のら猫の三文小説

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新しい子猫たち No.1338

2017-12-07 00:44:10 | 新しい子猫たち 

エンゼルホープ病院は 本院も九州病院も 患者やその家族からの金品の授受を禁止してきた


 


報酬は普通の病院より高く、医師や医療スタッフは多く、研究や勉強の時間が取れるように配慮してきた。医療設備も最新鋭に近く、付け届け程度で この環境から離れる事を選択するような奴らはいなかった


 


ただ患者さんの手作りの野菜や果物などは、貰った医師や医療スタッフは市価に相当する金を患者さんの名前を付記して、この病院を援助する社会福祉法人に寄付すればいい事になっていた


 


寄付してくれた人に対しては色々な案内もあるし、救急の案内なども説明した冊子が届くシステムでもあった


 


付き添いの戦略家もこれを知った。単なる建前とも思ったが、厳密に行われているらしい


 


おやっさん も九州病院で通院してきた事もあって、知っていた


 


しかも神三郎の妻の加代子は世界でも有数の資産家らしい


 


この病院は 原則として医療費は受け取らない、入院中の食事代も含めて、関係する社会福祉法人が その総額を病院に寄付するシステムになっていて、患者が金に余裕があれば、この社会法人に寄付してもらう事に依頼していた


 


厚労省と揉めて、患者にもこの金額は判るようになった。


 


この時の日本は医療費全額国家負担ではあるが、厚労省の基準に合致する医師とか病院で厚労省の基準に従うものに限られていた。馬鹿高い検査を何回も繰り返し、金を取る所があったからだった


 


元々巨額の寄付で成り立っていたし、国から呉れるゼニはもはやこの病院ではたいした事はない。手間は面倒の上、この病院独自のシステムまでアーダコーダの指図を受けたくないカヨコファイナンシャルは この指定を返上する事まで考えていた


 


ただそうするとこの病院は救急指定の病院ではなくなってしまう。近くの地域は、この病院を最後の拠所と考えていたので、病院に対して指定返上しないように要請していた


 


騒ぎは大きくなり 陽太の耳に達し、陽太の妥協案で決着していた。基準以外の検査や医療などは一応自己負担として、それ以外は国に請求する事で 指定は維持する事になった


 


おやっさんは その金額の倍を寄付するつもりだった、九州病院にも同額の寄付する積りにもしていた。おやっさんは地方の小さい名家に生まれ、長年働いてきた、金はそこそこ持っている、息子はそれなりに働いていた、金はそんなに残して仕方ない、息子にはもう十分すぎる金を残していて、息子もそれを知っている。金に不自由はしていない。


 


おやっさんは、そんな金の問題ではなく、神三郎に金ではない、おやっさんからの感謝の気持が伝えられないか、戦略家に話をしていた