のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1347

2017-12-16 00:23:19 | 新しい子猫たち 

ジブトラストの海外部門は、タックスヘイブンの資産管理会社に金を置き、そこがジブに逆に運用委託する形を取る事で、節税をしていた。それは香奈オフィスで香奈が儲けていた時から変わらない形だった。ジプの海外は香奈オフィスの相場部門を引き継ぐ事で大きくなっていた。


 


ただ香奈オフィスのタックスヘイブンの資産管理会社は、いわば香奈の個人資産管理会社の一面も持っていた。香奈も歳を取ったし、個人資産とジブの資産とを区別する必要に駆られ、ジブトラストとしての資産管理会社も持ち出した。しかし依然として香奈の個人資産管理会社の金はそのままであったし、これをジブに移行していくのには時間が掛かったし、ジブとしてこの金が自由に使えている間は、ドッチでもいい面もあって、香奈は実質的にはもはや自分の資産とは考えていない面もあった。


 


このタックスヘイブンの資産管理会社対策は延々としてすぐに整理できるものではなかった。ジプとしての社会貢献を世界で始めた時もタックスヘイブンの資産管理会社は、対象外だった。


 


ただ一つの国でレアメタル関係が見つかって、そこに香奈オフィス、治部ビルそして香奈ファイナンシャルが絡みだして、利益の一定比率を社会貢献に回す事が始まって、世界中のタックスヘイブンでジブが関係する国で、同様に始められた。


 


今までは ジブの秘密に近いものだったが、それが秘密ではなくなって、逆にこの寄付はタックスヘイブンの国にとって、社会福祉の大きな柱と変わりつつあった。


 


今ではジブとしての節税の目的以上に、タックスヘイブンの国にとっては、重要な柱と変わりつつあった。ただジブのこうした流れに同調するとタックスヘイブンの国に 隠し資産があるという事を認めているのと同じ事だった。


 


ジブ関係 治部一族の中でも この動きに同調しない人たちもいた。ただ ほとんどは、このジブのタックスヘイブンの資産管理会社に同調していった。もはや公然の秘密ではなく、タックスヘイブンの社会福祉に公然と寄付をしていた。


 


日本のカヨコファイナンシャルは、エンゼルホープ病院を維持し、加代子教まで作っていて、こんなタックスヘイブンに資産管理会社なんぞ持ちえないと思われていたし、加代子のアメリカの会社の責任者まで、たいした事はないと思っていた。それがそうではないのは加代子が薄々と知りだした。複雑な会計処理をしているとも判った。これの解明が必要だと加代子は思っていた。今の連中が私利私欲でこうしているのか、それともあまりにも複雑にしすぎて、昔のメンバーが引退していく時に、謎が謎を呼び、判らないようになったのかすら判らないのだった。


 


実は 紡績は誠実な企業態度として知られていたが、二郎が社長時代にロンドンとニューヨークに直売店舗と不動産を持ち、別会社にした時に、タックスヘイブンにも資産管理会社を持っていた。紡績は、債券運用としてはかなりの成績を上げていたが、こうしたタックスヘイブンの資産管理会社からの運用としている金も実はあった。ただ 紡績の二郎が優れていたのは、こうした資産管理会社を管理する法律事務所まで保有した事にあった。それは小さい法律事務所であったが、ジブ関係の実務も担当するようになっていき、紡績もジブの流れに同調するように変わっていた。