映画の話でコーヒーブレイク

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もうひとりの息子

2013-12-17 | 映画 ま行
本作は2012年に製作され、昨年の東京国際映画祭で東京サクラグランプリと最優秀監督賞
に輝いた作品です。
ずっと見たかったのですが、単館系作品が横浜の映画館にかかるのは東京での公開から
3か月~1年後 横浜ジャック&ベティでやっと見ることができました。
今も見たい映画が2本あるのですが、新宿と六本木の単館上映のみ。
いつ見れるかなぁ~?

本作は18年後に赤ちゃん取り違えが発覚、二つの家族の苦悩を描くストーリーですが、
最近60歳男性の出生時取り違え事件が大きなニュースになったのは記憶に新しいところです。
また、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した是枝監督の「そして父になる」も
赤ちゃんの取り違えを描いた作品でした。
偶然なのかしら?


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       も う ひ と り の 息 子
             LE FILS DE L'AUTRE / THE OTHER SON

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 < ストーリー >
イスラエルのテルアビブで暮らすフランス系ユダヤ人一家の一人息子ヨセフは、兵役のために
健康診断を受ける。その結果、家族は血液型から息子と血がつながっていないという衝撃の
事実を知ることになる。出産をしたハイファの病院で、空襲を逃れるために避難した際、
パレスチナ人家族の息子ヤシンと取り違えられたことが判明し・・・。

      
                二人の母親
取り違えられていたというだけでも、とても受け入れられないことなのに…、
壁で隔てられたイスラエルの子供とパレスチナの子供の取り違えだったなんて!
壁の内側に閉じ込められ、仕事もままならず厳しい暮らしを余儀なくされているパレスチナの家族。
イスラエル軍の高官である父、医者の母という恵まれた環境のイスラエルの家族。
取り違えがなければ全く接点のなかった二家族。
両者は戸惑い、狼狽え、悩み、葛藤する。
              
       (左)ミュージシャンを目指すイスラエル家庭で育ったヨセフ。
            (右)医者をめざしフランスの大学に合格したパレスチナ家庭で育ったヤシン。
こういう時、必ず父親は母親に「母親なのに気が付かなかったのか?」と非難する。
「無茶言わないでよ!あなただって気付かなかったでしょ?」っと言いたくなります。
まさかそんなことが起こるなんて、誰も予想だにしないものね~。
取り違えでユダヤ人じゃないとラビに拒否され、兵役も取り消され悩むイスラエルのヨセフ。
仲の良かった兄にイスラエル人は敵だと退けられるパレスチナのヤシム。
18年間信じていた自分のアイデンティティが根底から覆され途方に暮れる息子たち。
狼狽え、成す術のない父親たち。
         
そんな中、両方の息子を受け入れ、優しく迎える母親たちに支えられ、
次第に近づき仲良くなる息子同士。
敵対する場所で、周りの反応に傷つきもがくお互い同士が唯一分かり合える存在なのかもしれません。
双方の幼い妹たちが「新しいお兄ちゃん」と2人をすんなり受け入れていることに救われます。
宗教や民族、政治的対立など大人の事情に囚われず、素直な妹たちに希望が見えます。

いったいどういう結末になるのか?気になっていたところにちょっとした事件が起こり
ハラハラしましたが、穏やかな結末です。
自分を見失わず、未来に向かって歩もうとするヨセフの言葉に救われました。
知らない方が幸せであったろう事実を知り、この家族を、二人の息子を取り巻く状況は
過酷なものになるかもしれないけれど、自分の足で立とうとする18歳のふたりなら大丈夫
なんじゃないかな?
「そして父になる」のようにふたりが6歳とか子供だったら、夫々のコミュニティを巻き込んで
もっと大変なことになっていたでしょう。

一個人同士なら仲良くなれるのに…ね。

一つ疑問に思ったのは、日本人同士の取り違えならあまり似ていないねという程度でしょうが、
イスラエル人とパレスチナ人は顔では判断できないのか?ということです。
どうなんでしょう?





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