徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

目薬のはなし ~ 向台寺目薬 ~

2012-05-25 19:53:36 | 熊本
 津々堂さんのブログ「津々堂のたわごと日録」に細川忠興公の眼病の話が載っていたのでこの話を思い出した。
 わが家からも近い京町1丁目に向台寺という古いお寺がある。京町台の西南端に位置するが、上熊本方面に降りる坂には向台寺坂という名前が残っている。この向台寺、実は「向台寺目薬」と言って、かつては相当名の知れたよく効く目薬を処方・販売するお寺だったそうである。この話を僕が知ったのは、中学校の同級生Sさんのお父さんがまだ師範学校の学生だった昭和10年に、京町の歴史についてまとめたレポートの中だ。Sさんの家が向台寺に近かったので、昭和10年当時でもSさんの家に、遠方からの患者が向台寺を訪ねて来たそうである。ところがこの話には裏話があって、実はこの目薬の秘伝の調合などを元々持っていたのは向台寺からちょっと北に行ったところにある西方寺だったというのだ。その当時の住職からさかのぼること3代、つまり明らかに江戸時代の話になるが、両寺の住職が極めて仲が良く、檀家が少なくて経済的に困窮していた向台寺を助けるため、西方寺の住職が向台寺の住職に秘伝を譲ったというのだ。そしてそのことは永い間、両寺の秘密とされてきたという。なんともハートウォーミングな話ではある。ところでこの目薬の原料が気になるところだが、現在の向台寺の奥様におたずねしてみたのだが、今はもう書付けも何も残っていないそうだ。司馬遼太郎の「播磨灘物語」には「戦国武将・黒田官兵衛の祖父がメグスリノキを原料とした目薬を開発して巨万の富を得た」と書かれているので、おそらく戦国時代よりも前に既に民間療法としてメグスリノキが使われていたと思われる。
※写真はメグスリノキ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。