だかすごく良くて家聴きに昇格したというパターンなんだけど、しかしこうしてブログに紹介しようとすると、ちょっと困惑する要素も。というのもこれが要するに、情報が少なくて分からないことだらけだから。

 ていうかこのCD、いつものごとく全然知らなかった人だけど、ぼくは最初「Jazzwerkstatt」というレーベルを見て、フリー系のジャズと思って買ったのです。だってこのレーベルって、これまでもそんなものばかりだったから。

 ところがフタを開けてみると、聴こえてきたのは「澤野商会」っぽいといってもいいくらいのヨーロッパ系のピアノトリオ。一体なぜ、と思ってもしかしなかなか情報が全然出てこなくて、仕方ないので今の時点ではベルリン出身みたいだからきっと地元の縁ということで録音ということになったのかなあ、なんて思うことにしております。

 で、内容についてはまさにベルリンがテーマの作品のようで、曲も Ekkehard Wolk 自身のものに加えてベルリンゆかりの音楽家のものがいくつか。しかし、演奏についてはドラムスの人が1,2曲クラリネットを吹くほかは本当に王道の澤野っぽいヨーロッパ・ピアノトリオとしか言いようがなく、ぼくの基本的な教養というか語彙力というか感性というか、そういったものの不足を呪うだけであります(笑)。

 でも、うまく言えないけど、このピアノトリオ情報が少ない割りに他にもCD何枚か出ているし、特にこの録音には力を入れたみたいなことも解説に書いてって、本当に冒頭から音が立っているというか、すごく良いのですよ。

A Walk in the Tiergarten

At the Schlachtensee

Casual Meetings

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聴いたCD マッコイ・タイナー : ザ・リアル・マッコイ

2021年01月11日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 McCoy Tyner (p) Joe Henderson (ts) Ron Carter (b) Elvin Jones (ds)

 これは、ここ数日よく聴いたアルバム。

 このところ、どういう自分の変化か、こういう王道のジャズを聴くことが多くなってきたのだが(前回の投稿も『ブルースエット』だったけど)、これも正にそんな中の1枚。

 マッコイ・タイナーは、一応ジャズを聴き始めた頃に数枚は聴いていたんだけど、その時は(外見の通り)ちょっと暑苦しいなあとか思ってしまって、その後ずっと遠ざかってしまっていた。

 でも、その頃からけっこう時間も経ったし、そろそろもう一度聴いてみたいなんて思っていたところ、1,2か月か前にたまたまジョー・ヘンダーソンのアルバム『In 'n Out』を聴いて、そこでマッコイ・タイナーが参加していたことで本格的に興味が再燃。

 それで今回この盤を見つけて面子を見ていると、そのジョーヘンほかスゴい面子ばかりで、聴いてみると予想通りに熱いしカッコいい。それに、冒頭からエルヴィン・ジョーンズのドラムスがガンガン来て、こっちも熱いです。

 彼は、活躍した時期が長くてアルバムもすごく多いみたいで、これからいろいろ聴いていきたいんだけど、やっぱりまずはこの辺りの時期のアルバムが、時代の雰囲気からいっても聴いてみたいかなあ。

McCoy Tyner - Passion Dance

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聴いたCD Hania Rani:Esja

2020年10月26日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 これは、ここ数日よく聴いたアルバム。

 Hania Rani というポーランドの若手女性ピアニスト(1990年生、グダニスク出身)による、「アップライト・ピアノ」によるソロ・アルバムなんだけど、実はこのHania Rani 、今回こうして拾うことができたのは、以前聴いた『ポーランド・ピアニズム』というアルバムで名前を覚えていた人だったから。

 そういう意味では、これは日頃の予習のおかげということになるでしょうか(笑)。

 で、このアルバム。一応、ジャンル的にはジャズの世界の人みたいなのでぼくもジャズに分類してみたけど、でもここで弾いている音楽に関してはほとんどジャズっぽさはなくて、本当にノンジャンルのピアノ・ソロという感じ。まあ、似たスタイルを強いて挙げるとすれば、キース・ジャレットなんかのソロ演奏の感触に近いのかも(個性は全然違うけど)。

 で、演奏の特徴としては、一言で言うと非常に女性性を感じるリリカルな旋律が続くわけだけど、そこでまず気づくのは、どの曲もリズム(というか伴奏)の音型が、思わずミニマルという言葉を思い浮かべてしまう程すごくシンプルな点。

 そして、五連符のさざ波のような音型、シンプルな三連符、8分の6拍子に単音の連続など、多彩な音型の連続の上に乗せられるメロディーもこれまたすごくシンプルで、しかもそのどちらもが優しくてきれいなので、聴いていて本当にうっとりしてしまいます。

 そしてもうひとつ、何と言っても特徴的なのが、敢えてグランドピアノではなくアップライトピアノ(家でも弾いているということだが)を弾き、しかも内部のハンマーの音や軋み、ペダルなどの雑音を積極的に拾ったことで、全体の音色にくぐもったようでいてしかし暖かくて懐かしいような独特の感触を生み出していることで、それが先ほどの美しいメロディーと相まって、結果的にすごく印象に残る個性を獲得している、ように見えます。

 いやあ、やっていることは本当にすごく普通だし、どの曲のフレーズも(シンプルなゆえに一層)どこかで聴いたような気がするようにも思えるんだけど、でもこれほど仕上がりが美しいと、そんな難クセをつける気も起らなくなってくるというか。

 正直にいうと、このCDを最初に見つけた時、ピアノ・ソロと分かってどうしようかとちょっと迷ったんだけど(ピアノに限らず、ジャズとかでソロ作をCD1枚分続けて聴くのは億劫に思うことがある)、これは良いほうに予想が外れた盤と言えるのかもしれません。

Hania Rani - Glass (Official Video) [Gondwana Records]

Hania Rani - Eden (Official Video) [Gondwana Records]

Now, Run

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聴いたCD Luciano Fabris Sextet : An Instant Called Now

2020年02月08日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)

 

 Steve Grossman(ts)  Tom Kirkpatrick(tp)  Nicoletta Manzini(as)  Luciano Fabris(p)  Nicola Borrelli( b)  Marco Valeri(ds) 

 これは、しばらく前からちょこちょこ聴いていたCD。

 何か月か前からDUでよく見かけていた盤で、けっこう目立つジャケットだから気にはなっていたんだけど、でもどんな感じの音なのかも分からないのでずっとスルーしていた。それが、ある日すごく安くなっていたのを見つけてゲット。

 で、聴いてみると、新し目のCDなのにまるでビ・バップ期かと思うくらいの昔のスタイルの演奏で、ちょっとビックリ。リーダーの Luciano Fabris は、ジャケット内の写真で見たところ40代くらいのイタリアのピアニストで、かつてバリー・ハリスに学んだことがあるらしいです。

 そして演奏曲のほうも、自作曲が数曲あるほかは、バド・パウエルやチャーリー・パーカー、ほかにもベニー・ハリス、ハロルド・アレン等(知らない人もいるけど)、昔の人の名前が並んでおります。また、今回の録音は4人の地元イタリア勢に加えて、大御所の Steve Grossman とトランペットの  Tom Kirkpatrick(この人は知らなかった) の2人を迎えてのセクステットという編成。

 でも、そんな(自分がふだんあまり聴かないタイプの)演奏が、安定したリズムの上で心地よいノリが続いて安心して聴ける上に、何だかすごく新鮮にも感じてきて、けっこう気に入ってしまった。確かにスタイルとしては昔のジャズの影響を受けているとはいえ、演っているのは現代の人間だし、そしてやっぱり決して雰囲気だけの演奏ではないというか、しっかりと一本芯が通っているという感じもするし。

 こういう風に、あえて昔のスタイルにこだわって演奏しているジャズって、他にもたまに聴くことがあるんだけど、そういう人たちって当然ながらそのスタイルにすごい愛着とこだわりを持っているわけで、そういう熱意が聴いているうちにこちらにも伝わってくるということなのか、結果としていい演奏だと思わされてしまうことが多い。

 (そしてその度に、やっぱり自分ももう少し昔のジャズを聴いていかないといけないなあ、なんて反省してしまう(それでも、今は昔に比べればかなり聴くようになってきたけど))。

 この Luciano Fabris 、ほかに録音ないかと調べてみてもほとんど出てこないし、あまり有名な人じゃないかもしれないけど、そういう意味で、ちょっと好感を持ってしまいました。

Ornithology

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聴いたCD ポーランド・ピアニズム(V.A.)

2019年10月16日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)
ポーランド・ピアニズム
コアポート
コアポート

〔曲目〕
 ・モジジェル=ダニエルソン=フレスコ:サファーリング
 ・フランチシェク・ラチュコフスキ・トリオ:5/8
 ・スワヴェク・ヤスクウケ・トリオ:マルィ
 ・ピョトル・ヴィレジョウ:ホワイト・ウォーター
 ・ハニャ・ラニ&ドブラヴァ・チョヘル:レプブリカ・マジェニ
 ・シンプル・アコースティック・トリオ:シンプル・ジャングル
 ・セバスティアン・ザヴァツキ・トリオ&ストリングズ:ズヴウォカ
 ・トゥビス・トリオ:シェデム・シェデム
 ・レシェク・クワコフスキ:プションシニチュカ
 ・ミハウ・トカイ・トリオ:ザ・サイン
 ・スワヴェク・ヤスクウケ&ハンセアティカ・チェンバー・オーケストラ:バイ・ゾポト

 これは発売された当初から気づいていたけど、でも知っている演奏者も何人かいるしどうしようと迷っている間に、忘れてしまっていたCD。

 それが、先日普段あまり行かない図書館に足を伸ばした際に思いがけず発見。やっぱり、たまには遠出してみるもんですね。

 と、そんな経緯で聴き始めたこのCD。しかし、冒頭からすごくいい演奏ばかり。しかも、1曲ごとに演奏者が違うのに、けっこう統一感みたいなものもあって、ボーッと聴いていると普通にアルバムを聴いているような感じもしてきたりしました。

 しかしそれにしても、ここに聴かれる現代のポーランドのピアニストは、どの人も非常に感受性も鋭くてスタイリッシュな人ばかり。もともと、クラシックばかり聴いて育ち、ポーランドに限らずヨーロッパの国々を今でも19世紀ロマン派の時代的なイメージで捉えてしまいがちな自分としては、ポーランドといえばいまだに何となく「素朴な農業国」というイメージで、実はそんな最近の印象の変わりようにこそ、今回は一番驚いてしまったかもしれない。

 というか、それ以前に、ポーランドって言えばわりと最近(ソ連崩壊)までは共産圏だったはずで(もう忘れ始めているけど、まだほんの30年前)、昔の共産圏といえば芸術にも統制がかかっていて、全体に暗くて野暮ったくて武骨でというイメージだったはず(クラシックの現代音楽の作曲家には有名な人が何人かいるが、その人たちの曲もやっぱり暗かった)。

 ところが、今このCDで聴いているような若い世代の音楽には、その名残りすら微塵も残っていないと思ってしまうほど(ついでに言うと、クラシック的にはポーランドでピアノとくれば、いまだに反射的には「ポロネーズ」や「マズルカ」なわけだけど、そんな響きも、表面的にはほぼ痕跡ゼロ)。

 まあ、それでもトマス・スタンコあたりではまだそんな雰囲気が残っていたとも思うんだけど、しかし例えば今30歳半ばの人でも、大体幼少時の物心がつく頃にやっと民主化という世代だったはず。それなのに早くもこのギャップって、もともとこんな繊細で感受性豊かな人々が、よっぽど長年の抑圧と西側の先進的な音楽の情報も少なくて、自由にやりたい音楽を表現できていなかったということなのだろうか(何も知らないからうかつにいろいろ言えないけど)。

 それに、ちょっと話はずれるけど、こんなに音楽が美しいのならその他のジャンル、例えば文学でも民主化後に良い小説がたくさん生まれていてもよさそうなのだが、そちらは果たしてどうなのか(でも、文学はやっぱり音楽より時間がかかりそうだし、昔の時代をずっと引きずったりしていそうだなあ)。

 ・・・と、ともかくそんなこんなで、近年ではぼくの耳にも少しずつポーランドのジャズが入り始めて、ポーランドのイメージも少しずつ変わり始めてきていたわけだけど、今回このコンピレーションCDを聴いてみて、改めてポーランド・ジャズは今若手がたくさん出てきて、すごく勢いがあるんだなあと感じた。

 この中で知っていたのは、レシェック・モジジェル(いつも中古価格が高め)とヤスクウケ、そのヤスクウケとデュオをやっていたピョトル・ヴィレジョウと、マルチン・ボシレフスキくらいだけど、ぼくはどちらかと言えば既知の人より知らない人の音楽を聴くほうが好きなタイプなので、こんなに未知の人がいっぱいいるというだけで、思わずワクワクしてしまう(すでに、ここで紹介されている人のCDのジャケは、検索して目に焼き付けた)。

 特に、ハニャ・ラニやセバスティアン・ザヴァツキって人は、早めにチェックしてみたいかなあ。

 あと、最後にもう一つ思い出したけど、昔のポーランド音楽というと、個人的には都内の中古店でたまに拾っていた民族音楽のLPのイメージもあって、そもそもあれこそが「素朴な農業国」のイメージの最たるものだった。いや、でも、それもせいぜい10~20年前のことだし、やっぱりこのポーランドの音楽の、昔と今のギャップの大きさは、スゴイんじゃないだろうか。

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聴いたCD ラリー・ヤング:ユニティ

2019年04月10日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)
ユニティ
ラリー・ヤング,ウディ・ショウ,ジョー・ヘンダーソン,エルヴィン・ジョーンズ
EMIミュージック・ジャパン

 Larry Young(org) Woody Shaw(ts) Joe Henderson(tp) Elvin Jones(ds)

 これは、2,3日前にCDのヤマから発掘されたアルバム。

 実はジャズの中でも、オルガン・ジャズは昔からどうも苦手というか、もしかすると主要な楽器の中では一番聴くことが少ないジャンルかもしれない。たぶん、あのコテコテ感というのかソウルフルというか、そういうところが壁になっていると思うんだけど。

 でも、そんな中でこのラリー・ヤングはちょっと例外というか、聴かないという中でもこの人はあまり抵抗感がなくて、こうしてCDが顔を出すと何気に聴いてしまっていたりする(たぶん、オルガンの人の中でも、スッキリめの演奏だからなのかも)。なので、このアルバムと『イントゥ・サムシン』(ギター(グラント・グリーン)入りで、この盤とはけっこう雰囲気が違う)は、回数としてはけっこう聴いているほうじゃないかなと思います。それに、聴きだすとやっぱりカッコいいし。

 というわけで、今回も久しぶりに浸ってしまいました。でも・・・、カッコいいんだけど、やっぱり続かないんだよなあ。

 ↓(下は、アルバムの1曲目の『Zoltan』です)。

Larry Young - Zoltan

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聴いたCD Marco Mezquida Trio + Bill McHenry : Cantabile

2018年06月04日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)
 
 
Fresh Sound New

 Marco Mezquida(p) Bill McHenry(ts) Marko Lohikari(b) Carlos Falanga(ds)

 これは、久しぶりにFSNTレーベルで気に入った盤。

 もともとは以前からちょっと気になっている NYのテナー奏者、Bill McHenry の名前で拾った盤で、編成としてはバルセロナで活躍するというピアニスト、Marco Mezquida のトリオに McHenry がゲスト参加したという形。Marco Mezquida も、すでにFSNTでも何枚かリーダー作を出している人で、ぼくも以前2,3枚聴いたことがありました。

 で、演奏の印象としては、本当にいかにも今どきのヨーロッパの若手のピアノ・トリオという感じで、すごくバランスが取れている中で、ちょっとユーモラスでおどけているところなんか、同じバルセロナのSergi Sirvent と重なって見えるところもある。基本、ピアノ・トリオなので、最初の曲ほかでたまに3人だけで演奏する曲もあるんだけど、多くの曲ではそこに McHenry のテナーが加わって、なかなかの聴き応えです。

 McHenry って中庸といえば中庸で、最近フリー・ジャズみたいなキツめの音を聴くことが多い自分としてはややインパクトに欠けると感じることもあるんだけど、しかしClean Feedほかのレーベルでもすごくよく見かけるし、そういう盤を聴いてみると耳に残ることも多いので、やっぱりきっと売れる理由があるんだろうな、と。

 そして演奏全体としても、どこといって飛び道具はなくてある意味普通のピアノ・トリオなんだけど、そんななかで最初からちょっと音が立っていて、「おっ?」と思わず引き込まれてしまった盤でした。

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聴いたCD Richie Beirach : EON

2017年09月10日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)
ナーディス
 
ユニバーサル ミュージック クラシック

 Richard Beirach(p) Frank Tusa(b) Jeff Williams(ds)

 どうも、ジローです。

 う~ん、この投稿、けっこう久しぶりというか、8月中旬に前回の投稿をしてから約3週間も経ってしまいました。いやあ、こんなに間が空いたのは、約10年前にHPを立ち上げて以来、初めてかも。

 今回、特に何かはっきりとした理由があったわけじゃないけど、いやむしろそうでないだけに、自分でもちょっと戸惑ってしまったというか、地味にショックでした。

 これが単なる小休止なのか、それとも自分の中で何かが変わってしまったのかはまだよく分かりませんが(文学の分野のツイッターも同時に止まっていたけど、そっちは2,3日前にとりあえず再開)、しかし10年といえばやっぱりそれなりの長さ。すぐにはっきりと止めようとは思ってはいないけど、正直、何か曲がり角には来ているのかもしれません(といって、これまで通りに音楽を聴いていれば、自然に感想が湧いてくるし、沸いてくればこうして書きたくなるような気もするのだが)。

  ・・・・

 それはさておき、これはここ数日よく聴いたCD。もともとのタイトルは「EON」だけど、日本盤では「ナーディス」。

 実はこのリッチー・バイラーク、これまでECMを中心に多少は聴いてきた中で、正直あまりピンときたことがなかった。しかし、これは良いです。何と言うか、とにかく全体に「フレッシュさ」みたいなものが満ち溢れているという感じ。

 それは多分ECMとしてもまだそうだったと思うし、リッチー・バイラーク自身としてもそうじゃないだろうか。思えば、キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」やヤン・ガルバレクとヒリヤード・アンサンブルの「オフィチウム」を聴いて以来、ECMをかなりの数聴いてきたんだけど、結局好きだったのは概ね比較的初期の音だった。

 もちろん今でもECMからは盛んに新譜が出ていて、音質自体はそりゃあ今のほうが断然いいし、この「EON」とも比べ物にならないと思うけど、しかしこの場に満ちている空気感はまさに新しいムーヴメントが勃興期にしか身にまとえない熱気というべきものではないか、というような思いが強い。この盤、もう何度も聴いたけど、その最初の1音からしてすでに今の音とは根本的に何かが違うというか、久しぶりにECMでアドレナリンが分泌された感じ。

 バイラーク自身も、これがデビュー盤だったということで、彼のピアノを表現する言葉としてはどうしてもどの盤をとっても透徹した北欧的な叙情性みたいなことになってしまうと思うのだが、しかしやはりここにある若さと熱気、(以前聴いた音源は正直あまり覚えてないけど)きっとそれより数年後とは違うような気がする。あと、ドラムスの音の感触とかも、ホントに以前何度も聴いた感触なんだよなあ(ドラマーは違っても)。

 リッチー・バイラーク、最初の頃にこの盤に出会っていればよかった。

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聴いたCD Florian Weber : Criss Cross: Exploring The Music Of Monk & Bill Evans

2017年07月12日 | ジャズ(キー:Piano,Organ 等)
Criss Cross: Exploring the Mus
 
Enja

 Florian Weber (p,el-p) Donny McCaslin (ts) Dan Weiss (ds)

 これはここ数日よく聴いたCD。Florian Weber 、Donny McCaslin、Dan Weiss によるモンク、エヴァンス集です。

 ・・・と書き出したものの、こういうCDにはちょっと困惑してしまう。というのは、ぼくは真っ当なジャズの素養が乏しく、モンクにしろエヴァンスにしろ、これまで聴いた分量が少なすぎるから。

 今回は、もともとFlorian Weber と Donny McCaslin という知った名前があったから拾ったCDで、演奏自体はすごく美しくて良かったんだけど、しかし原曲の知識を下敷きにして聴くような芸当は、まあこれからも当分はできないわけで。

  というか、特にモンクは個人的にはエヴァンスよりずっと他の盤でカヴァーを聴く回数が多くて、その度に原曲を聴いてみたりするのだが、何と言うか、オリジナルは何かの原液みたいに「濃い」というかゴツゴツしすぎていて、結局その時に聴いている現代的な(ある意味エッセンスを薄めたような)演奏のほうが耳に残ったりしがち。

 今回の場合だって、明らかに以前聴いたことがあるはずの曲が多いのだが、なぜかその時の記憶に全く結びつかなかったりしてしまう。

 というわけで、ベテランのジャズ聴きさんたちに比べてハンディキャップは否めないのだが、しかし内心では、この盤はきれいな演奏だし当然ながら曲はいいので、当人としてはなかなか楽しく聴くことができて、それはそれでいいじゃないかとも思わなくもない(まあ、ただの負け惜しみなんですけど)。

 あと、リーダーの Florian Weber だけど、そもそも自分は、以前この人を似たような名前の Florian Ross と混同していたことがあって、それで意識の端っこで「申し訳ない」と、勝手に恐縮してしまっていたピアニスト。

 で、それに加えて過去に聴いた盤が今一つ印象に残ってもいなかったので「いつまでも霧の中」みたいな感じだったんだけど、今回のCD、ベース無しのピアノ、サックス、ドラムスによる構成の湿り気のないスッとした雰囲気がちょっと「おっ」と思えたし、自分の右側にピアノと直角にエレピを置いて左手でピアノ、右手でエレピを同時に弾いたり、モンク、エヴァンス集と謳いながら一曲レディ・ガガが入っていたりと、やっと「顔」が少し見えてきたような感じ。

 Donny McCaslin も、過去にリーダー作でカッコいいと思ったこともあるけど、今回はリーダーでも自分の曲でもないし、まだはっきりピンと来るには至っていない感じかなあ。気づけばとてもニュアンス豊かな演奏だと思うけど(例えば、この人は時々低音を少し遅れ気味にもさっと吹いて、高音では逆にパッと立ち上がらせて細かい表情をつけたりしているのだろうか)。

 ・・・まあ全体的に、聴きながら自分はまだまだ「勉強中」だなあ、と何度も思ってしまったCDでもあります。でもこれ、何度聴いてもイヤみなく聴けて、意外とオススメな盤なのかも。

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