惚れ薬というものがあったらよかろう。人のアラ、この世の凹みしかみえないという病から抜け出したい。痘痕(あばた)も靨(えくぼ)に見ている方がどれだけ楽かしれない。今はこの世の靨が痘痕に見えている。底の浅い賢しらを消す薬という惚れ薬。薬局に売られていないか。
今日のさぶろうは不機嫌である。ものが見えたような顔をして賢しらぶっている。それですませている。愚昧のままなのに。この世が一瞬でバラ色に輝き出す薬の効能を持つのは惚れ薬である。行く人行く人、擦れ違う人擦れ違う人がうつくしく見えてきたらどんなにかよかろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます